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“α-Synodos”  vol.274(2020/4/15)
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“α-Synodos”  vol.274(2020/4/15)

2020-04-15 11:51
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     “α-Synodos” 
    vol.274(2020/4/15)
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    〇はじめに

    シノドス編集長の芹沢一也です。「αシノドス」vol.274をお届けします。 

    最初の記事は、池田嘉郎さんの「コロナウイルス禍が照らし出す国民国家の弱さ」です。コロナウイルスの世界的な流行に伴って、各国は国境を閉ざしつつ、感染の拡大を抑えこもうとしています。これまでのグローバリゼーションの流れに逆行する事態にあって、いま主権国家がせり出してきていると池田さんは論じます。主権国家と、国民国家あるいは市民社会の関係は、アフターコロナの世界を考えるうえで必須のテーマです。 

    ついで、岡本裕一朗さんの「シンギュラリティから超人の形而上学へ」です。シンギュラリティといえば言わずと知れたレイ・カーツワイルです。一見、一時の流行にみえるトピックですが、彼の哲学的思考を検討すると、カーツワイルのシンギュラリティをめぐる議論は、「人間―生物―機械―世界」を総体的に含む一つの形而上学的試みであることが見えてくると岡本さんは論じます。それはニーチェからハイデガーを経て手渡された「超人の形而上学」の系譜にあるのです。 

    今月の「学びなおしの5冊」は知念渉さんの「若者論」です。若者論といえば「今どきの若者は」といった世代論的な語りが目立ちますが、そしてそれはいまも変わりませんが、しかし現在の若者論は「若者をどう捉えるか」という視点自体が論点になってきていて、世代論にとどまらない射程をもっていると知念さんは述べます。量的調査や言説の分析、趣味/文化や分断社会や政治、多様な論点から迫る「若者論」の現在。どうぞ各書籍を手に取ってみてください。 

    ついで、藤村厚夫さんの「メディアの現在、そして未来 ――「同時遍在性」と「アウラ」の弁証法」です。メディアの現在はいかなるものなのか、そしてそこにはどのような未来が展望できるのか、メディアの最前線にいる藤村さんに論じていただきました。「メディアの仕事、その未来は明るいか、暗いのか」。そして、「メディアの現在の課題とはなにか、それは克服可能か」。こうした問いはアフターコロナの世界ではどのように開かれていくのかを考えながら、ぜひお読みください。 

    次の記事は、平井和也さんの「歴史のアナロジーから学ぶ――1920年代と2020年代との類似点・共通点」です。2020年が始まって間もなく、欧米のメディアでは、2020年代は1920年代と時代状況に類似点や共通点があると論じられていたと平井さんは注目します。1920年代というと、1918年から1920年にかけて猛威を振るったスペイン風邪を受けての時期となります。コロナの世界的流行の前にこうした論調があったというのは、不思議な符丁を感じますね。 

    最後は、西村祐二(斉藤ひでみ)さんと江澤隆輔さんの対談「今こそ教師は「働き方の本音」を語ろう――2人の現役教員は何を伝えてきたのか」です。最近になってようやく労働者としての教師の側面に注目が集まるようになってきました。しかし、「教師は聖職」という観念もまだまだ強く、労働としての側面を論ずることへの忌避感も強く感じます。現役の教員である西村さんと江澤さんが論じる「日本の教育現場」。教師のためにも、また質の良い教育を子どもに提供するためにも、改善すべき点が多々あることがよくわかります。 

    次号は515日配信となります。みなさま、ぜひコロナには気をつけて、どうぞご自愛ください! 

     
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