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ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第9回-
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ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第9回-

2014-02-18 17:42

    再び正義の館、大浴場
     守護卿区、正義の館。正義の神ティアを祭るこの神殿はネヴァーウィンターの民の信仰の中心であり、それゆえにダガルト・ネヴァレンバーはウォーターディープからこの地にやってきたとき、真っ先にこの建物を補修し、活動の拠点とした。ネヴァーウィンターの栄光を取り戻すという意志を、それで示したのである。
     それでも商業を中心とした彼の復興策、ミンターンの傭兵団による強引な統治は、住人達、とくに復興から漏れたブラックレイク地区の住民の反感を呼んだ。ゆえに彼らはこの建物を“正義無き館”と呼んでいる。

     その“正義無き館”の一角、ネヴァーウィンターにおいては質素を旨とする彼が、唯一蕩尽を許した大浴場にて、ネヴァレンバー卿は配下の報告を受けていた。
    「ブラックレイク地区の叛乱勢力の動き。いまだ衰えざる、か」
    「は、“ネヴァーウィンター仮面”なる、ネヴァーウィンターの王冠を頂きし騎士を自称するものが現れてからと言うもの、ブラックレイク地区の叛乱勢力は増すばかりでございます。いずれ橋を越えてこの守護卿区にやってくるかも知れません。……いかがいたしましょう?」
    「ミンターンの傭兵団はどうした? セイバイン将軍たちはまだ戻らぬのか」
    「は、レジスタンス鎮圧への情報を得て動いたという知らせ以降、連絡が途絶えておりまして……」
    「まさか“アラゴンダーの息子たち”の工作か?」
     不穏な予想が頭をよぎる。しかし、さらなる伝令が大浴場に駆け込んだ。
    「報告します、セイバイン将軍が下水道掃討から戻られました!」
    「なぜすぐ私の元に来ない!」ざばりと浴槽より立ち上がり、大喝する。伝令はへどもどと報告を続ける。「そ、それが正義の館ではなく、直接“翼を持ったワイヴァーン橋”へ向かわれまして……」
    「そうか……」守護卿は嘆息し、再び湯船に身を沈めた。「私の考えはわかっているということか。では、残るミンターン傭兵団、そして衛兵達を橋へと向かわせろ。あの橋はブラックレイク地区と守護卿区をつなぐ要衝。蜂起したレジスタンスが民衆を扇動し、襲い来るならばあの橋を通らずにはいられん。押し通るようならばもはや暴徒だ。一切の容赦をするな!」
     急いで立ち去る靴の響きを耳に、ネヴァレンバーは小さく呟いた。
    「“アラゴンダーの息子たち”、反乱軍どもめ何ができるか見せて貰おうではないか」
     
     一方、ブラックレイク地区。
    「ネヴァレンバーを倒せ!」、「ネヴァーウィンターを取り戻せ!」と歓声が沸き上がり、血気盛んな“アラゴンダーの息子たち”の若者が民衆に武器を配る。武器とは言っても長い棒の先にナイフをくくりつけた槍、刃を研ぎ直した鎌やフォーク、握りに布を巻いただけの棍棒など、あり合わせにすぎない。
    「なんでぇ、アレでミンターンの傭兵達とやろうってのかよ」
    「数揃えるには、ああするしかなかったんだろ」
     その様子を遠目に見るのは、ブラックレイクの住人の中でも訳ありの連中、自ら望んでスラムに住まう者達である。
    「ヤツら本気かよ。これじゃ内戦だ。ミンターンの傭兵がこなけりゃ、ゼンタリムがもっとうまくやってたのになぁ」
    「潮時だ、ずらかろう。別の支部がある」
     沈む船から逃げるネズミのように、己の身の振り方を考えるうち、一人が呟いた。。
    「ヘプタの野郎、どこ行っちまったんだろうなぁ」
    「どっかでのたれ死にしてんじゃねえのか」
    「どこで死んでもおかしかァねえけどな。病気で留守番してたお嬢ちゃんもいつの間にか出て行っちまいやがったんだよ」


    街の地下深く
     目覚めた時、耳に聞こえていたのは水の音だった。
     下水道というよりは、地底に拡がる湖と言った風情の空間であった。
     その広い空間の波打ち際に、冒険者たちは打ち上げられていたのである。

    DM:「気がついたか」とアーロンが声をかけてきます。そして水袋を渡します。
    ヘプタ:うわ、ここ臭い。そして自分も臭い!
    DM/アーロン:「残念だが、セイヴはダメだったみたいだ。見てくれ、息をしていないし顔も血の気がない」
    ヘプタ:「ああ! アニキ、こんな姿に! まるで死体みたいだ」
    セイヴ:「誰が死んだって?」この顔はレヴナントの地だよ(笑)「俺の心臓は二つあるんだ」
    エイロヌイ:エイロヌイは俯いて肩を振るわせています。
    サブマス/ジェイド:あれ、もしかして泣いてる?
    エイロヌイ:「流されちゃった♪ スゴい、こんなの初めて!」と大ウケしてる(セイヴ:姉ちゃんはいつでも元気だなー)
    DM:で、ミシュナとは流されてはぐれたようです(注:この回はミシュナのプレイヤー若月氏は欠席)。エリオンもまだ追いついていません。
    サブマス/ジェイド:つまり、ヘプタ、エイロヌイ、セイヴ、ジェイドとアーロンか。ここにいるのは。
    DM:アーロンは言います。「このあたりは大裂溝に近い。危険な場所だ。速く移動しよう」

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     大裂溝とはネヴァーウィンターの街の1/4を占める、巨大な裂け目である。数十年前のホートナウ山噴火がこの街を襲ったとき、同時に起こった地震によりこの裂け目は開いた。裂け目は地下世界アンダーダークまで届き、そこから名状しがたい化け物どもが地上にやってきた。
     守護卿ネヴァレンバーはネヴァーウィンターの復興を手がけるにあたり、まず市内に大きな壁を築き、大裂溝のある1/4の区画を封鎖・放棄したのである。

    DM/アーロン:俺たちのアジトに行こう。仲間たちがあんた達のツレを拾っているかも知れない。
    セイヴ:「良いのか? 剣を交えた仲だぞ」
    DM/アーロン:「さっきの死鼠団との戦いであんた達が悪いやつじゃないって確信したよ。俺はてっきりネヴァレンバーの手下だとばかり思ってたんだ」
    ヘプタ:「ようやくわかってくれたっすね!」
    エイロヌイ:今は両陣営とも「味方でなければ敵」って考えてるんだよね。
    DM:ではアーロンが前に立って、皆さんをアジトまで案内します。で、ですね。ここで別のシーンになります。
    全員:『?』


    夢の中で
     あなたは、まどろんでいる。
     目の前に拡がるのは茫漠とした、灰色の空間である。
     敵意も、安らぎも感じない、灰色の靄。その靄のベールの先にあなたは過去の記憶を見いだす。
     ああ、そんなこともあった。
     それはまだ、あなたが自分の運命を知る前。その運命に翻弄される前のことだ。

    DM:というわけで、いまジェイドは流されつつ夢を見ています。それはジェイドが妹のタンジェリンと遊んでいた頃の美しい思い出の夢です。その夢の内容を視聴者の皆さんに決めていただきます。

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    セイヴ:美しい思い出ー?
    ヘプタ:最悪だね!(笑)
    エイロヌイ:つか、これ全部ジェイドは体験したんだろうなー。だいたい公式シナリオネタだし。
    サブマス/ジェイド:これ、思い出したことがこの先の展開に関わってくるんですよね?
    DM:もちろん! 具体的に言うと選ばれた内容がジェイドにとってのトラウマになります。
    サブマス/ジェイド:(視聴者の皆さんに)いい? 皆さんのジェイドの弱点になるんだからよく考えてくださいね! 爆発がトラウマとかだったら<i>ファイアーボール</i>喰らうたびに大変なことになります!

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     あなたは思い出した。
     それは昔のこと、ウォーターディープの郊外にある別荘に出かけたときのことである。
     近くに廃城があると聞きつけてきたタンジェリンが、そこに探険に行くのだ、と庭師のサムとあなたとを連れ出したのだ。
    「もう、モンスターはいないんだって!」弾けるように笑うタンジェリンをあなたは追いかける。その手には練習用の木剣を携えている。やれやれと言った表情のサムも見える。
     そう、あなたはあの時の記憶を一歩はなれたところから眺めている。
     
     崩れかけた城壁に囲まれた廃城が見える。
     城門は打ち破られて久しく、かつて入り口を堅く守っていた門扉は倒れて地面に伏せられてある。いや、地面に開いた穴を塞ぐためにかぶせられているのだ。

    「お兄ちゃん、門が開いてる! 入り口まで競走だよ!」
    「あぶないったら、タンジェリン!」
    「坊ちゃん! お嬢様!」

     あなたは声を出し止めようとする。しかし、とどかない。
     タンジェリンが戸板の裏、穴の下に蠢く長虫に気がつく。優しく儚く伸びる触手があなたの妹の頬を撫でる。タンジェリンは笑顔のままそこに倒れた。
     子供の頃のあなたが叫び声を上げる。うねる触手をかいくぐり、あなたは妹を助け出そうとする。けれども触手があなたの足を、ひざを、腰をとらえる。
     そして体から力が抜けて行く。くぱりと開いた長虫の大顎の奥から腐肉の匂いがあふれだしてきた。

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     あなたは悲鳴を上げていた。庭師のサムがあなたと妹の二人を引きずり出して逃げるさなかにも、ずっと悲鳴を上げていた。

    DM:そして、はっと目を覚ましたとき。そこには妹がいます。
    全員:『えっ?』
    DM:そこには仲間の姿はありません。地底湖の波打ち際に倒れているのはジェイド一人で、そのかたわらに汚れた服を着たタンジェリン、あなたの妹がいます。彼女の手足には拘束の跡が。
    全員:『ええええええっ?』
    DM:「良かった、兄さん。気がついたんだね! 死んでるかと思ったよ」と抱きついて彼女は泣きます。
    サブマス/ジェイド:妹の背中を撫でながらも、まだ夢を見ているのではないだろうかと、状況を把握しようとします。……偶然にしてはできすぎだとは思うけど、タンジェリンがさらわれて死鼠団のところにいるらしいとは聞いているんですよね……。「死鼠団から逃げてきたのか」
    DM/タンジェリン:「そうなの、ネヴァーウィンター仮面が助けてくれて、兄さんがここに来ているって教えてくれた、本当だった!」
    サブマス/ジェイド:「……仲間は? 一緒に流されたハズなんだ」
    DM/タンジェリン:「他の人なんて見てないよ? 流れてきたのは兄さんだけ」
    サブマス/ジェイド:「ならば、仲間と合流私用そうしなければ生き延びられない」タンジェリンの手を引いて仲間を捜しに行きます。

     あなたたち兄妹二人は地底を歩く。地底湖には下水道が幾つか流れ込んでいた。そのうちの1つには歩道が併設されている、移動に使っているとしたらここだろう。
    「やっぱりお兄さんは強いね。あの時も私を助けてくれたっけ」
    「いや、そんなことはない」あなたは答える。
    「これまでもずっと失敗してばかりだ。あの時だって助けてくれたのはサムだったろ。今だって助けられたのは偶然だ。それに地上に戻れなければ助けたことにはならないよ」
    「大丈夫、近くまでネヴァーウィンター仮面が来てるもの。きっと助けてくれる」
     そして二人は無言で歩く。
     妹を守るためにも早く仲間と合流したい。そう考えるあなたの後から、思いもかけなかった問いがやってきた。

    「ねえ、兄さん、教えて。兄さんって本当は何者なの? 子供の時にはわからなかったけど、大きくなってからやっぱり気づいた。兄さんは、普通の人じゃないよね? 」



    このシーンのうらがわ

    サブマス/ジェイド:この質問に対する回答こそアンケートでしょう! というか怪しいしっ(笑)
    DM:ですね(笑)では臨時にアンケート取りましょう。問いは「君はいったい何ものなのか」で、回答は、
    1)本当は血がつながっていないんだ
    2)ネヴァーウィンター王家の血筋らしいんだ
    3)何言ってるんだ、お前のお兄ちゃんだよ
     の三択で!




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    「何言ってるんだ、お前の兄さんだよ」
     あなたはタンジェリンを安心させるためにこう答えた。彼女が聞きたかったことには答えていないが、嘘は言っていない。例え血がつながっていなくてもタンジェリンはあなたの可愛い妹なのだ。
     それに、もしもあなたの血筋のことを知ってしまえば、タンジェリンもまたこの街のもめ事に巻き込んでしまいそうだったからだ。
     しかし、あなたの言葉を聞いたタンジェリンは足を止め、冷たい声で言った。

    「今、兄さん。嘘をついたでしょ」

    全員:『怖いよ!』
    DM:振り向き方が新房作品シャフト角度。
    エイロヌイ:これ、別のパターンだよね。
    サブマス/ジェイド:プレイヤーとしてはあんなことを尋ねてきた時点でオカシイと思ってるんですが、PCもそろそろ気がついて良いですか?
    DM:では、〈看破〉をどうぞ。(サブマス/ジェイド:成功です!)ならば、ここでジェイドはこの妹が本物じゃないとわかるんですが、どうしましょう?
    エイロヌイ:かまをかけてみることにしよう。
    セイヴ:昔あったできごとを別に振ってみて、そこに嘘を入れるとか。
    サブマス/ジェイド:あ、それは良い! ええと、こうだ。「僕はお前の兄だ。あの時と変わらない、カッコ悪いままのお前のお兄ちゃんだ。知ってるだろ? あのキャリオン・クローラーに襲われたときのこと。僕のパンツはぐっしょりだった」
    DM/タンジェリンを装う何者か:(動揺を押し隠しつつ)「そ、そうだよね。お兄ちゃん、だらしなかったよね」
    サブマス/ジェイド:ではジェイドはそこで剣を抜く。「すまないな、そこまでだらしなくはないんだ、俺は」(全員爆笑)



    このシーンのうらがわ
    サブマス/ジェイド:このシーンリプレイ起こすの俺なのにこんなヒドイプレイして一体どうすれば良いんだよ! どうカッコ良くしろと!
    皆様のコメント:「え」「もらしたのかwwwwww」「だせぇw」「※いままさにもらしてます」「これはひどいwwwww」「シリアスなシーンなのに…w」「さいって~~~~」「面白いんだが、もうちょい格好つけてもいいのよ?」「リプレイで改変しようw」「リプレイは美化200%増しくらいですかね」

    (コメントの通り、配信当時は皆様より温かい言葉を頂きましたが、改変しきれなかったのでママで書かせて頂きました)



    DM:タンジェリンは「お兄ちゃんのことなんか知らない!」と言って駆けだしていきます。ここでシーンは移り、アラゴンダーの息子たちのアジトに向かう他のメンバー達のシーンになります。ここにもジェイドはいます。
    全員:……!


    欺きの地下
     そこは地下に飲み込まれた建物であった。屋根のいくらかは崩落しているが、地中にあれば問題はないようだった。おそらくは大災害の折に飲み込まれたのだろう。
    「ここが俺たち“アラゴンダーの息子たち”の本拠地だ。おっと、迂闊に踏み込むなよ。合い言葉を知らない者が入ると大変な目にあうんだ」
    アーロンはそういうとアジトの扉に近づき、「のばら」と言った。しかし、返事はない。
    「おかしい! こんなハズでは……どうなっている?」
     構わずにアーロンは扉を開ける。だが、アジトの中に人の姿は無い。

    ヘプタ:「みんな出払ってる見たいッすね」
    DM:「いや、俺が帰るまで待機を命令してあったんだ。ネヴァーウィンター仮面もここにいるはずだ」とアーロンは言いますが、もぬけのからには違いありません。さらに血の匂いがします。「これはどういうことだ!?」
    エイロヌイ:「有力者は分断して、それぞれに刈取る……。死鼠団の策ではなくて?」
    DM:と、アジトの片隅に一人倒れています。「どうした」と助け起こすアーロン。

     おそらくは最初の襲撃に巻き込まれたものの、そこからどうにか逃れたのだろう。その青年は酷い怪我を負ってはいたが話すことはできた。
    「すまない、アーロン。留守を守りきれなかった……。ネヴァーウィンター仮面は危険だ。アイツは仲間達を率いて地上に行った。民衆を扇動して守護卿区に攻め込むつもりだ。内戦が始まる!」
     「しっかりするッす!」溢れてくる血を止めようとするへプタを彼は止めた。ゆっくりと首を振る。「もうダメだ、助からないことくらいわかる」。
    「ネヴァーウィンター仮面に乗っ取られた、ってワケか」ロビンの手を握るアーロンにセイヴは言った。レジスタンスの指導者は答える。「ヤツの方が、指導力があった。認めたくないが、事実だ」

    セイヴ:「でよ、どうするんだ。このまま放っておくと全滅なんじゃないのか? どんだけこっちの士気が高くても向こうは金かけた傭兵団だぜ」
    ヘプタ:「数は上回っていても“兵士”の数が違いすぎるッす」
    エイロヌイ:「ネヴァーウィンター仮面を騙る偽物といって討ち取る方法もあるんじゃない?」
    DM/アーロン:「そう、だな。とにかく早く地上に行こう。ネヴァレンバーと事を構えるときはいずれ来るだろうが、それは今ではない。急ぎすぎたネヴァーウィンター仮面の巻き添えで民を苦しめたくはない。君たちは港でドラゴンが暴れていたときにネヴァーウィンター仮面と共に戦ってくれた英雄だな。済まないがもう一度力を貸してくれないか? 頼めた義理ではないのはわかっている。だが……!」
    へプタ:「いつだって苦しむのは民衆ッす。それを止めるためならオレは良いッす」
    エイロヌイ:「私もね。さあジェイド。視聴者の皆さんに選択肢を出すのよ」
    DM:ところが、ジェイドはいつものように無口。
    サブマス/ジェイド:普通ならオカシイと思って貰えるのに、ジェイドは兜被って基本的にしゃべらないから、偽者に入れ替わられてもわからないんですよ!」

     ここでようやくこのジェイドならぬジェイドに気がつくか否かの技能チャレンジが指示される。第一段階は集団〈看破〉。その結果は……!

    DM:全員成功した、ということはこの三人の間に緊張が走るわけですね。ではこのジェイドはスラスラと言うんですよ「わかった、アーロンの真っ直ぐな瞳を信じよう」と。
    ヘプタ:「あれ?」(笑)
    DM:いつもならたっぷりと悩むはずのジェイドが間髪入れずに答えた(笑)
    セイヴ:「ジェイド、お前もう少し優柔不断じゃなかったっけ」(笑)
    エイロヌイ:「饒舌ねぇ」とエルフ語で話します。
    サブマス/ジェイド:このなかでジェイドだけがエルフ語わかんないんですよ!

     続く判定は〈自然〉、〈はったり〉、〈事情通〉。これらも冒険者たちはクリア。このジェイドは偽物だ!

    セイヴ:「お前何者だ! ジェイドをどこにやった!」
    ヘプタ:「ジェイドさんはそんなにスラスラと物事を決められる人じゃないっす!」
    セイヴ:「やつはもっともたもたしてて、いつも三択か四択で物事を決めてるんだ!」
    サブマス/ジェイド:そ、それはアンケートの時間があるから……(笑)
    DM:では、このジェイドは兜を脱いで言います。「まったく窮屈な兜だったぜ、思ったよりも勘の鋭いヤツらだったな」と、その顔がぬるぬると何か別の顔へと変わる。そして抜きはなったのはショートソード、部屋の隅からは緑色の粘液が染み出してきます!
    ヘプタ:グリーンスライム!

     登場したのはドッペルゲンガーとグリーンスライム。所属は不明だが恐るべき敵に変わりはない。そして何よりもまだ、ジェイドが合流していない!

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     ジェイドだったクリーチャーの輪郭がゆらりと揺らめく、エイロヌイの目の前で取り戻したその形は――鏡に映した如く瓜二つの樹精の美貌。ゆかり深きものの顔を形取ることで相対する者の不意を突き、決意を鈍らせる“シェイプシフター・フェイント/変身生物の不意討ち”の技である。だが、エイロヌイも手練れ。「きゃあ」と驚きつつも自分の顔が繰り出す突きを盾で受け流し、バックステップで間合いを切る。そして向き直る相手は……。

    エイロヌイ:「グリーンスライムに“ディヴァイン・チャレンジ/信仰の標的”、さらに“ダズリング・フレア/目眩む閃光”!」

     地下生物であるグリーンスライムは陽光、すなわち[光輝]に弱い。パラディンたるエイロヌイが繰り出したこの攻撃はいずれも信仰の光を撃ち出すもの。不本意かも知れないが彼女は緑色の粘液を敵と定めたのである。
     信仰の光は、続くヘプタも得意とする攻撃である。“フェアリーフレイム・ストライク/妖精怪火撃”により、紫色の燐光を放つ太矢をグリーンスライムに放つが焦りがその手を狂わせた。
     知能のないグリーンスライムといえども、危険な相手はわかる。波濤の如く押し寄せる粘液の塊はエイロヌイを飲み込む。溶解液が彼女を(まずはその装備を)蝕みはじめる。

    ヘプタ:「こ、これは! まさかのサービスシーン。これはしばらくエイロヌイを助けるわけにはいかないッす!」
    セイヴ:「しかもスライムへのダメージの半分がエイロヌイにいくもんな!」
    サブマス/ジェイド:ステップ・トゥギャザーで引きずり出せばいいんですよ!

     それはそれとしてセイヴの刃はドッペルゲンガーをつらぬき、追い討ちも命中してあっという間に重傷へと送りこむ。

     第2ラウンド。妹を追うジェイドの耳に仲間達やアーロンの声が届く。

    ヘプタ:「ジェイドさんはそんなにスラスラと物事を決められる人じゃないっす!」
    セイヴ:「やつはもっともたもたしてて、いつも三択か四択で物事を決めてるんだ!」

     ずいぶんな扱いにちょっぴり切なくなりつつも、味方の方へ足を向けたとたん、「どこへ行くの、兄さん」と闇から襲いかかる闇へと消えた敵。声は妹のタンジェリン、しかしその輪郭には人ならざる触手がうねうねと蠢いている。キャリオン・クローラーの頭をもった妹の姿にジェイドのトラウマが惹起された。

    DM:つまりジェイドの精神的外傷は“触手”です。これ以降ジェイドは触手系の敵と遭遇すると、幻惑状態(セーヴ/終了)から遭遇を開始することになります。冒険のなかでこのトラウマを克服するまでこれは続きます。
    サブマス/ジェイド:了解です、うううう。まぁ爆発を受けるたびに幻惑よりはマシか。
    DM:ジェイドはここから戦闘に参加です。でもドッペルゲンガーの攻撃は外れました……。

     続いてはグリーンスライムに飲み込まれたエイロヌイ。
     ターン頭に溶解液による自動ダメージ10点を受ける。重傷である。
     しかし焦らず彼女は己の力を発揮する。まずは“ボディ・オヴ・ソリッド・オーク/堅固なるオーク樹の体”によって肌を堅固な樹皮に変えて防御を高め、一時的hpを得る。続いて“ハマドライアド・アスペクツ/ハマドライアドの諸相”で樹木の様相をとれば、ダメージに対する抵抗性5を獲得する。残る標準アクションではグリーンスライムの腹の中から攻撃してヒット! 

    DM:11点ダメージと言うことは、半分の5点が中にいるエイロヌイにも行きますね!
    エイロヌイ:5点ならダメージ減少で止まる♪
    サブマス/ジェイド:計算済み?!
    ヘプタ:こっちも撃つッす。[光輝]ダメージ7点ヒット、(エイロヌイ:半減ダメージは完全に止まる!)エイロヌイの救出はもう少し待ってくださいッす。今だと引っ張り出してもすぐにまた取り込まれてダメージ喰らうッす。だから回復を優先するッす!
    エイロヌイ:重傷脱出!
    DM:いまのでグリーンスライムも重傷です。
    サブマス/ジェイド:そしてジェイドのターン! 仲間に合流しよう! “妹”の隣を通り過ぎて、みんなのいる方に移動します。幻惑しているからこれだけで行動終了……機会攻撃どうぞ!
    DM:(ころころ)あ、クリティカル15点。
    サブマス/ジェイド:ぐはあっ! 幻惑状態にセーヴ成功したのが救いか。
    DM:俺の妹がこんなに強いわけがない(笑)グリーンスライムは今度はヘプタを飲み込みます!(コロコロ)あ、出目1。
    全員:よし!
    エイロヌイ:ディヴァイン・チャレンジ中なので8点[光輝]ダメージ♪
    DM:これ、脆弱性のせると13点だもんなぁ。だいぶ弱々しくなってきた。
    セイヴ:そっちは大丈夫そうだ。構えを“アスペクト・オヴ・ザ・ダンシング・サーペント/躍動する蛇の相”に変えてジェイドのフリしたドッペルゲンガーにヒット、逆手もヒットで16点
    DM:落ちた……早かったな! 2ラウンドか! 全弾命中だもんなぁ。
    セイヴ:剣を振るって血を落し、やってきた方のジェイドに気がつく。
    DM:アレも偽物かも知れませんよ(笑)
    セイヴ:「お前、偽物か?」
    サブマス/ジェイド:「俺は本物だ、信じてくれ」と即座に答える!
    セイヴ:即座に答えた? 怪しい、偽物だ(爆笑)
    サブマス/ジェイド:信じてよ! 後から妹に襲われてるでしょ!
    DM:可愛い女の子ですよ? 触手揺らしてショートソード握ってるけど!あ、フェイントも攻撃もミス。
    セイヴ:どうやら、本物だ(笑)

     第3ラウンドに入る。
     エイロヌイはゆらゆらとグリーンスライムの中。一時的hpとダメージ減少でリアルに受けたダメージは1点のみ、堅い! しかし攻撃も脱出もミス。ヘプタがステップ・トゥギャザーで連れ出す。
     続くジェイドは振り向いて“妹”に攻撃。「兄さん! 妹に攻撃するの?」という揺さぶりに手が鈍ったが、「俺の心の中の妹を穢すな!」と“ヒロイック・エフォート/英雄的努力”。パワーストライクも乗せて12点のダメージを与え、突き飛ばす。
     だが、エイロヌイが再びグリーンスライムに取り込まれ、セイヴの突撃もミス。

    セイヴ:最初の攻撃がヒットしないと、逆手での攻撃できない!
    DM:では、“妹”は目標をセイヴに変更してシェイプシフターズ・フェイント……出目1!「なんてことなの、このひとには妹がいない」(笑)あ、攻撃も外れてます。

     第4ラウンド、エイロヌイはターン開始時の溶解液で残りhp4まで追い込まれるが、腹の中からの攻撃でグリーンスライムを撃破。ヘプタは真っ先に二つめの回復をエイロヌイに飛ばす。残る“妹”を討つためにジェイドの元に急ぐ冒険者たち。しかし、その時アジトの番人が姿を見せる。

    DM:アジトに続く水路の水面から、巨大な触手が出てきてセイヴのいたところを薙ぎ払います!
    全員:『!?』
    DM/アーロン:「あれはクラーケン? しまった、アジトに仲間がいないからか!」
    ヘプタ:「どういうことッす!?」
    DM/アーロン:「ネヴァーウィンターの下水道にはクラーケンが住んでいたんだ。俺たちはそいつに襲われないよう、特殊なアミュレットを持っている。持っていないよそ者はクラーケンに襲われる! 水際に寄るな!」

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     もはや長居は無用。冒険者たちは次々と“妹”に襲いかかる。
     結末は、あっけないものだった。
     ふらついて片膝をついたとき、水面から伸びた黒い触手が“妹”を深淵にひきずりこんだのである。


    そして地上へ
     あなたの背後では荒れ狂う触手がアジトの壁を、床を、石組みを叩き殴り、餌食を求めてのたうっていた。
    「急いで脱出するんだ! 地上へ!」
     アーロンの叫びにあなたたちは従う。
     がむしゃらに駆け続けながらも、あなたの脳裏には幾つもの疑問が浮かんでいた。
     これまでの敵は呪文荒廃に蝕まれた魔物であり、暗躍する死鼠団、サーイの死霊術師であった。それぞれに目論見らしきものがあったが、今回の敵にはそれがわからない。
     あの“妹”はあなたの正体について何らかの疑いを抱いていた。すなわちそれは、あなた自身ですら最近知ったばかりの、ネヴァーウィンター王家の血統について何かをつかんでいると言うことだ。
     そうならば、果たして誰が送りこんだ敵だというのか。
     ネヴァーウィンター王家に関わることならば、ネヴァーウィンター仮面やネヴァレンバー卿。しかし彼らの配下にあのような異形の輩がいると言うのか。
     わからない。
     だが、決着の時はあなたの覚悟を待つことはない。

     地上にたどり着いたあなたが見たもの、それは今にも内戦に燃え上がろうとするネヴァーウィンターの街であったのだ。

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