どうやら新しい文化が芽吹いているようです。その名も、「泣語(なくご)」。
「落語」は落語家さんによって、笑える噺を聞き、笑うもの。そして、この「泣語」は、泣語家さんによる泣ける噺を聞き、涙を流すというものだそう。
涙活プロデューサー、離婚式プランナー、世界の試し書きコレクターとして、さまざまな顔を持つ寺井広樹さんが立ち上げた、1ヶ月に2、3分だけでも能動的に涙を流すことによって、デトックスをする「涙活」の1つの方法です。
なぜ、泣語を思いついたのでしょう。寺井さんによると、
「高齢者施設に「出張涙活」をした際に、泣ける動画を見せても泣かなかったお年寄りたちが、噺に切り替えた瞬間に泣いてくれたのを見て閃きました。
泣ける動画は話の展開が速くてついていけないお年寄りも、人が話すやり方であれば聴き手にあわせて噺ができますので、ご高齢の方々にも好評をいただいているんです。」
とのこと。
この「泣語」は、自分の体験に基づいた「体験泣語」と、見聞きした話をもとにつくる「創作泣語」に分けられ、ルールもあるんですって。
■ 泣語のルール
1. 5分以内にしめくくる。
2. 公式な服装はブータンの民族衣装をモチーフにした「泣き装束」を着用。
3. 泣語の終盤には泣語家自身が目に涙を貯めて、袖で涙をぬぐうのが御作法です。
4. 締めくくりの言葉としては、「今日の私の噺は、涙と共に水に流していただければ幸いです」が基本。
また、なぜ泣語の衣装はブータンの民族衣装をモチーフにしているのかお聞きしたところ、こんなお話が。
ブータンという国には『国民総幸福量』という考え方があり、国民一人当たりの幸福量を最大化することによって、社会全体の幸福を最大化することを目指すというものです。その考え方に影響を受け、『国民総涙量』をベースに社会全体に活力を与えるという考えを生み出しました。つまり、国民一人当たりの感涙を増やすことで、社会全体のストレスを減らすという考え方です。そんな訳で、衣装もブータンの民族衣装をモチーフにしています。
トップの画像は、泣語家(なくごか)の「泣石家(なかしや)芭蕉」さん。普段は、葬儀会社にお勤めされているそうです。
「笑いは失敗しても笑ってもらえますが、泣きは失敗するとまったく泣けない。お笑いよりも難しいかもしれません。」と寺井さん。
確かに涙を流した後は、なんだかスッキリするもの。新しいデトックスの方法として、日本の新しい文化として「泣語」を体験してみては?