飛行機の中で受信していたメールで鳩山安子さんの逝去を知った。昨夜のことである。安子さんは90歳だった。
金曜日に一度容態が変わったが、昨日はいったん元気になり会話もしていたという。それが夜になって再度急変、結局、還らぬ人となった。
いま新幹線の中で、鳩山邦夫さんから送られてきた冒頭のメールを再読しながら、安子奥様(鳩山事務所ではみなこう呼んでいた)のことを想い出している。
新聞やテレビは、早速「ゴッドマザー」などという呼称を使って、彼女の死を報じている。相変わらずいい加減なものである。
確かに、鳩山威一郎元外相(元大蔵事務次官)の妻で、由紀夫元首相、邦夫元総務相の母で、ブリヂストン創業者の石橋正二郎氏の長女となれば、そうした印象を受けるのも仕方がないのかもしれない。
だが、安子奥様を本当に知っている者ならば、安子さんがそんな呼称がまったく相容れない人物であることをわかっているはずだ。
いや、むしろ安子さんは、「ゴッドマザー」などとは正反対の慎ましく優しい女性であった。
安子奥様と最初に会ったのは今から約20年も前のことだった。