今回は10/5のvol.1でお知らせした通り、現場のオペレーションを中心にお送りします。
※前回の記事はこちら

前回は、普通は知らない機材の名前や、聞き慣れない用語が大量に出る形となってしまいましたが、全ては今回のためにあると言っても過言ではありません。
何故なら、今回の説明に必要な機材の名前と簡単な動き、ごく一部に絞って用語の説明をしただけだからです。
今回のブロマガでは一部前回でも説明しなかった言葉が混じってきますが、全て説明していると別のコンテンツが2本ぐらい作れてしまうので、それについては割愛します。


それでは本題に入りましょう。
現場では前回の最後に説明した「クリップさせない」が最重要になりますが、クリップさせないためには、コンプレッサーやリミッターで音を潰さなければなりません。
しかし、音を潰しすぎれば明らかに違和感は出ますし、潰さなさすぎれば音の大小がの幅が広すぎて、聞く側に取ってはものすごく不便になってしまいます。
蛇足にはなりますが、TVを見ている方であれば、とある時期を境に、番組本編とCMの音量差が縮まったのを覚えている方もいるかと思います。
番組本編の音が小さく、CMの音が大きすぎるのを防ぐ規制が敷かれました。ラウドネス規制です。


閑話休題、視聴者やリスナーに送る際の音量というものは、全て「音圧」という音量とは少し違う概念で捉えて管理をすることになります。
通常の放送では、
■入力
・マイク
・PCからの音声(動画やBGM)
■出力
・配信
・PAとスイッチャーのヘッドホン

これが基本になります。公開生放送では、入力にデジタルオーディオプレイヤーからのBGMが1系統増えていました。
動画については僕がほぼ全てミックスとマスタリングを行っているので、音質や音圧の管理は出来ていますが、BGMについては僕が手がけたものではないので、
ある程度のマージンを見込みつつ、現場で出演者の声の大きさに合わせて微調整しています。
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もちろん出演者それぞれの都合があったり、ゲストが来たり、ということもあるので、マイクは毎回違う場所や向きで、放送中にも微調整を行っていますが、
1人がぼそぼそっと話すときもあれば、全員が爆笑するときもあるので、ある程度コントロールしやすい位置には配置しています。
ですが、調整しても音の拾いやすいコンデンサーマイクは周りの音を拾うので、毎回放送のどこかで、下のスタジオの練習している音が入っています。
これはどうやっても拾ってしまうのでしょうがない部分です。

その場の音を全て収録して配信する以上、コンプレッサーで抑えきらなければ配信の時点でクリップしてしまいます。当たり前ですが、人それぞれ声が違うので、
なるべく同じ大きさで聞こえるようなマイクの位置を探して、なるべく聞きやすい位置を探すという作業は、思っていた以上に骨が折れます。
放送前で一番気を使ってシビアに調整している部分です。
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本番にもすることは大量にありますし、トラブルも付きものです。
トラブルが全くなかった場合での僕の仕事は、
・OPのカウント出し
・トーク中のテンションに合わせて、マイクの音量調整
・シーンごとに、マイクとPCからの音声を切り替える・バランスを取る
・マイクON/OFFの状態を出演者に知らせる
・場合によってはタイムキーパー松井のヘッドホンを借りて、配信音声をチェック
・必要に応じてマイク位置の調整
こんな感じの作業を現場でしています。
また、動画再生中の時にはマイクもカメラもOFFなので、音声周りも含む打ち合わせやマイクの調整もまとめて済ませています。
トラブルが発生すると、ケースに応じてそれぞれが分担したり一任したりして対応します。

ここで裏話です。
実は零細戦隊ケイエイシャーには、音の大きさを目で見れるものが何もありません。
通常であれば、ミキサーのメーターで確認したり、コンプレッサーの出力レベルやNLEで確認するのですが、何1つ使うことが出来ません。

まずミキサーですが、配信ベースでオペレーションをするのもありますが、必要なレベルが、メーターの下限よりも更に下のため、実質的に使えません。
次にコンプレッサーですが、もちろんインプットもアウトプットもモニターは可能ですが、トータルコンプレッサーとして使っているため、「今どれだけ音を潰しているのか」というゲインリダクションを確認しないと作業になりません。
最後にNLEですが、そもそもNLEの画面の左側にあるメーター表示は、かなり反応速度が遅いです。更にメーターが振り切っていても音が歪まないという、わけのわからないことになっているので、全く使い物になりません。
本来であれば、普段作曲する時に使っているようなアナライザーが入れられると便利なんですが、放送ツールはそんなに便利には出来ていません。
ここに関しては、本当にVSTに対応したり、ある程度リニアに動くメーターを実装するなどして欲しいと思います。

ということで、1期はオーディオインターフェイスに付いているPeakのランプが付いたらアウト、というざっくりとした基準で運用していました。
この辺りは2期までにもう少し良い形に変えたいところですが、果たしてこれより良い選択肢が見つかるのかどうか。

次回は残念ながらネタが決まっていません!
つらい(´;ω;`)