どうも、執事です。




3週に渡りまして本文を大公開して参りました、




「スペースオペラアンダーバー」




今回がついに最終週です!


本文公開第1回目:エピローグ(http://ch.nicovideo.jp/underbar/blomaga/ar928230


本文公開第2回目:(http://ch.nicovideo.jp/underbar/blomaga/ar932440


まだ前回2回をお読み頂けていない方々がいらっしゃいましたらぜひとも上記のURLよりチェックしてくださいませ。


それでは以下、小説本文です!


お楽しみ下さいませm(_ _)m






















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 生徒指導によって一限と二限を丸々潰してしまった集は放課後になって教室から足早に出て行く高乃さんの姿を視界の端に捉えていた。

 すぐに後を追う形で教室を後にする集。階段を下り下駄箱に辿り着くと、高乃さんが外履きを履いて校舎を後にしたのを確認したのち、彼女へ気付かれないように適度な距離を取りながら彼も後ろから同じ道を歩き始めた。

 今年の四月に転校して来た少女――高乃花。彼女は集の実家の隣に父親と二人で引っ越して来ていたのだが、如何せんあんな性格の為に集は今まで挨拶以上の言葉を交わしたことがない。

 今日こそは彼女と交流を深めてやる。そう心に決めた集は今現在自分がしている行為がストーカーと相違ない事に微塵も気付かないまま、彼女と同じ帰宅路を慎重に電柱の影などに隠れながら進んで行った。

 すると、おかしな事に花は自分の自宅を素通りしてさらに先へと進んで行く。集は彼女の家の前でいったん立ち止まるが、どんどん先へ進んで行ってしまう花の背中を見ると自然とそのあとを追い始めた。

 はたから見れば完全なるストーカー。しかし、やましい気持ちが一つもない状態でここまで怪しい動きが出来るのだから、これは集の一種の才能と呼んでしまっても過言ではなかった。

 やがて花は河川敷近くにある周囲を取り壊し予定の廃マンションに囲まれた公園へと入って行く。夕日がもう少しで沈むというこのタイミングで公園へ消えて行った花にも驚かされたが、何よりもこんな場所へ平然と女子生徒が一人で入って行くというシチュエーション自体が平気なものなのか集は不安に駆られていた。

 気付くと歩く速度を速めて公園へ足を踏み入れて行く集。

「…………高乃さん?」

 不気味な雰囲気を持って四方を取り囲むマンションからの圧迫感に、思わず集は花の事を呼ぶ。しかし、何故か園内に人影は無く公園の出口から彼女が出て行った形跡も見当たらない。

 申し訳程度に置かれた遊具の裏側など、一応の確認はしてみたが不気味にも公園内に花の姿はなかった。

「高乃さん、一体どこに……」

「――――――――小生に、勘付いたわけではなかったか」

 不意に背後から聞こえる落ち着いた老人の声。

「しかし、仕方あるまい」

 何事か納得した背後の声に集は花の事を聞いてみようとしたが、不思議な事に自分の身体が動かず後ろを振り返る事ができない。

そして、何が起きているかを集が把握したのは、金と黒ずんだ赤の二色で彩られた僧侶が使用する錫杖の先端が自分のみぞおちから突き出してきた後だった。

「幾数十万年とこの生業を続けて来たが、子供を殺す事だけはいつになっても慣れないものだ」

 錫杖が身体から引き抜かれると力なく地面へ倒れ伏す集。

せめて……惑星ごと消させてくれれば楽なものを」

 地面へ倒れてしまった集の背後に立っていたのは得物が示す通り、黒の法衣に身を包んで黄色の袈裟袋をかけた老齢な僧侶。瞳の色を伺う事が出来ない細目と微動だにしない無表情は菅笠に隠れて良く見る事が出来ず、今の彼の本当の心境を表情から読み取る事は不可能に近かった。

「さて、地球侵略を続けるとしよう。だが、喜べよ少年。我が軍の地球侵略が達成された暁には、お前の事を手厚く葬ってやろう」

 徐々に意識が薄れていく中で僧侶の言葉は集の耳に届くことはなかった。最期の力を振り絞り眼球だけを動かして彼が前を見ると、そこには自分を無感情に見おろしている花がいた。

「さようなら安藤くん。今朝は、ちょっとだけかっこよかった。でも……さようなら」

 言葉の意味も理解出来ぬまま集の意識は深い闇の中へと消えていった。





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以上を持ちまして小説「スペースオペラアンダーバー」本文少しだけ大公開は終了です。


物語の続きはぜひとも12月31日コミケにて小説をお手に取って頂きまして、

アンダーバー、集、花、そして物語の行方を確認してください!





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▼コミックマーケット89

@有明・東京国際展示場 (東京ビッグサイト/有明臨海副都心)
日時:12月31日(木)10:00~16:00
サークル名:アンダーバーの遊び場
出展場所:東ク-10b


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それでは当日、皆様にお会いできる事を心より楽しみにしております。





執事