僕だって壁は作る
「いい人に出会えないんです」
恋愛相談を受けていると、こう言う人は本当に多い。
「友達がいないんです」って言うのもよくある。
そんな時決まって僕は「人に壁を作ってるんだからそれはそうなるよな」と思っていた。
そうなると「壁の向こうの人や情報」からは何も入ってこなくなる。
「あいつらは無理」とか言って「断絶の壁」を築くと、早い話「人生が狭くなる」わけだ。
とは言っても、僕だって壁は作る。
世界はデリカシーのない人で溢れかえってるし、中身のない人ほど威張っている。
質の低い情報を垂れ流ししてるメディアに人生の大切な時間を吸われるのもまっぴらだ。
なので、僕は「苦手なタイプの人」や、テレビの情報バラエティや、ドラマ、邦画、ゴルフ、ブランド、芸能界、あらゆる「ランキング」に少年ジャンプ、日本のアニメなど、片っ端から壁の向こうに追いやっていたのだ。
そのせいで世界が狭くなる事よりも、自分の意思を殺して世間に合わせてしまう事で傷つくのが嫌だった。
なので僕は人に壁を作る人の気持ちも、スポーツやアートに壁を作る人の気持ちもわかる。
自分の事も処理出来ないのに、嫌いなものを敢えて受け入れる余裕なんかないのだ。
とは言え、ヤンサンをご覧になった皆様にはお分かりでしょう。
そうです。
そんな僕はこの番組で「壁」の向こうに追いやっていた「日本のアニメ」や「最近の漫画」「邦画」などを受け入れました。
そして、想像もしてなかった沢山の「好き」に出会ったわけです。
相変わらず嫌いな分野もあるけど、無理して扉を開いてみると「いい出会い」はある。
「お前は嫌いって言ってるけど、一回だけ観てみて!」なんて言ってくる人いますよね?
これって「あれ最高だったよ、教えてくれてありがとう!」と言ってもらいたいだけなのだ。
そのためだけのために必死で勧めてくれるのが人間なのだ。
一緒に「いいよね」って言いたいのだ。
そりゃあ無理なのも沢山あるけど、この
「いいよね」と言い合いたいってのはいい。
そう言ってくれる言葉が幸せなのだ。
僕は「絶望に効くクスリ」のインタビューをやっていたころに「勧めてくれたらなるべく観よう」と決めた。
ヤンサンではレギュラーメンバーそれぞれが、自分の見つけた「好き」を紹介したがってウズウズしている。
最近も久世のお気に入りの小劇団の公演を観に行ってきた。
自分一人では絶対に観ないであろう劇団の舞台には知っている役者は一人もいない。
知ってるネタも一つもない。
そんな中に想像もしてなかった「面白さ」に出会う。
そして帰りに久世は僕に聞いてくる。
「どうでした?」
僕は答える。
「すげー良かった!あれってさ・・」
なんて、感想を伝える。
うまく言えないけど、これが人生だ。
壁の向こうには沢山の「分かち合い」も待ってたりする。
僕の知り合いには、未だに「ゲームなんか時間の無駄」とか言ってる人がいる。