一見別々なように見えて、それらは地続きになっているんだ。と気づかせてくれたのは、美容師として腕を振るう高山さんと、その自転車。
やわらかな雰囲気を持ちながらも、自転車では通勤する男性を追い抜くスピードで走るという、アクティブな一面も兼ね備えた高山さん。いつもの道も、まだ見ぬ道も、愛車と共に今日もゆく!
お名前(職業):高山紗季さん(美容師)年齢:26歳
愛車:SURLY 「cross check」
価格:約30万円
自転車歴:2年6ヶ月
「自転車を買ったら、人生変わるよ!」と言われ、手にした1台
高山さんが自転車を購入したのは、サイクルショップとして有名な「BLUELUG」。
代々木公園近くの店舗で仲のいい友人が働いていて、「自転車を買ったら、人生変わるよ!」と言われて購入したのだとか。
今までは普通のママチャリに乗っていたのでここまで高い自転車を買ったことがなくて……。
ドキドキしながら買いましたが、今ではあのとき買ってよかったなと思っています。
どういう用途で乗りたいのかなどのヒアリングを元に、店員さんに選んでもらったのがSURLYの「CROSS-CHECK」というモデル。
普段の通勤から遊びに行くときまで、ほとんど電車を使わずに街乗りを楽しむ高山さん。軽くて移動がしやすい“快適さ”も大切ですが、それと同じくらい“見た目”も大切だと考えます。
ボディの塗装を選ぶところからオールカスタムで、自分の好きなファッションと合うようにパーツを選んでいきました。
ボディの塗装が終わった2週間後くらいから周りのパーツを具体的に決めていき、全部完成するまでにはおよそ2ヶ月ほど。
だんだんと仕上がっていく自分の自転車を見に行くのも、ひとつの楽しみだったのだとか!
なんか、家建ててるみたいな感覚でした(笑)
ペダルやサドル、ハンドルに塗装。自分だけの1台がオールカスタムで仕上がっていく様子を、そのようにたとえる高山さん。
話をしながらも「かわいいなぁ、かっこいいなぁ」と自身の愛車に向けて語りかける様子は、まるで大好きな恋人に向けて言葉をかけているよう。
さながら相棒といいますか、パートナーといいますか。たくさんの愛が込められた高山さんだけの1台は、そのようにして生まれました。
でも、実を言うと、まだまだ変わっていく予定なんです!
3ヶ月に1回のメンテナンスは、まるで着せ替えのよう
というのも、3ヶ月に1回のメンテナンス時に、少しずつカスタムも変えているそう。
着せ替えじゃないけど、そんなイメージでメンテナンスしに行っています。
つまり、1年で4回も姿が変わるということ。1年前はバッグがたくさんついていたと高山さんは言いますが、今ではむしろスッキリと身軽なスタイルになっていますね。
先日のメンテナンスで貼ってもらったのは、ハンドルのバーテープ。
スピードを出したいときはここを握って走ります。グッとペダルを漕ぐことができるので、スピードが出しやすくなるんですよ。
金属がむき出しな状態よりも、テープを貼ることによって少しだけあたたかな雰囲気のあるハンドルに。走るための機能性と見た目のファッション性、それらがうまく溶け込んでいる様子が伺えます。
それと、ドリンクホルダーもつけました!
アイスコーヒーを作って、タンブラーに入れています。信号待ちのときにサッと飲めるので、便利なんです〜。
少し低めなカゴの中に入っているのは、コーティングが施された木の板。これは木材を扱う「SUPPOSE DESIGN OFFICE」と「BLUELUG」のコラボワークショップがあった際に、手に入れたそうです。
しかも、コーティングは高山さんが自分で手がけられたんですって! ここに木材があることで、自転車全体のクラフトな雰囲気に、より統一感が生まれているように感じます。
1つずつどんなカスタムがあるか紹介してもらっているときに目についたのが、このライト。とてもコンパクトでミニマルなライトは、一体どんな目線でチョイスされたのでしょうか?
『1番かっけーのください』って言ったら、このライトになりました(笑)
まさかの回答でした。ポニーテールを揺らしながら、笑顔でそう答える高山さん。その姿に、こちらまで笑みがこぼれます。
しかし、コンパクトなのに光量は多く、USB充電で使えるといった機能性も兼ね備えているようで、やはり見た目と機能性のバランス感には一切のブレがありませんでした。
肌で景色の移ろいを感じられる、スピード感
基本的に休日は近所の同じ店を同じルートで周るそうですが、先日1時間くらいかけて自転車で浅草まで行ってきたとのこと。
皇居の周りや六本木。そして秋葉原や神田を通って、浅草へ行ってきました。同じ東京でも、ビルが多い町並みから、下町の風景に少しずつ変わっていく感じがとても面白くて。
車や電車だとスピードが速いからゆっくりと東京を感じることができないけど、歩きだとここまで行くのは、難しい。でも自転車だったらどこまででも行けるし、肌で景色の移ろいを感じられる。
そんなところが自転車ならではの魅力だと、高山さんは言います。
今まで通勤時間をストレスに感じることがありましたが、好きな乗り物で走ることで“好きな移動時間”になりました。
仕事も遊びも、自転車で。雨の日以外、ほとんど電車を使わない高山さんにとって、まさに自転車は“自分の足”という言葉通りの存在に。
いつの間にか休日の過ごし方も、自転車中心の生活に変わっていったという話を聞く中で思い出したのは、「自転車を買ったら、人生が変わるよ!」という一言。これ、やっぱり本当だったんですね。
服と自転車、あわせてひとつ
自身のファッションと自転車の雰囲気が合わさることで生まれる、一体感。部分的にどこかのパーツがお気に入りというよりも、トータルで好きなのはそういった部分なのだとか。
それぞれが自立した魅力を放っているけれど、合わさることでもっと強い。高山さんと自転車の関係は、まるで心を許したパートナー同士のよう。
見た目と快適さのバランス感を大事に、少しずつその姿が変わっていく自転車には、美容師として腕を振るう高山さんならではの個性が至るところに光っていました。
キャップ帽に、ポニーテールをなびかせて。高山さんは、今日もパートナーと東京を走ります。
Photographed by Kaoru Mochida
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