前回はラガーとエールというビールの二大カテゴリの違いについてお話しました。
何となく「一口にビールといっても、いろいろあるんだなあ」というイメージをお持ちいただけたでしょうか?
今回はラガー系のビールについて、さらに詳しく見ていきましょう。
何はなくともピルスナー
ラガー系で欠かせないスタイルである「ピルスナー」は、チェコで生まれました。 軽い飲み口であることから、どんな料理にも合わせやすい銘柄が多いというのが最大の武器。これを生かして世界中に広まり、日本でも長く愛されています。
外国の有名な銘柄でいえば、バドワイザー(アメリカ・下画像左側)やカールスバーグ(デンマーク・下画像右側)がピルスナーです。どれもキレが良く、軽い口当たりで飲みやすい銘柄として知られています。
日本のビールでは、アサヒスーパードライ・キリンラガー・サッポロ黒ラベルなどがピルスナースタイルです。つまり、お店で「とりあえずビール!」というような場合のビールは、ほとんどがピルスナーということになります。
そのため、第3のビールや発泡酒といったビール風飲料の多くも、ピルスナーを目指した仕上がりになっています。
ピルスナー以外にもさまざまなスタイルがある
もちろん、ラガー系には他にも色々なスタイルがあります。一番種類が多いのは、やはりビールの本場ドイツです。
ラガー系だけの話ではないのですが、ドイツでは16世紀にビールの品質を保つための法律「ビール純粋法」が作られており、現在もこれにのっとってビールを作っています。
これは簡単にいうと「ビールには麦・ホップ・水・酵母しか使ってはならない」という法律で、その制限の中で各醸造所の職人たちが工夫を凝らし、さまざまなスタイルが生まれました。
ドイツのラガー系スタイルには以下のようなものがあります。
・淡い色とライトな飲み口の「ヘレス」
・いぶした麦を使うため、スモーキーな香りを持つ「ラオホ」
・6~10%という高いアルコール度数の「ボック」
・ビールの祭典、オクトーバーフェストのために作られる「オクトーバーフェストビア」
ヘレスとオクトーバーフェストビアはピルスナーに近く、比較的軽い口当たりのビールです。
これと対称的なのはボック。かつて断食中の修道士たちが唯一「液体のパン」として飲むことを許されていた銘柄もあります。つまり、食事代わりにできるほどお腹にたまるビールだということです。
アルコール度数も高めですので、ボックは日本人にとって少し重く感じるかもしれませんね。
ボリュームについては各スタイルで差がありますが、ラガー系スタイル全体では「シンプルな味わいのものが多い」といえるでしょう。
しかし、こういったラガー系スタイルの味があまり好きではない、という方もおそらくいらっしゃると思います。
そんな方にオススメしたいのが、エール系のスタイルです。
次回はラガー系とはまた違った魅力を持つ、エール系のビールについてご紹介していきますので、お楽しみに。