Eisenachさん のコメント
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【緊急掲載】「チームラボと佐賀 巡る!
巡り巡って巡る展」完全レポート!
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2014.3.14 vol.030
http://wakusei2nd.com
佐賀県内にある4つの会場(佐賀県立美術館、佐賀県立九州陶磁文化館、佐賀県立名護屋城博物館、佐賀県立宇宙科学館)にて、2014年2月28日(金)~3月22日(土)の期間で開催される「チームラボと佐賀 巡る!巡り巡って巡る展」。
「これを見逃す手はない!」と、急きょ佐賀への弾丸ツアーを敢行した宇野常寛とPLANETS編集部による完全レポートをお届けします!
◎文・写真:編集部
それは3月某日午後のこと。何も聞かされないまま、「なんか急に佐賀出張が決まったっぽい件について。」という宇野のツイートを発見し、PLANETS編集部事務所は騒然としました。佐賀に出張って、どういうことだ!?
その日の夜、事務所に戻った宇野いわく、別件でチームラボの猪子さんと打ち合わせをしていたところ、「作家生命をかけた展覧会だから」と、(超強引に)佐賀で行われている展覧会へのお誘いを受けたとのこと。
▲「なぜ宇野常寛は佐賀へ行かねばならないか」を熱弁する猪子さん
チームラボ国内初の大規模な展覧会、かつ、開期が3/22(土)までと間近に迫っていたこともあり、猪子さんの熱さに負けて急遽、出張が決定したのでした。
今回は、そんな経緯で訪れることとなった「チームラボと佐賀 巡る!巡り巡って巡る展」を、完全レポート!
▲佐賀駅前の様子
3/17(日)、朝9時の佐賀駅前。これからいったいどんな一日になるのか想像もつかず、楽しみ!
「佐賀駅南口前は映画『悪人』のロケ地で、出会い系で知り合った妻夫木聡が深津絵里と待ち合わせたのがここだったはず」(宇野)
ちなみに後で調べたところ、この南口ロータリーにはなんと2人の位置がわかるように赤い靴あとマークまであったとか。まったく気づかずにスルーしてしまいました……
▲謎の県庁職員あらわる!
集合場所で待っているところへ、颯爽と現れたこちらの方は…?
気さくで明るい振る舞いと、サングラスがお似合いのお洒落なルックスとは裏腹に、実は佐賀県庁の職員さん!(※イケメン)
文化・スポーツ部 文化課の光武さんに、丸一日、ガイド兼ドライバーをしていただきました。
▲佐賀県立美術館の外観
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kankou/kb-bunka/kb-hakubutu/museum.html
▲展覧会の概要
最初に向かったのは、佐賀県立美術館。朝早い時間でしたが、すでにラボ展を観にお客さんたちが集まっていました。
4会場を巡る旅がここからスタートです。
▲「Nirvana」
チームラボ, 2013, アニメーション, 6min 20sec (9:16 x 8)
(佐賀県立美術館)
http://www.team-lab.net/all/pickup/nirvana.html
https://www.youtube.com/watch?v=J5aGNryim5c
展示場に入るとすぐ目に飛び込んでくる、「Nirvana」。この作品は、伊藤若冲(1716 〜 1800)の「鳥獣花木図屏風」や「樹花鳥獣図屏風」がモチーフだそう。全体がいくつもの升目に区切られ、升目1つずつにおいて、その中に描かれた何重もの四角の色が変化していくことで、画面全体のアニメーションが動きます。動物たちが現れ、様々に動き、最後にブッダが入滅する瞬間に画面が金箔で覆われ剥落していく様子が、FHD(フルハイビジョン)の8倍の解像度による圧倒的情報量のアニメーションで表現されています。国内初展示。日本画的な空間把握で記述された世界をデジタルで描く――猪子さんが度々口にする「日本的な世界のとらえ方とデジタル技術のハンパなくイイ相性」、というコンセプトをもっとも直接的に表現した代表作です。
「ポップな無常観で死への欲望すらも包み込む――実は話を聞いていた段階では題材とテーマの選び方に優等生的なあざとさを感じてちょっと抵抗があったのだけど(ごめんなさい!)、現物を前にするとむしろ猪子さんとチームラボのもつ無邪気さの方が目立ちます。猪子さんはこの世界が好きで、その好きって気持ちを表現したい、そんな情熱が名刺代わりのこの作品には過剰に溢れています」(宇野)
▲「憑依する滝 / Universe of Water Particles」
チームラボ, 2013, デジタルワーク, 1920×5400 pixels
(佐賀県立美術館)
http://www.team-lab.net/all/pickup/uowp.html
https://www.youtube.com/watch?v=Yo0K6n-OaV4
コンピュータ上の仮想空間に立体的につくられた岩に水を落下させ、その水は、無数の水の粒子の連続体で表現されています。そして全体の水の粒子の中からランダムで選んだ0.1%の水の粒子の挙動によって、空間上に線を描き、その線の集合で滝を描いている作品とのこと。
「猪子さんのつくってきた自己解説的な、抽象度の高い作品の中では僕はこれが一番好き。見る人間の脳を動かそうと思ったとき、まず4メートルの高さにものを言わせるという選択は実に猪子さんらしいアプローチだと思います」(宇野)
※写真:チームラボ提供
▲「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 / Crows are chased and the chasing crows are destined to be chased as well, Division in Perspective – Light in Dark(work in progress)」
チームラボ, 2013, デジタルインスタレーション, 3min 40sec, 音楽:高橋英明
(佐賀県立美術館)
http://www.team-lab.net/all/pickup/crows_dark.html
https://www.youtube.com/watch?v=rhziaNx6WYQ
アニメーター板野一郎によって確立された「板野サーカス」へのオマージュ。デフォルメされた空間を用いるその手法を3次元空間で再現することによって、自由に視点を広げ、実際の空間として再構築することを試みています。そして、7画面に視点を分割し、分割された視点を立体的に配置することによって、どのような体験になるかという実験でもあるそうです。群れの中から飛び立つカラスと、それを追うカラスたちがダイナミックに描かれます。会場に足を踏み入れた瞬間、音楽と映像が一体となったその世界に圧倒されました。
「この作品が今回の佐賀展での、たぶん一番の見どころです。いままでの猪子さんの作品は、どこにでも視点を置けるように、そしてどこに視点を置いていいのか、どのキャラクターを主人公に観ていいのか分からないようにつくってあったところがある。けれど、この作品では最初に飛び立つカラス(そして、最後に死んで花になるカラス)に一瞬だけ視点を集めた上で、それを攪乱していきます。言い換えれば、ここでは僕たちの感情移入が解体されていく過程の面白さを見せている。僕は以前、猪子さんになぜキャラクターという要素を排除するのかと尋ねたことがあります。この作品は僕たち日本人が得意とするそこに描かれたキャラクターの視点に同一化して世界を眺めるという想像力に対する、猪子寿之からのひとつのアンサーなのだと思います。」(宇野)
▲広がるロードサイドの景色
「カラス」の余韻も冷めやらぬ中、次の会場へ移動。
国道を走るその途中で、ロードサイドの景色をパシャリ。東京とは違う景色に、なんとなく興奮します。
▲佐賀にもイオンモール
郊外名物の大規模なイオンモールも、パシャリ。
光武さん「駐車場が広くて、誰でも車を停めやすいところも人気の一つです。軽トラを持っている人もこちらでは多いですから。」
次の会場へ向かう途中、お昼をいただきました。
「ここのイカが最高にうまいんですよ!!」という光武さんの言葉に、期待はふくらむばかり。
活造り定食を注文したところ…
▲「最高にうまい」イカ
なんと、まるまる一杯のイカが、人数分!貴重なコブイカの姿も。
まず、添えられたハサミでゲソを切って、そのままいただきます。甘い刺身にうっとり…。
ゲソを切り落とした胴体は、すぐに天ぷらにしてくださいます。
イカしゅうまいも、ふわふわした食感が絶品でした。
▲ふわふわのイカしゅうまい
▲佐賀県立名護屋城博物館 http://www.pref.saga.lg.jp/web/nagoya.html
次に向かったのは、佐賀県立名護屋城博物館。豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に建設した名護屋城跡付近です。
▲「増殖する生命 / Ever Blossoming Life (work in progress)」
チームラボ, 2014, デジタルワーク
https://www.youtube.com/watch?v=54csqpKT1ys
数えきれないほどの花の誕生と死滅が、画面の至る所で描かれ続けます。画面のどこか一部の花の様子を観ているあいだに、他の場所では新しい花が誕生しています。花の配置や動きはプログラムによりリアルタイムで絶えず更新されるものであり、その瞬間と同じ絵は、2度と観ることができないそうです。新作。
▲「花と屍 剝落 十二幅対/ Flower and Corpse Glitch Set of 12 」
チームラボ, 2012, デジタルワーク, 1min 50sec (9:16 × 12)
http://www.team-lab.net/portfolio/flower/flowerandcorpseglitch.html
https://www.youtube.com/watch?v=AY0wSbTbenY
自然と文明の衝突、循環、共生をテーマとした絵物語の12幅からなるアニメーション作品。アニメーションの表面が剥がれ落ち、作品の裏側が見えていくつくりになっています。3次元空間上に立体的に構築した世界を、日本の先人達の空間認識によって、論理的に平面化した作品だそうです。
評論家の宇野常寛が主宰する、批評誌〈PLANETS〉のメールマガジンです。
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