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二転三転する物語に圧倒される。休日にじっくり読めるミステリー『ファタモルガーナの館』
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二転三転する物語に圧倒される。休日にじっくり読めるミステリー『ファタモルガーナの館』

2014-05-18 17:00
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    『ファタモルガーナの館』は、いわゆるサウンドノベルゲームです。

    ゲームといっても、ときおり選択肢が現れてバッドエンドを回避するくらいなのですが、逆に言えば読書のような感覚で遊べるとも言えます。

     
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    このファタモルガーナの館、絵だけを見ると女性向けのようにも見えますが、男性ファンも大変多い作品です。(先にPC版がリリースされており、iOS版はPC版の移植となります)

    お話は突然始まります。

     
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    気が付くと、「あなた」はその屋敷にいます。

    「あなた」の目の前にいるのは、館の女中のみ。

    「あなた」は何も思い出せません。

    そこで女中は「あなた」に向かって、語りだします。

    「あなた」を思い出すために、過去にその屋敷で起こった様々な不幸な出来事を。
     


    ファタモルを勧めたい第一の理由:複雑に張られた伏線


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    物語は、まず前半の四章までが大きな役割を果たします。

    第一章は1603年。第二章は1707年。第三章は1869年。第四章は1099年。

    この四つの時代全てに、白い髪に赤い目を持った少女が現れます。

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    そしてこの少女の導き手のように、「あなた」に物語を見せる女中もいます。

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    時代を超えて必ず登場するのは、白い髪の少女と館の女中だけです。

    白い少女は時代を超えて館を訪れ、そして必ず何らかの形で悲劇に巻き込まれていきます。

    その全てには、理由があります。

    白い少女以外のその時代の登場人物たちも、ただ悲劇を振りまくためにそこにいるキャストではありません。

    全ての登場人物に、なんらかの因果があります。

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    第五章の扉をあけたとき、「あなた」は白い髪の少女を取り巻く悲劇の始まりを知り、これまでの四つの物語の意味を知ることになるのです。


    ファタモルを勧めたい第二の理由:臨場感あふれる文章


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    ノベルゲームで一番重要となるのは、もちろん文章です。

    ファタモルガーナの館で書かれている文章は、とても繊細でまるで自分が本当にその体験をしているかのような臨場感があります。

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    だからこそ、狂気の文章にも背筋が本当に寒くなるのです。


    ファタモルを勧めたい第三の理由:物語の中枢を担う絵


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    文章と同じくらい重要なのは、絵です。

    ファタモルガーナの館は、靄太郎氏による美麗なイラストが特徴です。

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    最近流行の萌えを意識したような絵柄とは違い、随分とリアリティのある絵になっています。

    むしろこの絵だったからこそ、性別や年代を問わずに多くのファンを虜にしたひとつの理由でしょう。

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    このゲームは人が死ぬシーンが多いですが、あくまでホラー部分を強調しているわけではありませんので、画像にホラー映画のような絵があったりすることは一切ありません

    そういうジャンルが苦手な方も、美しく流れる文章に自然と読み進められるような魅力があります。


    ファタモルを勧めたい第四の理由:完全オリジナルな音楽


    この映像は、ファタモルガーナの館のBGMのオーケストラアレンジです。

    アレンジなので実際にゲームで流れている原曲とは違いますが、ゲームで流れている曲もどれも美しく、切なく、この館で起こった悲劇のBGMに相応しい出来となっています。

    普段スマートホンでゲームをする方は音をマナーモードにしてしまって音楽を聴いていない方が多いようですが、このゲームをプレイする際はぜひイヤフォンを装着してプレイしていただきたいです。

    サウンドノベルがこうしてひとつのジャンルとして確立した理由の一つは、文章と絵と、そして音楽の一体感ですから。


    結論:ファタモルガーナの館はすごい!


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    ファタモルガーナの館が真にすごいのは、ある意味叙述トリックとも言える構成です。

    すんなりと読んでいけば、「あなた」は自分の正体を恐らく錯覚するでしょう。

    そのように作られています。

    だからこそ叙述トリックに慣れている人は「いやいや、まだなにかあるんだろう、騙されないぞ」と感じるはずです。

    しかし、それすら凌駕する驚きの真相が、「あなた」を待っているはずです。

    「叙述トリックってなんだろう」という方に簡単に説明しますと、

    「小説という形式自体が持つ暗黙の前提や、偏見を利用したトリック。典型的な例としては、前提条件として記述される文章は、地の文や形式において無批判に鵜呑みにしてもいいという認識を逆手にとったものが多い。(Wikipediaより)」

    ...こんな感じの、推理小説などで使用されるトリックのひとつです。

    密室トリックやアリバイトリックなど、推理小説のトリックのひとつは色々ありますが、最近のサウンドノベルでよく使われている手法が叙述トリックです。

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    このゲームでは、メインとなる白い髪の少女を含め、「あなた」や女中、名前の解らないキャラクターがたくさん出てきます。

    何故名前がわからないのか...どういう意図で伏せられているのか...それをぜひ実際にプレイして体験してみてください。

    ちなみにパソコンからのみになってしまいますが、パソコン版のファタモルガーナの館は、第一章のみ体験版として無料ダウンロードができます。

    「買取型をいきなり買うのは...」という方で、パソコンをお持ちの方は、ぜひこの体験版でまずは第一章をプレイしてみてください。

    【ファタモルガーナの館 体験版】

    買取型のサウンドノベルですので、一度購入してしまえばのんびり自分のペースで読み進められるのも良いですね。

    週末に読書感覚で一気に読むのも良し、通勤途中などに電車のなかで少しずつ進めるのも良しです。

    画面をタップするだけで文章が進みますから、満員電車の中でも楽に読むことができますよ。


    利用時間:クリアまで15~20時間程度
    使用端末:iPhone5
    OS:7.1.1
    バージョン:1.0.0
    --------
    発売元:Gengosha Inc.
    更新日:2014年5月8日
    価格:1000円
    対応機種:iOS 7.0 以降。

    (アサミリナ)

     

    RSSブログ情報:http://www.tabroid.jp/app/games/2014/05/app.store.870616933.html
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