久々に配信が再開されますTRPG生放送で今回使用する『ウォーハンマーRPG』につきまして、『基本ルールブック』より世界観のイメージについての語りを抜粋してご紹介します。

ウォーハンマーの世界とは?
 ウォーハンマー世界は、我々の歴史上のものにどこか似ている。しかしこの世界では、人類が惑星全体を単独支配できていない。世界各地の王国、帝国、公国は、恐ろしいクリーチャーとの共存により成り立っている。エルフやドワーフのような古代種族から、吸血鬼、トロール、悪魔といったやつらまでと、折り合っていかねばならないわけだ。
 森の暗がりや街の悪臭には危険が潜む。オークやビーストマン(獣人)といった唾棄すべき存在が荒れ野をうろつき、不注意な弱者を攻撃する。地下ではおぞましいラットマンが、文明の柔らかい下腹部そのものを齧りとっていく。日々多くの人々が、やつらの手にかかって死んでいくが、そのことによって現世からの脱出が実現できるのもまた確かだ。あえて無知なままでいることと、どす黒いユーモアとがもたらす冷えきった愉悦にすがることで命をつなぐより道のない、この世界からの脱出が。
 そんな土地が、君たちの冒険の舞台だ。望まずして英雄になった男や、絶望的な戦いや、きつい皮肉に満ちた世界ではある。だがそれこそが、ウォーハンマー世界なのだ。

ルールシステム

 『ウォーハンマーRPG』では、10面体ダイスを2つ用いたd100(%)で、ほとんどの判定(テスト)を解決する。戦闘であれ、〈言いくるめ〉であれ、基本的に、百分率で表された「能力値」以下を出せばよいので、非常に成功率がつかみやすい。〈技能〉や《異能》は、判定に10%単位で修正を与えたり、判定の前提条件になったりする。
 戦闘ルール自体はシンプルだが、命中による負傷や死の描写の生々しさは、いかにもウォーハンマーらしい。上級ルールでは頭部や右脚といった部位ごとに鎧のポイントが割り当てられ、クリティカル・ヒットの影響も部位ごとに異なる。血が目に流れ込んだり、手がぐちゃぐちゃに潰れたりするわけだ。君の動脈に傷が及んだなら、死は瞬時に訪れる。

瞑く残酷なこの世界

 ウォーハンマーは、世界観重視のゲームでもある。中世ドイツ風の“エンパイア”を中心とするオールド・ワールドの設定なくしてこのゲームは成立しないし、魔法やキャリアなどのルール設定も世界観と不可分のものなのだ。
オールド・ワールドは、“混沌”とよばれる邪悪な勢力にくり返し蹂躙されてきた。オークとゴブリンの部族群や、ビーストマンと呼ばれる半獣人、そして「ミュー タント」と呼ばれる変異種が、混沌の手先として攻め込んでくるのだ。混沌は人間の肉体と精神をねじ曲げる。その成れの果てが、ミュータントなのだ。
 戦乱に荒れ果てた国内にも、混沌の手は及んでいる。都市の下水道には人間ほどもある巨大鼠(スケイブン)が出没して病原菌を撒き散らし、邪教の信徒がひそかに勢力を広げている。そのため、伝染病や精神障害も細かくルール化されているほどだ。
 とにかくウォーハンマーでは、おぞましい敵や、狡猾な罠、腐敗や悪臭には事欠かない。君は緑痘症で容貌を損ない、発狂するかもしれない。オークの攻撃で首をはねられ、血を噴き上げて死ぬかもしれない。だがそれこそが、ウォーハンマーの魅力だ。救いなきこの濁世には、中世の暗黒がまざまざと息づいているからだ。