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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.8
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 140ヶ月前
☆ 夕食後、来是はパソコンの前に座った。入学祝いに買ってもらった、最新型のウルトラブックだ。遊ぶ以外にどう使ったらいいか、いまいちわからなかったが、これで将棋の勉強や情報収集がいくらでもできそうだった。 ブラウザを起動し、キーボードを叩く。練習中のタッチタイピングで「神薙紗津姫」と検索欄...
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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.7
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 140ヶ月前
☆ 結局その後、五回も相手をさせられた。 成績は来是の全勝だった。ヒヤッとさせられることもなく、いずれも危なげない勝利で、最後になると依恋は泣きっぱなしだった。 なまじ敗北を知らない人生を送ってきただけに、負かされることへの耐性がないのだ。今まで知らなかった一面を見られたなあと思うと同時...
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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.6
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 140ヶ月前
■2 王将・玉将(王・玉)……全方向に一マス動ける。 飛車(飛)……縦と横に何マスでも動ける。 角行(角)……斜め方向に何マスでも動ける。 金将(金)……縦と横と斜め前に一マス動ける。 銀将(銀)……前と斜めに一マス動ける。 桂馬(桂)……縦二マスと左右一マス動ける。他の駒を飛び越えられる。 香車(香)……前に...
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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.5
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 141ヶ月前
☆ 将棋部見学を終えて、来是は帰宅の途についた。 正午前の陽気な春の天気。新学期にふさわしい、気持ちのいい空気。 一歩前を、依恋が静かに進んでいる。「……やっぱりあの人、あたしのライバルなのね。一年生で学園クイーンなんて、やるじゃない」「まあ、頑張れよ」 依恋の目標に、来是はさほど関心はな...
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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.4
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 141ヶ月前
☆ ――どうしてこうなった?「な、なんで? あんなにハンデあったのに?」 依恋の戸惑いの声に、ろくに返事する気も起きない。どうしてこうなったと何度も自問していた。 勝負はあっけなく終わっていた。ありとあらゆる駒で敵陣の突破を図ったが、ことごとく巧みな防御に阻まれた。 逆に歩と金と王しかない...
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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.3
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 141ヶ月前
「こんにちは」 彼女は立ち上がって、にこやかに会釈をする。両手は前に持ってきて、ホテルの従業員のような姿勢だ。自然にそうした行動が身についているんだろうと思わせた。「は、はい、こんにちは」「新入生ですね。入部希望者でしょうか?」「え、いや――」 ネクタイの色で判断したらしい。赤は一年で、青は二年、...
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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.2
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 141ヶ月前
☆ 私立彩文学園。 昭和初期創立という長い歴史を持ち、近隣では有名な私立高校だ。 日本文化の大切さをよく学ぶべしと、ヒゲの豊かな校長先生が、入学式の挨拶で繰り返し力説していた。我が国の彩り豊かな文化……これが学校名の由来だ。修学旅行は例外なく古都の訪問であり、その他特別なカリキュラムも多数...
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俺の棒銀と女王の穴熊【1】 Vol.1
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 141ヶ月前
■1「女王様に、あたしはなる!」 何度も聞いてきた台詞だった。これから三年間通ることになる私立彩文(あやふみ)学園の校門を前にして、碧山依恋(みどりやま・えれん)は爛々と瞳を燃え立たせ、果てなき遠くを見つめていた。通学路に植わる桜並木と舞い散る花びらが、少女をこの上なくフレッシュに彩っている。「こ...
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『俺の棒銀と女王の穴熊』はなぜ生まれたか
コメ0 【本格将棋ラノベ】俺の棒銀と女王の穴熊 141ヶ月前
「はじめに・料金体系について」で書いたとおり、本ブロマガの連載は都度課金制にしており、物語の途中までは無料で読めるようになっています。 で、課金して読める部分の掲載はまだ先のことになるのですが、チャンネルの開設にあたって有料記事が最低1本必要ということなので、本稿を書くことになった次第です。(本稿...