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中目黒駅から歩いて15分、閑静な住宅街にその家はありました。実家に帰ったような、ウォルナット風の優しい木の色がただよう落ち着きある一軒家。この3階建ての家で7人がシェアしています。どのような暮らしをしているのでしょうか?

近年、人気が急上昇しているシェア生活。roomieでは、実際にシェアハウスをしている住人の方にお話を聞くシリーズを始めます。記念すべき第1回目はこのおうちからスタート。roomieでも「From Yu’s kitchen」でレシピを披露してもらっている中村優さんたちの家なのです。今回は、中村さんと松波香保里さんのお2人に、「シェアハウスの本当のところ」を伺いました。





シェアハウスを始めたのは約2年前。きっかけは、もともと知り合い同士だった3人でシェアする話が決まり、物件探しがスタート。松波さん主導で探すうちに、シェアメンバーが6人に増え、より大きな物件探しになったそうです。6部屋以上の物件は極端に少なく、苦労されたとか。

この物件に狙いを定めた理由は、前提条件となる6部屋以上の部屋数に加えて、「キッチンが広い」「トイレが2つ」「立地が良い」「比較的きれい」といった点でした。その後、大変だったのは契約の段階。

-契約ではどんな苦労がありましたか?

松:ご年配のオーナーさんが多いこともあり、大人数でしかも男女混合でシェアすることを理解していただくことが大変でした。

中:シェアハウスの文化が浸透していない日本では、「若い人が集まって暮らすなんて、怪しい」と思われることもあります。秘密結社のようなものですか? 変な宗教のようなものですか? と質問されたこともありました(笑)。

松:大人数が住むということは、不動産さんにとってリスクも増えるということ。だからサラリーマン以外のメンバーには保証人を立てました。サラリーマンの社会的信用は絶大なので、メンバーにサラリーマンがいないとシェアハウスの審査を通すのは難しいかもしれません。


リビングでお話を聞かせてくれた、松波さん(左)と中村さん(右)

その後、6人でのシェアハウス生活がスタート。ちなみに、入居前に物件を見たのは4人。2人は入居時が初めて物件を見たときだったそうです。そして後に1人メンバーが増えて、今に至ります。

メンバーは、男女比3:4で年齢は25~29歳。職業はサラリーマン4人、アルバイト1人、個人事業主1人、NPO団体所属1人という7人構成です。7人は一人暮らしの経験がある人ばかりとのこと。

-シェアハウス全体で決めているルールはありますか?

中:「細かいことは気にしない。おおらかな気持ちでいよう。」これが最初に決めたことですね。気にするポイントは人それぞれ違うし、実際に一緒に暮らしていけば慣れていくものです。

松:ときどき12時を過ぎて大きな声が聞こえると、お互いLINEで声かけすることもあります。仕事で疲れているときは、部屋へ行って直接注意するのはめんどくさいので、LINEは便利ですね。あとは基本ですが、家賃はちゃんと振り込む。滞納しない。遅れる場合はちゃんと言う、ということぐらいですかね。

中:最初は月1回の家族会議があったけど、みんなのスケジュールを合わせるのが大変で、今はどこへやら。もともと気遣いができるメンバーなので、固いルールはありません。

-家事はどのように回しているのですか?

松:お掃除は週替わりの当番制です。週に一度、ゴミ出しと、階段、お風呂、リビングの掃除が回ってきます。

中:掃除当番もLINEでまわしています。生活リズムがみんな違うし、帰ってくる時間もバラバラなので。

松:掃除はみんなこだわるポイントが違うから面白いです。掃除が行き届いていないときがあっても、次の週にきれいになればいいかなと。やっぱりおおらかさが大事ですね。許す力が養われます(笑)。


念のため、入浴中は”ON AIR”のサインを点灯させる

そして気になる経済面。お家賃は、日当たり、広さ、エアコンがついてないなど、部屋のクオリティーによって2万9000~5万円で傾斜がついています。リビングにある食器や家電はすべてシェア。家電は入居時に持ち寄ったものを使い、リビングの家具や食器棚はすべて備え付けでした。そこで感心するのが、会計係がいるということ。光熱費の管理、各自で買った共用物も、レシートを回収して一括で計算されています。

お風呂は男性は素早く、女性も朝派、夜派、深夜派とうまく分かれているため、あまり鉢合うことはないそう。料理をする人が少ないので、キッチンも混み合うことはないそうです。

生活リズムがバラバラで、家で誰にも会わないこともめずらしくないほど、メンバーはみな忙しい様子。どのようにお互いコミュニケーションをとっているのでしょうか。

-メンバーとはどのように交流しているのですか?

中:プロジェクターを購入した当初は映画上映会をしていましたね。あとは、タイミングが合うときにリビングで3、4人で話すこともあります。基本的にはみんな自分の部屋にいることが多く、普段は割と距離感がありますね。

松:シェアハウスだからプライバシーがない、ということは我が家ではありえません。むしろプライバシーを重視し過ぎているくらいかな、って思います。みんな彼氏や彼女をうちに連れてくることもないですね。

中:ただパーティーを開くときなど、「何かやろう!」となったときの団結力はすごいですよ。


中村さんのシンプルなお部屋

-家でパーティーをやるんですね

松:メンバーそれぞれ、うちに友達を呼んでやります。パーティーでの交流で、人とのつながりは確実に広がりました。自分とは違う環境にいる人の話を聞けるし、すごく楽しいですよ。

中:そして呼んだ人同士がつながって新しいことが生まれる。これが本当に面白いです。ただ、少しうるさくなるので、事前にご近所に菓子折りを持ってごあいさつに行きます。これは必須ですね(笑)。

松:パーティーでは普段あまり話さないメンバーとも話せるからいいですね。イベントの時は楽しもうっていう、めりはりを大切にしています。お互いもともと知っているメンバーで構成されているからこそ、こういう極端なONとOFFが成立するのかもしれません。それぞれ外に生活があって、そちらへの比重も大きい。でもお互いへの信頼感はちゃんとあるんです。

中:わたしたちにはメンバーが何をやっていても応援したいっていう理念があります。実はここに住み始めてから、人生の岐路を迎えた子もいて。例えば誰かが仕事を変えたときでも、「おめでとう。絶対にいい方向に行くよ」って賛成して、自分のことのように喜べる。やっぱりそれは、根底にみんなのことが好きだから、ということがあると思うんです。

■まとめ
人間としての器も大きくなるシェアハウスの生活。人生の岐路に立つ20、30代で経験できるならとても有意義なことかもしれないなと、素直に思えたインタビューでした!

■シェアハウス@中目黒 5つの質問

・物件を決めたポイントは?
6部屋以上あること。キッチンが広いこと。トイレが2つあること。立地が良いこと。比較的きれいであること。

・シェアハウス内でのルールは?
細かいことは気にしないように、おおらかな気持ちで過ごすこと。

・住人の間でどんな交流をしている?
ときどき開くホームパーティーで一致団結。

・家のなかでのお気に入りスペースは?
それぞれの部屋が一番リラックスできる。

・シェアハウスに住むメリットは?
経済的。自分とは違う環境にいる人の話を聞けること。

(ハタナカ)
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