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『ネヴァーウィンターの失われし王冠』第三部第6回リプレイ:九勇士の墓所
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『ネヴァーウィンターの失われし王冠』第三部第6回リプレイ:九勇士の墓所

2014-06-11 13:57



    水曜夜は冒険者――場所はお馴染み、東京は代々木、HobbyJapanの配信室から。
     本日は――いよいよ妹と対面、のはずのジェイドの代表PL柳田が風邪でお休み。ここで妹に会うのが怖くなって足が竦んだ……というわけにも、さすがにいかない。てなわけで、ジェイドの台詞についてはできれば視聴者の皆さんの台詞を拾っていきたいと思います、という宣言の後に始まる冒険は……



     話は少し遡る。
     エリオンとエイロヌイがデイロンとアデミオスに、そしてセイヴがキング・トイに対面していた同じときに。
     ヘプタも光の霧の中で一瞬自分の居場所を見失い――そして霧が消えた瞬間、頭上から凄まじい殺気を感じて反射的に飛び退いていた。

    ヘプタ:「キムリルさん!! 探してたっすよ! ずっと追いかけてたンっすよ!! ――いろいろと聞きたいことがあるっすよ!!」

     ヘプタの目に映ったのは剣を構えて空中に浮かぶキムリルその人。喉元に突き付けられた刃物を転がって避けながら、ヘプタは口いっぱいに叫ぶ。

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    キムリル:「ヘプタか――チンピラ稼業に戻ったとばかり思っていたが。で、いったい何が知りたい」
    ヘプタ:「全部っす。一切合財全部ききたいっす。なんでキムリルさんは生きていたのか、それから、なんでハーパーを裏切って仲間を死なせたのか」

     直截な物言いに呆れたふうのキムリルは、だがここで会ったのも何かの縁だ、それにこの先どちらも生きていられる保証などないのだし、話すだけは話しておこう――そうつぶやく。話しながら彼女の肌はどんどん黒く――影の色になっていく。いつのまにか、ヘプタの前で語っているキムリルは、すっかりドラウエルフの姿になって――いや、戻っている。

     キムリルの本当の名前はキムリアル・オブロドラ。ブレガン・ドゥエイアゼの一員で、ジャーラックスルの副官だったという。だが、地上で長く活動を続けるうち、目にし続けた“正義”というものに心惹かれるようになった。それで「“正義”というものを確かめたくなった」彼女は姿を変え、正義の秘密結社ハーパーに身を投じたのだそうだ。
     実力のあるものが重用されるのはどの組織でも同じ。あっという間に彼女はネヴァーウィンター支部の責任者になり、そこでレジスタンス活動をする“アラゴンダーの息子たち”の支援に当たった。最初はそれこそが正義なのだと思っていた。
     が、長く付き合えば付き合うほど、“アラゴンダーの息子たち”のしていることもドラウとしての自分たちのやりようとさして変わらないということに気付いた。策謀、裏切り……そんなものに関わり続けるハーパーとしての自分に嫌気がさしたキムリル=キムリアルは、裏切り者として自分の存在を消した。そして彼女はそのまま二度と表には出ないつもりだったという。

    キムリル:「だが、あのタンジェリンという娘を見ていると、もう一度正義というものを信じてみたくなったのだ。彼女はこの廃墟と化した街を救いたいと言った。そしてあのデイロンという預言者が、この城の地下に眠るフェイの秘宝があればそれが叶うかもしれないと言ったのだ。だから私はここにいる。――さて、私の話は済んだ。では、お前はどうしてここにいる」
    ヘプタ:「仲間と一緒にあんたがたを追っかけてきたんですよ」
    キムリル:「その仲間は信用のおける仲間か。この街を滅ぼした張本人が一行の中にいると聞いたが」
    ヘプタ:「確かに引き金を引いたのはジェイドですがね、彼には責任は一切ありませんよ」

     ヘプタは迷いなく言い切った。

    ヘプタ:「ジェイドのことはみなさんご存じみたいっすよね。ジェイドだってこの街を救おうとしてる。なんでタンジェリンのやることはよくてジェイドはダメなんっすかね?」
    キムリル:「知らん。――我々が言うことではない。それを決めるのはネヴァー城の亡霊たちだろう……」

     言いながらキムリルの姿は薄れていく。時空の歪みが戻っていくのだ。

    ヘプタ:「そりゃそれでいいんっすけどねキムリルさん。あんたが今、正義のハーパーとしてこの街を救おうとしてるのもわかりましたっすけどね、でもあんた、俺らを裏切ってハーパーを壊滅させたのはあんたじゃないっすか。そのことは変わんないんすよ……?」
    ジェイド:「ヘプタ、誰かと会っていたのか?」

     言い終えた時にはもう、元いた場所。キムリルがいたはずの場所にはジェイドがいて、どこかうらやましそうにそんなことを言う。



     感傷に浸ってばかりもいられない。先に進まねば。
     行く手のすぐ先で、廊下は二股に分かれていた。どちらも同じように大きな弧を描いており……その形状から、この廊下はずっと先で合流し、ちょうど大きな円形の広場を取り巻く形になっているのだろうということはすぐに見て取れる。

    ミシュナ:「気を付けてください。強い死霊のオーラを感じます――サーイのものです。ほら、見て、あっちこっちにサーイの印が刻まれている。もう数年は経っているわ。ここに数年前から目を付けて、作り出したアンデッドをここに放って活動させていたのね」
    エリオン:「そのサーイの手のものだが……ここでずいぶんな激戦を繰り広げていたみたいだな。ここに詰めていたアンデッド軍を破って進んだものがいる。おそらくデイロン――タンジェリン率いる一行だろう。だが、彼らもただでは済まなかった」

     廊下に散らばる損壊して動かなくなったアンデッド、骨で作られたチャリオットの残骸。だが、その間には生者の流した血の跡が生々しい。さらに、動いているアンデッドはいないというのに、死霊のオーラが重苦しく圧し掛かってくる。
    エイロヌイの顔色があからさまに悪くなる。
    具体的には、前回の技能チャレンジが成功したというので+2のボーナスを得ていたにも関わらず彼女はセーヴに失敗し、六月六日に発売予定の『不浄なる暗黒の書』掲載の新たな呪いであるところの“墓所の王の怒り”をうけてすべてのダメージに対する脆弱性5を負わされたのだ。ちなみにこれは呪いをかけたものを説得して呪いを解いてもらわない限り付きまとうものらしい。

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    それでも先に進まねばならない。

    行く手には開け放たれた扉。そこから陽光にも似たあたたかい光が漏れてくる。
    扉の奥は円形の広場になっている。地下だというのにそこは野外を模して設えられ、植物の生い茂る庭園になっている。庭園の中央には堂々たる石碑、そしてそれを取り巻く8つの墓。石碑にもたれかかるように、満身創痍のタンジェリンたち一行。

     ジェイドは言葉もなく立ち尽くしている。
     エリオンがデイロンに呼びかける。
     その声に、タンジェリンが顔を上げた。

    タンジェリン:「……お兄ちゃん?」

     ジェイドの表情は影になって見えない。

    タンジェリン:「お兄ちゃん、なんであんなことを――街を滅ぼすようなことをしたの? ああでも、ううん、それは後。今はそんなことを言ってる場合じゃない。お兄ちゃん、ここは私たちに任せて!」
    ジェイド:「……何をするつもりだ」
    タンジェリン:「ネヴァーウィンター九勇士をよみがえらせて、彼らに認めてもらうの。ネヴァーウィンターの真の王として! そしたらここにあるというシャランダーの秘宝が使える。それを使えばこの街をよみがえらせられるの!」
    エリオン:「シャランダーの秘宝……“大地を蘇らせるもの(リストアラー・オヴ・ジ・アース)”か?」

     知っているのかエリオン、と口々に言うジェイドたち一行。エリオンは小さく頷く。

    エリオン:「エメラルドのごとき光を放つ、全きフェイの種子だ。シャランダーの秘宝のひとつで、どんな穢れた土地でもよみがえらせることができるという。
    それは同時にこの世のものとも思えぬ美しい宝石でもあり、その美しさを惜しんだシャランダーのフェイたちは、シャランダーが滅ぼされたときにもその力を使うことなくフェイワイルドに引き上げたといわれていたが……」
    デイロン:「兄さんは知っているよね。でも、お願い、ここはタンジェリンに任せてあげて。この人は本当にこの街を救おうとしているんだ――この街の、真の女王として!」
    エリオン:「だが……ネヴァーウィンター王家の血を引くのは……」
    デイロン:「確かにタンジェリンはネヴァーウィンターの王の血は引いてないかもしれない。でもそれはそんなに重要なことじゃない。ネヴァーウィンター九勇士が認めさえすれば、そのひとが真の王となる」

     ジェイドは深いため息をついた。

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    タンジェリン:「そうなの。お兄ちゃん――お願い。私は確かに操られていた。その状態ではあったけど、でも、私はネヴァーウィンターの女王を名乗った。一度ついた王座の責任は取らなければ」

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     一瞬の逡巡の後、ジェイドはきっぱりと顔を上げた。

    ジェイド:「駄目だ。ここは俺に任せろ。お前が女王としての責任を言うのなら、俺は兄としての責任を果たさねばならぬ。自分が引き起こしたことの責任を、妹には押し付けられない」
    タンジェリン:「――お兄ちゃん……。わかった。任せる」

     タンジェリンのその言葉と同時に、石碑の上、そして8つの墓の上に朧な人の形が浮かび上がり、そしてそれはみるみるネヴァーウィンター九勇士の亡霊とはっきりわかる姿となる。ジェイドは力強く頷き、そして石碑の上の一番大柄な亡霊に歩み寄る。ネヴァーウィンター九勇士を率いるのはお前か。では、お前に俺を認めさせてやる。

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    ヘプタ:「ジェイドさん、頑張ってくださいよォ」

     一見無責任でやっぱり無責任な台詞を吐くヘプタの前に、亡霊の中でも一番子供っぽいものがずいと進み出る。

    亡霊:「どうやらお前の相手は俺らしいな――俺はネヴァーウィンター九勇士のひとり、初陣が最期の戦闘になった男だ!!」

     勇士といっても9人もいればいろいろあるものらしい。見れば確かに、亡霊たちの放つオーラにも強弱がある。既にジェイドと凄まじい一騎打ちを繰り広げ始めたリーダーの亡霊は別格として、残りの8体はざっと分類して3種類――

    勇士というよりは勇士の従卒であったろう者、具体的には雑魚であるところの“九勇士のスクワイアー”が4体。
    鎧に紋章を打ち出した“九勇士のアーミジャー”が2体。
    さらに地位の高そうな出で立ちの“九勇士のジャスティシアー”が2体。
    ちなみにアーミジャーとは郷士や準騎士の意、ジャスティシアーとは法官の意である。

    そうこうするうちにも、背後の廊下からは凄まじい熱気と竜の咆哮が迫ってくる。街の門前で逃がした溶岩竜が追ってきたのだ。

    タンジェリン:「お兄ちゃん、ここは任せるから!」

     叫びながらタンジェリン一行は廊下に駈け出して行く。決戦は譲ったが街を救うという目的は同じ、だったらそれを損なう要因は取り除かねば。
     ジャーラックスルも、

    ジャーラックスル:「……どうやら廊下の隅に潜んで漁夫の利を狙う鼠野郎がいるようだ。退治してくるぜ」

     言って、身を翻す。出ていく前に、セイヴに一瞬目くばせをしてにやりと笑った。悪いな、あんたの因縁の相手だろうが、俺が片付けちまうかもしれん。



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     口火はミシュナが切った。標的を決して外さぬ“マジック・ミサイル/魔法の矢”が、スクワイアーを1体消し飛ばしたのだ。
    だが、それからしばらくは互いに手の内を読もうとしてか、刃の応酬というよりは互いに牽制が続く。
     具体的にはDMもPLも出目が酷くていっこうに攻撃がヒットしないのだ。

    が、アーミジャーの一撃をセイヴが避け損ね、地面に這わされたあたりでようやく事態が動き始める。エリオンの双手から炎が迸り、2体のアーミジャーを灼く。
    しかし、相手は亡霊、力場に干渉し、存在そのものを歪めない限り明確な損傷は与えられない。具体的には[力場]ダメージ以外は半減ダメージしか与えられないのである。

    さらに九勇士にはもうひとつ厄介な特徴があった。強い絆で結ばれた彼らは、仲間が倒されるたびにその怒りによって剣に鋭さを増していくのである。
    というわけで、ヘプタは遠くにいるスクワイアーをまずクロスボウで射倒した。
    ミシュナも騎士たちの目の前に幻の鏡の迷路を紡ぎあげて足止めし、その隙に仲間から離れたところにいるスクワイアーにありったけの気力を振り絞って、具体的にはアクション・ポイントを使用してマジック・ミサイルを放つ。

    それがまずかった。確実に仲間を1体ずつ仕留めていくのはこの女魔道士――そう見切ったジャスティシアーは、前衛の剣を巧みに潜り抜け、ミシュナに詰め寄ると一撃を浴びせる。もともと体力のあるほうではないミシュナには、一撃一撃が重い。

    一方、前衛組は前衛組で血みどろの戦いを繰り広げていた。アーミジャーが喚きながら剣を振り回す。セイヴは危ういところで避けたが、エリオンは胴をまともに切り裂かれた。踏みしめるはずの足が揺らぐ。これまでの戦いで負った傷を治していなかったのが災いした。具体的には重傷状態である。

    亡霊たちとの混戦になっている――が、これは好機かもしれない。
    エイロヌイはセイヴを見遣る。死者をまとめて撃ちます。いいですか。

    セイヴ:「かまわん、俺ごとやれ!」

     エイロヌイは微笑み――それからまなじりを決してシルヴァナスの聖句を唱える。自然の条理を乱す存在よ、消え失せよ。“ターン・アンデッド/アンデッド退散”の力が(当然セイヴも巻き込んで)放たれる。ジャスティシアー1体とスクワイアーを除く4体の(残念ながらセイヴも巻き込まれていた)アンデッドがシルヴァナスの光に打たれる。
     そして――光に打たれた亡霊の輪郭が明確になる。光の力により、彼岸と此岸のあわいからこの世に存在を固定されたのだ。具体的には非物質でなくなることにより与えたダメージが半減しなくなる。さらに動けない状態にもなっている。

    エイロヌイ:「セイヴ、すみませんでした」

     エイロヌイはくすりと笑うと、光をまとった手でセイヴに触れる。光に打たれて抉られたセイヴの傷が癒えてゆく。だが、これだけの状況変化をもたらし得る大技だ、無駄な犠牲ではない。
     そうしている間に、今度はエリオンが光に打たれたジャスティシアーに刃を浴びせる。傷を負った腕は重いが、しかし魔剣の導きによるものか、切っ先は確実にジャスティシアーを切り裂いている。

    ヘプタ:「いや、しっかりしてくださいよ、あんたも死にかけですよ」

     ヘプタが癒しの聖句を唱える。傷が塞がっていくのを目にしたエリオンは苦笑する――己の血が流れきってしまうのにも気づかぬほど、戦いに耽溺していたのか、私は。

    ヘプタ:「俺の本領はこっちでね――動かない奴を撃つのは得意ッスよォ!!」

     エリオンを治した次の瞬間には、ヘプタは右手に妖精のきらめき、左手に炎をつかんでエイロヌイの放った光から逃れたジャスティシアーに叩き付ける。神の威光に打たれたときほどではないにしろ、光に打たれた亡霊の存在は霊体から物質的なものへと変わるのだ。剣でまともに斬れるものになってくれさえすれば、厄介はずいぶんと減る。

     エリオンに斬られて消えかけていたジャスティシアーを、ミシュナの魔法の矢が完全に消し去った。返礼とばかりに残る1体のジャスティシアーが大槌を振り上げ、ミシュナを殴りつける。大きく揺らいだミシュナの身体に、さらにどこからともなくクロスボウのボルトが突き立つ――すっかり忘れていたが、たった1体残ったスクワイアーが遠くでクロスボウを構えていたのだ。

     このままでは危ない。エイロヌイが踏み込み、大槌を構えたジャスティシアーに一撃を浴びせる。エリオンはこれ以上敵が寄ってくる前にアーミジャーに突撃する。魔術師の近くで乱戦に持ち込ませてはならない。ヘプタが聖句を唱える。一瞬、ミシュナの傷が塞がる。痛みから解放された瞬間にミシュナは鋭く呪文を唱える。存在を直接攻撃され、クロスボウを構えたまま最後のスクワイアーが消滅する。

     よくも、と喚きながらジャスティシアーはミシュナを再び大槌でなぐりつけた。再びミシュナの膝が崩れる。よくも、と叫んだのは今度はセイヴである。鋭く、精確を期して――実はこの戦い、セイヴの剣は一度も相手に当たっていないのだ――セイヴは、だがやはり突撃する。今度こそ半死者の剣は死者の存在を捉える。ジャスティシアー消滅。

     残るはアーミジャー2体。突出したエリオンに殴り掛かるもエリオンはとっさに飛び退いて無事。代わりに敵の剣の切っ先に切り裂かれたのはタランである。

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    エイロヌイ:「この郷士風情が!!」

     エイロヌイの胸元から妖精郷の陽光が迸り、亡霊を撃つ。

    エリオン:「控えよ!!」

     エリオンも叫びながら突撃する。

    ヘプタ:「ま、貴族の方々はおいといて、と」

     ヘプタはミシュナに歩み寄り、傷を癒す。もともと蒲柳の質の魔術師の身体、戦士たちと違って放っておいてはあっという間に死の淵に浚ってゆかれかねない。次の瞬間には光をまとったボルトを亡霊に叩き込んでいる。いつヘプタが振り返って武器を構えたのかわかったものは誰もいない。

     アーミジャーが怒り狂って剣を振り回す。エイロヌイを守ろうとしたタランがまともにその剣を受け、消滅する――妖精郷に引き戻されたのだ。すかさずエイロヌイが回り込んで剣を浴びせるが刃は空を斬る。
     一瞬の逡巡もなく、エイロヌイは声高にタランを呼ばわった。
     消えたと思った妖精の従者は、アーミジャーを挟んでエリオンの向かいに出現している。意図を読んだエリオンが撃ち込む。突然出現したタランに対して身構えたアーミジャーは完全に隙を突かれ、そして消えた。

     となると残るはアーミジャー1体である。
    ヘプタがボルトを撃ち込み、ミシュナも力場の矢を撃ち込む。そしてセイヴが――ミシュナを守った時以外またずっと空を斬り続けていたのだ――刃を浴びせた。亡霊は消滅した。

    ヘプタ:「――失敗した時の用心に、神様にお祈りもしといたんっすけどね」

     ヘプタが苦笑いする。
     最後のアーミジャーが消滅したのと時を同じくして、ちょうどジェイドも九勇士の長の脳天に蛮刀の一撃を浴びせ、斬り伏せた。
     外の廊下からもなにやら聞き覚えのある声――おぼえてなさい、生徒会長を怒らせるとどうなるか教えてあげるわ、この苦労知らずのお嬢様が!!
     どうやら溶岩竜と一緒に例のレッド・ウィザード3人組も攻め込んできていて、そしてタンジェリンたちに撃退されたらしい。顔を合わせずに済んだのは僥倖だったかもしれぬ。

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     戦闘がすべて終わり、そして庭園は場違いなまでに穏やかに静まり返る。
     ややあって、墓の上に再び亡霊たちが浮かび上がってきた。

    九勇士の長:「よろしい、そなたたちの力は認めよう――だが、そなたが真の王たるか否かを決めるのは、王冠だ」

     九勇士の長は、ネヴァーウィンターの王冠――ネヴァーウィンター仮面がかぶっていたものと見た目はそっくりだ――を捧げ持っている。

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    九勇士の長:「もし王冠がそなたを認めなければ、そなたは王冠の力によって氷と炎に焼かれ、死ぬだろう。それでも王冠の試(ためし)を受けるか?」

     ジェイドは言葉もなく頷く。

    九勇士の長:「ならば、これをかぶるがいい。そなたが真の王なら――我らは命あるものとして甦り、そなたと共にネヴァーウィンターの護りにつく」

     ジェイドの頭上の王冠から、凄まじい勢いで炎と氷が迸り始めた。蒼白の奔流に包まれ、ジェイドの姿は見えなくなり、そして――



    ジェイドの決断

    第1回
    問い:エラドリンたちはニュー・シャランダーに留まるべきか、引き払うべきか。
    答え:俺が秘宝を取り戻してくる。だからしばらくこの地に留まっていてほしい。

    第2回:
    選択肢なし

    第3回:
    問い:ネヴァーウィンター全滅の原因を問うネヴァレンバー卿になんと答える?
    答え:俺のせいだ。俺にはこの惨劇を止める機会があったが止めきれなかった。

    第4回:
    選択肢なし

    第5回:
    問い:傭兵団ブレガン・ドゥエイアゼを率いるドラウ、ジャーラックスルを案内人として雇うか?
    答え:不安は残るが先には進まねばならぬ。それに放っておいて敵対勢力と組まれてはもっとまずいことになる。雇い入れる。

    第6回:
    問い:ネヴァーウィンター九勇士の試練を受ける権利をタンジェリンに譲るか?
    答え:俺が責任を取る。ここは俺に任せろ。



    著:滝野原南生
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