「いいか、わが一族は必ず支配者にならねばならない」


少年が一日に一度必ず言われるフレーズだ

しかし少年は一族の誇りや使命なんてものに興味がなかったが

長男であったため親や祖父から強い期待の目で見られていた。


少年にとってそれは苦痛であった。


家族から支配者のための教育として

帝王学、政治学、そしてとある宗教についての勉強も。


この世の醜さ、仕組みなども腐るほど知り、幼き少年の道徳心を壊すには充分であった


しかし、少年の心は壊れていなかった

なぜならば少年には大きな夢が2つあったからだ。


それは警察官になって弱気を助けたいという夢

もう一つが学校の先生になるというものだった。



学生A「ねぇ知ってる?うちの学校って七不思議がるらしいよ?」

学生B「えー、どんな?」

学生A「なんかね…」


とある学校の昼下がり女子学生はそんな会話を続けているなか

少年は席を立ちトイレへと向かう。


少年「都市伝説か…」


最近この世には都市伝説というものがささやかれていた

やれ口裂け女が、やれ人面犬がと学生だけでなく大人までもその真偽のわからぬ噂を

話し、恐怖し、そして笑うのである。


しかし、少年にとって都市伝説という言葉は一番聞きたくないものでもあった


後輩「おぉ~い!元気ないけどどうしたの!」


元気のいい後輩がいきなり後ろから突っ込んできた


少年「いてて・・・おい、先輩をもっと敬え」

後輩「いいじゃない、幼馴染なんだからさ。

   僕らの間の時間に数年の誤差が生まれてしまっただけだよ」


少年「はぁ」


少年はすでに話を聞いていなかったが後輩は話を続ける


後輩「そういえばこんな話知ってる?」

少年「ん?」


後輩「この学校には七不思議っていうのがあるらしいよ」


少年「七不思議ぃ?」


またか・・・と呆れた顔を見せる少年だったが次の言葉で一瞬にして顔つきが変わった


後輩「うん、なんか。どんな願いも叶えられる七不思議なんだって」


少年は絶句をした。そうか、なんでこの小学校に俺が入れられたのかなど

すべてを理解したのだろう。少年は賢かったし、あらゆる知恵を持っていた


それは一族による教育によるものだったが、

少年はそれ以上に才能に満ち溢れていた。


少年は聞いたことがあったのだ。願いをかなえる七不思議

そしてその力を使い一族の復活を企んでいるという話を


この学校がその場所だったのだ。



後輩「で、僕その七不思議を解明しようと思ってるんだ」


少年は後輩の続ける言葉でハッと意識が戻るのを感じた

いけない…考え事をすると周りの言葉をシャットダウンしてしまう悪い癖だ


後輩「だからさ、らだぁ一緒に七不思議回ろうぜ」


先輩「…いいよ。天乃」


後輩「よし、じゃあ今日の夜。学校神社に集合ね!」


少年はこの選択によって自らの運命が大きく歪むことをまだ知らない。

ここで断りを入れていたらいったいどんな運命になっていたのだろう?


それはまた別のお話。


正義感に満ち溢れた少年の選択 完



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