2024 SPRING 特別編 -のだ・わかれみちが出来るまで- 2024年3月28日発行 発行者 ドロイド

【1】はじめに

 こんにちは、ドロイドです。3か月に1回、動画師・絵師
皆さんをご紹介しているCanvasですが、今回は特別編をお届けします。今年2024年初頭に実施されたボカコレ2024冬にて投稿された「わかれみち」。TOP100ランキング総合6位に入り話題となりました。楽曲制作者は以前Timesのインタビュー企画にもご参加頂いた大漠波新さん。

 そんな多くの方々からの反響があった楽曲制作の裏には、曲の世界観を引き立て、楽曲を彩るPVという存在があります。今回のCanvasでは特別編と題し、そんな楽曲が出来上がるまでの裏話を動画師・絵師・ボカロPそれぞれの制作過程での裏話をPV内でのワンシーンを使って語る特別企画をお届けします。

 今回の企画に対し、大漠波新さん・Oda Koganeさん・yuiruさんにご協力いただき記事化を行っております。本当にありがとうございます。

【2】Road to Music -楽曲が生まれるまでの軌跡-
-1- 今回取り上げる楽曲紹介 「のだ」「わかれみち」

 では、まずは本編に入る前に、今回ご紹介する2曲について、改めてご紹介をさせて下さい。

のだ / ずんだもん・初音ミク・重音テト(#sm42983761)2023年11月6日投稿

MUSIC:大漠波新 https://x.com/Daibakuhasin
ILLUSTRATION:Oda Kogane https://x.com/oda_koden
MOVIE:yuiru https://x.com/_iilliillj
GUITAR:フユウ https://x.com/fuyuuu_xxx
VOCAL EDIT:大漠波新、セブヶ崎詠人 https://x.com/SevgasakiEight
MASTER:logico https://x.com/logicodayo
SPECIAL THANKS:mihako https://x.com/mihako_n4

 2023年11月2日に無色透名祭Ⅱ参加作品として投稿。その後、本人投稿として本曲が投稿されました。楽曲は2024年3月現在、120万再生以上突破し、伝説入りを果たしました。

 また、当楽曲はニコニコ超会議2024発表特番オープニング動画の曲に採用され、こちらも話題となりました。

【ニコニコ超会議2024 発表特番オープニングムービー】



わかれみち / ゲキヤクβ・カゼヒキβ・初音ミク・重音テト(#sm43425346)2024年2月23日投稿

MUSIC:大漠波新 https://x.com/Daibakuhasin
ILLUSTRATION:Oda Kogane https://x.com/oda_koden
MOVIE:yuiru https://x.com/_iilliillj
GUITAR:フユウ https://x.com/fuyuuu_xxx
UTAU EDIT:
  yasai31(重音テト) https://x.com/yasai31_
  szri(ゲキヤク) https://x.com/szri__
  Kyiku(カゼヒキ) https://x.com/ky1ku_
MASTER:logico https://x.com/logicodayo
SPECIAL THANKS:mihako https://x.com/mihako_n4

 2024年2月23日にボカコレ2024冬TOP100ランキング参加作品として投稿され、投稿後愛あるコメントが動画に書き込みされ、2024年3月現在、33万再生以上、コメント数は50000以上寄せられています。

 以上の2曲の制作秘話をもとに、楽曲が出来上がるまでの軌跡をたどっていこうと思います。

-2- クリエイター紹介

 今回の作品が出来上がるまでに欠かせない3名のクリエイターをご紹介

大漠波新さん【ボカロP】https://x.com/Daibakuhasin
Oda Koganeさん【絵師】https://x.com/oda_koden
yuiruさん【動画師】https://x.com/_iilliillj
-3- 「のだ」
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大漠波新
ずんだもんはこの時初めて自分の作品で歌ってもらうのに加え、構成上一番に登場させる必要があったのでずんだもんにスポットが当たるようになるべく歌詞を聴かせるサウンドに仕上げました。

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ミクテトパートに関しては一番のアレンジからだいぶ変化させてます。これは一番のリフレインによって退屈になってしまうことの懸念と既に過去作で登場してるというのが理由です。

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Oda Kogane
1番サビ前のずんだもんは表情とそれ以外(手の動きや髪)がチグハグに見えるように描きました。ここでの表情は全て仮面なので…

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2番Aメロのミクさん、テトさんは左右対称になるようなポーズにしました。また、のだの前に大漠波新さんと制作した「あいのうた」の髪の靡き方をオマージュしています。

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yuiru
リリックモーションは、細かい部分ですが言葉の意味やその時に鳴ってる音から受けた印象を、そのままモーションに落とし込んだり音とリンクするようこだわりました。

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大漠波新
ラストはとにかく盛り上がるサウンドにしました。具体的な案としては他のサビよりも少し音を足してます。
歌詞はサウンドの壮大さと反してシンプルに、あまり遠回しの表現にならないようストレートに書きました。
それがこの楽曲の持つ最大のテーマです。

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Oda Kogane
ラストのイラストを描いている時、歌詞の中に出てくる"ありのまま"ってなんだろうなあとずっと考えていました。この言葉の解釈って中々難しいですよね。
悩んだ末に、少なくともこの楽曲内の3人が着たい(と思うであろう)ドレスの形をこれから何色になることのできる白色で着てもらいました。

yuiru
全体的なデザインや構成のリファレンスは、エレクトリパレード、ジョーカー、トランプ、自動生成、仕掛け絵本あたりに近しい印象を受けたので、そこからインスピレーションを受け、組み立てていきました。「sh http://Run.sh」や「set ModelDir= 」の生成コードは大漠さんからご提案頂き教えてもらいました。

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-4- 「わかれみち」

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大漠波新

わかれみちはVOCALOID βの子達に向けて書いた曲です。この曲は自分にとってもβ達にとってもタイトルの通り大きな分岐点になる作品でした。

構成上ゲキヤクβとカゼヒキβに歌ってもらいましたが、他にもメインで歌ってもらう子達の候補はありました。最終的な決め手となったのは自分がボカロ曲を聴いてきた歴史の中で最も馴染みがあったのがこの二人だったことが大きいです。

特に二人の2サビパートは本来存在しなかったパートなのですが、曲が出来て1ヶ月ぐらい経った辺りで急遽追加したパートです。
結果的にこのパートはかなり納得いってます。

Oda Kogane
「わかれみち」はボカコレ冬の曲だったことや、全体的な音色の印象などから冷たそうな色を使いました。
MV全体の構成については大漠波新さんとyuiruさんと相談しながら絵コンテを描いて、イラストを制作する形で進めていきました。

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2番のサビはこの2人が研究所の冷たい地面に座っているイメージで描きました。
元々のデザインを活かしたかったので、全体的な頭身や絵柄はくるくる数字さんのイラストをかなりリスペクトしています。

yuiru
絵コンテをOda先生が手掛けて頂き、人物イラストに合わせて背景やデザインを構築していくフローで制作していきました。
MVで映っているサビやラスサビなどの背景は、楽曲のメッセージ性からの印象で、蜘蛛の巣に囚われてるような滞っている感じだったり、でも逆に色んな道へと繋がっているような可能性の意味合い、どちらも演出したいと思い選びました。

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大漠波新
ラスサビは今まで史上最も足し算をしたパートです。
ここに全てをかけるという考え方は破滅的な要素もあってそこまで好きじゃないんですけど、このラスサビにおいては結果的にそうなってしまったかもしれません。それはこの曲が文脈的に100%整合性が取れるタイミングが出した瞬間のみだったことがとても大きいです。
あの瞬間でしか出来なかった事を実現できて良かったと常々思います。
別れというのは切ないですが、それが作品となった今それは美しいものでもあります。

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Oda Kogane
カゼヒキ君だけ構図の関係でどうしても逆手で手を握ってもらうことになってしまうため、「おてて握りづらいよねごめんね…」と謝りながら描いていました。
別れは始まりの要素も含むと思ったので、色味は真冬の早朝のイメージで仕上げています。

このシリーズ全てに言えることなのですが、大漠波新さんが「TOKYO CITY」辺りからMVで使っていた鮮やかなピンクを合成音声たちの目の中に入れ込んでいます。

yuiru
打ち合わせの時に、研究所、扉、薬、実験などのキーワードが出てきていたので、暗く重々しいけど、かっこいい空気感だったり、大漠さんの音楽やOdaさんのイラストは華やかさが欠かせないと思っているので派手にキラキラさせたりと、一曲全体を通して全要素の空気感がいい感じにバランスを取れるように意識しました。

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【3】最後に

 特別号となったCanvas。いかがだったでしょうか。こ皆様の感想は是非#ボカロタイムズで教えていただけると幸いです。今回、こんな企画どうですかねというお話に対し、やりましょーといって頂けた皆様には感謝感謝しかありません。大変お忙しい所ご協力いただき、本当にありがとうございました。こうして記事として公開できて本当によかったです。今回の企画の次があるかどうかは、皆様の反応や反響をみながら、もしあれば次もできればと思っておりますので、引き続きTimesを始め、投稿者の皆様の応援をよろしくお願い致します。

 また次回更新号(2024年7月予定)でお逢いしましょう(`・ω・´)ゞ

エディター(執筆者&構成&発行等) サポーターNO.118 ドロイド
SPECIAL THANKS ボカロP:大漠波新
絵師:Oda Kogane
動画師:yuiru