世の中にはいろんな旅をしている人がいます。旅の仕方も行き先も人それぞれで、人の数だけ旅のカタチがある、と言えるかもしれません。
人の話を聞くと、旅ごころを誘われたり、自分もその場所へ行ってみたくなったりするものですね。ただ、なかにはとんでもない旅をしている人もいて、そうした人たちの真似は簡単にはできません。
Gunther Holtorfさんと、その奥さんChristineさんも、旅と生活が一緒になったすごい生活を送ってきた2人。まさにある時期から、人生がオン・ザ・ロード。
もともとの計画は、”Otto”と名付けられたメルセデス・ベンツのオフローダーに乗って、アフリカの国々を18ヶ月かけて回るというもの。旅は彼らの国でまだベルリンの壁が崩壊する前の1988年にスタートしました。
しかし、1年半経っても旅が終わることはなく、いくつかの休みを挟んで26年間、旅を続けました。
足を踏み入れた数は177か国、距離にして885,139 kmを回る、長い長い旅です。
彼らはOttoで、パリの目抜き通りからジャングルの中まで、ある時は南米の高地を、あるいはイラクの戦闘地域を、駆け巡りました。夜は車内やハンモックで過ごしたそうです。
Guntherさんはこう話しています。
「あなたがもっと旅をすれば、その分、自分がそれまで小さなものを見ていたことに気がつく。そしてもっと見て、経験すれば、さらに多くのものを見続け、体験し続けたくなるものなんだ。」
時には、車がひっくり返ってしまうようなトラブルも。
この時は牛たちと現地の人々の助けがあって難を逃れました。ちなみに、これは2014年の話。マダガスカル島でのことだそうです。世界は広い!
実はこの頃、Ottoの中にはもうChristineさんの姿はありませんでした。Guntherさんは2010年に愛する妻を失いながらも、旅を続けていたのです。
1人になってもまだ見ぬ地への探究心は尽きることなく、2011年には北朝鮮、2012年には日本にも足を延ばしています。
そしてこの夏、Guntherさんは振り返ってみれば途方もなく長く続いた旅を終え、ベルリンに戻ってきました。
Ottoは一度も壊れることなく、2人を世界のあらゆる場所へと運んできました。ちなみに、役目を終えたOttoは、今後シュトゥットガルトにあるメルセデス・ミュージアムで展示されるのだとか。これは是非観に行きたい。
まさに「人生は旅」。詩的な表現としてではなく、ほんとうに。
素晴らしい旅、そして人生だと、心からそう思います。Guntherさん、Christineさん、お疲れさまでした。
[Ottos Reise website]
Couple’s Extraordinary 550,000-Mile Road Trip Across 177 Countries Over 26 Years [MY MODERN MET]