前回は、世界各国の状況を人口ボーナス指数を中心に比較してみました。
これによって、日本のバブル期は人口ボーナスの最盛期であったこと、それが人口オーナス期に入り人口減少社会に差し掛かっていること。そしてそれは、日本の長期低迷期入りとぴったりタイミングが合っていることを示しました。
今回はこんな表を使って、世界の経済規模自体を比較してみたいと思います。
これは、IMFのワールドエコノミックアウトルック2015の4月号のデータベースから取ってきました。
中国の最新の実績データがある2013年を基準に、GDPランキング上位50ヵ国を並べています。
最上位は米国、次いで中国、日本、ドイツ、フランスと続きます。国名を青くしているのはG7諸国です。ランキング上位をみると、G7の他にはいわゆるBRICs諸国、豪州、韓国辺りになります。
データは1980年から取れるので、前半は10年ごとに取っています。1980年は第二次オイルショックの年、1990年は日本のバブルのピーク、2000年はITバブルのピークですので、ちょうど象徴的な年になっています。
その後は、2008年のリーマンショックの年と直近の2013年です。最後は、IMF予想による2020年。それぞれに世界のGDP合計に対する各国の比率を示しています。数値は全て米ドル建てです。
2013年については、この他に累積構成比率と対日本での規模比較をつけています。累積構成比率というのは、例えば3位の日本の所の41.3%というのは、米中日の3カ国のGDP合計が世界全体に占める比率を示しています。上位11ヵ国目のカナダまでで約67%、世界経済の2/3を占めてしまうということです。前回の人口ボーナスで注目と書いたインドとインドネシアは10位と16位です。
時系列で見ると、1990年の日本のピークの時点では日本の世界全体に占めるGDPの比率は14.3%ありました。それが2013年には6.5%と半分以下に下がっています。米国のピークは2000年で、その後は少し下がっています。
逆に強烈に伸びているのが中国で、1990年には1.9%しかなかった構成比が、2013年には12.5%と日本の倍になっています。ついこないだ日本が抜かれたと思っていたら既に倍。これは結構衝撃的なことです。
ここには、為替のマジックも一部あります。アベノミクスによる円安で、このときちょうど日本のGDPは米ドル建てで2割くらい減って見えているからです。とはいえ、実力面でも日中の逆転は劇的です。
この傾向はいつごろから始まったのでしょうか。実は、ちょうどリーマン・ショックが分水嶺になっています。
このとき日本は景気の縮退を最小限に留めるのが精一杯でしたが、中国は世界に先駆けて4兆元の経済対策を打ち出し、インフラの整備等に邁進しました。この地力の差がその後の展開を決めています。
2013年になって打ち出されたアベノミクスは、金融超緩和と財政出動による景気刺激策と規制改革、イノベーションの促進といった構造改革を共に打ち出して、このときの中国の後を追うような形に見えます。
とはいえ、中国も人口ボーナスのピークを迎え、これから1990年以降の日本が辿ったのと同じような働く人が減り出す社会になります。
成長期待が屈折すると、将来の成長を見越して形成された経済のバランスにはあちこちにガタが出てきます。例えば、経済成長を見込めば合理的だった不動産価格が、それが見込みにくくなれば割高に見えてきて、担保としての価値、財産としての価値が毀損するかもしれません。
高成長を見越して作られた生産設備やインフラが余ってしまい、稼働率が下がったり不良資産化したり、更にはダンピング競争が始まったりしてデフレ経済化が進行するかもしれません。
前回のチャートと今回の表を並べてみてみてください。きっと、色々感じるところがあるはずです。