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先々週から始まった「スマートデバイスを使うなら知っておきたい法律の話」。「弁護士ドットコムトピックス」のご協力でスマホ・SNSの気になるギモンを解決します。

第2回となる今回はスマホの充電に関する話題。ついつい使えそうなコンセントから充電すると...実は犯罪行為かも?


出先でスマートフォン(スマホ)の電池が切れそう――。そんなとき、公衆トイレで充電しようとする人がいるようだ。他人の目が届かないトイレ個室のコンセント(電源)を勝手に利用して、私物のスマホや携帯ゲーム機を充電するのだという。

ネット掲示板サイトにも、次のような話が投稿されていた。ある商業施設でトイレの個室に入り、便器のコンセントを抜いて、携帯電話を充電していた。すると充電していることがバレて、個室の外で待ち構えていた人たちにつかまって説教をされたという。とアドバイスしていた。

公衆トイレのコンセントを勝手に利用し、自分の携帯やスマホを充電した場合、犯罪に問われる可能性はあるのだろうか。大山滋郎弁護士に聞いた。


コンセント利用も「サービス」に含まれるのか?

「トイレ充電の話を聞いて、シェイクスピアの『ベニスの商人』を思い出しました」

大山弁護士はこう切り出した。どんなエピソードを思い出したのだろうか?

「借金の担保とされた『(人の)胸肉1ポンド』について、裁判官が次のような判断を下すという話です。

借金の証文には、担保として『胸肉1ポンド』と書いてある。つまり、担保は肉だけだ。したがって、それを切り取ることは許されるけれども、切り取る際に血を1滴でも流すことは許されない」

生きている人から、血を流さないで、胸肉を切り取るというのは、実際には不可能だ。結局、金貸しは担保をあきらめることになる。

「これは、そう判断することで裁判官が人命を救ったという話ですね。

一方、この判断に対しては、肉をとる以上、血も一緒にとられることは当然だろうという批判もされています」

ところで、なぜそのエピソードを連想したのだろうか?

「たとえばホテルの部屋を借りた場合、部屋で電気を使うことも、当然許されますよね。この裁判官のように、貸していたのは部屋だけだから、電気を使うのは許されないなんて言う人はいません」

ホテルの部屋を借りたら、そこで電気を使うことは、サービスに含まれているということだろう。


電気を「盗んだ」ことになる

そういう考え方からすれば、商業施設のトイレで充電する行為は、どうなるのか?

「商業施設はふつう買物客に対して、トイレの利用を許しています。しかし、トイレのコンセントを利用して携帯機器を充電することまで、商業施設が許しているとは考えがたいですね。

中には、買物客向けサービスの一環として、充電を許している商業施設もありますが、それが常識とまでは言えません。それに、『トイレでの充電』を一般的に許可するとは思えません。

したがって、商業施設のトイレ個室で充電することは、特別に許可を貰わない限り、電気を盗んでいるとして、窃盗罪になると考えるべきです」

大山弁護士はこのように指摘したうえで、「どうしても電気を使う必要があるときには、お店の人にお願いしないといけませんね」


(弁護士ドットコム トピックス編集部)

※次回は9月13日に掲載予定です。


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大山滋郎弁護士プロフィール

Photo by Thinkstock/Getty Images

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