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ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第12回-
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ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第12回-

2014-03-20 17:22


    勇気持て、友よ
     “将軍”の身体からは蒼い炎が吹きだしていた。荒ぶるエネルギーがセイバインを蝕み、塵へ変えようとしている。
     歩みよるあなたに、エイロヌイが戦う者の瞳で告げた。「この方は戦士です。呪文荒廃などで死ぬべきではありませんでした――ゆえに、手は止めなかった」
     それはあなたにもわかった。
     ――だが、自分が戦っていたら。
     考えがよぎる。頭を振る。未練だ。
    「やったな、お前ならできると思っていた」
     サビーヌとあなたが呼んでいた頃の声であった。師は蒼炎に灼かれつつあなたを見つめている。
    「どうした、なぜそんな顔をしている。お前は私が教えたとおり、良き仲間を見つけたじゃないか……」
    「でも、私はあなたも守りたかった」
    「お前は十分にやってくれた。私の誇りを守ってくれた。そして、部下も守る事ができる。私の部下達に命令を下してやってくれ。お前達は私を降した。ミンターン島の傭兵は強い者に従う……。この盾を持って行け。証しだ」
     ガラン、とミンターン傭兵団の紋章が描かれた盾が転がる。支えていた腕はもう、崩れている。

     街のそこかしこでは呪文荒廃の力が渦巻き、荒廃クリーチャーどもが湧き出していた。両陣営の指導者が戦いのただ中に消えた今、“アラゴンダーの息子たち”も、ミンターン傭兵団も戦うべき相手に戸惑い、浮き足立っている。

     あなたは盾を掲げ、高々と呼びかけた。
    「セイバイン将軍の名において命ずる、ミンターン傭兵団はその雇われた本義を思い出し、ネヴァーウィンターの民を守るために戦え! レジスタンスには構うな」
     戦士達は戦いのあった橋を見た。そこには、将軍の盾を掲げるあなたの姿がある。
     戦士達は何があったかを一瞬で理解した。将軍はふさわしからぬ者に盾を預けるような戦士ではない。
     隊列が組まれる。島唄が響く。

    「“アラゴンダーの息子たち”! 傭兵には構うな。今、我らが戦うべきは化け物達だ。戦えない者達を守って戦え! 」
     アーロンがあなたの意を酌んで、仲間に呼びかける。

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     ずしん、と橋の石組みが揺れた。
     強大な白龍が舞い降りたのである。身を隈取るのは呪文荒廃の蒼い炎だ。
     サビーヌがその目で強くうなずく。
     ――征け。
     あなたは、盾を構え龍に向かって踏み出した。

    「私もこれでようやくレオン様に顔向けができる。いつまでもサン家の戦士でいたかったが、そうはなれなかった」
     師の言葉は、あなたに届いただろうか。
    「お前ならやれる、ジェイド。仲間と共に征け(テイク・ハート、フレンド!)」

    DM:というわけで、今の会話が小休憩相当と言うことで(笑)
    サブマス/ジェイド:すごくカッコ良いけど、ひとまず現状確認しましょう。各自、回復力使用回数とアクション・ポイントの残り、[一日毎]攻撃パワーの申告願います。

    ジェイド:残り3回
    ヘプタ:残り3回、アクション・ポイント有
    エリオン:残り6回
    セイヴ:残り6回
    エイロヌイ:残り3回

    DM:よしよしよし、防衛役が削れてる♪
    エイロヌイ:つまりこれまでの戦闘で防衛役が仕事してたってことよね~。“レイ・オン・ハンズ/癒しの手”はもう終わってます。
    ヘプタ:回復パワーはつまり、“ヒーリング・ワード/治癒の言葉”2回のみってことッすね。それ以上は底力とヒーリング・ポーションっす」
    セイヴ:逆にその、なんだね、あまり考えなくて良い感じ(笑)
    エリオン:耐える、殴る、我慢する、以上!
    ヘプタ:「なンでそんなにやる気なんですか」と一応PCとして言っておきます(笑)「逃げるッすよ、皆さん!」
    エリオン:「今我々が逃げたら、誰がこの街を守るんだ?」


    このシーンのうらがわ

    サブマス/ジェイド:一応聞くんですが、このドラゴンは『解放してくれてありがとう!』ってお礼を良いに来たんじゃないですか?
    エイロヌイ:性善説だ!
    エリオン:大事にしてた宝物を上げるよ、とか(笑)
    DM:自分を石化した相手、かつて自分を瀕死に追い込んだ敵がそこにいるのを知って怒りに燃えています。
    全員:『ですよねー』
    サブマス/ジェイド:「みんな、良かったな。このドラゴンが襲うのは市民じゃない、俺たちだけだ。俺たちが死んでから、市民にいく」
    DM:おそらく、皆さんががどこまで逃げても追いかけてきます♪
    セイヴ:あ、今なんとか逃げようというヘプタの希望をジェイドが絶望で書き換えた(笑)



     べそをかきながらヘプタが言った。「もう逃げられないってことッすね」。答えるのは死人、いつも通りに抜いた刃を肩に担ぎ、不敵に笑う。「俺たち、地下や裏の住人がこの街を救うってのが、俺たちらしいじゃないか」
     橋を揺るがす竜の咆吼。
     立ちはだかるのは、美しき樹精。
    「時ならぬ寒波をもたらしたのはどこの妖精さんかしら?」
     金の鎧を輝かせ、細身の剣を竜の眉間にぴたりと据える。
    「この街の名はネヴァーウィンター。冷気は似合いませんわね」浮かべた笑みが、戦いの始まりを告げた。

     冒険者たちは改めて作戦を考える。
     すでにこの竜とは第一部の頭で戦っているので、戦闘能力は公開されている。

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     まず避けるべきはドラゴン・ブレスにより全員が大ダメージを受けること。回復手段がごく限られるこの戦闘では、それぞれを回復している時間はない。
     ドラゴン・ブレスの攻撃範囲は噴射。ゆえに、冒険者たちは竜の前後、あるいは左右に分散し、ブレスを受けるのは少なくとも片一方となるように立ち回る必要がある。

    セイヴ:でも、たしか挟撃して攻撃ヒットさせると尻尾がくるよね?
    DM:テイル・スラップは命中すると5マス押しやります。
    ヘプタ:この橋の上で5マスって(汗)落されるっす。
    エイロヌイ:挟撃の位置にはつかないように気をつけないとね。
    サブマス/ジェイド:あと、可能なら転ばせよう。こっちの足場が限られてるってのに、向こうが飛び回ってたら勝てやしない。飛ばさせちゃダメだ。
    DM:さらにこいつはブルーファイアー・バーストというパワーも持っています。重傷になったらそこで発動、自分を中心に爆発2マス[火]かつ[冷気]ダメージを与えて2マス押しやり。
    エリオン:ここでも押しやリか……。
    ヘプタ:重傷になった瞬間が一番ヤバイッすね。
    サブマス/ジェイド:こっちの手番で重傷にして反撃喰らったあと、ドラゴンの手番が来る、その時には重傷になっているから攻撃は17以上でクリティカル。その後でアクション・ポイントの追加行動をやられると一方的に連続攻撃、か」
    セイヴ:俺の攻撃で伏せさせるのが一番だな。

     行動順は以下の通り。
     ドラゴン(本能):27、ヘプタ:21、ドラゴン:17、エイロヌイ:17、セイヴ:10、ジェイド:8、エリオン:6


    本能 対 決意
     竜族の戦闘脳は脊髄反射のレベルで敵を捉え、討ち滅ぼす。
     彼らにとって戦闘は呼吸と同じ基本動作、本能的戦闘反応なのである。
     白龍のそれは、蹂躙。
     だが、白龍の目の前に立つのはこれまでに相手にしてきた“獲物”ではない。
     きっぱりと立ち向かうジェイドは機会攻撃を叩き込む。だが興奮した白龍は迎撃の手傷などものともしない。具体的にはダメージ減少5でかすり傷にしてしまうのだ。
     果たして龍の爪が振るわれる。
     DMの出目は1。
     牙が掲げた盾に深く傷を穿つ。幸先よしと沸き立つプレイヤー。

     泣き言を言いつつもヘプタは祖神コアロンへの祈りとともにクロスボウを放つ。“ブレッシング・オヴ・ザ・ワイルド/野生の祝福”を込められた太矢は竜の肩口に突き刺さる。この隙を利用してジェイドが白龍との間合いを詰める。

     そして竜が首をもたげる。

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    サブマス/ジェイド:ジェイドの後5マスには他のPCはいません。ブレス吐くならジェイド一人相手にどうぞ。
    エリオン:さぁ、ブレス吐け♪
    DM:もったいないので、飛行してジェイドを飛び越し、後方集団にブレス吐きます。移動に対して機会攻撃どうぞ!

     ジェイドの機会攻撃はまたしてもヒット。しかし、竜の移動は止められず。
     突出したジェイドと後方集団との間に降り立った白龍は悠々とブレスを吐く。エイロヌイはミス、半減ダメージ。セイヴにはヒット、ダメージに加えて足下を凍らせて減速状態(セーヴ・終了)そして、ヘプタにはクリティカル!

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    DM:22点と減速状態をプレゼントです! アクション・ポイントはまだ使いません!
    エイロヌイ:「支援するわ」まずはディヴァイン・チャレンジでマーク。“ライチャス・スマイト/正義の一撃”がヒットしたので、エリオン以外に一時的hp8をプレゼント。

     眼前に立つ竜の威容に思わず気圧される冒険者たち。しかし、聖騎士の一撃は仲間達の胸に勇気を吹き込む。
     セイヴは森の秘密をよび起こす。蒼白の肌が樹皮の如くにひび割れ、古き樫の木の頑健さが身に宿る。龍の爪をかいくぐった突撃はジェイドの牽制にタイミングを合わせた挟撃である。振り下ろす刃は確実に鱗を穿ち、肉を割く。
     雄羊の如き衝撃力に龍の膝が落ちる、倒れる。左手の刃がさらに追い討ちに閃く。
     しかし四肢すべてに宿る龍の戦意は、脳髄を介さずに反撃を可能にする。
     力強い尾が動きセイヴを捕える。たまらず吹き飛ぶセイヴ。
     瞬間、伸ばした手が橋の欄干をつかみ落下を防ぐ。四肢を覆っていた氷片がぱらぱらと川面に落ちた。
     仲間の危機を目の当たりにして、ジェイドは剣戟と同時に高らかに叫ぶ「お前の相手はこっちだ!」と。“グラウアリング・スレット/威圧的な眼光”で自分へと攻撃を集中させようと試みる。
     そしてエリオンがヘプタ、セイヴのかたわらを縫って突撃。返す刃に呪文が燦めき光輝が龍の目を穿つ。11点+4点の[光輝]ダメージに命中判定に-2のペナルティを更に重ねる。“ダズリング・サンレイ/灼眼陽光剣”の技である。

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    エリオン:あ、ちょっと演出入れたいんで30秒くらいもらって良いですか?
    DM:どうぞどうぞ(笑)
    エリオン:この戦いの直前なんですけど、エリオンは「ウッ!」と右目を押えるんですよ。(全員爆笑)
    エイロヌイ:「お続けになって(笑)」
    エリオン:みるとその右目から赤い光が溢れ、光条が溢れてる。「なんだこれは、風景がすべて2重に見える?! 見えるぞ、この橋が崩壊し、荒廃クリーチャーが徘徊する修羅の情景が見える。そして赤いローブの後ろ姿が。アレはいったい?」……と、予言のできる弟の目が片方の目に宿った!
    全員:おおー!
    エリオン:「しかしもう一つの情景も重なっている。これは、この橋が綺麗に飾り付けられ、民衆が集まり,ネヴァー城に向かって歓呼の声を上げている様だ。ネヴァー城のバルコニーに立っているのは、あの姿は! 民衆が呼ぶ名前は……」
    エイロヌイ:「目の前の戦いに集中なさい!」と乱入しておく(笑)
    エリオン:「なンにせよ、この戦いがネヴァーウィンターの運命を決める戦いになりそうだ」
    DM:すると、エリオンの脳裏に声が聞こえてくる「兄さん! 兄さん!」と
    サブマス/ジェイド:あ、拾った!
    DM:「僕には見えるんだ、兄さんの足下が崩壊するのが」(笑)
    エリオン:ちょっと! もう少しいいお知らせないの?
    DM:「この間、アドバイスが曖昧だって言われたから具体的にしてみたんだよ兄さん! 今立っている場所は危ない、右へ一歩、前に二歩、僕を信じて」
    セイヴ:超具体的になった!

     戦いは第二ラウンドに突入する。
     冒頭、ドラゴンの本能による行動があるが、この時点で白龍は

     *エイロヌイのディヴァイン・チャレンジでマークされ、エイロヌイ以外には命中-2+ダメージ。
     *伏せ状態により、命中-2。
     *エリオンのダズリング・サンレイにより命中-2。
     *ジェイドのグラウアリング・スレットによりジェイド以外への攻撃は命中-5。

     結果としてジェイド、エイロヌイ以外を攻撃するには-11、エイロヌイには-9、ジェイドには-6のペナルティである。本能といえどただ無謀な攻撃は行ないはしなかった。
     前のラウンドにドラゴン・ブレスのクリティカル・ヒットを受けたヘプタは底力を使用、回復して重傷を脱しつつ、後ずさる。減速状態解除のセーヴには失敗。足はまだ凍りついたままだ。

    DM:ドラゴンの手番! さァ、ブレスの再チャージ来いッ!
    全員:来るなーっ!

     しかしドラゴン袋にはいまだブレス溜まらず。ならばと立ち上がって体勢を立て直して、必殺の爪を二連。ジェイドに打ちこむが出目は1と10、とどかない。

    エイロヌイ:もう、殴り続けるしかないわね。“エンフィーブリング・ストライク/腕痺れさす打撃”、ヒットして11点、そしてやっぱり命中-2!

     聖騎士の刃が龍の胸を抉る。その瞬間、切裂かれた傷口が中からめくれあがるように蒼い炎が炸裂した。
     呪文荒廃の蒼い炎が冒険者たちを灼く。

    DM:範囲攻撃でエイロヌイを含んでいるから、ディヴァイン・チャレンジによる-2は入らないですね。
    サブマス/ジェイド:それでも、ジェイド以外にはグラウアリング・スレットで-5、ダズリング・サンレイで-2、エンフィーブリング・ストライクで-2のトータル命中-9ペナルティですよ!

     防衛役(ジェイド、エイロヌイ)と制御役(エリオン)が全力で龍の動きを止めている。爆発からは全員身を伏せることに成功した。与えることのできたのは半減ダメージのみであり、それも一時hpやダメージ減少で止まる。

    DM:けれど、この“ブルー・ファイアー・バースト/青火炸裂”ををかわすことのできない存在が一つだけある。それはこの橋!
    全員:『!』

     南北のネヴァーウィンター市街をつなぐただ一つの橋が、今、崩れ落ちた。
     その上に立つ冒険者、龍もまた水煙の中に落ちる。

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    エリオン:予言はこれか!
    DM:エリオンは予言があるので落下しないですみますね!
    エイロヌイ:(コロコロ)判定失敗、水中に落ちた!

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     ジェイドは体勢を保ち橋の上。落ちた橋の上に居たヘプタとセイヴもなんとか落下した橋の残骸の上に立っている。
     しかし、敵は既に重傷となっている。
     畳みかけるのは今しかない。ヘタにこの白龍に手番を廻したならば、17~20でクリティカル・ヒットを受けまくることになる。暴れ役のクリティカルは戦線をたやすく崩壊させる。
     
    セイヴ:残骸の上を跳躍すれば突撃できるな。転ばせる。
    サブマス/ジェイド:あ、ちょっと遅らせてください。ジェイドがちょうどセイヴの反対側にいるんで、いまセイヴが攻撃ヒットさせると尻尾の反撃が来ます。ジェイドは殴ってから挟撃位置を外しますから!

     ジェイドは移動してドラゴンの接敵面の角へ移動。機会攻撃は誘発するが、まだ命中へのペナルティは生きている。果たしては空を切り、エイロヌイの制裁が龍の身体を灼く。ジェイドの剣も命中、温存しておいたパワー・ストライクをここでつぎ込む。どちらが先にhpを削りきるかの勝負である。

    セイヴ:立ち幅跳びで飛び石を飛んで突撃、ヒット!パワー・ストライクこみで16点、“雄羊の相”なのでドラゴンは伏せ状態(DM:ぐぬぅ)。そして追い討ちも入った!
    サブマス/ジェイド:累計167点!
    エリオン:エイロヌイを助け出します。水の中に飛び込む!
    DM:機会攻撃を噛みつきで、ミスしたけど[冷気]5点喰らえ!
    エリオン:まだまだ! では水中でエイロヌイをお姫様だっこして、“フェイ・ステップ/妖精の一跳び”で離脱します。
    ヘプタ:カッコ良いッす!
    エリオン:「さあ、どこに出ましょうか。お姫様?」

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     フェイ二人は水中から橋の上、ドラゴンの側面へと出現する。
     そして迎える第三ラウンド。

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    DM:川の向こうからいい匂いが近づいてきます。
    セイヴ:ジャーヴィ!?
    エリオン:ケーキだ(笑)
    ヘプタ:うまそう(笑)
    サブマス/ジェイド:「お、お前何しにきた?」
    DM/ジャーヴィ:「何言ってるんだ、前のドラゴン戦の時にもオイラはいただろう? あんた達のためにエリクサーを練り込んだパイを持ってきたんだ。これを食べてヤツを倒してくれ!」というわけで、ジャーヴィのいるマスまで行ってパイを食べるとアクション・ポイントを1点、または[一日毎]パワーが1を回復できます。
    全員:『マジで?!』

     事態が差し迫っているために、冒険者たちここ3セッションほど限られた休憩しか取ることができていない。
     ジャーヴィの登場はこうした“長い戦闘”でリソースを回復するためにDMが用意してくれたものである(これらのノウハウについては『ダンジョン・マスターズ・ガイド2』55ページのコラムに詳しい)。


    血戦
     白龍の本能は、もはや生きながらえることを考えてはいなかった。
     前にいる、不遜な、ちっぽけな人間。
     こやつらをずたずたに切裂く、それだけを望んでいた。
     闘争本能に身を委ね、倒れたまま身をよじり、虫けらどもを擂り潰す。
     機会攻撃を命中させたのは、ジェイド、エイロヌイ、セイヴ。たとえ、この時の龍にダメージ減少5があったとしてもダメージは甚大であった。
     そして龍の攻撃はジェイド、エイロヌイ、エリオンに。
     爪が捕えたのはエリオンのみであったが、この爪でエリオンは重傷に追い込まれる。
    「よくも俺たちのネヴァー橋を! 」
     怒りに燃えるヘプタ、しかし昂ぶるだけでは攻撃はあたらない。アクション・ポイントを使用し、さらに攻撃を重ねるがミス。
     そしてドラゴン。

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    DM:また再チャージ無しか……。
    全員:ひゅーひゅー♪
    DM:移動アクションで起き上がって、ドラゴンズ・フューリィ(爪の2連続攻撃)をエイロヌイ! ああッ!

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     出目は1。
     続く出目も低く、当てられない。

    DM:アクション・ポイント! もう一度爪二発の攻撃!
    エイロヌイ:何回でも来るがいいわ。

     出目は19。“サヴェジ・ブラッド/血の暴虐”の特徴によりクリティカル=最大ダメージである。

    DM:18点ダメージ!
    エイロヌイ:重傷。
    DM:そして反対側の爪は……

     出目は18。恐れていたクリティカル連続である。再び18点ダメージ。

    エイロヌイ:ジャストゼロですね。
    全員:(悲鳴)
    エリオン:ヤバイやばい!
    セイヴ:やっぱりクリティカル強えな!

     エイロヌイの体からは血が流れ、止まりそうもない。死亡セーヴに失敗して1アウトである。

    セイヴ:あ、エイロヌイに対して“ダークリーピング/暗き刈り取り”使用。その断末魔を剣に宿す。
    サブマス/ジェイド:(あ、あれ味方にも使えたんだった)「よくもエイロヌイを!」パワー・ストライク乗せて18点。やっぱりクリティカル怖いので、マイナー・アクションでエリオンに“テイク・ハート、フレンド!/勇気持て、友よ!”
    エリオン:初めて貰った!
    DM:これでパーティ全員コンプリートですね。

     ドラゴンへの累積ダメージは200超。
     まだたりない。削り倒さないと。
     しかし続くセイヴの突撃は出目1、魔剣の鎮魂歌(ブレードソング)を起動したエリオンも出目3と振るわない。

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     ジャーヴィが倒れ伏したエイロヌイの元にボートを寄せる。
     そして第4ラウンド、ドラゴンの本能的蹂躙。

    DM:……。本能は、行動しません。
    サブマス/ジェイド:(機会攻撃で被害が蓄積するのを恐れている? ブレスの再チャージを待っているのか!)
    ヘプタ:“ステップ・トゥギャザー/揃って一跳び”だけどひとりトゥギャザーで機会攻撃うけずに距離を詰めます。
    エリオン:寂しいなぁ(笑)
    ヘプタ:ヒーリングワードをエイロヌイに(エイロヌイ:回復しましたー)。ブレッシング・オヴ・ザ・ワイルドをヒットさせて7点、効果でセイヴをシフトさせて間合いを切らせます。
    DM:ここでブレスを再チャージすれば! (コロコロ)

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    DM:なら、ジェイドに向かってドラゴンズ・フューリィ! 今は命中判定にペナルティ無し!
    エリオン:怖い怖い!
    DM:1発目、外れ! 2発目普通にヒットして15点。アクション・ポイント使ってもう一回。その1発目外れ、2発目ヒットして14点!
    セイヴ:デカイよ!
    サブマス/ジェイド:重傷です……。一時hp貰ってなかったら危なかった! 次エイロヌイ!
    エイロヌイ:移動で起き上がり、マイナー・アクションでクローク・オヴ・レジスタンスのアイテム・パワーを起動“すべてのダメージに対する抵抗5”を獲得。
    セイヴ:ジャーヴィのパイは? 食べない?
    エイロヌイ:うーん(悩)残っているのは標準アクションだから、攻撃しないでAP貰ってもなァ。後どれくらいで死ぬだろう?
    サブマス/ジェイド:あと20点くらいかなぁ。
    セイヴ:セイヴの突撃がクリーンヒットしたらオチる。
    エイロヌイ:ならそれに賭けよう。遠隔パワー使うんで機会攻撃ください。
    全員:!!
    DM:当てればたぶん攻撃が来なくなるんだよなぁ……。
    エイロヌイ:ただし、ジェイドの“ディフェンダー・オーラ/守護者のオーラ”内です。殴るならジェイドが殴り返すよ!
    DM:いや、ここは殺るね。機会攻撃します。
    サブマス/ジェイド:“バトル・ガーディアン/守護者の戦技”により割り込んで攻撃! ヒットしました。最大ダメージで累計219ダメージ……!
    DM:まだ落ちはしない……。機会攻撃! ……ミスです。
    エリオン:良かった!
    エイロヌイ:“ダズリング・フレア/目眩む閃光”ん? 微妙な出目……反応14は?
    DM:それは避ける! 次はジェイド?
    ヘプタ:あれ、これはジェイドが沈められるんじゃ?
    サブマス/ジェイド:デスね(笑)
    エリオン:さぁ、みんなでサイリウムを振ろう(笑)「ジェイドに力をー!」
    サブマス/ジェイド:万全を期して、構えを“ポイズド・アソールト/堅実な攻撃の構え”に変えて攻撃! 出目17で命中11点。
    DM:累計は?
    サブマス/ジェイド:240ちょうど。
    DM:240! その一撃を受けて龍の巨体が揺らぐ……!
    全員:やった!
    エリオン:ジェイドが決めた!

     ネヴァー川の両岸から流れてきた煙が、倒れる巨体に吹き散らされ、橋の上(いや、橋のあった場所、だ)が明らかになる。
     固唾を呑んで戦いを見ていた市民の目に見えたのは、仰向けに倒れた白龍の巨体と、そこに立つ冒険者たちの姿、兜を被った戦士の姿であった。

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     戦闘参加者の残りhpはみな10点前後。
     爪の一発、牙の一噛み、いや、ブレスが一回でも再チャージしていれば、倒れていたのは冒険者たちだった。
     薄氷を踏む戦いであった。

    「やれやれ」白面の二刀使いがあぐらをかいて座り込み、大きく息をついた。「片付いたな」
    「どれ、パイでも一切れ頂こう」ボートの上に軽やかに降り立ち、魔法剣士が微笑む。
    「このミートパイでお祝いッす!」答えたのはへプタだ。
     周囲の呪文荒廃の力が弱まっていくのをミシュナは感じた。
    「このホワイト・ドラゴンが荒廃の魔力の源だったのね……」
     戦いの場に立つもの誰もが、やわらかな笑みを浮かべ、勝利に安らいでいた。

     だが、しかし。同じ時、ネヴァーウィンターの闇の中には静かに怒りの炎を灯す者がいた。

    「なかなかおもしろい見せ物だった」羽根飾りの帽子をかぶり、伊達男のドラウは闇の中に消える。
    「“ネヴァーウィンターに迫る嵐”は止められない」女予言者もまた、自分のいる場所へと戻る。
    「(――また、新たな計画が必要だな)」闇に浮かぶ脳髄は一抹の思考を残して、深淵へと瞬間移動した。
     そこに残るのは、赤い衣をまとった女のリッチである。
     その手が、肩が震えている。
     怒りだ。
    「妾の計画を邪魔しおって……、許さんぞ冒険者ども! 」
     ヴァリンドラは冒険者を呪い、なじり、呪文を紡ぐ。
     喚び起こした闇が凝り固まって、この世界と影の世界との境界をねじ曲げ、引きちぎり、つなぎなおす。

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     橋の上に生まれた一点の真なる闇は、瞬間に膨れあがり冒険者たちを飲み込んだ。
     戦火の混乱未だ止まぬこの街で、それを目撃したものは少なかった。
     
     時を同じくして、正義の館。
     ネヴァレンバー卿と“アラゴンダーの息子たち”の穏健勢力、灰マント派の首魁マダム・ロザンヌとの面会は続いている。
     マダム・ロザンヌは言ったのだ。「アラゴンダー王家の血を引く者をお連れします」と。
     果たして、そのものはやってきた。
     前に立ち、手を引くのは革鎧の女性。襟元には竪琴のバッジ、名高き自由の守護者、ハーパーの証しである。

    DM:先に入ってきたのは、ハーパーのリーダー。キムリルです。
    エイロヌイ:(おっと!)
    ヘプタ:(死んだハズなのに!)

     そしてその後から、光が溢れた。
     南方、カリムシャンの絹で作られた鴇色のドレスをまとった娘である。
     年は若い、少女と言ってよい。しかし、漂わせる王者の風格はどうだ。
     百戦錬磨の貴族、ウォーターディープの公開領主たるネヴァレンバーですら、その威儀の前には気圧されてしまう。
     あまねく光は彼女が腰に佩く剣から放たれていた。

    サブマス/ジェイド:あの剣はまさか!
    DM/マダム・ロザンヌ:「このお方こそが真のアラゴンダー王家の血を引く者・レディ・タンジェリン。ウォーターディープのサン家にかくまわれていたのです!」その腰にあるのはサン家伝来の宝剣サン・ブレード! その剣を持つのはジェイドの妹、タンジェリン!
    全員:ええええ!
    DM:宮廷にいる者達はみなその威容に打たれ、思わず膝をつく。ネヴァレンバーも、そしてあのこれまで決して手を休めることの無かった市長のソマン・ガルトですら!
    サブマス/ジェイド:……でも、ニュー・ネヴァーウィンターと“アラゴンダーの息子たち”の争いが無くなるんなら、これはこれで『アリ』なのか?
    セイヴ:いやでもこれは、最終的に対決する流れだよ?
    サブマス/ジェイド:いや、タンジェリンがよほどのことをしないかぎりだとは思うけど……思うけど……絶対そんなはず無いよなぁ……。
    DM:彼女は何も言わず、笑みを浮かべて立っている。
    ヘプタ:これ、明らかにさらなるネヴァーウィンターの悲劇の始まりッすね。
    DM:では、最後に闇に飲み込まれた皆さんがどうなったかを。


    Taken Into The Shadowy Land

     冷たく、暗く、湿った場所だった。あなたが気づいたのは。
     ざっ、ざっ。
     音がする。
     ぱらぱら、ざらざら。
     なにかが横たわるあなたの体の上に降りかかってくる。湿った、黴臭いにおい。

     目を覚ます。
     四角に切りとられた暗い空が見えた。その空には暗い雲の濃淡が渦巻いている。
     あなたは土の穴の中に横たえられているのだった。
     ざっ、ざっ。
     土が降ってきて、あなたの胸に積もる。腰から下はほとんど墓土が覆っている。

    「待て、まだ俺たちは死んでいないぞ! 」

     降ってくる土がやむ。
     人影が幾つか、穴の中を覗き込む。
     あなたは飛び起きた。
     覗き込んだ影はみんな、屍であった。青白い顔にぱっくり傷が開き、脳髄が見えるもの。綺麗に肉が剥がれ落ちたしゃれこうべ。獣の目と牙を持つ人ならざる食屍鬼。
    「ほう、まだ死んでいらっしゃらなかったのですか。ならば客人としてお迎えせねばなりませんな!」
     滑らかな言葉は、顔に笑みがはりついた身なりのいい食屍鬼の口から発せられていた。

    「ようこそ、よろめき歩く死者の街、エヴァーナイトへ! 」

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