• このエントリーをはてなブックマークに追加

今なら、継続入会で月額会員費が1ヶ月分無料!

  • 脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第47回「男と食 18」【毎月末配信】

    2019-04-26 07:002時間前
    540pt
    02edd60c55eaada51c49f405cb6f4725455f8368
    平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。今や高級食材として店頭に並ぶようになった筍(たけのこ)。地中にあるうちに掘り出して調理するのが美味とされる一方、伊豆にはそれとは真逆の秘密の食べ方があるとか。筍の採取と調理法をめぐる極上の薀蓄が展開されます。

    男 と 食  18      井上敏樹 

    先日、電車に乗っていたらチャラチャラじゃらじゃらした若い女のふたり組がひと目も憚らず大声で馬鹿話を交わしていたのだが、そのうちにひとりが『昨日サザエさん観たら、マス男さんがキャバクラに行く話だったのでびっくりした』と言ったので、なんだか妙に安心した。さて、今年も筍の季節である。筍と言えば昔は庶民の食材で、我が家でも春になると必ず食卓に登ったが、今やすっかり高級食材になってしまった。ある料理研究家が『主婦たる者年に一度は筍を湯がくべきである』と語っていたが、昨今本当にいい筍を手に入れようとすると、財政的に相当の痛手になろう。最高級の筍と言えば、やはり京都は塚原あたりの、いわゆる白子筍という事になる。


    9e47bab2b3609517ed472af78bc2072a4ba0811e■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送動画アーカイブが視聴できます。

     
  • 猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第34回「密度を活かしてアートを〈自然〉に高めたい」

    2019-04-25 07:00
    540pt
    6750d03352691d2f6fe66e6fc757ee2b7c0a2a52
    2018年最後の配信は、チームラボ代表・猪子寿之さんの連載〈人類を前に進めたい〉。今回は上海の燃油タンク跡地をリノベーションした美術館・TANK Shanghaiでオープニングを飾るチームラボの展覧会がテーマです。工業地帯からIT都市へと生まれ変わりつつある地区に、なぜ今、現代アートが集結しているのか。議論は都市とアートの関係から、密度や混ざり具合の違いが人間の認識や行動に与える影響にまで広がっていきます。(構成:菊池俊輔)

    94d1025e8a8084e6564c61f2beb32d7e4d9965fd
    ▲チームラボは、中国・上海のTANK Shanghai(上海油罐芸術中心)にて、オープニング展「teamLab: Universe of Water Particles in the Tank」を開催中。会期は8月24日まで。

    上海で燃油タンクが美術館になる意味

    28c0421778e0b7df152a82c7e1be0590c000271d

    宇野 今回は上海で3月23日から始まった「teamLab: Universe of Water Particles in the Tank」に来ているわけだけど、まずは、この展覧会のコンセプトの話から聞きたいな。

    猪子 この美術館、TANK Shanghaiは、燃油タンクの跡地の建物をそのまま使ってつくられたもので、そのオープニングのエキシビジョンのオファーがチームラボに来たんだよね。この美術館は私設なんだけど、オーナーの喬志兵(チャオ・ジービン)氏が世界でトップ200に入るような、中国を代表する現代アートのコレクターなんだ。そんな彼が燃油タンクをリノベーションして現代美術館にしたんだよね。

    この西岸(ウェストバンド)エリアは、もともと川崎みたいな工業地帯だったんだけど、都市が拡大したことで工業地帯が移転して、今はアート地区みたいになってる。有名どころだと、火力発電所の跡地を国立の美術館にした上海当代美術博物館とか、現代アートの美術館の龍門雅集とか。六本木ヒルズに蜘蛛みたいな大きな彫刻があるでしょ。あれを作ったルイーズ・ブルジョワの大規模な回顧展をこの前まで開いていた龍美術館とかがある。あと余徳耀美術館(Yuz Museum)には『レイン・ルーム』が常設されてる。Random Internationalというアート集団の、雨の中を歩いても濡れないという作品ね。あれが常設されているのは以前はここだけだったんだよね。今はドバイにもあるらしいけど。

    とにかく、ルイーズ・ブルジョワにしても『レイン・ルーム』にしても、世界的に見てもすごい作品で、それらを展示するパワフルな美術館が集まってる。この一帯は今後さらにパワーを持つエリアになっていくと思う。

    TANK Shanghaiはその地区の一番端になるんだけど、敷地内にあるタンクのうちの一つでチームラボは個展をしています。あとの二つは、中国を代表する現代アーティストたちのグループ展と、アルゼンチンを代表するアドリアン・ビジャール・ロハスの展覧会になってますね。

    会場は2フロアあります。まずは2階に上ってもらうと、燃油タンクの形状をそのまま使った、『Universe of Water Particles in the Tank, Transcending Boundaries』(以下『滝』)と『花と人、コントロールできないけれども、共に生きる、Transcending Boundaries - A Whole Year per Hour』(以下『花と人』)という作品を展示しています。燃油タンクって本当に巨大で円形だから、その中に一つの小宇宙を作りたいと思って、水の流れと生と死を繰り返す花の作品が共存している空間を作った。

    619c9c920f8b20f8dd390dc895de7b7f30d37f80
    ▲『Universe of Water Particles in the Tank, Transcending Boundaries

    6532944843769dff7786ab698c696089c1c5d849
    ▲『花と人、コントロールできないけれども、共に生きる、Transcending Boundaries - A Whole Year per Hour

    そして、燃油タンク沿いに階段をおりていくと、1階では『Black Waves: 埋もれ失いそして生まれる』という波の作品を公開していて、来場者がさまよって方向感覚がわからなくなるような空間の中で、さらに三つのディスプレイ作品を展示している。大枠で言うとそういう展覧会です。

    22bf20ae87ad17f25ca60efa244dbef4e90c2cf3
    ▲『Black Waves: 埋もれ失いそして生まれる

    宇野 まず作品の外側の話から始めたいんだよね。猪子さんが意識しているかはわからないけど、場所に意味が出ちゃうっていうこと。つまり、なぜあのタンクが美術館になったかというと、中国の沿岸部が経済発展してるってことだよね。燃油タンクって20世紀的な工業社会の重工業の象徴で、それがITを中心とした新しい産業の都市の中心にあるってことだから。

    猪子 まさにその通りで、燃油タンクの目の前に超巨大IT企業の上海オフィスが建設されている最中なんだよ。

    宇野 ITって実体を持たないじゃない? 工業社会では燃油タンクや工場といった目に見えるアイデンティンティがあったけど、IT社会ではそれを持てないから、代わりにアートで確立しようとしてると思うんだよね。ただ、自分たちのアイデンティティを、建物というモノによって記述するのは、その発想自体が工業社会のセンスだと思う。

    チームラボがシリコンバレーやシンガポールに招かれたのも、それらの都市がアイデンティティを求めていたからで、都市が新しいステージに上がって自信をつけようとしたときに、それにふさわしいアートを備えようとするのだと思う。この地域に新しい美術館がつくられているのは、情報社会に生まれ変わった上海の新しいアイコンになろうとしているからだと思う。かつて燃油タングが並んでいた場所だからこそ、たとえばアリババやテンセントみたいな巨大IT企業の支社ができなきゃいけないし、新しい美術館ができないといけない。これは猪子さんが意図していなかったとしても、結果的にそういう意味が後から追いかけてくると思う。

    猪子 なるほどね。もちろん建物を壊さずにそのまま使うのがカッコいいという、世界的なリノベーションの流れもあると思うけどね。彼らには日本のような20世紀へのノスタルジーは全くないし、世界の中心は自分たちだと本気で思っている気がする。ただ事実として、宇野さんの言うように、かつての工業地帯が今は美術館エリアになっているし、IT企業のオフィスがつくられている。

    宇野 今後、IT企業のオフィスができたとき、この地区は新しい意味を持った場所になると思う。それこそ工業社会から情報社会に移り変わったことの象徴としてのね。そのときに、巨大IT企業の支社だけでなく美術館があるというのが現代的だよね。

    以前、映像圏のカルチャーからもう一度、アートに揺り戻しが来るんじゃないかという話をしたけど(参照)、そういうことだと思うんだよね。アートというのは、鑑賞者にとっては固有の体験になるから。20世紀は、モニターの中で皆が同じ夢を見るということばかりを追求していた100年間だったんだけど、その揺り戻しが明らかにきている。そういう意味で、あそこに美術館がいくつもあることには意味があると思うよ。

    作品に「360度」包まれる

    4449ba5413c7258835a048a6695b03bdd6e7de3a

    宇野 しかしここの展示、つまり2階の、まさに燃油タンクの中にあたる部分の展示は圧巻だね。球形の空間の内壁がそのまま作品になっていて、鑑賞者が360度包まれるというのは、実は今まではあまりやってこなかったよね。いまだに僕も消化しきれていないんだけど、これはいろいろ応用できる気がする。

    猪子 ちょっと近いのが豊洲(「チームラボプラネッツ TOKYO」)のドーム(『Floating in the Falling Universe of Flowers』)だよね。でもそちらは、ドームであることすら感じさせない作品だけど、今回はタンクの形状をより意図した作品だから。

    宇野 豊洲ではどこに壁があるのかわからないような空間に没入させられるけど、今回は明確に球体の内側に閉じ込められていることを自覚せざるを得ない。視覚的にも新しいし、あの閉じ込められている感覚は面白い。床と壁が全部作品で、ぐるっと包まれている。この表現が正しいかはわからないけど、妙な安心感があるよね。

    猪子 一つの小宇宙というか、箱庭みたいだよね。

    宇野 僕はジオラマが好きなんだけど、あの感覚に近いなと思っていて。世界をまるごと手に入れたかのような錯覚。チームラボの一連の作品は自然のようなエコシステムを作り上げているわけなのだけど、それに360度囲まれるというのは、自分が一つの小宇宙を手に入れたような感覚がある。今回の作品はタンクの建物に合わせた、素材の面白さを引き出すためのアプローチを取ったのだと思うんだけど、すごく応用可能性があると思う。これは大事なことで、パリ展とかボーダレスのような大規模展示を見ちゃうと、全部あれの部分輸出に見えちゃうわけ。そうじゃない戦い方をするには街の文脈と対決する、つまり、この場所でこういう展示をするのはどういう意味があるかを追求するか、あるいは建物という素材に徹底的に向き合うかしかない。それは今後、チームラボが世界中のいろいろな都市で作品を展開していく上で重要なことだと思うんだよね。そこからはまた別の意味が出てくると思うし。

    今回の作品でいうと、この地域でやっていることの意味と、360度という作品のコンセプトがうまく組み合わさると、より重層的になるのかなと思った。場所と建物に、今回の展示は結果的にかもしれないけれどしっかり向き合ったものになっていると思う。


    9e47bab2b3609517ed472af78bc2072a4ba0811e■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送動画アーカイブが視聴できます。

     
  • 長谷川リョー 考えるを考える 第15回 ITビジネスの原理をファッションに転用「インターネット時代のワークウェア」発明に挑む ALL YOURS・木村昌史

    2019-04-24 07:00
    540pt
    be9e522897f1da470af62b2d4f0b8318b28cef09
    編集者・ライターの僕・長谷川リョーが(ある情報を持っている)専門家ではなく深く思考をしている人々に話を伺っていくシリーズ『考えるを考える』。今回は、「LIFE SPEC」をコンセプトに、日常で感じるストレスを無くすプロダクトを開発するファッションブランド「ALL YOURS」代表取締役の木村昌史氏にお話を伺います。大手アパレルブランドでの勤務を経て同ブランドを立ち上げた木村氏は、「かっこよさ」「見た目のデザイン」「権威」といった従来のアパレルブランドの常識にとらわれず、「週7日でも着たくなる『インターネット時代のワークウェア』」づくりに挑戦。24ヶ月連続でクラウドファンディングを展開し、総額5000万円以上を集めたのみならず、日本のファッション業界でもっとも権威ある賞の1つ「毎日ファッション大賞」にもノミネートされています。インターネットの登場によって生じたファッションの社会的立ち位置の変化、実は100年前から存在していたDtoCモデルの歴史から、ヒッピー文化にも通ずる「内面」志向、そして木村氏の活動に通底するアービトラージ思考と“狂気”にまで迫ります。(構成:小池真幸)

    「着ていることも忘れてしまう」服をつくりたい–––インターネットは、ファッションの社会的ポジションをいかに変質させたのか

    長谷川 木村さんとは、2019年2月に開催された古本市「ツドイ文庫 vol.4」でご挨拶した以来ですよね。本日は取材を快諾してくださり、ありがとうございます。

    まず木村さんが手がけているファッションブランド「ALL YOURS」について伺いたいのですが、立ち上げはいつ頃だったのでしょうか?

    木村 2015年です。いま4年目ですね。

    長谷川 立ち上げ以前は、どのようなご活動を?

    木村 もともとは、株式会社ライトオンで店長職や本部勤務に従事していました。その後、ジーンズの製造メーカーに転職し、ALL YOURSを立ち上げるまで1年ほど働いていましたね。

    長谷川 ライトオンからジーンズのメーカーに転職されたのはなぜでしょう?

    107f389350dc609fd54056ac14961bd9fc5e70e6

    木村 ALL YOURSが掲げるコンセプト「LIFE-SPEC」(日常生活で必要な機能を合わせ持ち、ストレスから人を解放する製品、サービスのこと)にも関わってくるのですが、「ヒトの身体に一番近い道具」としての洋服に関心があって。

    長谷川 だからこそ、いわば「作業着」で「道具」的であるジーンズに関わることにしたのですね。

    木村 結局、1年後には「他に同じようなことを考えている人がいないから、自分で作ってしまおう」と思い直し、ALL YOURSを立ち上げることになったのですが(笑)。

    僕が高校生だった時期くらいまで、洋服は自己表現の手段でした。雑誌で最新のトレンドを確認し、自分の志向性に合ったファッションを身にまとう。結果、人びとが裏原系や渋谷系といったセグメントに分かれていきました。「何を着ているか」で、その人の志向性が読み取れる時代だったんです。


    9e47bab2b3609517ed472af78bc2072a4ba0811e■PLANETSチャンネルの月額会員になると…
    入会月以降の記事を読むことができるようになります。
    ・PLANETSチャンネルの生放送動画アーカイブが視聴できます。