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杜の都でつくられた、壁一面に広がる本の森。築42年リノベマンションふたり暮らし(宮城県仙台市)|みんなの部屋
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杜の都でつくられた、壁一面に広がる本の森。築42年リノベマンションふたり暮らし(宮城県仙台市)|みんなの部屋

2021-09-25 14:00
    東北最大の都市である仙台市。市内の中心地にある住宅街の中に、今回ご紹介するKさん、aiさん夫妻の住まいはありました。

    お名前(職業):aiさん(教育関係)、Kさん(教育関係)
    場所:宮城県仙台市
    広さ:1LDK
    物件購入費:約1,000万円
    リノベーション費用:約1,000万円
    築年数:42年
    住宅の形態:中古リノベーションマンション
    間取り図:

     

    KさんのUターンに合わせて一緒に移り住んだ土地で見つけたのは、杜の都にふさわしい、中心地でありながら緑が溢れる中古マンションでした。

    洗練されたギャラリーのような白を基調とした空間の中にあったのは、本の森ならぬ一面に広がる本棚。

    特徴的な住まいと、その住まいを磨き続けるおふたりの部屋づくりについてお話を伺ってきました。







    お気に入りの場所

    壁一面に広がる土間の本棚

    リノベーションするにあたって夫婦共通で欲しかったというのが、土間玄関を抜けた先にあるLDK壁面の本棚。

    白がベースの住まいの中で、背面が躯体現しになった本棚は、美しさと存在感を兼ね備えたスペースになっています。

    「ふたりとも本が好きでたくさん持っていたのですが、東京から仙台へ最初に引っ越した住まいでは本が収まりきらなかったんです。ずっとダンボールに入ったままお互いの実家に預けっぱなしになっていたので、広い本棚が欲しいという思いがありました」(Kさん)

    そうした本への思いを伝えた際に設計士の方が提案してくれたのが、今の本棚だったそう。玄関まで続く棚はLDKとの間に境界線となるスペースを残して、玄関の収納棚へと繋がっていました。

    「本棚と靴を収納している棚は、1つスペースを開けてもらうようにお願いしました。靴の横に本が並ぶのが嫌だったのですが、梁が重なったこともあり、ちょうどいい余白が取れたのはよかったです。このスペースのおかげで、ダイニングからは靴が視界に入らないようになっています」(aiさん)

    また、本棚は夫婦で列を分けて収納されていました。

    「私が真ん中と左のスペースを、主人が右の棚を被らないようにして使っています。以前は編集の仕事をしていて元々本が好きなので、私の方が少し多めにスペースをもらっていますね」(aiさん)

    「棚も可動棚にすることで、その時の気分や用途に応じて、さまざまな楽しみ方ができるようになっています」(Kさん)

    実際に窓際のスペースは、元々本棚だったものを本の量とスペースの使い方の兼ね合いで仕切りを外し、ディスプレイスペースに。使い勝手のよさが体現されていました。

    朝の目覚めがよくなるベッドルーム

    光がたっぷり入る窓際にあったのがベッドルーム。窓際に置きたいという要望まで詳細に伝えたという、生活の中で大切なスペースになっていました。

    「朝日で起きたいという思いがあり、最初から窓際のベッドルームを希望していました。設計が進む中で、壁も無くしてしまおうと腰壁に変更したことで、ちょっとした休憩にもすぐに横になれて便利です」(Kさん)

    腰壁はKさんのアイデアだったそう。壁の形式はもちろん、キッチンと同じ高さに揃え、左右対称になるようにつくったという空間づくりへのこだわりを感じます。

    「来客時にベッドルームが丸見えになってしまうというのはありましたが、結果的には家全体が広く見えるようになって、正解でしたね」(Kさん)

    キッチンとベッドルームの仕切りを設けたことで、匂いがベッドールームまで流れ込むことはないのだそう。外からの光をキッチンまで届けるために、室内窓も用意されていました。

    ひろびろとして使い勝手がいい玄関

    大きな本棚の先にあるのが玄関スペース。元の住まいとは間取りを変更することによって、玄関からは室内が一切見えないようになっていました。

    「以前はキャンプ用品などを玄関の棚に収納していましたが、その搬入にも十分な広さがあり、とにかく使い勝手がよくなっています」(Kさん)

    玄関に並ぶソファはKさんがご家族から引き継いだという思い入れのあるインテリア。

    「玄関も白を中心としたスペースにしたことで、ギャラリーのように楽しめるようになりました。白の余白は活かしつつ、その時々で楽しめたらと思っています」(Kさん)

    この部屋に決めた理由

    街でありながら緑溢れる住まい

    仙台で最初に住んでいた賃貸が契約満了になるのに合わせて、新たな住まいを再検討することに。リノベーションという選択肢を知ったご夫妻が、はじめて足を運んだ施工会社で運命の出会いがありました。

    「担当の方がすごく話しやすくて、服のセンスをはじめ、私たちの感覚と近いものを持っていることが安心感に繋がりました。この方だったら自分たちのイメージを形にしてくれるだろうと思えましたね」(Kさん)

    「仕事や生活のことを考えると、仙台駅へすぐにアクセスできる立地であることが最初のきっかけとしては大きかったです。それに加えて、この住まいをはじめて訪れた時にマンションの植栽に魅了されました。緑がもさもさで、アクセスはいいのに都会らしくない景色が決め手になりましたね」(aiさん)

    残念なところ

    少し気になるベランダのつくり

    室内はおふたりにとって最善の空間をつくり上げた一方で、手の加えようがなかったのが元の建物の構造。住まいの一面につながるベランダは、柱によって少し窮屈なものになっていました。

    「ベランダで開放的に過ごすには少し難しいつくりになっていました。今は季節によって植物の置き場としての使い方が中心になっています」(Kさん)

    お気に入りのアイテム

    ベッドルームにピッタリだったモビール

    寝室の窓際に吊るされたモビールは、ガラス作家である津村里佳さんの作品。aiさんがお部屋に合うモビールを探す中で出会った、Kさんも納得の光の透過が美しいインテリアです。

    「モビールをずっと置きたかったのですが、可愛すぎたり、ナチュラルすぎたりと夫婦揃って納得いくものが見つからなくて。仙台でよく足を運ぶギャラリーの展示にて見つけた際にガラスの美しさに惹かれ、ようやく家に飾ることができました」(aiさん)

    美しいのにお手頃なディスプレイ

    ギャラリーを巡るのが好きだったおふたりがベッドサイドにつくったのが、コンクリートの飾り棚。実はこれカインズのメース棚でつくられたものなのだそう。

    「このスペースに飾り棚を置きたいと思っていたのですが、足場板や端材などを検討する中でしっくりくるものが見つかっていませんでした。偶然訪れたカインズの建材置き場でこのコンクリートを見つけて、ようやく納得のいくものができました」(Kさん)

    「ふたりでテンションが上がってすぐに購入したのですが、部屋に運ぶまでがとにかく重たくて大変でしたね。コストも想定より抑えられたので大満足です」(aiさん)

    友人を招いてもひろびろ使えるダイニングテーブル

    引っ越し当初、最後まで悩まれたと話すのがダイニングテーブル。DICHOTOMICのエフクランプレッグという使いたい脚は見つかったものの、天板の質感やサイズでなかなかいいものに出会えなかったのだそう。

    「賃貸の時は小さなダイニングテーブルを使っていたのですが、ずっと長さのあるダイニングテーブルを使いたいという思いがありました。友人も招いて楽しみたいという思いもあり、最終的には通常より長めの天板を購入することに。質感含め、納得のいくインテリアになりました」(Kさん)

    Kさんが家に記した奥さんの好きな詩

    ベッドとキッチンの間にある室内窓。よーく近づいてみてみると、まるでお店やギャラリーのような文字の印刷がありました。

    「妻が好きな入沢康夫さんの詩を、白インクで印刷した塩ビシートに貼りました。私が東京で印刷関連の職場に勤めていたこともあり、住まいに施さないような印刷を使ってみたかったんです。貼って剥がせるメディアとして、好きな言葉が加えられるのがいいですね」(Kさん)

    暮らしのアイデア

    住まいのゴミ箱をひとつにする

    住まいの中のゴミ箱はたったひとつだけ、これはKさんがひとり暮らしをしていた時からのルールなんだそう。

    「最初の頃は驚きましたが、一緒に暮らす中で慣れていきました。どこでゴミが出ても必ずひとつに集結することで余計なものが増えず、ゴミ捨てのハードルも下がるため、いい習慣になったのかなと思っています」(aiさん)

    夫婦と住まいが納得するモノ選び

    アイテム選びもそうだったように、住まいに置くものは必ず相談して決めるというおふたり。

    モノをaiさんが見つけてきた後に、Kさんが住まいに置いた時にどう見えるかを考えるという流れの中で住まいのモノ選びは進んでいました。

    「極力シンプルな、スッキリとした住まいでありたいと思っています。シーツ、カーテンは白。柄物や色物もかわいいと思うものの、基本的には白のものを選ぶことで空間がごちゃつかないようにしていますね」(Kさん)

    用途を限定せずに使ってみる

    必要に迫られてモノを買わないと話すほど慎重にアイテム選びをされる一方で、デザインの気に入ったアイテムは用途を限定せず、まずは使ってみることを大切にされていました。

    「例えば古道具のおかもちには書類が入っていたりするし、りんご箱も以前はキャンプ道具入れとして使っていましたね。今も引き続き、飾り棚として使っています」(Kさん)


    お菓子の空き箱は、偶然サイズもピッタリだったというインターフォンカバーに使われていました。

    これからの暮らし

    今の住まいにあったインテリアでお部屋を完成させたい

    住まい自体にとことんこだわられたからこそ、構成するアイテムやインテリア選びも慎重に。まだ変えていないものは、これからゆっくり検討していくそう。

    「リビングスペースのテレビ台、ソファは前の住まいから持ってきたモノを、テーブルはキャンプ用のものを使っています。特に不便はないので、すぐに変えたいということではないですが、住まいに合わせて見つけていけたらなと考えています」(Kさん)

    「私は寝室のアートをそろそろ変えたいなと検討中です。せっかく作品が映える空間になっているので、少しずつ変化していくであろう好みに合わせて家づくりを続けていきたいですね」(aiさん)

    おふたりで住まいについて考え、ブラッシュアップを続けられているKさん、aiさん夫妻ご夫妻。

    日々の暮らしの中で、今後、どんな本やアート作品が並び、住まいのストーリーが綴られていくのか。これからの変化もまた楽しみですね。

    Photographed by tsubottlee

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