平日は会社員として働き、週末は嬉々としてソロ活を楽しむ日々。小さいけれど快適な部屋で、好きなものに囲まれて暮らしています。
みつ子とは、12月18日に全国公開される映画『私をくいとめて』で、のんが演じる主人公。芥川賞作家の綿矢りさの小説を原作に、『勝手にふるえてろ』に続いて、大九明子監督が映像化した作品です。
みつ子の脳内には不思議な相談役“A”がいて、何かにつけては“A”にブツブツと話しながら、充実した“おひとりさま”ライフを送る毎日。映画はそんなみつ子に気になる相手が現れるところから展開するのですが、物語と同じくらい、なんとも居心地が良さそうな彼女の部屋が気になってしまいました。
インテリアスタイリスト・作原文子さんに聞いた、部屋作りのポイント
みつ子の部屋作りにおいて美術を担当したのは、ファッション誌などで活躍するインテリアスタイリストの作原文子さん。今回のインテリアを手がけるにあたって、事前にみつ子のイメージを監督へヒアリングしたそうです。
「例えば、“コーヒーと紅茶だったらどっちを飲む人?”とか。印象的だったのは、“みつ子は普段、花をいけない人だと思う”と監督がおっしゃっていたことです。料理に使うハーブくらいは育てるし、小さな盆栽もあるけど、“日常的に花はなくていい”というのは、部屋作りのスタートにおいて重要なポイントになりました」
また、カーキやグレーなど落ち着いたカラーが多い、みつ子の衣装も大いに参考になったのだとか。
「みつ子は基本、メンズライクでシンプルなものを好む人だと思っていたので、部屋にはグリーンやブルーが自然と多くなっていきました。もともと(みつ子は)美術サークル出身という設定もあるので、家具や小物のセレクトにおいては、デザインや組み合わせのバランスをかなり考えました」と作原さん。
「決して高価なものばかりではないけれど、自分の好きなものや必要なものを、その時の気分で自分なりにアレンジしていける人、それが私の思うみつ子のイメージです」
“おひとりさま”という設定により、みつ子の部屋は、家族みんなで暮らす家とは違った魅力にあふれています。
「ベッド前のテーブルや椅子は、自由に動かせるアウトドア仕様のコンパクトなデザインを選びました。小物に関しては、決して甘いものばかりではなく、北欧の“ちょっと笑える”アイテムをはじめ、さまざまな国のテイストをミックスしています」
他にも、親友の皐月からもらった水彩画が飾られていたり、お気に入りのハンカチやポストカード、サンドウィッチの包装紙をコラージュして壁にあしらったりと、遊び心もプラスされました。
作原さんは本作のために、60軒以上のショップからアイテムをレンタルしたそうです。一人暮らしだからこそ楽しめるインテリアのアイデアが随所に光っていて、細部までじっくり見たくなってしまうこの部屋。
アイテムの一部は映画の公式サイトでチェックすることができます。
『私をくいとめて』は全国で公開中。主演ののんはもちろん、年下の営業マン・多田くん役の林遣都や、のんとは『あまちゃん』以来の共演となる皐月役の橋本愛、会社の上司と先輩を演じる片桐はいりと臼田あさ美、そして気になる“A”の声まで、キャスティングも豪華です。劇場ではぜひ、みつ子の部屋にも注目してみて。
『私をくいとめて』
原作:綿矢りさ 「私をくいとめて」(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督・脚本:大九明子
音楽:髙野正樹
劇中歌:大滝詠一「君は天然色」(THE NIAGARA ENTERPRISES.)
出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛
製作幹事・配給:日活 制作プロダクション:RIKIプロジェクト 企画協力:猿と蛇
©2020『私をくいとめて』製作委員会
公式サイト:kuitomete.jp 公式twitter:@kuitometemovie
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