それは、乾電池をちょっと高いところから、机の上に軽く落としてみるだけ。満タンである乾電池は跳ねませんが、使い切った乾電池は跳ねるのです(以下の動画)。
さて、上のYouTube動画では、使い切った乾電池が跳ねるのは、「内部で気体が発生しているから」と述べていますが、実は違うようです。電気技術者のLee Hite氏は、使い切った乾電池が跳ね返る理由を、科学的な視点から突き詰めています(以下の動画)。
Hite氏は動画のなかで、実際の実験を通して、跳ねるのは「気体」が原因なのではないと明らかにしたあと、「良い乾電池」と「悪い乾電池」を切り開いてみます。すると、「良い乾電池」のほうは内部がゲル状で柔らかいのに比べて、「悪い乾電池」のほうは硬い固体になっていることがわかります。
Hite氏によれば、硬い固体は、(ちょうど鉄のハンマーで硬い板を叩くときのように)、物に当たると跳ね返ります。しかし、ゲル状のような柔らかい物質の場合は跳ね返りません。Hite氏は動画で、プラスティック素材の「無反動ハンマー」(「ショックレス・ハンマー」)を使って、その違いを見せています。
Hite氏は最終的に、「良い乾電池」と「悪い乾電池」の違いについてこう説明しています。
アルカリ乾電池の内部では、次のような化学反応が起こっていると知っていれば、動画の実験結果を理解しやすくなると思います。
充電できないタイプのアルカリ乾電池は、水酸化カリウムの電解質(多孔性の膜を使って、二酸化マンガンの粉末と炭素粉末を混ぜ合わせたペースト状合剤から隔離されたもの)を含むゲルに、亜鉛の粉末を加えることで、電池としての寿命が始まります。
水素ガスの発生を最小限に抑えるために、二酸化マンガンは余分に加えられています。乾電池の放電が続くに従って、内部の二酸化マンガンの粉末は、酸化マンガンに変化していきます。そしてこれが、粉末の粒同士の化学的結合と物理的結合を引き起こし、「硬い砂」のような物質になります。電池が満タンの頃は、内部がゲル状の混合物であるため、ちょうど無反動ハンマーのような状態になって跳ね返らないのですが、使い切った電池では、内部が硬い砂のようになっているため、跳ね返るわけです。
おわかりになりましたか? 仕組みは複雑ですが、とにかくこの方法を知っていれば、電池がまだ使えるかどうかが簡単にわかります。少し上から机に電池を落として、試してみてください。
なお、このチェック方法は、単1形・単2形・単3形・単4形および、9V形のアルカリ乾電池に対して有効だそうです。
Why A Dead Alkaline Battery Bounces! [Youtube]
Here’s a quick way to test if your AA batteries are dead [The Week]
切れている乾電池かどうか簡単に見極める方法 /(ガリレオ)ライフハッカー[日本版]
Test If Your Batteries Are Dead By Dropping Them on a Hard Surface /(Melanie Pinola)[米版]