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『ネヴァーウィンターの失われし王冠』第二部第3回リプレイ:世界のつながる場所
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『ネヴァーウィンターの失われし王冠』第二部第3回リプレイ:世界のつながる場所

2014-03-12 10:27


     水曜夜は冒険者――場所はそろそろお馴染み、東京は代々木、HobbyJapanの配信室から。ちなみに今日は前回、前々回より少々画面がみっしり気味。第二部第3回目にしてフルメンバー揃っての配信です。魂が迷っていたエリオン、ネヴァーウィンターで病床についていたミシュナもようやくシャドウフェルにやってきたとのこと。いや、来られてよかったといえる場所なのかはともかく、ですが……。



     ネヴァーウィンター。
     どんよりと立ち込めた黒雲が切れ、薄日が差し始める。やがて陽光は暗雲を退け、青空が広がってゆく。それは来るべき真の復興の日々を象徴するかのように。

     ――ずいぶん、眠っていた気がする。
     ぶり返した汚穢熱に倒れ、そのまま伏せっていたミシュナは、ゆっくりと身体を起こした。病み上がりの身体はまだ重いが、吐き気もふらつきもいつの間にか消えている。耳を澄ますと窓の外では明るい賑やかな人声。私が倒れている間に何が起きたのかしら。みんなはどうしたのだろう。
     身支度を整え、外に出る。往来はお祭り騒ぎだ。ネヴァーウィンターの新しい統治者の、今日は戴冠の式典なのだという。もうじき祝賀のパレードがやってくる。
     
     ――狂ったネヴァーウィンター仮面は死んだ
     ――セイバイン将軍と刺し違えたのだ
     ――呪われし竜も死んだ
     ――あの冒険者たちが、命と引き換えに倒してくれた
     ――数多の犠牲はあったけれど、ようやくネヴァーウィンターに平和がもたらされた
     ――そうして王家の後継者が現れた。ネヴァーウィンターの女王様が……
     ――もう争いは終わりだ
     ――ようやく……
     
     あの冒険者たち? 命と引き換え? ……それじゃあ、私が病気で前後不覚に伏せっていた間に、みんなはまさか……
     呆然としながら、ミシュナはにぎわう往来を見つめている。パレードがやってくる。沿道に人垣が立ち並び、歓呼の声。着飾った娘たちが花を撒きながら先導を務める。その後ろから、白馬に乗り純白のドレスに身を包んだ、うら若い、美しい女性。ネヴァーウィンターの新しい女王様だという。
     少し下がって従うネヴァレンヴァー卿、その後ろにはかつてのレジスタンス、“アラゴンダーの息子たち”の指導者、アーロン・ブレイドシェイパーも誇らしげに新女王の護衛を務めている。さらに騎士たちの列が続く。ミンターンの傭兵団とかつてのレジスタンスたちが今は肩を並べ、装い新たに揃いのお仕着せに身を包んでいる。彼らがネヴァーウィンター騎士団だという。
     
     終わったのだ。
     すべての戦いは終わり、物語は大団円を迎えた――物語の最後に、私の大事な仲間は命を落とした。そうしてその場に居損ねた私だけが、物語のエピローグを見届けている……
     
     悔しいのか、悲しいのか、それとも幸せに続いていく物語を寿ぐべきなのか。なんとも形容のしがたい思いが胸にあふれ、思わず涙がこぼれそうになった瞬間、ミシュナは雷に打たれたように立ちすくんだ。
     
     「ミシュナ」
     聞き覚えのある声。振り向く。違う。聞こえたのではない。心に直接ささやきかけてきた。でも聞き違えるはずがない。彼女がサーイを離れる決心を固めるきっかけとなった彼――彼女が自分の手でゾンビにしてしまったはずの級友、ブラックモア君の声だ。視野の端を赤いローブがちらりと横切った。反射的にミシュナは駈け出している。消えたローブを追って路地に駆けこむ。
     
     その瞬間、目の前が真っ暗になった。違う、暗闇に飛び込んだのだ。何らかの魔法的異空間だろう。構わず進んでいく。と。
     
     目の前には、赤いローブに身を包み、微かにあざけりを含んで凍りつくような眼差しで、こちらをじっと見つめるエラドリンの女性。ミシュナは息を飲む。

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    ミシュナ:「校長先生……」
    ヴァリンドラ:「ミシュナか。待っていたぞ。サーイを出奔したと聞いたが……いかにも惜しい。そなたの死霊術の腕はまことに素晴らしい。見るがいい、この男を」

     示す傍に控える甲冑姿のアンデッド。緑色の瞳が禍々しく光る。物言わぬアンデッドの憎しみに燃える視線を受け、瞬時にミシュナは了解する――これは、ブラックモア君だ。

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    ヴァリンドラ:「そう、そなたの術は彼を低級なゾンビではなく、死者たちの戦長(いくさおさ)、バトルワイトへと変えたのだ。初学者にしてその術の冴え、このような才能を私はほかに知らぬ――私以外には、な。悪いことは言わぬ。若者には過ちもあろう。出国の罪は問うまい。サーイに、学園に戻れ」
    ミシュナ:「嫌です」

     震え声で、しかし即答する。ヴァリンドラは微かに唇を釣りあげた。

    ヴァリンドラ:「そうか。まあ良い。そこまで死霊術を憎むのもこのバトルワイトに何か思うことあってのことか……ならばシャドウフェルに行け。そこにこの男の魂が居る」

     そう言ってヴァリンドラが指し示す場所には、黒々と空間の裂け目。だが、学院の生徒であったミシュナは知っている。これはシャドウフェルへの次元門だ。自分で作ることはできないが、見慣れたものでもある。ミシュナは静かにひとつ、息を吐いた。

    ミシュナ:「死者の魂をこの世に引きずり戻そうとは思いません。私はもう死霊術師ではないから。でも私はブラックモア君に謝りたい」

     言いざま、ミシュナは次元門に踏み込んだ。背後で門の閉じる音と共に笑い声を聞いた。構わない。何があろうとも、決して死霊術師には戻らない。

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     そして、シャドウフェルは死骸市場。ゾンビやグールやスケルトンでごった返す酒場に、時ならぬ怒号が響き渡った。

    エリオン:「許さあぁぁぁぁぁんっ!!!!!」

     目が覚めたら棺(そっくりのベッド)の中にいて、手は組まれ、胸元には花が散らされている。驚いて起きだし、とにかく身支度を整えようと鏡を覗けば額には“売約済み”の札、そして顔にはあらぬ落書き。エリオンでなくても怒るだろう。
     殺気をはらんだ足音と共に階段を駆け下り、酒場のドアを開ける。一斉にこちらを振り向く顔、顔、顔。その6割以上が腐っており、3割は骨で、残りの1割のほとんども血の気がない。そして数少ない例外は一斉にぷっと吹き出す。
     怒鳴りそうになり、それは品のない振る舞いであると思いなおし、深呼吸し、こめかみをひくつかせながらことさらにっこりと笑う。そして辛うじて言葉を紡ぐ。

    エリオン:「これはどういうことですか?」
    エイロヌイ:「あら、シルヴァークラウン。ずいぶんゆっくりお休みだったのね」

     その向こうでは、セイヴが「あぁよく寝た」と幸せそうに伸びをしている。怒るに怒れずヘプタが差し出すタオルで顔の落書きをこすり落としていると、酒場の扉がおそるおそる押し開けられ、この場にはいかにも不似合いな若い女性がおずおずと入ってくる。

    ミシュナ:「あの……今確かここでエリオンの声が……」
    セイヴ:「うわ、ミシュナ、かわいそうにあんた、ついに死んじゃったのか!!」
    ヘプタ:「病気ひどかったッすからねぇ、若いのにかわいそうに……」
    ミシュナ:「え、え、ナニゴト? 私、生きてますけど……!?」
    セイヴ:「ああ、可哀そうに。知らないんだな。ここはシャドウフェルで、死者の魂が来るところだから……」
    ミシュナ:「シャドウフェルは知ってます、私、自分で来たんです。だから生きてますッ」
    エイロヌイ:「待ちなさい、本当にあなたがミシュナだというなら……あなたは橋の上で何を着ていましたか?」
    ミシュナ:「橋の上……? ど、どてらを……」

     これは確かにミシュナに違いない、というので再会を喜び合う一同。が、面々がそろったからと言って喜んでもいられない。生身の人間がシャドウフェルに長くいるわけにはいかないのだから。

    エイロヌイ:「でもミシュナ、あなたはさっき、自分で来ただけ、と言いましたね。来た、ということは帰れるということでしょう? 帰り方はわかりますか?」
    ミシュナ:「いえ、もっと高位の魔術師にゲートを開けてもらわないと……」
    セイヴ:「ゲートがあれば帰れるのか。でも今のミシュナにはそれは無理、か……」
    ジェイド:「だが、ということは俺たちには、これからこの街に住むレッド・ウィザードのところに行って彼らにゲートを開けさせるという手段もあるわけだな」

     ミシュナの登場によって“帰り道”が突然現実的になり、俄然勢いづく一行。だが、

    ヘプタ:「まずいッすよ、俺らさっきデーモンの大穴に行くって宣言しちゃったじゃないっすか。そんで周囲の連中、大盛り上がりですよ。いまさら予定変更とかできませんよ」

     こそこそとささやくヘプタ。そういうあたりにはよく気がつく。つまりは前回の最後のアンケートの件である。

    セイヴ:「何だって? ボウズ、最近無謀になったな、どうしたんだ?」

     あきれ顔のセイヴを取りなすようにクーリエが「別に穴の底まで行く必要はないでしょう」と言う。

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     ――穴に入り、そこで見つけたお宝なり、そこにいたクリーチャーの首なり腕なり脚なり内臓なりを持ってくれば証拠になりますよ。
     内臓でもクリーチャーの違いがわかるあたり、さすがグールというべきところか。

     ともあれ、帰り道の探し方にあれこれ算段ができそうな時にはすでに引くに引けなくなっており、当初の予定通りデーモンの大穴を目指す一行。後ろではスケルトンたちがカラカラと骨の手を振り、ゾンビたちは腐肉をはためかせ、やんややんやの大喝采で送りだしてくれる。



     というわけで、街はずれ、デーモンの大穴にやってきた。
     クーリエを穴の上に残し、切り立った岩に取り付いて足がかりを探しながら伝い降りてゆく。あわやと思う場面も何度かあったが、具体的には〈登攀〉の集団判定を要求されてセイヴとヘプタとエリオンが失敗したのだが残り3人が成功したので、誰ひとり怪我をすることもなく順調に距離を稼ぐ。

     途中から大穴の様子が変わってきた。ある時は異様な熱気があたりを押し包み、ある時は指先の感覚がなくなるほどの冷気が襲ってくる。そしてある時は、一行がとりついている岩そのものが膨れ上がって迫ってくる――と思うも瞬時のこと、しかし次の瞬間には耐えがたい熱波が押し寄せてくる。それはまさしく、世界を構成する元素がその生の姿をちらつかせつつ荒れ狂っているかのよう。これは何か。具体的には〈魔法学〉で判定せよとのこと。エリオンだけが判定に成功する。

     ――ああ、つまり我々は元素の渾沌の傍にいるのだな。あるいはその中を通り抜けているのかもしれない。
     エリオンはつぶやくように言った。
     物質界を挟んでフェイワイルドとシャドウフェルが対極として存在するように、それをさらに包み込む存在がある。軽く明るい光そのものである存在を“アストラル海”と称し、それに対して世界の構成要素がその原初の姿にて制御されぬまま荒れ狂い続けるものを“元素の渾沌”と称する。我々はシャドウフェルを抜け、元素の渾沌にいるのかもしれない……

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    ヘプタ:「じゃあ我々、シャドウフェルからは出られたってことッすね!!」

     そういう解釈もできないわけではないが。ともあれ荒れ狂う環境に耐え抜いて降りてゆかねばならない。具体的には〈持久力〉の集団判定だが、これもなんとか切り抜ける。

     そして、ヘプタの妄言とほぼ時を同じくして、不気味に変動していた気温が急に落ち着いてきた。熱気は去り、ひんやりとした……これまでの刺すような冷たさではなく、洞窟の奥のような静かな底冷えとでもいうようなものに取って代わる。
     では、いよいよシャドウフェルを抜けたのか――たしかに抜けたのだろう。洞窟の様子は先ほどまでとも変わっている。何やらきめの粗い――具体的にはドット絵ふうに。そして頭上からゆっくりと、縦穴の空間を二人の人物が下りてくる。どうやら落下速度をコントロールする魔法で守られているらしい。

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     奇妙な二人連れだった。
     一人は自分の背丈ほどもある大剣を背負った少年――いや、ハーフリング。

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     いま一人は見慣れぬ聖印を身に付けた、しかしいかにも徳高い風貌の禿頭の戦司祭。

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     ハーフリングの持つ剣からは、魔法の心得なき身にもわかるほどの魔力が放射されており、一方の司祭からも、よほど神の恩寵に恵まれているのか、光の力が身の内から放たれているのがはっきりと感じ取れる。一部はまばゆい禿頭の影響かもしれないが。
     そして二人組は――どうやらこちらに気付いたらしい。

    アーズ:「大丈夫ですか、グレルダンさん」
    グレルダン:「うむ、拙者はどうということもない――まぁ、ゆっくり行こう」

     ちなみにここでヘプタPL堀内、声色を変えての1人2役である。ミスタラ英雄戦記の配信をご覧の向きはご存知のとおり、太陽神の戦司祭、徳高き禿頭のグレルダンも彼のPCなのだ。

    アーズ:「あ、あんなところに人が!! 壁を伝って降りてますよ」
    グレルダン:「なんと、まさか洞窟住まいの魔物ではなかろうな」
    アーズ:「もしかしたら女王シンの手先の生き残りかもしれない……」

     ぱっと見には白面の異形のセイヴや何度見ても紛うことなきチンピラのヘプタがいるのではあまり文句も言えない。アーズやグレルダンと一緒にエルカンタール(ドラウ)やブラント(ハーフオーク)がいれば文句の言い返しようもあるだろうが。

     勝手なことを言っている声は一行にもはっきり聞こえた。まさかとは思うが、放っておいて“退治”されかけたら話にならない。エイロヌイはすぐに行動を起こした。

    エイロヌイ:「……冒険者の方かしら?」

     そう口にした時には、樫の木の乙女(ドライアド)の光の姿になっている。魔法的な美しさが洞窟の暗がりを払い、グレルダンとアーズも思わず壁に取り付いて落下を一時止める。

    アーズ:「……なんて美しい人だ……。グレルダン、この人たち、悪い人じゃなさそうだね」
    エイロヌイ:「私はフェイワイルドから参りました、エイロヌイと申します。シルヴァナスの聖騎士です。あなたがたは?」
    アーズ:「フェイワイルド? シルヴァナス? ……聞かない名前だなぁ……。僕は剣士のアーズ、こちらは太陽神の司祭、グレルダンだ」

     背後でヘプタが小声で「やるんっすか、やるんっすか、いいっすよ、俺ら強いっすよ」と言うのをセイヴがどつき「おい、クレリックってのはあいつみたいなののことを言うんだぞ」とやはり小声でささやき返す。そのあたりにはもちろん構わず、エイロヌイは続ける。

    エイロヌイ:「私たちはシャドウフェルから出る手段を探しています。何かご存じありませんか?」
    アーズ「シャドウフェル? ……ここはラファエルの洞窟だよ。僕らは魔剣を探しているんだが……」

     お互いに知らない名前の応酬である。が、エリオンとエイロヌイにはどうやら見当がつく――きっと彼らは異世界の存在だ。この洞窟の中には何らかの次元のひずみが生じており、それで元素の渾沌の脇をかすめたり、異世界の存在と行き会ったりするのだろう。

    アーズ:「なんだかよくわからないけど、君たちも宝物を探したりしているのかな?」

     どこをどう解釈したらそうなるのかは謎だが、大穴に潜った証拠として宝物を持ちかえってもいいわけだから、当たらずと言えども遠からず。一応頷くと、

    アーズ:「だったらこれを持っていくといいよ。大オイルだ。道具屋で山ほど買ったから少しお裾わけだよ」

     そう言って渡されたもの。だいおいる、といわれても何だかわからないが、見れば“オイル・オヴ・レッド・フレイム”である。投げつけてよし、武器に塗って良し。触れたものに着火させ継続的[火]ダメージを与える強力な魔法のアイテムである。

    セイヴ:「これは有難い。……が、あんたがたは2人だけでこの得体のしれない洞窟を行くのか? なんだったら一緒に行かないか?」

     意外と友好的な状況に気を良くして同行を持ちかけるものの

    アーズ:「大丈夫だよ。それに君たちは飛んで降りられないみたいだし……。僕ら、急がなきゃいけないから、一緒には行けない。ですよね、グレルダンさん」

     急に話しかけられたグレルダン、あからさまに「急いで魔剣のところに行きたいのはお前じゃなかったのか」という表情をしたが、さすがに口には出さない。ひとつ咳払いして表情を整え、一行を見やると

    グレルダン:「では。君らに太陽神のご加護のあらんことを」

     さすが、クレリックのひとって凄いっすねぇ、と、遠ざかる禿頭を眺めながらヘプタが感に耐えないといったふうにつぶやき、全員からあきれ返った視線を注がれた。



     ともあれ、なんとか“証拠”を手に入れねばならない。まさかこの切り立った壁に証拠品がひっかかっているわけもないだろう。どこか入れる横穴はないかと探していると――具体的には〈地下探検〉の集団判定を要求され、またもや成功して、首尾よく壁の奥深くへ切れ込んだ大きな横穴に入り込む。

     確かに何かがありそうな横穴ではあった。まず、足元に見慣れぬ貨幣が散乱している。そして……空気がどこか焦げ臭い。用心しながら進んでいくと、急に空気が震え、割れた声が共通語でこんなことを言った。

    ???:「命が惜しかったらすぐ、この場から立ち去れい」

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     なにごと。しかしこれしきで引き下がるはずもない。進んでゆくと

    ???:「このまま進めばお前と戦うことになろう。命の保障はできん。立ちされい」

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     冒険者にもとから命の保障などあるわけもない。そのまま突き進む。
     
    ???:「おろかな奴よ。もう一度聞く。そんなに死に急ぐか」

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     ジェイド、一瞬足を止めて小さく息を吸う。具体的には視聴者アンケートである。

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     ちなみに配信室の中は大笑い、何しろこれは二つ前のシーズンで全滅寸前をしでかしたいわくつきのシチュエーションである。あの時と違うのはアルコールが入っていないこと、土下座する者がいないこと(「戦う前から土下座するッすよ!!」とヘプタは叫んでいたが)、何より判断するのは視聴者だということ!

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    ジェイド:「脅しには屈せぬ!!」

     ジェイド、低く鋭く叫び、まっすぐに洞窟の奥へと歩を進める。その先には……



     視界が開けた。
     洞窟は地下の大広間へと続いていた。が、そこはところどころに深い大穴が口を開け、巨大な石筍が林立する厄介な場所。ひときわ黒く深い巨大な穴の向こうには――オーガが1体、何やら金属製の喇叭を手にして突っ立っている。その両脇には弓を構えたノールが1体ずつ。

    オーガの蛮族:「ちくしょう、来やがったか!! あんなに脅してやったのに、しつこい冒険者めっ」

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     怒り狂って喚き立てるのを総合するに、どうやらこのオーガは“アインスンの町”で暴れていたところを“グラントリ公国”から派遣されてきた冒険者に追い立てられ、さらったお宝ともどもここまで逃れて来たということらしい。具体的には2回前のシーズンで一行が行かなかったルートの敵NPCがこちらでの出演となった次第。喚くだけ喚いたオーガは、
     
    オーガ:「だが、よく見ればこいつらはどうも弱そうだ。やっちまうか、兄者ァ!!」

     などと勝手なことを言っている。まだ新手がいるのか。それにしても……

    エリオン:「固有名詞はよくわからんが、どうやらお尋ね者のようだな……」
    エイロヌイ:「あらまあ、オーガだわ。こわいわ。ジェイド、どうしましょう」
    ジェイド:「おおかた今まで散々悪さをしてきた連中だろう。それに我々は地上に持って帰る“証拠品”が要る……奴らの運が尽きるのが今ここだったということだな」

     行き合っただけのオーガにはひとまず恨みはない。少し苦しげにジェイドが言う台詞を引っさらうようにしてヘプタが声を張り上げた。

    ヘプタ:「へへへ、あんたら、運が悪かったなァ!!」

     これではどちらが悪役かわからない。が、実質的に仕掛けてきたのは穴の向こうのノールだった。薄闇に目立つ白面を狙ったか、セイヴめがけて2本の矢が飛来する。1度はかわしたが次の矢は命中。だが、これで口実はできた。
     セイヴ、すかさずさっきの2人連れからもらったオイルを取りだし、空中に放り上げる。左手の剣で瓶を叩き割り、右手の刃で受ける。燃え上がった剣を構え、大穴の中央をちょうど橋がかかったように横切る岩棚を突っ走る。そして正面のオーガの眉間めがけて――振りおろした剣は見事に空を切る。具体的には攻撃ロールの出目が1だ。

    エイロヌイ:「ああ、いつまでも寝ているから身体がなまっているのですわ」

     続くエイロヌイ、橋の中ほどまで進み出てオーガを神敵と定める宣言を高らかに下す。と同時に妖精境の光が樫の木の乙女の身体から迸った。“ダズリング・フレア/目眩む閃光”の技である。オーガは唸り声を上げて目をしばたたかせる。眩んだ目では何もかもが二重に見える。敵を殴ろうにも狙いが定まらぬ。具体的には攻撃ロールに-2のペナルティを負ったのだ。
     エリオンがたたみかける。オーガに斬りつけざま、剣気の紡ぐ見えざる力でさらに薙ぎ払う。足元をすくわれたオーガ、思わずよろめき、穴の縁から半ば身を乗り出しかけて辛うじて止まる。穴の深さはおよそ60フィート、落ちればタダでは済まない。具体的には6d10の落下ダメージである。うっかりすると死ぬ。

     ジェイドは一瞬だけ逡巡した。唐突に戦闘が始まったので、まだ仲間を守るための状況の把握ができていない。具体的にはディフェンダーズ・オーラを起動していない。
     だが、目の前にはオーガが今にも穴に落ちんばかり。このチャンスを逃してなるものか。“ハンマー・ハンズ/槌手撃”の構えを取り、オーガに肉薄しその勢いで剣を振り抜く。当たればたたき落とせる。が、功を焦る心が手元を狂わせた。具体的には出目が1であった。
     その背後でヘプタがコアロンの祝福をと叫びながらオーガめがけてクロスボウを撃つ。具体的には“ブレッシング・オヴ・ザ・ワイルド/野生の祝福”の技を用いている。先ほどの太陽神の神官とは偉い違いだが、それでも神は誉むべきかな、撃ちだされたボルトにはコアロンの神威が宿り、敵の意識に空隙を作る。その隙をついてセイヴがするりと移動する。

     コアロンの奇跡はまだ続いていた。どうにか穴の縁に留まっていたオーガは仕返しとばかりにジェイドに殴りかかってきた。避けようもないはずだったが、具体的にはこの時オーガは攻撃ロールのダイスを2回振って出目のいい方を採用できたのだが、1つは出目が1、もうひとつもろくな数字ではなく外れ。しかも殴りかかろうとする動きの隙をついてジェイドが繰りだした剣は見事にオーガの胴を打ち、その勢いでオーガは再び穴の縁までよろめいてゆく。落ちまいとして体勢を崩し、「兄者ァ!!」と絶叫しながら穴の縁ぎりぎりで転んだオーガの耳に

    ミシュナ:「這ってでもここに来てみなさい」

     冷たい挑発の声が落ちた。その時にはオーガは既にミシュナの“ヒュプノティズム/催眠術”の術中。思わず乗りだした身体の下に、もうそれを支える岩棚はない。声もなくオーガは落下してゆく。穴の底から響いたただならぬ悲鳴に驚いたか、岩陰からもう一体オーガが飛び出してくる。あれが“兄者”か。

     あの女を生かしておいたら俺たちも妙な術で何をされるかわからない。
     ノールたちはにわかに目標を変えた。ロングボウから射ちだされた矢は、今度はミシュナに集中する。そうはさせじとセイヴがノールの1体に切りかかるが、今度も剣は明後日の方向を薙ぐ。具体的にはまたもや出目が1である。どうやらオイルを剣に塗った時に手にもかけてしまったらしい。恰好をつけすぎるとロクなことはない。

     エイロヌイが飛び出してきたオーガの方に向き直っている間に、エリオンはセイヴが斬り損ねたノールに斬りかかる。
     剣から真昼の陽光が白く迸り、洞窟住まいのノールの目を焼く。“ダズリング・サンレイ/陽光灼眼剣”の技である。振り抜いた剣は見事にノールの胸元を深ぶかと斬り裂いている。具体的にはクリティカル、しかも前回他の面々は死神屋から+1の武器を貰っているので、エリオンの剣も+1になった扱い。これまでとは全く違った手ごたえに、エリオン、一瞬息を飲む。

    エリオン;「そうか……我が成長にともない、フェノルの剣も魔力を高めているのだ……!!」

     ジェイドが残りのノールに突撃し、これまた手元が狂って空を斬っている間に、ヘプタは着実な仕事をしていた。
     さっきの2人連れからもらった“大オイル”を、穴の底でうめき声を上げながら壁に取り付き、登ってこようとしているオーガに投げつけたのだ。見事に命中。それを見届けるや否や、今度はエイロヌイを神の力に巻き込み、飛び出してきたオーガに斬りかかりやすい場所へ移動させる。充分仕事をしているのに、神の威光がまったく感じられないのはある意味才能かもしれない。神がなぜこのような者を神官として加護を垂れ給うのか全くの謎だが。そう言えばヘプタはどこかで南無コアロン様とか言っていたので、コアロン様は「善人なおもて往生す云々」とおっしゃる方なのかもしれぬ。

     ともあれ、松明のごとくぼうぼうと燃えながら岩壁を登ってくるオーガは、登りきって現れた時にどうにかすればいい。新たに出てきた“兄者”――これはオーガの洞窟狩人であったのだが――をなんとかせねばならない。
     何しろ様子を見てとるや否や、「よくも弟を!!」と叫び、手近のジェイドを力いっぱい殴り飛ばしたのだ。文字通りジェイドは数歩先まで飛ばされ、そこでどうにかふらつく足を踏みしめる。具体的には幻惑状態である。

    エイロヌイ:「お前を我が神敵と定めますッ」

     ここでジェイドが穴に落とされては洒落にならない。エイロヌイが鋭い声を上げ、斬りかかるも空振り。しかし次の瞬間、オーガは足元が崩れるのを感じた。

    ミシュナ:「そこは……穴よ。あなたたちは穴に落ちたのよ。なんで立っていられるの?」

     低く囁く声が“兄者”と、そのすぐ脇にいたノールの脳髄をくすぐる。ミシュナの魔法が紡ぎ出した幻影の裂け目に飲みこまれ、“兄者”とノールはめまいの中倒れ伏す。
     倒れながらもノールは穴の底と二重写しに見えるジェイドめがけて矢を射かけた。もう1体のノールはセイヴとエリオンに肉薄され、いまさら弓でもない。手斧を振り回すがこれはむなしく空を斬る。

     やれやれ、とセイヴは唇をゆがめて笑った。

    セイヴ:「誉めてやる。俺の突撃をここまでかわした奴は初めてだ!!」

     言いざま、凄まじい勢いで目の前のノールに殺到、剣を叩き込む。手ごたえあり、と思った瞬間、さらに踏み込み、左手の剣を思い切り薙ぎ払う。あっという間にノールは深手を負い、悲鳴を上げた。畳みかけるようにエリオンがほとんど優雅ともいえる動作で剣を振るう――聞け、我が魔剣の鎮魂歌を。それに応えたかのように、ノールはそのまま絶命してくずおれた。

    セイヴ:「お前の魂、貰い受けるぞ」

     半死者の声が冷たく響き、飛び立ちかけたノールの哀れな魂はその場で消滅した。

     戦場のもう一方の端はまだ戦闘の真っ最中だ。ジェイドが矢を受けたミシュナに勇気づけるように視線を送る。
     具体的には“テイク・ハート・フレンド/勇気持て、友よ”でようやっと女性にフラグを立てようとしたのだが、視聴者が急にかっこいいセリフを言ってくれなかったので目礼しただけになったのだ。頑張れジェイド。

     そしてヘプタはというと「へへへ、よく燃えてやがるぜ」と言いながら鬼気迫る勢いで壁を這い上ってくるオーガめがけてクロスボウを叩き込んでいる。
     どちらが悪役かわからない。
     構わず登り続けたオーガは岩棚の上に登り切ったとたん転がりまわって火を消そうとしたが――消えない。肉が焦げる臭いが鼻を突く。

     その姿を見た“兄者”、はらわたを引き裂かんばかりの叫び声を上げながら、ジェイドの頭を真上から殴りつけた。“スカル・バッシュ/脳天カチ割り”の――技の名前はついているが文字通りのこと。ジェイドの鎧が流れ出した血で赤く染まる。このままでは危ない。

     ――ミシュナ、何をしているのです。
     エイロヌイの声が急に耳の中でして、ミシュナははっと我に返った。
     何をぼうっとしていたのだろう。ジェイドが危ない。迷わず“兄者”めがけて催眠術を飛ばす。オーガは穴の縁までよろめいていき、落ちかけて辛うじて止まる。
     そこまで呪文を紡いでしまってから、ミシュナはまだ自分の精神と身体に余裕があることに気付く。何が起きたのだかわからないまま、穴の縁で留まるオーガにもう一度催眠術を飛ばすが、あわてたせいか、これは不発。実は、エイロヌイの“シー・バーゲン/妖精の取引”の技により、自分の手番でもないのにアクション・ポイントを消費して行動できていたのだ。

     そこから数撃は互いに空振りが続いた。
     その隙を縫ってジェイドは気力を奮い立たせ、具体的には底力を使ってhpを自力で回復させ、“グラウアリング・スレット/威圧的な眼光”で周囲をねめつける。殴るなら俺にしろ。俺が相手だ。
     その後は、燃えながら転がりまわるオーガを避け、“兄者”のオーガを次に殴る者の剣にコアロンの祝福があるようにと祈りながら駆け寄ってきたヘプタが神の力で癒してくれる。ちなみに燃えながら転がりまわっていたオーガは誰が手を下すまでもなくその場で焼け死んだ。

     “兄者”はみたび耳を聾せんばかりの叫びを上げ、めちゃくちゃにジェイドに殴りかかった。決死の攻撃はしかし空を斬り、そこへエイロヌイの剣が滑り込む。逸れかけた剣筋は、しかしコアロンの導きにより――具体的にはさっきのヘプタが使った“アライド・アキュラシィ/友よ正確たれ”の力による振りなおしで出目が20、過たずオーガの腱を削ぎ斬っている。

     ――今度こそ。
     ミシュナは注意深く呪文を紡いだ。乱戦の中のオーガを催眠術にかける。
     穴の縁に留まろうとして伸ばした手は宙を泳ぎ、オーガは自ら穴に身を投げた形になった。具体的にはセーヴのために振ったダイスの出目が1だった。こうなったらもう助かるすべはない。穴の縁からヘプタがクロスボウで狙い撃ちにし続ける。

     1体残ったノール、さすがにかなわないと見て逃げ出した。いや、逃げ出そうとした。戦いを放棄した者の隙だらけの逃げ足が、魔剣の使い手にかなうわけがない。エリオンとセイヴの剣がほぼ同時に走り、一瞬後、ノールは斬り裂かれて転がっていた。

     敵はすっかり片づいた。となればあとは“証拠”集めだ。オーガたちが隠し持っていた宝物は、いずれも使い方はわかるものの意匠のだいぶ異なるものばかり。そもそも、このオーガやノールも、オーガやノールだということはわかるものの、見慣れたモンスターとはどこか異なっている――具体的にはドット絵である。
     ちなみに見つかった宝物はガントレッツ・オヴ・オーガパワー、ブーツ・オヴ・ストライディング、フレイムドリンカー・シールド、レンズ・オヴ・ディサーンメント、クローク・オヴ・ディストーションの5点。

     宝物を持ち、異世界のモンスターの死骸を荷物にまとめ――これだけ異様なものを持っていけば、まぁ、証拠にはなるだろう。それに、デーモンの大穴が異世界とつながっていることが報告できれば、それはそれで面白がる連中もいるかもしれない――エヴァーナイトへ戻ろうとして、ふと、ジェイドは“忘れ物”に気付いた。

     ――そういえば、タイモーラに捧げたコインの裏表、確かめていなかったな。

     とはいえ、コインは――おそらくこの縦穴の本当に底に落ちたのだろう。今ここで確かめる術はない。
     
     ――コイン……あれ、こんなものが。

     ジェイドの足元に、他の銅貨とも異なる、今まで見たこともないコインが1つだけ落ちていた。小さい銀色のコインの表側には「100」、裏にはなにやら花の意匠が浮き彫りになっている。

     ――よくわからないが、これも記念だ。裏表を確かめられなかったコインのかわりに、これを持っていこう。



     こうしてジェイドたちはミスタラ世界由来の魔法のアイテム、ドット絵のモンスター、それに100円玉を持ってエヴァーナイトへ帰還することになる。

     一方、エヴァ―ナイトで“デーモンの大穴”と呼ばれる裂溝の底では、アーズとグレルダンがフォーゴットン・レルムのコインを不思議そうな顔をして拾ったところ。

    アーズ:「グレルダンさん、あの人たち、地下50階の横穴に入って行っちゃいましたよ……」
    グレルダン:「あそこにはもう竜はいないはずだ。おそらく大丈夫だろう……」

     そんな会話を交わしながら。



     だが、話はそこでは終わらない。
    ジェイドたち一行がデーモンの大穴の壁を登りきり、エヴァーナイトに再び踏み込んだ、ちょうどそのとき。

     赤いローブの人物が3人、目の前に立った。若い娘と、そして彼女の背後に控えるように2人の男。まとったローブの色からも、その異様な風体からも間違えようがない。サーイのレッド・ウィザードだ。
     一行が穴から這いあがるのを見下ろしつつ、娘が口を開く。ジェイドもエイロヌイも無視し――まっすぐミシュナを見つめて。

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     ――探したわ。さんざん手をかけさせてくれたわね。
     ――そう、あなたがヴァリンドラ様に愛されているという……でも、覚えておきなさい。真のレッド・ウィザードはこの私。

    ミシュナ:「あの……どちら様で」

     ミシュナ、きょとんとした顔で問い返す。同い年ぐらいのこの娘に、どうやら一方的に喧嘩を売られているようだが、実のところミシュナには全く身に覚えがない。――覚えていないだけ、かもしれないが。
     娘は薄く笑い、こう答える。


     ――もちろん、あなたと同じ出自のものよ。あなたを迎えに来たわ、ミシュナ。



    ジェイドの決断

    第二部第1回:
    問い:「1日50gpと胸の肉1ポンド」の条件でグールの案内人を雇うか?
    決断:雇いたいが、肉はともかく無い袖は振れない。1日あたりの給金をまけてもらう。

    第二部第2回・その1:
    問い:酒場で盛り上がるアンデッドたちにどう接する?
    決断:郷に入ってそっぽを向いていてもしかたない。一緒に騒ぐ。

    第二部第2回・その2:
    問い:エヴァーナイトで名を上げるために何をする?
    決断:デーモンの大穴に入る。そろそろ、タイモーラに捧げたコインの裏表を見に行くのも良さそうだ。

    第二部第3回:
    問い:「おろかな奴。もう一度訊く。そんなに死に急ぐか?」
    決断:Yes


    著:滝野原南生
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