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さんたく!!!朗読部『羊たちの標本』
ショートストーリーを
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第二話『僕の神様』
(作:古樹佳夜)
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神様は仰った。
『もうじきお前は死ぬだろう』
僕は驚かなかった。
生まれた時より、死を感じなかった日はない。
それでも、心を保ち日々を生きてこられたのは、
夢ノ淵院で最期の時を過ごしたからだった。 用意された三つの選択肢には、 自分の生を仲間の命で
贖えるというものもあった。 けれど『死』は僕自身に課せられた運命だ。
誰であろうと代わることはできない。
僕は『自死』を選んだ。 僕の選択に、神様は良いとも、
悪いとも告げなかった。 ただ、目には見えないその両手で、
しかと抱かれた感覚があった。
何故なのか……その腕もまた、
震えていた。 『ここで安らかに終わることも出来る』
僕は浅く頷く。
『けれどお前は、まだ悔いを残している』
神様は僕の全てを承知しているようだった。 言い当てられた途端に涙が溢れ出す。 神様は僕の言葉を待っている。
「僕はまだ紫郎に別れを告げていない。
無言で去れば、彼はまた独りになってしまう。
そんなのは嫌だ……」
『他人のために涙を流せるようになったのだな』
神様が耳元で囁いた。
聞き覚えのある甘く掠れた声だった。
確信はないけれど、
僕らの神はすぐそばに居たのかもしれない。
『いいだろう。今より数日の猶予を与える。
お前の運命を変える事は出来ぬが、
為すべき事をせよ』
「はい、神様」
『ゆっくりと、目を開けろ……』
気づくとそこは医務室だった。
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最終更新日:2024-09-14 09:50
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