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いまなんつった? 第689回 宮藤官九郎「悪口言いながらお酒飲むと美味しいわよね」
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週刊文春デジタル 5日前
他人の悪口を言うのはもうやめよう。キッカケはリモート会議でした。 ストレスがたまっていたのか、少しお酒が入っていたせいか、その日は悪口が止まらなかった。確かヒット中の映画について。「あんなの、ぜんぜん面白くないよ!」「控え目に言ってクソだよね!」 Zoomだと声を発した人の顔が大映しになるので、自...
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いまなんつった? 第688回 宮藤官九郎「広告をスキップ」
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週刊文春デジタル 2週間前
YouTubeの広告ってAIがランダムに選んでいるんでしょうか。最近かなりの確率で自分が出てるシーバスリーガルのCMが流れるのです。「悲劇と喜劇、笑える歌詞とかっこいい曲、完璧なブレンド、シーバスリーガル」 恥ずかしい。 あの日「ブレンド」をテーマに1時間以上インタビュー受けて、使えるフレーズこれだけだっ...
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いまなんつった? 第687回 宮藤官九郎「監督の人柄もあってか」
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週刊文春デジタル 3週間前
以前この連載で「子役の男の子が、監督(僕)の顔を見るだけで泣いちゃう癖がついてしまい、撮影が大変だった」というエピソードを紹介しました。「よーい!」と叫ぶと条件反射で「わーん」と泣いちゃうのでNGになる。最終的に遠隔操作で助監督さんに撮ってもらうしかなかった。昨今の、監督によるパワハラが問題視さ...
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いまなんつった? 第686回 宮藤官九郎「聞こえてないテイでやります?」
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週刊文春デジタル 4週間前
配信ドラマが増えている。なのに地上波のドラマの本数は減らない。むしろ増えている。ネットニュース見てたらほぼ毎日、何かしらのドラマの制作が発表されてます。 全部はとても無理です。録画したまま数ヶ月放置したり、NHKのドラマをU-NEXTで観たり、ややこしい手段を駆使しても、せいぜい1本か2本。観ないドラマが...
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いまなんつった? 第685回 宮藤官九郎「あ~面白かった」
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週刊文春デジタル 1ヶ月前
ネットニュース見てたら、こんな見出しが目に飛び込んで来た。「吉田拓郎さんラストアルバム『ah-面白かった』を6月29日リリース」 アルバム出すんだ。でも、ラストなんだ。複雑な思いで読んだ。そりゃそうか。俺が生まれた年にデビューしたって事は歌手生活52年。その偉大なキャリアに終止符を打ち、有終の美を飾る...
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いまなんつった? 第684回 宮藤官九郎「ひとりすは?」
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週刊文春デジタル 1ヶ月前
2年ぶりに帰省しました。 母も米寿を迎え、2年という時の重みをリアルに感じる旅になるだろうと覚悟してましたが、思ったよりピンピンしてて拍子抜けしました。 88歳って毎朝6時半からラジオ体操するんだな。羽生結弦くんの写真集を穴があくほど見るんだな。蕎麦屋でコーラ注文するんだな。時々おかしなことも言うけ...
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いまなんつった? 第683回 宮藤官九郎「演技の相談」
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週刊文春デジタル 1ヶ月前
ここ数週に渡って文春の誌面に繰り返し登場したフレーズ。演技の相談。密室でセリフ合わせ。お酒を飲みながら演技指導。へ~。そんな特権を持つ監督がこの世にいるんだ。へ~。 自慢じゃないが30年間、演出を生業としているけど、女性の俳優から“演技の相談”を受けたこと、1回もありません。男性はありますよ。「宮...
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いまなんつった? 第682回 宮藤官九郎「笠智衆!」
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週刊文春デジタル 2ヶ月前
私ごとですが、芸能生活30周年を迎え、それをスルーしてしまいました。 迂闊だった。去年だった。自分も周囲も全く気づかず31周年に突入しちゃってた。もうベテランの域だ。いつまでも中堅ぶるのはやめよう。ネルシャツを腰に巻くのはやめよう。クレジットカードでスマートに会計を済まそう。 生まれたての赤ちゃん...
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いまなんつった? 第681回 宮藤官九郎「争点は……バストトップだね」
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週刊文春デジタル 2ヶ月前
あくまで1990年代半ば、Vシネマが量産されていた30年ほど前のお話という前提で読んで頂けたら幸いです。 初めてのベッドシーン。少なからず浮き足立っていました。相手役の女性も緊張からか今日は口数が少ない。都内のハウススタジオ。服を着た状態で簡単な段取り確認をする。童貞という設定なので、終始女性にリード...
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いまなんつった? 第680回 宮藤官九郎「わーん」
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週刊文春デジタル 2ヶ月前
「リスペクト講習をオンラインで受けて頂きます」 ある作品のクランクイン前にそう告げられました。 え? なんすかそれ。「ハラスメントに関するレクチャーです」 ますますなんすかそれ。確かに俺の脚本は「ブス」とか「死ね」とか「猫背のメス猿」とかハラスメントの詰め合わせですよ。「く」と入力したら予測変換...
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いまなんつった? 第679回 宮藤官九郎「い~なあ~~~!」
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週刊文春デジタル 2ヶ月前
大好きなラジオが終わってしまった。『伊集院光とらじおと』 4月以降も“夜の伊集院”こと『深夜の馬鹿力』は続くそうですが、俺は朝の伊集院が大好きだったんだなと、最終回を聴きながら痛感しました。もちろん深夜に悪態をついたり、自分の下ネタで奔放に笑い転げる夜の伊集院も好きだけど、その数時間後、何食わぬ顔...
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いまなんつった? 第678回 宮藤官九郎「叙々苑食ってるから!」
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週刊文春デジタル 2ヶ月前
そう遠くない国で戦争が起こってるのに、緊張感のない日々を送っている。 3月16日深夜。差入れの叙々苑弁当を劇場から持ち帰り、TVのチャンネルをニュースに合わせ、缶ビールを冷蔵庫から取り出しプシュ、さあ食うぞ! とフタを開けたら家じゅうの電気が消えた。 て、停電?「じしんじしんじしん!」 娘がスマホを...
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いまなんつった? 第677回 宮藤官九郎「やるな、宮藤」
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週刊文春デジタル 3ヶ月前
ザ・スズナリは150人も入ればいっぱいになる劇場です。1981年開業。下北沢に数多ある小劇場の中で最も歴史が古く、下北沢が「演劇の街」と呼ばれる所以となった、言わば聖地。だからでしょうか、どんな大劇場よりも身が引き締まる思いです。『命、ギガ長スW』という二人芝居を、安藤玉恵さんと宮藤による「ギガ組」、...
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いまなんつった? 第676回 宮藤官九郎「中学を卒業して依頼だものな」
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週刊文春デジタル 3ヶ月前
分かりやすい脚本って何だろう。 一年中、何かしらの脚本を書いているのに答えが見つからない。今日も打ち合わせで8回「分かりやすく」と言われた。 パンクロックを咀嚼して育ったせいか、自分の中で「分かって欲しい」と「分かってたまるか」がせめぎ合っている。「分かりやすい」がエンタメなら「分かりづらい」は...
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いまなんつった? 第675回 宮藤官九郎「50年後笑われるよ」
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週刊文春デジタル 3ヶ月前
電車の中でビートルズの『Get Back』を毎日ちょっとずつ観てます。 いや~面白い。8時間あるって聞いて躊躇したけど観始めてすぐ「これを8時間も観れるなんて最高じゃん!」と悶絶しました。 1969年初頭、ビートルズはアルバム用の曲作りと3年ぶりのコンサートに向けてセッションを開始します。その模様を記録した映...
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いまなんつった? 第674回 宮藤官九郎「量が半分だそうです」
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週刊文春デジタル 3ヶ月前
ブースター接種しました。 1度目は打った日の夜に、3時間半の舞台を観劇したけど体調に異変なく、翌日も普通に芝居の稽古して、安心し切った夜中にいきなり発熱。39度超え。接種から33時間が経っていました。副反応、遅っ! その反省から2度目は翌々日の夕方まで完全オフにしてもらった。この時は長かった。24時間以...
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いまなんつった? 第673回 宮藤官九郎「味ですから」
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
パントマイムが苦手です。 稽古中の舞台『命、ギガ長スW』は、あえて小道具を使わず、あらゆる物を役者がパントマイムで表現します。スマホ、パソコン、ビデオカメラ、コップ酒、よっちゃんいか。実際は存在しない。全て指先で表現しなきゃいけない。 例えば「喫茶店に入り、席に座り、メニューを見て、コーヒーを注...
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いまなんつった? 第672回 宮藤官九郎「30分短くして下さい」
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
めちゃめちゃ評判いいし実際めちゃめちゃ面白いんだけど、毎回これを期待されると、ちょっとしんどいな、と戸惑っちゃう作品があります。現在上演中のコクーン歌舞伎『天日坊』がまさにそれ。 河竹黙阿弥先生が150年前に書いた演目を、演出家串田和美さんにご指名頂き脚色したのが10年前。今回はその再演です。「30分...
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いまなんつった? 第671回 宮藤官九郎「須万婦」
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
皆さんは疲れのバロメーターって、ありますか? 僕の場合「なるほど」と言う回数が増えます。ラジオで「なるほど、なるほどなるほど、なるほどなー」と言ってる回は、だいたい芝居の稽古後の2本録りの2本目で、そのあと打ち合わせが入ってる。脳が追いつかず、口が足踏みして言葉を待ってる状態です。調子が良ければ...
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いまなんつった? 第670回 宮藤官九郎「はぁい! 結構でぇす」
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
明日から、稽古が始まります。 純粋に一俳優として舞台に立つのは7年ぶり。ホームである大人計画、松尾スズキさん演出の作品となると10年ぶり。10年も実家に帰らなかった放蕩息子なんです。『命、ギガ長スW(ダブル)』 二人芝居。ダブルキャスト。安藤玉恵さんと僕のペアが「ギガ組」。「長ス組」はともさかりえさ...
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いまなんつった? 第669回 宮藤官九郎「もう一回いいですか?」
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
アップデートできない自分が嫌になります。 例えば、リモート会議が普及してそろそろ2年経ちますが、いまだ対面に比べて4割程度の実力しか発揮できない自分。面白いアイデアを、満を持して出した時に限って、回線トラブルで音声が途切れたり画面がカクカクしたりする。「宮藤さん、すいません、もう一回いいですか?...
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いまなんつった? 第668回 宮藤官九郎「こうもん見えても」
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
今年こそはナイツさんの「こうもん見えても」を超える秀逸な“言いまちがい”を生み出したい。毎年、新年の抱負に掲げていますが、なかなか達成されません。 去年の言いまちがいネタと言えば、ドラマ『俺の家の話』の4話。「K-POPばっか見てるからよ、ヨックモックで……よっくもっく?……TikTokよ! わざとに決まってん...
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いまなんつった? 第667回 宮藤官九郎「今年は戦ってない」
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
2021年の紅白歌合戦。例年通り断片的にしか見られませんでしたが、リビングを通り抜けるついでに、ソファで観てる娘に「どっちが勝ちそう?」と声をかけると、首を傾げ、「今年は戦ってない」 ん? どういうこと?「なんか、みんなで、どっちも応援してる」「それって……まさにレインボー歌合戦じゃん!」 昨年の夏...
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いまなんつった? 第666回 宮藤官九郎「ぼちぼち引退でやんす」
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
新年あけましておめでとうでやんす。 2022年。自分にとって、すごく思い入れのある年。というのも、9年前に書いたロックオペラ『高校中パニック! 小激突!!』の舞台設定が2022年の渋谷だったから。気鋭の脚本家が2013年から見た、未来の渋谷は果たしてどうだったのか。答え合わせしてみましょう。 2022年。渋谷セン...
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いまなんつった? 第665回 宮藤官九郎「男と女!」
コメ0
週刊文春デジタル 6ヶ月前
今年も、いまなんつった語大賞の季節がやって来ました。と、書くと恒例行事みたいですが、今年から始めます。だってなんか、新語大賞(チルい)も流行語大賞(リアル二刀流/ショータイム)も使うタイミング分かんないし、俺だって毎週1ワードずつ、年間約50ワード挙げてるんだから『ぼったくり男爵』ぐらいのパワーワ...
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いまなんつった? 第664回 宮藤官九郎「それでもやんなきゃ」
コメ0
週刊文春デジタル 6ヶ月前
2022年1月3日、ニューロティカが日本武道館公演を敢行すると知った時、自分の事のように嬉しくてワクワクしたけど、それ以上に心配だった。何しろ発表したのが今年の正月。早すぎた。1年もある。「ニューロティカの武道館、行けなかったわ~」という声すら聞こえて来ますが、まだやってません。1月3日。間に合います。...
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いまなんつった? 第663回 宮藤官九郎「結局、味だけじゃん」
コメ0
週刊文春デジタル 6ヶ月前
庭に狸が来るんです。 朝ごはん食べながら窓の方を見たら目が合った。信じられない。だって東京ですよ。23区外だけど、住みたい街ランキング上位常連ですよ、ここ。「おしりかわいい~」 娘はスマホで撮影しながら悶絶している。確かにお尻まん丸で可愛い。けど、悶絶してていいのか?「飼いたい~」 いや、ダメだ...
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いまなんつった? 第662回 宮藤官九郎「おちんちん問題」
コメ0
週刊文春デジタル 6ヶ月前
銭湯やサウナで知り合いに偶然会った時、皆さんどうしてます?「あ、どうも」「どうも、え? お住まいこのへんなんですか?」「そうなんですよ」「ここ、いいですよね」 なんて当たり障りのない会話をしながら、頭の中は「おちんちんどうしよう」でいっぱい。隠すか、隠さないか。
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いまなんつった? 第661回 宮藤官九郎「米持って走れ!!」
コメ0
週刊文春デジタル 7ヶ月前
その店は渋谷に2店舗をかまえる老舗の中華屋。安くて美味くて回転が速い。コロナ自粛解除後の週末だからか、夕方の割には混雑した店内に怒号が飛び交っていました。「飯が無いんだよ!」 巨大な炊飯器が空っぽになった事を日本語で訴える厨房のじいさん。「ラッシャイマ~セ~」 ホールスタッフはみんな中国人。じじ...
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いまなんつった? 第660回 宮藤官九郎「レジ袋ウエストゲートパーク」
コメ0
週刊文春デジタル 7ヶ月前
枕元のスマホのメモ機能に残ってました。 なんだろう。 お酒飲み始めたらパソコンは閉じるようにしてる。飲んだら仕事しない。ただ酔っ払った頭で閃いた展開案やセリフや歌詞の断片は念のためケータイのメモ機能に書き残す。「パンツ車に脱ぎっ放し」「お台場のガンダムと乳首相撲」「チャクラバルディ」 朝読んで...
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いまなんつった? 第659回 宮藤官九郎「どぶどぶ」
コメ0
週刊文春デジタル 7ヶ月前
ラジオの番組をド頭から聴くことは滅多にない。机に向かい、ラジオ点けてパソコン開く。あるいは車を運転しながらザッピング。知らない誰かの話を途中から聞くことになる。「私もドブドブに浸かるつもりはないんです」 誰? なんの話? ドブドブ? TBSだから『伊集院光とらじおと』のゲストコーナーだと、そこまで...
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いまなんつった? 第658回 宮藤官九郎「切腹もんですよね」
コメ0
週刊文春デジタル 7ヶ月前
選挙、行きました? お? どうした。連載13年で政治に触れたことなんか一度も無かったくせに。その通り。そして今回も触れるつもりないです。 ここ2年ほどの間に政治に関するドキュメンタリー映画を多く観ました。『i─新聞記者ドキュメント─』『選挙』『選挙2』『なぜ君は総理大臣になれないのか』『映画「立候補」...
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いまなんつった? 第657回 宮藤官九郎「あー悔しい!」
コメ0
週刊文春デジタル 8ヶ月前
アマゾンAudible(オーディブル)で限定配信中の『大渋滞』を聴いて欲しいんです。女優で主婦の伊勢志摩さんと映画について語ってます。 ツイッターやブログで誰でも評論家に成り得る時代、映画評に必要なものって何だろう。豊富な知識や冷静な分析力も大事だけど、最終的には熱量に尽きると思うのです。良く分かんな...
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いまなんつった? 第656回 宮藤官九郎「主人公の成長」
コメ0
週刊文春デジタル 8ヶ月前
打ち合わせの席で頻繁に飛び交う言葉。「主人公の成長」 最初は「ぶっ飛んだヤツやりましょう!」なんて鼻息荒く集まるのですが、脚本家がシナリオを書き、それを監督が読み、プロデューサーが読み、さらに偉い、エグゼクティブな大人たちが読み、意見交換して改訂を繰り返す。クオリティが上がる一方で「これって、...