チャンネル 動画 記事 (6) 投稿が新しい順 コメント数の多い順 投稿が古い順 コメント数の少ない順 キーワード タグ 【第154回 芥川賞 候補作】『異類婚姻譚』本谷 有希子 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。 誰に言われたのでもない。偶然、パソコンに溜まった写真を整理していて、ふと、そう思ったのである。まだ結婚していなかった五年前と、ここ最近の写真を見比べて、なんとなくそう感じただけで、どこがどういうふうにと説明できるほどでもない。... 【第154回 芥川賞 候補作】『異類婚姻譚』本谷 有希子 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。 誰に言われたのでもない。偶然、パソコンに溜まった写真を整理していて、ふと、そう思ったのである。まだ結婚していなかった五年前と、ここ最近の写真を見比べて、なんとなくそう感じただけで、どこがどういうふうにと説明できるほどでもない。... 【第154回 芥川賞 候補作】『ホモサピエンスの瞬間』松波 太郎 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1 セントラルヒーティングともたとえられる身体のほぼ中央に位置している心臓には、血液を送り出す心室と、血液を迎え入れる心房が、左右に一部屋ずつあります。正面に向かって、この内の左側の心室からはじまった文字通りの大きな動脈・大動脈は、大きく半円を描いて下に向かい、呼吸、消化、泌尿、生殖といった器官... 【第154回 芥川賞 候補作】『ホモサピエンスの瞬間』松波 太郎 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1 セントラルヒーティングともたとえられる身体のほぼ中央に位置している心臓には、血液を送り出す心室と、血液を迎え入れる心房が、左右に一部屋ずつあります。正面に向かって、この内の左側の心室からはじまった文字通りの大きな動脈・大動脈は、大きく半円を描いて下に向かい、呼吸、消化、泌尿、生殖といった器官... 【第154回 芥川賞 候補作】『死んでいない者』滝口 悠生 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1 押し寄せてきては引き、また押し寄せてくるそれぞれの悲しみも、一日繰り返されていくうち、どれも徐々に小さく、静まっていき、斎場で通夜の準備が進む頃には、その人を故人と呼び、また他人からその人が故人と呼ばれることに、誰も彼も慣れていた。 人は誰でも死ぬのだから自分もいつかは死ぬし、次の葬式はあの... 【第154回 芥川賞 候補作】『死んでいない者』滝口 悠生 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1 押し寄せてきては引き、また押し寄せてくるそれぞれの悲しみも、一日繰り返されていくうち、どれも徐々に小さく、静まっていき、斎場で通夜の準備が進む頃には、その人を故人と呼び、また他人からその人が故人と呼ばれることに、誰も彼も慣れていた。 人は誰でも死ぬのだから自分もいつかは死ぬし、次の葬式はあの... 【第154回 芥川賞 候補作】『シェア』加藤 秀行 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1「ふさわしいか、ふさわしくないか。それこそが、」 元ダンナからメールが届いていて、それ以上読まなくても重い中身と分かる。 飛行機のタラップをまたぐと同時に、カーソルもメールタイトルを素早く「またぐ」。一瞬以上カーソルが乗っかっていると既読判定されちゃうから。 平常心、平常心。 もう若くもないの... 【第154回 芥川賞 候補作】『シェア』加藤 秀行 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1「ふさわしいか、ふさわしくないか。それこそが、」 元ダンナからメールが届いていて、それ以上読まなくても重い中身と分かる。 飛行機のタラップをまたぐと同時に、カーソルもメールタイトルを素早く「またぐ」。一瞬以上カーソルが乗っかっていると既読判定されちゃうから。 平常心、平常心。 もう若くもないの... 【第154回 芥川賞 候補作】『異郷の友人』上田 岳弘 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 吾輩は人間である。人間に関することで、吾輩に無縁であるものは何もないと考えている。名前はまだない。といった状況が三日続いた後に、甲哉という名前がつけられて、吾輩を生み出したつがいの男性側が先祖代々受け継ぐ苗字が山上であったため、吾輩は山上甲哉とあいなった。ぎゃあぎゃあと泣くばかりであった吾輩を... 【第154回 芥川賞 候補作】『異郷の友人』上田 岳弘 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 吾輩は人間である。人間に関することで、吾輩に無縁であるものは何もないと考えている。名前はまだない。といった状況が三日続いた後に、甲哉という名前がつけられて、吾輩を生み出したつがいの男性側が先祖代々受け継ぐ苗字が山上であったため、吾輩は山上甲哉とあいなった。ぎゃあぎゃあと泣くばかりであった吾輩を... 【第154回 芥川賞 候補作】『家へ』石田 千 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1 迎春 降りると、まったく雪がない。正月四日、いっしょに降りたのは四、五人。ここから乗る人はいない。 改札をくぐると、海ぞいの温泉旅館の迎えがふたり、色あせ、しめったはっぴをストーブであぶっている。ロータリーには、そこのマイクロバスと、タクシーが二台とまっているだけだった。 湯沢のあた... 【第154回 芥川賞 候補作】『家へ』石田 千 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 107ヶ月前 1 迎春 降りると、まったく雪がない。正月四日、いっしょに降りたのは四、五人。ここから乗る人はいない。 改札をくぐると、海ぞいの温泉旅館の迎えがふたり、色あせ、しめったはっぴをストーブであぶっている。ロータリーには、そこのマイクロバスと、タクシーが二台とまっているだけだった。 湯沢のあた...