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天才イチローを超えた鈴木一朗
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天才イチローを超えた鈴木一朗

2014-05-24 22:26
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天才イチローを超えた鈴木一朗

 

 

日本時代の7年連続首位打者、メジャーリーグでの史上初の10年連続200本安打、1シーズン歴代最多262安打など日米で歴史を塗り替える偉業を成しているのが1973年生まれのイチローだ。

 

走攻守に加え、メジャーリーグにおいて21世紀以降の最多試合出場選手であるなど、体調管理も含めた総合力で次元の違う活躍をしている。180センチ、77キログラムといったメジャーリーガーの中で一番小さい部類に入る体格のハンデをもろともしない点も脅威的だ。

 

 イチローには、2軍に落とすと言われながらも振り子打法をやめなかった、他の選手より2時間前に球場入りし準備する、毎日同じ時間に同じ行動をするルーティーンの徹底など、独自のエピソードは有名なところだ。

 数々の逸話の中で、最も感銘を受けたのが次の一文だ。

 

「イチローは言っていた。

 

メジャー1年目に打った242本というヒットの数は、お互いのことを知らない1年目だから出せた数字であって、逆に言えば1年目こそが最大のチャンスだったと」

 

(イチロー・インタビュー 石田雄太著 文春新書)

 

イチローはまだ日本人野手プレーヤーが誰も経験していない大リーグの舞台で、自分が通用するかどうか不安に思うどころか、一年目が一番成績を残すだろうと考えていたのだ。

 イチローのマリナーズ入りが決まったとき、日本の評論家の多くは、                  

 

「パワー・ベースボールのメジャーでは通用しない」

「あの打ち方ではダメ。イチローは勘違いしている」

「あの華奢な体では、半年のあいだに162試合も戦う超過密日程を乗り切れない」

様々な見地からイチローがメジャーリーグで通用しないだろうという見方をしていた。

 

 また、アメリカのスポーツ専門局の解説者の中には、

「スズキは7年連続日本で首位打者を獲ったそうだが、彼が今年首位打者を獲ったらタイムズスクエアを丸裸で走ってみせる。3割打ったらパンツ一丁で同じことをするよ」と言ったものもいたのだ。

 評論家の多くがイチローの活躍に懐疑的な中、本人は1年目が最高の成績を残す一番のチャンスと捉えていたのだ。

 

理由を推測すると、27歳のイチローは7年連続首位打者を獲得するなど、打撃技術が極限近くまで向上した状態でメジャーに挑戦した。極限まで技術を向上させているので、徐々に良くなることはあるが今後急激に進化するような伸びシロはない。相対する投手側は年々研究し対策することが可能だ。お互いのデータがなく、対策されにくい1年目に最高の成績をだせると考えたのではないだろうか。

 

評論家たちが通用しないだろうと言っているのを尻目に、イチロー自身は冷静に状況を分析していたのだ。

 

そして、イチローはメジャー1年目にとんでもない成績を叩きだした。

157試合、692打数(リーグ1位)242安打(リーグ1位)8本塁打、69打点、打率350(リーグ1位)56盗塁(リーグ1位)リーグMVP、新人王、首位打者、盗塁王、シルバースラッガー賞、ゴールドグラブ賞、オールスター選出などだ。

 

イチローが獲れる可能性のあるタイトルを全て1年目で獲得したと言っても過言ではないだろう。多くの評論家が通用しないと言った中で、天才イチローは最高の成績になると考え、実際に考え得る最高の成績を刻んだのだ。

 

しかし、そんな唯一無二の天才イチローをも超える存在がいたのだ。それは、30歳の鈴木一朗だ。27才のイチローは、メジャー1年目に最高の成績を残すと予想し、実際、考え得る最高級の成績を刻んだ。そんなイチローでも予想できなかったのが、30歳の鈴木一朗が成し遂げた、歴史を覆す快挙だ。

 

メジャーの歴史で84年間も破られることのなかった年間最多安打257本を超える、262安打を記録したのだ。

 歴史的な快挙を達成した2004年度の成績は以下の通りである。

161試合、704打数(リーグ1位)262安打(歴代1位)8本塁打、60打点、打率372(リーグ1位)36盗塁 首位打者、ゴールドグラブ賞、オールスター選出だ。

 

イチローが残した1年目の成績を打数、安打数、打率で超えているのだ。27歳のイチローの予想した1年目が最高成績になるという天才の思考を30歳の鈴木一朗が超えたのだ。

 野球界で唯一無二と言ってよい天才の思考をうわまわる記録を刻んだ30歳の鈴木一朗という存在をつくりあげた軌跡、これこそがイチローの偉業ではないだろうか。

 

記録という数字ではなく、天才の思考をも超えるイチローの軌跡にこそ、本当の価値があるのだ。

 

それでは、天才の思考を超えた記録を残した30歳のイチローに何が起こったのだろうか。

 実は、30歳のイチローが歴史を塗り替える262安打を記録した2004年にははっきりとしたターニングポイントがあるのだ。

 6月までの成績は333打数105安打、打率315、7月以降、371打数157安打、打率423と7月以降に打率が急上昇している。ターニングポイントについて、イチローは非常に詳しく言及している。

 

最初はスタンスだった。

7月1日、シアトルでのレンジャース戦。試合前のバッティング練習でバットを握ったとき、イチローの体が、突然、ある試みを要求してきた。

 

「球場に着いて、バットを握って、ケージの近くにいった時、ふと、右足を少し引いた状態で構えてみよう思いました。そうしたら懐が広がって、ピッチャーとバッター、ボールの三角形を今までよりも立体的に見ることができた。新鮮な感覚でしたね。そこで、右足を引いた状態のまま、今までのように背筋を伸ばそうとすると、スタンスが狭くなる。最初はそこだったんです。僕はボールを線で捉えるバッターなので、その線にいかに早く入れるかどうかということが大事になってきます。頭ではその線に入っているはずなのに、体とバットがその線にキッチリと入ってこられない。それがミスの原因になっていた。それが、その三角形を立体的に見ることで、線に早く入ることができる感覚を得たんです」

(イチロー・インタビュー 石田雄太著 文春新書)

 

右足を少し引き、背筋を伸ばすことでスタンスがせまくなる。そうすることで、ピッチャーとバッター、ボールの三角形をより立体的に見ることができたのだ。

 いたってシンプルな修正だが、イチローの言葉からするとこれが歴史を覆す安打数を生んだのは間違いない。修正したフォームは最終的には子どもの頃に戻ったとも言っている。

 

「おもしろいのは、今の自分のフォームを見たら、子どもの頃に戻ってるんですよ。小学生の時のフォームに戻っている。感覚もそれに近いんです。どの球もヒットにできる。子どもの頃はストレートしか投げてこなかったし、そういう感覚も当然だったかもしれませんけど、プロに入ってからはどの球もヒットにできるなんて感覚にはなかなかなれませんよね。

 

なぜそうなったかというのは、想像でしかないんですけど、子どもの時って、純粋に自分の体を使っているんです。余計なものはなにもない。自分が一番気持ちいい形でバットを振っている。それが大人になるにつれて、純粋じゃなくなってくる。それによっていろんな思考も生まれてきてしまうんでしょう。力がある人はバットを立てなくてはいけないとか、立てても大丈夫だとか、そういう発想になるんですよ。でも、バットを立てる、そういう固定概念を排除しないといけないんじゃないか、と・・・・・」

(イチロー・インタビュー 石田雄太著 文春新書)

 

30歳のイチローがなぜ、7月1日に天才の思考を超えるためのターニングポイントを迎えることができたのであろうか。当然、偶然や思いつきでは説明がつかないだろう。

 

それは、長年に渡り、野球のことを考え続け、人生の全てを賭けて自分の信じる道を歩んできたからではないだろうか。言葉で書くと、簡素に思えるが、徹底して行うのは尋常ではない精神力が必要だ。

 

まず、イチローは野球に打ち込むための環境づくりは他者を圧倒している。数千万円する特殊なトレーニング機材を自宅、日本の実家、自主練に仕様する神戸の球場に設置するなど、野球をする環境に投資はおしまない。また、球場には他の選手より2時間前に入り、入念に ストレッチやマッサージを行う。それだけでなく、打席に入る前にも上体の捻転や腰入れをしっかりやってわき腹の筋肉や股関節を傷めないように注意し、試合後も自分でグラブやスパイクを磨いて、用具を最良の状態に保つことに気を配っている。バットはジュラルミンのケースに入れて保管し、キャリングケースには乾燥剤を入れて持ち運んでいる。

 

それ以外にも、レストランで注文を取りに来る前に出される水は飲まない。しっかりしたシェフがいないと判断した店では生ものは口にしない。乾燥した気候でアルコールを飲むと汗のかき方が変わってくると、メジャー生活に慣れるまでの数年間は、公式戦中はほとんどアルコールを採ろうとしなかったなど、食生活にも細心の注意を払っていた。

 

また、打席でのひとつひとつの動作のリズムを重要と捉え、毎回、同じ動作でバッターボックスに入ることは有名だが、実生活でのリズムにまでこだわっているのだ。遠征先では、チェーン店の同じピザしか頼まない、すぐに寝られるように自前の枕を常備する、トレーニングの予定時間は変更しないなどだ。

 

シーズン中に一度、ブッシュ大統領からホワイトハウスへ招待を受けたのだが、イチローは丁重に断りを入れているのだ。普通であれば、アメリカ大統領との会食という希少な機会なのだから、少し予定を変更し参加するべきだと考えるだろう。しかし、イチローは大統領の会食よりも野球に打ち込むためのリズム、環境づくりを優先したのだ。

 

このエピソードだけでもイチローの野球に対する想いが尋常ではないことが覗えるだろう。野球を愛するが故に、高みを目指し人生をかけて野球に向き合っているのだ。だからこそ、高い目標を掲げ続けるイチローが受けているプレッシャーは想像をはるかに超えるのだ。

 

「200本を打つ直前、180本から190本目を打つあたりが一番、苦しかったですね。体が自由に動かないんですよ。プレッシャーで動きがおかしくなって、結果が出なくなる。だって、ご飯を食べていても呼吸の仕方がわからなくなってくるんですから。呼吸のリズムが合わなくなって苦しくなる・・・・・・それくらい追い込まれてしまうんですよ」

 

呼吸の仕方がわからなくなるほどのプレッシャーをうけたことのある人間がどれ程いるのだろうか。その様な想像を超えるプレッシャーを乗り越え、人類未踏の記録を残したのがイチローとシーズン公式通産本塁打868本の金字塔を打ち立てた王貞治だ。イチローは王貞治についてこう語っている。

 

「人と争わなくて済むなんて、最高じゃないですか。それって超えた人だけの特権ですから。王監督だって、どう考えても厳しい人なんだから、そんなことに影響されるわけがないんです。よく、刺激がないんじゃないかとか、寂しいんじゃないかとか訊かれますけど、そんなこと、まったくない(笑)。刺激なんて、自分の中から出てくるんですよ。だって、野球が大好きなんですから。ここは間違いなく、王監督と僕の相通じるところだと思います。大好きってみんな簡単に言うけど、そう見えない。楽しそうに見えないんです。

 

もちろん、グラウンドで笑っているから楽しいということではないし、プレッシャーに苦しんでいるから楽しくないということでもない。いろんなことを犠牲にして、そこに至っているのは、自分を野球に捧げてきたからです。グラウンドの上でぶっ倒れてもいいと思える覚悟があるかどうか。実際、去年、胃潰瘍になったときも、僕は最初から行くつもりでした。あのときは立っているのもやっとの状態でしたけど、それでも最初から行きたかった。大好きだからこそ、その覚悟ができる。王監督にも僕にも、野球のために命を削る覚悟があるということです」

(イチロー・インタビュー 石田雄太著 文春新書)

 

イチローが野球に命を賭してきた人生、たどってきた時間が、2004年7月1日の天才の思考を超えるためのターニングポイントという奇跡を生んだのだ。

 

この様に命を削って取り組めば自身の予想をも凌駕する奇跡は必ず起こると断言できる。

なぜなら、ジャイアンツがV9を達成し、王監督が自身初の三冠王を確定させた1973年10月22日に、奇跡が生まれたからだ。

 


鈴木一朗誕生という奇跡が。

 

歴史的な偉業を成し遂げたイチローのことを雲の上の存在だと思うかもしれないが、それは誤解だ。只々、野球が上手くなりたいと自ら考え抜き、グラウンドを走り続けた野球少年の実像なのだから。

 





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