「このスープにあえて醤油をひとさじ足したら、味がキマるかも……」「いつもはピーマンを使ってるけど、この野菜で代用できる気がする……」、そうやって自分の感覚を頼りにレシピを抜け出したとき。その瞬間にこそ、料理はもっと楽しくなるし、きっとおいしくなる。
それに気づいてからというもの、レシピの裏側にある知恵や考え方を教えてくれる本をしきりに読み漁るように。今回は、そのうちの3冊を紹介します。
揚げ物で使う油の役割、知ってる?
『料理の意味とその手立て』 ウー・ウェン著(タブレ、2020)
中国・北京生まれの著者は、友人にふるまった中国家庭料理が話題を呼んでことをきっかけに「ウー・ウェンクッキングサロン」をはじめ、かれこれ23年。
実際にサロンでも教えているというノウハウの一部を、レシピとともにまとめたのがこの本ってわけです。
“ノウハウ”といっても、堅苦しいことはいっさい抜き。
「揚げ物でつかう油の役割とは?」「肉や野菜の水分量をコントロールする意味と方法は?」「スーパーで野菜を買うときに気をつけるべきポイントとは?」など、いうなれば、素材をおいしくいただくための“知恵”。
理由や仕組みをていねいに教えてくれるから、応用力も身につきそう!
また、「唐辛子は調味料というより乾燥野菜」「麻婆豆腐はじつは炒め物じゃなく煮物」といった思わず膝を打つような発想の転換にも、固いアタマがやわらかくなっていく〜!
サロンに足を運ばずして、リモート授業を受けている感覚。ウー・ウェン先生のお試し授業を受けてみたいひとは、まずこの一冊から!
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レシピから、“数字”を極限まで排除
『定番』 細川亜衣著(アノニマ・スタジオ、2021)
イタリア料理を起点にする料理家、料理研究家であり、これまでも『パスタの本』『朝食の本』『スープ』『野菜』『果実』などさまざまな切り口のレシピ本を上梓してきた著者。
新刊は、満を持しての『定番』。この直球タイトルにやられてしまったファンも多いはず。かくいう僕も、待っていました!
内容は、これまでの著書の多くと大きく変わらず、音や香りがこちらまで届いてきそうな迫力満点の料理写真と、多くを語りすぎない(「○分、○回、○グラム」といった“数字”が最低限しか記されないから、とっつきやすい!)レシピで構成。
また、それぞれのレシピには著者の個人的な思い出や食べ方のこだわりが添えられます。
娘がちいさな手でにぎったおにぎり、料理上手の母が切って塩をまぶしただけのトマト、祖父が巨人戦をテレビで観ながらつついていた冷奴、韓国のオモニが作ってくれたナムル……。
とりわけ家族との思い出にひもづいたオリジナルレシピには、著者の料理愛がひたひたに詰まっている!
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代々木上原の名店「按田餃子」直伝の自炊術
『たすかる料理』 按田優子著(リトルモア、2018)
代々木上原と二子玉川に店を構える「按田餃子」の店主・按田優子さんとオーナーであり写真家の鈴木陽介さんによる共著。
前半では、按田餃子の立ち上げにまつわる秘話をふたりの視点で綴られます。後半は、料理不精のひとり暮らしでも負担にならない目からウロコの自炊術。
按田さんの愛する南米の豚バラ料理「チチャロン」の作り方にはじまり、“切り崩しながら食べつなぐ”方法、「スーパーやコンビニを冷蔵庫代わりに」など、どれもこれも按田餃子の料理の極意でもあるとか。
そんなの公開しちゃっていいの⁉ と大胆さと潔さに目を疑いたくなるけど、ありがたく頂戴しま〜す!
あと、本書を手に取ったなら、蒸籠も一緒に買って帰るべし! 読み終わる頃には、ぜったい欲しくなるから。
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