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京都から東京へ移り住んで1年半。Homecomings・福富優樹さんが“景色”を大切にする理由(東京)|みんなの部屋
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京都から東京へ移り住んで1年半。Homecomings・福富優樹さんが“景色”を大切にする理由(東京)|みんなの部屋

2021-04-05 18:30
    生まれ故郷の石川県から京都の大学への進学をきっかけに、そこから9年間、京都で暮らしてきたHomecomings・福富優樹さん。ちょうど1年半前に上京することになり、新しい暮らしがはじまりました。

    これまでHomecomingsが私たちに届けてくれたものをみていると、「街」や「暮らし」とは切っても切り離せない要素なのではないかと感じます。

    どんな街で、どんな部屋で、どんなものに囲まれて暮らしているのかを伺うべく、福富さんのお部屋にお邪魔してきました。

    名前:Homecomings 福富優樹さん
    場所:東京都
    面積:2DK 約40㎡
    家賃:非公開
    築年数:28年
    住宅の形態:アパート

    編集部作成



    この街を選んだ理由

    「上京する」となると多くの人が思い描くのは、新宿や渋谷へのアクセスを重視したエリアでの暮らし。さらに最寄駅からは徒歩10分圏内といった条件も加わるのではないでしょうか? そういったいかにも「便利」な暮らしよりも、福富さんは「街の景色」を重視して選んだといいます。

    「京都にいたころは、今と同じくらいの物があって、7畳ほどの部屋で暮らしていました。ただ、ライブの遠征も多くて、週末には東京へライブに行くことがしばしば。だから部屋にずっといることがなく、こだわりもありませんでした。

    でも、いざ東京で暮らすと決まったら、ちゃんと“いい部屋”にしたいって思ったんです。そうなったら、東京ではあるけど、なるべく『自然がある景色のいい街』を選びました。いろいろ検討した中で、いまの街は川も流れているし、丘もあるし、とてもいい街だなって思いますね」

    暮らしたことが無い街での部屋選びは、土地勘がない分、下調べはとても重要。福富さんは東京でライブがあるたびに他のメンバーよりも一日長く滞在して、いろんな街を巡ったといいます。そして出会ったのがいまの街。自転車で行ける距離の近くの街は、ずっと住んでいた京都の街とリンクするところもあるんだとか。

    「自転車でいける近隣の街は、“京都っぽい”んですよ。綺麗にしている感じもですけど、大きな施設がドーンとあるよりかは、小さなお店がいくつもあって。スモールタウン感が好きですね」

    部屋の決め手は「一目惚れ」だった

    駅周辺も比較的落ち着いている印象ですが、福富さんが選んだのは、最寄り駅に行くには徒歩だと少し遠く感じる場所。部屋の決め手は何だったのでしょう?

    「はじめに訪れたのは明大前の不動産屋さんでした。そこで、『部屋は3部屋くらいで、家賃は抑えたい』と伝えると、『そんなところはありません』とあっさり言われまして(笑)。そりゃそうか……と思いながらいまの街の不動産屋さんに行ったときに、いろいろ紹介してくれたんです。

    それで、いくつか内見をさせていいただいたなかで、この部屋に連れてきてくれて。ここに来たとき、とっても晴れていて、陽がよく当たっていて、大きな窓があって、部屋に風が通っていて……一目惚れでしたね。

    でも、連れてこられた時点で、『駅からは離れているんだろうな』と感じていました。それでも、そんなことは後からどうにでもなることなので、気にしていませんでしたね」

    この部屋と素敵な出会いをした福富さんですが、「広い部屋」以外に欲しい条件はあったのでしょうか?

    「京都にいたときは、ずっと1階に住んでいたので、2階以上がいいなって思っていました。やっぱり、景色がいいじゃないですか。丘が見えたり、遠くで電車の音が聞こえたりするのもいいなって。

    だから、不動産屋さんに聞いたんですよ。『ここって電車の音聞こえますか?』って。でも『ここはそんなにうるさくないですよ』と言われて(笑)。そんな質問をすると音を気にしているって思われるのは当然だと思うんですけど、僕は“いい意味で”電車の音を聞きたいなと。実際、夜になると、かすかに電車の音が聞こえるんですよ」

    部屋を選んだ理由を聞くと、やはり「景色」を大切にされた福富さん。もちろん、バス・トイレ別やガスコンロなどの条件もあったうえですが、取材に訪れたスタッフも、羨ましいと声が出るほどのお部屋。ご自身も「あんまり捨てた条件がない」と話すくらい理想的な部屋だったようです。

    お気に入りの場所

    2DKの広々とした間取りの使い分けは、リビングと寝室・作業部屋。それぞれが福富さんのお気に入りの場所になっていました。

    大半の時間を過ごす作業机

    「仕事場でもあるから、お気に入りの場所にはしたいなって思って。一日中ここで過ごすこともあります。

    壁に貼っているメモは、『最高に素晴らしいこと』という映画の主人公が壁にたくさんメモを貼っているのが素敵だなって思ってマネしました。もともと、ノートに曲名になりそうなワードをメモしていたんですけど、いまはスケジュールなどといっしょに壁に貼っています」

    お気に入りの場所だからこそ、座ったときに見える景色も大切にしているとのことで、壁に設置したカセットテープを収納する棚も買い足したのだそう。

    ピアノの前

    「ピアノはすごく弾けるわけではないんです。バンドで一台あればいいかなって思って、前のアルバムのレコーディングをするタイミングで購入しました。

    ずっと置きっぱなしになっていたのですが、ちょうど昨年の自粛期間で部屋に長くいるようになったから、もうちょっと弾けるようになりたいなと思い、練習し始めました。ここ半年くらいは、このピアノの前がお気に入りの場所です。

    エフェクターとつなげたら、映画のサントラみたいな音が意外とカンタンに弾けるんです。他のメンバー3人は上手に弾けるから、たまに教えてもらっています。

    楽譜も読めるようになってきたので、あとは身体の練習。自分が楽しめる範囲でコードを追って弾き語るなどして楽しんでいます」

    ボーカルの畳野さんやベースの福田さんがピアノを弾くといったパフォーマンスも見れるHomecomingsのライブ。いつか、福富さんがピアノを弾く姿も見られるのかもしれません……!

    リビングの棚一面

    福富さんのSNSで度々ポストされているのが、レコードや本が収納されたこの棚。前に住んでいた部屋から多少ピックアップして一部をご実家に送ったようですが、まだ置く場所がある!となると、もう一度ご実家から送り直してもらうこともあるんだとか。

    「この一面は大事ですね。なにか音楽を作るとか、歌詞やタイトルを考えるとなると、この棚を見てヒントを探します。助けてくれるものでもあるんですよね」

    これだけ本やレコード、CDがあるとイチオシの作品が気になります。

    「一番影響を受けたのは小説の『シカゴ育ち』ですね。『あの時~だった』といった過去を思い出す目線みたいなのがすごく良くて。日常のことを書いているけど、すごく綺麗な一瞬が描かれているんです。

    ちなみに、この本で『PET MILK』というタイトルの話があるのですが、僕らのイベントのタイトルとして取ったこともあります。昔の恋人との時間を思い出している話なんですが、電車に乗って通り過ぎる駅に昔の自分がいたような気がする、みたいな内容。

    そういうのが美しくて、この本を見つけるたびに購入して、何かをいっしょに作るひとへ渡します。Homecomingsというバンドの世界観をわかりやすく伝えてくれるものやなって思うので」

    ただ、言葉や音楽で世界観を伝えるだけでなく、自分たちが感じたモノを共有するために本を渡すとは。SNSでカンタンにシェアができる便利すぎるこの時代に慣れすぎていましたが、こんな方法もあるのですね。

    お気に入りのアイテムは?

    メルカリでゲットした「カシオトーン」

    「メルカリでゲットしたんですけど、じつは途中から音が出なくなるんです。3オクターブしか鳴らなくて。でも、カシオトーンにしか出せない音が可愛くてレコーディングで使っています。

    憧れの星野源さんがアナログシンセを使っていたり、シャムキャッツが型は違うけどライブで使っていたりしたのをみて、いつか手に入れたいなって思っていました。だから、全部の音が出るように修理にも出したいなって思っています」

    イラストレーター・サヌキナオヤさんから頂いたポスター

    「一生大事にしたいポスターです。ずっと欲しかったもので、いつか買おうと思っていたら完売してしまって。そしたら、友人でもあり仕事仲間でもあるサヌキナオヤさんが、なんとか手に入れてくれてプレゼントしてくれました」

    The Format「Dog Problems」のレコード

    「洋楽を聴き始めた高校生くらいのときに好きだったアルバムです。そのときはCDで聴いていました。ただ、レコードを集めだしてから、すごい欲しいなって思っていたんですが、日本では売っていなくて。そしたら、当時お付き合いをしていた人が海外の通販サイトでゲットしてプレゼントしてくれたんです。

    日本で買えないうえに海外でも高値で売られているみたいで。しかもジャケットも切り絵のようになっていてとてもかわいくて。アルバムとしても大好きだし、宝物のレコードです」

    セサミストリートのジュリア

    「セサミストリートのキャラクターで『ジュリア』という女の子です。

    この子は自閉症のキャラクターなんですが、すごく素敵なんです。いまのセサミストリートっていろんなキャラクターが登場していて。お父さんが刑務所にいる子がいたり、お母さんが薬物中毒になってしまっている子がいたりして、いまの社会で起きている問題をしっかりと落とし込んでいるんです。

    でも『ただ単にリアリティを求めました』というよりは『そういう問題や自閉症に対する理解を深めてほしい』という意思があって。

    子どもが見るものだからこそ、ちゃんと伝えたいことをキャラクターを通して伝えているのが素敵やなって思いますね。その象徴的なキャラクターが『ジュリア』やなって。なかなかお店で売っていなかったんですけど、たまたま出会えました」

    ずっと手放さない2本のVHS

    「昔、VHSもすごく集めていたんですよ。京都にはレンタルビデオショップがたくさんあったんですけど、僕が京都を出る時にはもうほぼほぼつぶれてしまって。お店がつぶれてしまうときに安く売り出すんですよね、100円とかで。そのときに、僕もたくさん買ったんですが、ビデオデッキを壊してしまったんです。

    それでも、この2本の映画『スモーク』と『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』だけは残して置こうって。もうデッキがないから観れないんですけどね」

    レンタルビデオ屋さんの会員証

    「なくなってしまった京都のレンタルビデオ屋さんの会員証です。たぶん、京都で最後にあったお店じゃないですかね。これも宝物です」

    たくさんのお気に入りのアイテムを紹介してくれた福富さん。

    話を伺っていると、福富さんが一番影響されたとお話ししてくれた小説『シカゴ育ち』を思い出します。アイテムを手に取ったその時その時の思い出を景色として伝えてくれているような気持ちに。

    これからの暮らし

    引っ越しをしてきて半年でコロナ禍になり、東京生活の大半をいまの部屋で過ごしてきた福富さん。だからこそ、“変わらない生活”をこれからの暮らしとして描いていました。

    「仕事は基本的に音楽を作ったり、作詞をしたり、執筆をしたりと部屋でできること。ミーティングがあれば遠隔で。

    あとは自転車で買い物に行くとか。いい感じでこの生活が続けばいいなって思います。コロナに関係なく、こういった状況が終わったあとでも、リモートでできることはリモートでやるってなったら、いろんな幅も広がるやろうなって」

    お気に入りのものたちに囲まれ、景色のいい場所で暮らす。このような暮らしがあってこそ、Homecomingsの音楽として私たちに届けてくれるんだと強く感じます。

    きっとこれからも、この街とこの部屋と日常とともに。

    Information
    2021年5月12日に映画『愛がなんだ』の主題歌「Cakes」やすき家CMソングとなった「Pedal」等が収録されるメジャーデビューAL『Moving Days』をリリース。収録曲「Herge」が4月から放送中のテレビ東京の新ドラマ『ソロ活女子のススメ』のエンディングに。

    Homecomings 公式サイト:
    https://homecomings.jp/
    Instagram:
    https://www.instagram.com/_homecomings_/
    Twitter:
    https://twitter.com/homcomi

    Photographed by Kaoru Mochida

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