チャンネル 動画 記事 (6) 投稿が新しい順 コメント数の多い順 投稿が古い順 コメント数の少ない順 キーワード タグ 【第155回 直木賞 候補作】『天下人の茶』伊東潤 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 一五更の天も明石潟。〳〵。須磨の浦風立ちまよふ。雲より落る布引の、滝の流れもはるかなる。芦屋の、灘も打過ぎて。難波入江のみをはやみ。芥川にそ着きにけり。〳〵 主君信長の仇を討つために道を急ぐ、あの時の己の気持ちが乗り移ったかのように、地謡の声が高まる。 『明知討』も終盤に差し掛かった。 ―あの時の... 【第155回 直木賞 候補作】『天下人の茶』伊東潤 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 一五更の天も明石潟。〳〵。須磨の浦風立ちまよふ。雲より落る布引の、滝の流れもはるかなる。芦屋の、灘も打過ぎて。難波入江のみをはやみ。芥川にそ着きにけり。〳〵 主君信長の仇を討つために道を急ぐ、あの時の己の気持ちが乗り移ったかのように、地謡の声が高まる。 『明知討』も終盤に差し掛かった。 ―あの時の... 【第155回 直木賞 候補作】『海の見える理髪店』荻原浩 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 ここに店を移して十五年になります。 なぜこんなところに、とみなさんおっしゃいますが、私は気に入っておりまして。一人で切りもりできて、お客さまをお待たせしない店が理想でしたのでね。なによりほら、この鏡です。初めての方はたいてい喜んでくださいます。鏡を置く場所も大きさも、そりゃあもう、工夫しました... 【第155回 直木賞 候補作】『海の見える理髪店』荻原浩 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 ここに店を移して十五年になります。 なぜこんなところに、とみなさんおっしゃいますが、私は気に入っておりまして。一人で切りもりできて、お客さまをお待たせしない店が理想でしたのでね。なによりほら、この鏡です。初めての方はたいてい喜んでくださいます。鏡を置く場所も大きさも、そりゃあもう、工夫しました... 【第155回 直木賞 候補作】『家康、江戸を建てる』門井慶喜 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 天正十八年(一五九〇)夏、豊臣秀吉は、相州石垣山の山頂にのぼり、放尿をはじめた。 眼下に小田原城をながめつつ、秀吉自身を除けば日本一の大名である徳川家康へ、「ご覧なされ」 上きげんで告げた。「あの城は、まもなく落ちる。戦国の梟雄・伊勢新九郎(北条早雲)あらわれて以来五代一百年をかぞえる北条家が... 【第155回 直木賞 候補作】『家康、江戸を建てる』門井慶喜 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 天正十八年(一五九〇)夏、豊臣秀吉は、相州石垣山の山頂にのぼり、放尿をはじめた。 眼下に小田原城をながめつつ、秀吉自身を除けば日本一の大名である徳川家康へ、「ご覧なされ」 上きげんで告げた。「あの城は、まもなく落ちる。戦国の梟雄・伊勢新九郎(北条早雲)あらわれて以来五代一百年をかぞえる北条家が... 【第155回 直木賞 候補作】『暗幕のゲルニカ』原田マハ コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 暗幕のゲルニカ芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ。――パブロ・ピカソ 目の前に、モノクロームの巨大な画面が、凍てついた海のように広がっている。 泣き叫ぶ女、死んだ子供、いななく馬、振り向く牡牛、力尽きて倒れる兵士。 それは、禍々しい力に満ちた、絶望の画面。 瑤子は、ひと目見ただけ... 【第155回 直木賞 候補作】『暗幕のゲルニカ』原田マハ コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 暗幕のゲルニカ芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ。――パブロ・ピカソ 目の前に、モノクロームの巨大な画面が、凍てついた海のように広がっている。 泣き叫ぶ女、死んだ子供、いななく馬、振り向く牡牛、力尽きて倒れる兵士。 それは、禍々しい力に満ちた、絶望の画面。 瑤子は、ひと目見ただけ... 【第155回 直木賞 候補作】『ポイズンドーター・ホーリーマザー』湊かなえ コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 マイディアレスト 有紗のことを、ですか? 解りました。 有紗は六歳下の妹です。仲の良い姉妹だったかと問われると、どう返していいのかよく解りません。もう少し歳が近ければ、一緒に遊んだり、逆に、ケンカをしたりしていたのでしょうが、六歳差では、学校が重なることもなく、母も専業主婦ですから、面倒をみろと... 【第155回 直木賞 候補作】『ポイズンドーター・ホーリーマザー』湊かなえ コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 マイディアレスト 有紗のことを、ですか? 解りました。 有紗は六歳下の妹です。仲の良い姉妹だったかと問われると、どう返していいのかよく解りません。もう少し歳が近ければ、一緒に遊んだり、逆に、ケンカをしたりしていたのでしょうが、六歳差では、学校が重なることもなく、母も専業主婦ですから、面倒をみろと... 【第155回 直木賞 候補作】『真実の10メートル手前』米澤穂信 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 1 いつになく早い雪が日本の東半分をまだらに覆った朝が明けて、わたしは名古屋駅にいた。 八時の「しなの」で塩尻に向かうことにしていた。いくつかの路線でダイヤが乱れているけれど、予定の電車は定刻通りに出るそうだ。 駅のホームで人と合流する手はずだったが、車輛がホームに入ってきてもまだ現れない... 【第155回 直木賞 候補作】『真実の10メートル手前』米澤穂信 コメ0 芥川賞・直木賞発表を楽しもう 101ヶ月前 1 いつになく早い雪が日本の東半分をまだらに覆った朝が明けて、わたしは名古屋駅にいた。 八時の「しなの」で塩尻に向かうことにしていた。いくつかの路線でダイヤが乱れているけれど、予定の電車は定刻通りに出るそうだ。 駅のホームで人と合流する手はずだったが、車輛がホームに入ってきてもまだ現れない...