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  • 政治コラム 鈴木寛の政策のツボ

    2013-06-01 19:33

    初のネット選挙へ試行錯誤

    「先生はいつ離党するんですか?」
     他党からのお誘いでも政治記者の質問でもありません。この4月から始めたニコニコ生放送によるトーク番組へのすずかんファンの視聴者から、何度も寄せられるコメントです。テレビと違って本音がビシビシ伝わるネットの世界。辛辣なご意見も多いですが、丁々発止のやり取りが楽しめるのもネットならではの面白さです。


     この番組は、新宿タカシマヤ近くにこのほど開設したトレーラーハウスのネット中継スタジオからお送りしています。最近タカシマヤへお買い物された際、オレンジの目立つ外観の建物にお気付きになられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今夏の参院選から選挙戦でのネット利用が解禁されることを受け、新たな発信拠点として考案しました。


     番組のゲストは各界のオピニオンをお招きしています。朝日新聞政治部のエース記者だった早野透さん、都内で初めて民間出身の公立中学校長を務めた藤原和博さん、NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんらが来てくださり、駒崎さんの回には3000人を超える方々にアクセスいただきました。テレビと違い、時間や局の都合といった制約を気にせず、大胆なことも発信できるので、予想以上の手ごたえを感じています。


     一方で、ネット選挙というとバーチャルな印象がありますが、むしろリアルの対話に活用することも始めました。6月の都議選に向け、街頭でスタッフがiPadを使った「デジタル・アンケート」を始め、都政への注文やどんな問題に関心があるか有権者の皆さんにお尋ねしています。党への厳しいご意見もいただいていますが、集めた意見をデータ化して政策づくりに生かしていけると思います。


     さて最後に冒頭のご質問に対しての答えです。「すずかんは離党せず、しかしこれまでどおり“超党派のすずかん”としてがんばっていきます。そして初のネット選挙で有権者との熟議を深めます」。面白味のないオチで申し訳ありませんが、建前を嫌うネット視聴者の皆様に向けた私の本音です。      
    (元文部科学副大臣・参議院議員)

    TOKYO HEADLINE 5/27掲載
    http://www.tokyoheadline.com/vol592/column.12218.php

  • ネット選挙で政治も「O2O」の時代

    2013-05-02 17:38

    改正公職選挙法の成立で、選挙戦中のインターネット利用が夏の参院選から解禁されます。 

    慶応SFC助教授時代から約15年来の悲願を達成した感慨もありますが、ここからが本番です。まだ法改正で環境が整ったに過ぎません。党の広報委員長として、参院選3期目を目指す候補予定者として、どのようにネット解禁を生かすのか具体化していかねばなりません 

    ●リアル選挙と相乗効果

    ネット選挙法案が成立した直後の先日、議員会館の私の部屋を訪れたご年配の党OBが、ネット広報を担当する事務所スタッフに「選挙は有権者と顔を合わせるものだぞ」とクギを刺されていました。

    大先輩、全くのご指摘の通りです。ただ、僭越ながらちょっと誤解もあります。ネット選挙は一見すると、パソコンでバーチャルなやり取りをする印象がありますが、実は、従来の選挙戦で政治家と接点が無かった有権者の方々とのリアルなつながりを新たに作り出せるかが勝負だと思います。最近、商業施設でネット利用者を、リアルの店舗に呼び込む仕組みを「オンライン・トゥ・オフライン」(O2O)と言いますが、ネット選挙でも、政治家が有権者との「O2O」を築けるかが重要なのです。

     「O2O」で事例を一つ上げましょう。都市部の選挙区だとベッドタウンで選挙戦中の平日に街頭演説をした場合、街におられる有権者は在宅の主婦やご年配の方々が中心です。日中、都心部で仕事をされている方々に直接演説を聴いていただくには土日の昼間に限定されがちです。しかし演説の模様を候補者のホームページで動画で流せば、選挙戦終了後の午後8時以降に帰宅して、昼間に候補者が何を話したのかを見聞きできます。これまで選挙戦中のホームページ更新は禁止されていました。

    ネット選挙解禁により、時間的、物理的制約を解消し、候補者と有権者の接点が作れるのです。参院選は週末が3度ありますが、選挙戦が1週間しかない地方選の場合、この意義は小さくありません。

    ●政治家が発信拠点を持つ意義

    勿論、かしこまった演説の動画をわざわざアクセスする人は少ないでしょう。トークライブのように娯楽要素を加味すると若い方の関心を呼べるかもしれません。4月下旬、新宿ロフトワンプラスで、ネット選挙解禁の意義を考えるライブに他党の論客と参加しました。

    客席はパブ形式でお酒やつまみを注文でき、音楽を聴くように政治家同士の議論を気軽に聴くのです。他の方と激論するシーンもありましたが、地上波テレビの収録と違い、カットされることがないので候補者が本当に伝えたいことをお話でき、有権者とじっくり対話できます。候補者がイベントを主催した場合は飲食の提供こそできませんが、動画中継を交えると会場に来られなかった方とも幅広く「熟議」が可能になります。

    その意味では、政治家がメディアを持つ意味合いがますます重要になるでしょう。私自身、2001年からインターネットTV「スズカンTV」を運営してきましたが、この4月から新宿タカシマヤ近くにトレーラーハウスの「すずきかんコラボスタジオ(すずスタ)を開設。朝日新聞でもご紹介いただき、同紙の政治記者として活躍された早野透・桜美林大教授を招いた初日のトークライブは、中継したニコニコ動画を500人近い方々が視聴しました。

    リアルでこの人数を集めるとなると、動員やホール確保の手間は本当に大変です。今後は「すずスタ」に来られたリアルのお客様とネット上のユーザーとも対話できる企画もやってみたいと思います。

    政治の世界ならではの「O2O」実践へ、先陣を切って試行錯誤するつもりです。

  • 五輪をあきらめない。「民」の力結集を

    2013-05-01 01:34

    東京都の猪瀬知事が、ニューヨークタイムズとのインタビューでイスタンブールを批判したという報道がありました。ライバル都市の批判はIOC憲章で禁止されており、IOCが注意する声明を出す事態になっています。

    知事は直後に「他の立候補都市を批判する意図はまったく無い」とのコメントを出したものの、お昼前に都庁で記者会見し、「不適切な発言があって訂正したい」と謝罪しました。五輪招致を目指す上で、今回の知事発言は国際的な誤解を招き、軽率だったと言わざるを得ません。昨今、一部で問題になっているように他国や他民族に対する敬意を欠いた社会的風潮も思い起こさせ、遺憾に思います。

    招致ムードに水を差されたとはいえ、招致委員会の調査では、都民の支持率が70%に達しました。ここで諦めてはいけません。

    震災復興では、民間による「新しい公共」が政治や行政とは違う形で大きな力となりました。インターネットを通じて、東京五輪への思いを世界に届けることは可能です。都民の皆さんの知恵と行動力を今こそ結集しましょう!