前回書いたように、アーティスト・プロデュース上の奥義のようなものを、一般の皆さんに向けて説明する場が少しずつ増えている。
そしてそれは「今」という時代を僕が感じた結果なのだが、まずはそのことについて書きたい。
どちらもネット社会になったことが原因なのだが、僕が「今」という時代が以前と大きく変わったと思うのは、次の2つだ。
まず1つは、ネットを中心に溢れる出している情報の洪水だ。
情報があまりにも多過ぎて、しかも常にスマホを手放さない人が多いため、皆、飛び込んでくる情報に振り回されているようだ。
そのためだろうか、人と話していて、「◯◯って、どうやら◯◯らしいですね」という話が以前よりとても増えた。
そう、情報の洪水に振り回されて、自分で考え判断することなく、不確かなままそれらの情報を受けとめてしまっているのだ。
おまけに、一方でネット社会の今、これまでマスメディアが隠し続けて来た一部の情報がオープンになってきたため、様々な嘘がバレてしまった。つまり情報の洪水の多くは事実だったりする。
利権など一部の都合に合わせて事実が陰蔽されて来たマスメディアと違い、ネットには事実がそのまま描き出されることが多い・・・ということが明らかになっていくに従い、人々はますます情報をそのまま受けとめるようになってきた。
事実を受けとめるのは良いのだが、たとえその情報が事実であっても、自分にとってその情報が有益かそうでないかを判断したり、無数の情報の中から自分にとって必要な情報をうまく選別して、それらを自分の生きかたに役立てていく、といった思考がきちんとなされていないまま、ただひたすら飛び込んでくる膨大な情報の断片によって、思考や感情を動かされてしまいがちだ。
僕は、こういった風潮が若い世代へ悪影響を及ぼしているのでは、と危惧している。