新春第Ⅰ弾❤♡戦後2度目の丙申!2016年も「あとは自分で考えなさい。」で真のメディア・リテラシーを!
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Fm yokohama 84.7「たまらなく、AOR」
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「サンデー毎日」連載「ささやかだけど、たしかなこと。」
「慰安婦問題」の深層 「歴史の光と影」を共に抱いて歩む
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戦後2度目の丙申 「富国裕民」ジャパンを目指せ!
http://www.nippon-dream.com/?p=16041
「VERDAD」連載「田中康夫の新ニッポン論」
インボイスなき軽減前率
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「ソトコト」連載「憂国呆談」
http://www.nippon-dream.com/?p=16047
文化放送「みのもんたのニッポンdiscover again」
http://www.nippon-dream.com/?p=15944
「東京新聞」連載「私の東京物語」
http://www.nippon-dream.com/?p=15799
新春お笑いネタ:スーパー玉出
https://twitter.com/yusuke_0721_/status/687033206613266433
「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172701
悪夢に変わる移住の夢-たどり着けない欧州
スペインを目指して旅したマリの若者の挫折
http://jp.wsj.com/articles/SB11055450168849313420504581457533956218682
東京オリンピック全費用、組織委も政府も把握していない=遠藤担当相
(ロイター、1月12日 10:30)
http://jp.reuters.com/article/endo-t-idJPKCN0UQ04H20160112
安倍首相、参院選は「自公と改憲派で3分の2めざす」
http://www.asahi.com/articles/ASJ1B5DW2J1BUTFK002.html
東ティモールに欧米企業が注目 政情安定、潜在力に期待
http://www.asahi.com/articles/ASJ163JV2J16UHBI00M.html?ref=nmail
デビッド・ボウイさん死去 世界中にボウイ・ロス広がる…日本国内では遺作アルバム在庫切れ
http://mainichi.jp/articles/20160113/spn/00m/200/001000c
町山智浩 デビッド・ボウイを語る
http://miyearnzzlabo.com/archives/32717
町山智浩 映画『キャロル』と原作者パトリシア・ハイスミスを語る
http://miyearnzzlabo.com/archives/32721
ドバイ高級ホテルで大みそか夜に火災、負傷者16人
http://www.afpbb.com/articles/-/3071888
48階バルコニーにぶら下がり生還、ドバイのホテル火災
http://www.afpbb.com/articles/-/3071906
2016年の干支、戦後2回目 丙申は大変革の年?
http://mainichi.jp/articles/20151207/dde/012/040/005000c
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=306290&g=132108
純益2兆円なのに。トヨタが5年も法人税を免れた税法のカラクリ
http://www.mag2.com/p/news/21051?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000125_mon&utm_campaign=mag_0001623423_0721
「外国子会社からの受取配当の益金不算入」 95%は課税対象からはずされる2009年~「受取配当の非課税制度」
決算が赤字だったら赤字金額が5年間繰り越される「赤字繰り越し制度」
http://www.bloomberg.co.jp/bb/newsarchive/O0ARA36KLVR401.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HSI_R31C15A2MM8000/
http://www.cnn.co.jp/showbiz/35075663.html
サウジ、シーア派指導者ら47人処刑 イランと非難の応酬も
http://www.cnn.co.jp/world/35075667.html
米中西部の洪水で31人以上が死亡、ミシシッピ川流域の警戒続く
http://jp.reuters.com/article/usa-weather-idJPKBN0UG02Q20160102
昨年の出生数、5年ぶり増加へ 人口減は9年連続
財政破綻のきっかけを暗示する4つの指標
破綻を避けるには「本物の成長戦略」が不可欠
http://toyokeizai.net/articles/-/98402
http://www.asahi.com/articles/ASHDT54L2HDTUTFL008.html
日韓こじれたのは日本の硬直的立場に原因…米紙
http://www.yomiuri.co.jp/world/20151229-OYT1T50103.html?from=yrank_ycont
WSJ【社説】慰安婦問題の合意、日韓の重要な1歩に
2015 年 12 月 29 日 18:34 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB12731530226481474712604581445582938733552
A Japan-South Korea Breakthrough
An agreement on ‘comfort women’ will improve Asian security.
Dec. 28, 2015 6:28 p.m. ET
http://www.wsj.com/articles/a-war-memory-milestone-1451345330?mod=wsj_review_&_outlook
Japanese Businesses Pushed to End South Korea Dispute
Strained relations between Seoul and Tokyo over ‘comfort women’ undermined trade, investment
By
MITSURU OBE And
TAKASHI MOCHIZUKI
Updated Dec. 29, 2015 9:03 p.m. ET
http://www.wsj.com/articles/japanese-businesses-pushed-to-end-south-korea-dispute-1451378260
China Shows Skepticism on Japan’s ‘Comfort Women’ Apology
Beijing reiterates call for Tokyo to make amends for wartime transgressions after Japan-South Korea deal
By
CHUN HAN WONG
Updated Dec. 29, 2015 10:44 a.m. ET
http://www.wsj.com/articles/china-shows-skepticism-on-japans-comfort-women-apology-1451386918
http://www.wsj.com/search/term.html?KEYWORDS=comfort%20women
http://www.wsj.com/video/comfort-women-agreement-to-improve-japan-south-korea-ties/CFEA6AAD-863D-4B53-99AD-BD6E0B2093FD.html
‘Comfort Women’ Agreement to Improve Japan-South Korea Ties
12/29/2015 9:06AM
Japan and South Korea reached an accord as Japanese Prime Minister Shinzo Abe apologized for the treatment of Korean women used as sex slaves for Japanese soldiers in World War II. The U.S. has welcomed it, but China has offered a frosty response. Photo: AP
the foreign ministers of Japan and South Korea the US is to most complete now likely to reach the landmark agreement that marks a first step toward normalization of bilateral time it's ... all going forward Japan and South Korea will move into a new era I hope this'll be an opportunity for the two countries Japan and South Korea ... joined forces to clear the path toward a new era ... on Monday Prime Minister Shinzo Abe's the historic apology to tens of thousands of the meeting ... will be use as sex slaves by Japanese soldiers doing will but to ... it's the mid teens to resolve the decades long dispute ... and stipulates that Japanese government bonds also by eight point three million dollars to support the so-called countryman ... but some former comfort women think it's not enough ... I cannot be satisfied for now ... because thinking about all those years we've been so our ... money does not matter for now ... but what matters is that the announcement of the human rights as human beings ... some of the forty six for women who are known to be alive said he would accept a copper mines ... political analysts say the treatment marks a significant step in bilateral ties that were set to be at a historic low ... in South Korea ... the segment over the legacy of Japan's thirty five year colonize the shin is still iffy ... until recently ... there's been friction between Tokyo and Seoul ... in September ... some saw the South Korean president's visit to China as a challenge to Japan and the US for the U S which welcomed the agreement ... better relations between Japan and Korea are keen to check training the beach and as tensions are rising in the South China Sea ... this is leaders welcomed the EU as despite tensions ... Japan and Korea are in fact each other's third-largest Rijkaard ... but in China with Japan has also been criticized for its stance and its military transgressions during World War two the agreement to Frost even spots ...
全日空がA380導入へ 「空飛ぶホテル」コストが課題
http://www.asahi.com/articles/ASJ134W6SJ13ULFA006.html
サウジ、「神への侮辱」で詩人に死刑判決 世界から非難の声
http://www.cnn.co.jp/world/35074194.html?tag=mcol;relStories
北米でひそかに広がる「コオロギ工場」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO95152040V11C15A2000000/?n_cid=MELMG002
2015/12/23 6:30
日本経済新聞 電子版
コオロギと聞いて多くの人は食材とはほど遠いものと思うかもしれない。これまでは飼料用でしか日の目を見ることはなかったが、その飼料効率などが注目され、発展途上国の食料としてだけでなく、先進国でも食用コオロギの市場が芽生えている。米中部の「コオロギ工場」に足を運んだ。
■ハーブで香りづけ
コオロギを使った料理を次々に開発する料理人のブラッドレー・ミラー氏。
「1日1ポンドぐらい(1500匹相当)は出る。若者だけじゃなく結構年配の人も注文するよ」。
米中西部オハイオ州の田舎町、ヤングスタウンの中心部にあるバーレストラン「スージーズ」の料理人、ブラッドレー・ミラー氏はこう話す。
コオロギの姿揚げをスパイスのようにトッピングできるホットドッグは定番メニューだ。食べてみるとクセになる味ではある。小エビのような食感と発酵した海鮮系に近い香りにナッツのような香ばしさがある。味が淡泊な肉料理のアクセントになっている。
コオロギは冷凍して出荷されるが、味は冷凍直前の5日間に食べた餌に大きく左右されるという。コオロギはスイカやメロンなど水分豊富な果物を好むが、バジルやミントなどのハーブも食べる。レストラン用にハーブで香り付けした高級コオロギも開発されている。
ヤングスタウンは、かつて製鉄で栄え、全米一豊かな街の一つとされ、歌手のブルース・スプリングスティーンの反戦歌にも登場する。製鉄の衰退とともに街も廃れたが、転機は2013年に訪れた。スージーズに、この地域でコオロギを独占的に供給しているのがコオロギ養殖ベンチャーのビッグ・クリケット・ファームズだ。
地元のバーで開発したコオロギの姿揚げをアクセントにしたセロリの味噌あえ料理。揚げた小エビのような食感と味。(米オハイオ州ヤングスタウン)
「コオロギの食料としての可能性に注目した2013年の国連報告書がきっかけだった。あれで真剣にビジネスをやろうと食用コオロギ業界が生まれた」。創業者のケビン・バシュバー氏はこう話す。かつて、タイを旅行中に単純な昆虫養殖を見て以来、もっとシステム化できないかと考えていた。国連の報告書が背中を押し、翌年には食用コオロギ専用の「都市型養殖工場」を立ちあげた。バシュバー氏は「立ち入り検査に来た検査官に『コオロギってのはゴキブリの一種か』と聞かれた。もっと認知度を高めていかないと」と笑う。
積み上がる衣装ケースほどの巨大な飼育箱の中に数万匹のコオロギがうごめく。工場の目の前には住宅が並ぶが、犯罪率の高さで知られる街に世界の食料危機を救うベンチャーが誕生した、と住民は歓迎ムードだ。数百万匹の虫の大群が近所にいる事実が嫌がられることもないという。
養殖用の昆虫の中でもコオロギは年間7回程度は世代交代し、投入した食品や水、エネルギーに対する生産効率が極めて高い。栄養的にも必須アミノ酸を含む良質なたんぱく質に加え、鉄分やカルシウム、健康維持に重要な役割を果たすオメガ3脂肪酸なども豊富に含む点で評価が高い。習性上、腐敗したものは食べず、餌は基本的に養鶏用と同じものを与えるため衛生面の安全性は高い。餌を捕る必要がないので跳ねる能力は退化しており、逃げる可能性も低い。天然の個体に比べ鳴き声はか弱く、騒音の心配はあまりない。
飼育箱に設置された大量の卵用パックに隠れ快適に過ごすコオロギたち
同社は鳴き声や動きのデータを解析し、より快適な環境をつくるソフトの開発も始めた。繁殖時の雄と雌の最適な割合、光の具合、湿度、温度、色、餌などを調整し、データを集める。温度と湿度の管理で生産効率が大きく変わる。コオロギのふ化の最適な環境条件はセ氏32度、湿度90%だという。激しい音楽がかかっていると卵を産まない、赤や黄色はあまり好まず、暖かく暗い方に行くといった傾向がある。大きめの箱に入れて全体の動きをみることで様々な傾向をつかみ取ろうとしている。
■VCの資金が流入
バシュバー氏と同じように、国連報告書に反応したのは好奇心旺盛なインテリ層や、高級レストランの料理人だ。料理に新たな刺激を求める食通たちが、あえて「ゲテモノ」の昆虫に挑戦し始めたのだ。
コオロギ粉を使ったクラッカー。アーモンドやココナッツなどの粉に混ぜ込み食べやすくしている。
コネティカット州のハンバーガーチェーン、ウェイバック・バーガーは「コオロギ粉」入りのミルクシェイクを開発。同州のレストラン「ミヤスシ」はコオロギを具にチーズなどと合わせた巻きずしを考案した。コオロギのたんぱく質を発酵させた味噌なども登場している。
米国ではシックスフーズ、ビティーフーズ、アスパイア・フード・グループといった食品ベンチャーが次々に勃興し、クッキー、シリアル、スナックバーなどコオロギ粉末を使ったメニューを開発。養殖コオロギの大口の買い手になりつつある。ベンチャーキャピタル(VC)の資金も流入し、急拡大する米国内の需要を背景に半分趣味だった業界が一気にビジネスへと飛躍しようとしている。業界の中では25メートルプールより少し大きい400平方メートルを上回る規模の工場もできつつある。
米国にはもともとペット用の昆虫養殖産業は古くからあったが、衛生基準など家畜と同じ規制が適用される食用向けの産業はなかった。1970年代に一時、コオロギを「陸のエビ」と呼び食用にしようとする動きが出たが広がらなかった。
手作りの設備で食用コオロギ養殖の近代化を進める(ビッグ・クリケット・ファームズ)
コオロギが再注目されているのは、牛や豚などの食用動物を飼育するために使う飼料や二酸化炭素(CO2)、水がばかにならない量になることが再認識されているからだ。欧米の富裕層の中には、これに加えて動物愛護の観点から菜食主義者が少なくない。コオロギの飼料効率は牛の10分の1、温室効果ガスの排出量は同じく100分の1、1ポンドの肉を作るのに必要な水の量は2000分の1とも言われる。コオロギは環境に敏感な層を引き込む素材にもなりうる。
■途上国向けビジネスも
米カリフォルニア州オークランドのベンチャー企業、タイニーファームズは今、隣町のサンフランシスコの郊外でコオロギの養殖量産工場の土地確保のめどをつけつつある。もともとは爬虫(はちゅう)類の餌などに使われる昆虫を養殖するキットを開発する会社だったが、「食用を中心に伸びる需要があまりに大きすぎてさばききれなくなった」(創業者のアンドリュー・ブレンターノ氏)ため、自らコオロギ生産に乗り出すことにした。
ブレンターノ氏のオフィスにはコンゴ共和国やニジェール、南アフリカ共和国などからの問い合わせが絶えない。これらの国では国民の栄養状態を改善するため、動物性たんぱく質の供給が課題だが、食肉はまだ高価。安価なたんぱく源としてコオロギが注目されているのだ。
アフリカでは野生の昆虫を捕まえて食用とする地域も多い。だが、まだ近代的な養殖産業としてシステム化はされていない。こうした各国政府の要望に応え、タイニーファームズはコオロギの養殖工場の効率的な運営ノウハウを確立し、最終的に新興国へ技術供与することも計画している。
カナダのオンタリオ州、米テキサス州など、北米には既に60以上食用コオロギの養殖拠点が生まれている。コオロギ農場向けのコンサルティングをする会社まで既に登場しているほどの過熱ぶりだ。
こうしたコンサル会社の一つ、ビットウオーターファームズ(カリフォルニア州)のシーン・マクドナルド会長は「我々は自分で生産せず『コオロギ工場』のハイテク化と規模拡大を支援していく。養殖可能な昆虫の中で科学的にコオロギはたんぱく質生産効率は一番いい。顧客は増え続けているよ」と笑顔を見せる。食用コオロギの市場は毎年倍のペースで拡大しており、将来的に20億円以上に育つと期待されている。
養殖のノウハウが確立されつつあるコオロギだが、まだ製品価格は高価だ。北米産のコオロギ粉末で450グラムだと6千円前後、粉末入りのスナックバーは1本で400~600円もする。230グラムのシリアルは1800円以上する。一般に普及するには厳しい価格帯だ。ただ、工場の自動化と規模拡大でコストは徐々に下がっていくのは間違いない。
■母親からリクエストも
米ではコオロギの調理本も出始めている。
日本でもイナゴやざざむしなどを食用にする文化はあるが、コオロギというと身構える人も多そうだ。ところが米国人にとっては敷居が低いらしい。タイニーファームズのブレンターノ氏は「コオロギはディズニー映画『ピノキオ』に出てくるキャラクター『ジミニー・クリケット』で親しまれてきた。病気の媒介にもならず、畑を荒らす害虫でもないので米国人にとっては昆虫の中では最も抵抗がない」と分析する。
女性は虫を嫌がるイメージがあるが、コオロギ粉を使ったお洒落なパッケージのクッキーを開発する米ビティーフーズのメガン・ミラー共同創業者は「子供に良質なタンパク質を摂らせたい母親からの需要が大きい」と語る。コオロギを使った料理本なども登場した。
試しに揚げたコオロギを記者の3歳になる息子に食べさせてみると全く抵抗なく口に運んだ。そして一言「おいしい。ムシもっと欲しい」。案外、次の世代には文化的な抵抗はなくなるのかもしれない。
(シリコンバレー=兼松雄一郎)
和光堂、ベビーフードを自主回収 コオロギ混入問題
2015/1/8 13:05
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08H91_Y5A100C1CC0000/?n_cid=SPTMG002
ケタ違いの衝撃(4)食卓にコオロギ 「飼育」費用は牛の10分の1 食料危機が好機
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO94661600S5A201C1MM8000/
2015/12/2付
日本経済新聞 朝刊
2050年に世界人口は100億人に迫る。その胃袋を満たすには、今より6割の食料増産が必要だ。限りある資源で、食料危機は回避できるのか。世界で答え探しが始まった。
コオロギをメニューに採り入れた料理人のミラー氏(米オハイオ州)
「リー、リー」。東京から約8000キロメートル離れたフィンランドのヘルシンキ。とある施設に一歩、足を踏み入れると、ずらりと並んだプラスチックの箱から鈴の音のような鳴き声が響き渡る。声の主は、約50万匹ものコオロギだ。
飼っているのは14年12月創業の現地ベンチャー、エント・キューブ。「コオロギこそが食料危機の救世主だ」。最高経営責任者(CEO)のロバート・ネルマンダ(27)は力説する。
昆虫が代替品に
なぜコオロギなのか。驚くのは栄養分だ。100グラム当たりに含まれるプロテイン量は21グラムと、牛肉や粉ミルクとほぼ同じ。しかも飼育コストは家畜より桁違いに安い。牛1頭を100グラム太らせるには1キログラムの飼料と1534リットルの水が必要だが、コオロギはそれぞれ100グラム、1リットルで済む。開発した飼育用コンテナはアフリカのNPOなどにも販売する計画だ。
昆虫食は国連食糧農業機関(FAO)が13年、家畜の代替食料としての可能性を示して注目された。かつては製鉄で栄えた米オハイオ州ヤングスタウンにもコオロギ養殖ベンチャーが登場。街の復興に期待がかかる。
レストラン「スージーズ」では、ホットドッグにコオロギの姿揚げをトッピングできる。小エビのような食感で、料理人のブラッドレー・ミラー(31)は「若者だけじゃなく、年配の人も注文するよ」という。日本でも日清食品ホールディングスが昆虫からたんぱく質を抽出して食べやすくする技術を研究する。
食料問題の解決は、企業にとって巨大なフロンティアだ。
米サンフランシスコのベンチャー、ハンプトン・クリークは「植物卵」を生みだした。卵の栄養素を豆などの植物性たんぱく質で代替した。植物卵でつくったマヨネーズやクッキーは米スーパーで買える。
オフィス兼キッチンにはパソコンやサンプル食材がずらり。グルメ本「ミシュランガイド」で星を取った料理人や生物学者ら異色の人材が人工知能(AI)も駆使し、最良の植物性たんぱく質探しやメニュー開発を担う。
CEOのジョシュア・テトリック(35)は「安全でおいしく、一般の人でも買える新しい食品産業のシステムをつくる」と語る。その可能性に、三井物産も出資した。
「都市農場」登場
食料をつくるのは農地だけではない。ビルの屋上や空き地など、市街地のすきまを利用した「都市農場」も登場した。
機械部品商社の堀正工業(東京・品川)がハワイ州立大と共同開発した装置は上段で発光ダイオード(LED)照明を使った水耕栽培、下段は魚を養殖する。価格は100万円から。エネルギーや水の消費が最小限で済み、砂漠や船上も「農場」になる。ロシアや中東からも引き合いがある。
社長の堀雅晴(60)は語る。「世界で農地確保の争奪戦が始まる。対抗するには都市で食料を賄うしかない」。危機を好機に――。新産業を創る種はまだあるはずだ。
(敬称略)
世界で台頭 巨大ベンチャー「ユニコーン」勢力図
http://vdata.nikkei.com/prj2/ni2015-globalunicorn/
業界覆す「ユニコーン」の波 日本は乗れるか
新・産業創世記 ケタ違いの衝撃(3)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ09IGJ_Q5A111C1SHA000/
中国は米に次ぐ「ユニコーン大国」 日本はゼロ
新・産業創世記
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO94552110Z21C15A1TJC000/
超大型ベンチャーに迫る「宴の終わり」
米州総局・清水石珠実
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/nyexpress.aspx?g=DGXMZO9395319013112015I00000
大企業なのに「非上場」そのワケは?
http://www.nikkei.com/markets/features/54.aspx?g=DGXMZO9135576004092015000000
2015/9/5 5:30
日本経済新聞 電子版
企業経営者なら誰もが一度は憧れる株式上場。低コストでの資金調達が可能になるほか、企業の知名度アップにつながるなど魅力は大きい。その一方で、かたくなに「非上場」を守り通す大企業がある。資金ニーズが少ない、外部株主の増加が経営の足かせになるなど理由は様々だが、その背景には、長年培われてきた経営哲学がある。
日本酒大手の月桂冠、「ヤン坊マー坊」で有名なヤンマー。袋麺「ワンタンメン」を手掛けるエースコックや旅行大手のJTB――。誰もが知る有名企業の中には株式を公開していないところが意外と多い。代々伝わる社是を守る老舗企業や、地域社会にしっかり根を下ろしたファミリー企業が中心だ。
有名な非上場企業は意外と多い |
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社名 |
本社所在地 |
業務内容 |
《国内》 |
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月桂冠 |
京都市 |
京都・伏見で日本酒醸造に取り組む。創業は1637年 |
ヤンマー |
大阪市 |
農機大手、工業デザイナー、奥山清行氏が設計を手掛け話題に。創業は1912年 |
ジェイティービー |
東京都 |
旅行代理店大手、海外旅行取扱高トップ。創業は1912年 |
大創産業 |
広島県 |
国内外で100円ショップ「ザ・ダイソー」を展開、1972年に矢野商店として創業 |
竹中工務店 |
大阪市 |
ゼネコン大手、日本一高い「あべのハルカス」を設計・施工 |
エースコック |
大阪府 |
即席麺大手、「ワンタンメン」が有名に。創業は1948年 |
ユーハイム |
神戸市 |
洋菓子製造販売、1909年に青島(中国)で創始者ユーハイム氏が菓子店を開店 |
《海外》 |
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IKEA |
スウェーデン発祥 |
北欧を拠点にグローバル展開する家具チェーン。創業は1943年 |
ボッシュ |
ドイツ |
自動車部品の世界最大手、ロバート・ボッシュ氏が1886年に作業場を開いたのが起源 |
カーギル |
米国 |
世界有数の穀物メジャー、大豆や小麦など国際流通に多大な影響力。創業は1865年 |
アルマーニ |
イタリア |
高級ブランド、デザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏が1975年に会社を設立 |
■「株は事業の参加証」社員へは配当で報いる
吉田忠裕 YKK会長
「株は事業の参加証。一緒に事業をする人が株を持つべきというのが創業者の考えなんです」。こう話すのはYKKの吉田忠裕会長だ。会長の父である吉田忠雄氏(故人)が創業したYKKはファスナー製造の世界最大手。世界71カ国・地域に拠点を持ち、2015年3月期の連結売上高は7200億円に達する。売り上げの規模では東急不動産ホールディングス(15年3月期で7731億円)や東京エレクトロン(同6131億円)と肩を並べる大企業だ。
同社の株主はYKKの事業に直接関わってきた人に限られる。筆頭株主は発行済み株式の2割弱を持つ従業員持ち株会。創業家や金融機関がそれに続くが、約6000人いる株主のほとんどが、同社の元社員やその家族だ。吉田会長によると、忠雄氏は社員や顧客との共存共栄を何よりも大切にした企業家だった。社訓は「善の循環」。他人の利益を図ることが自らの繁栄につながるという意味だ。ファスナーはそれだけでは役に立たず、洋服などに組み込まれて初めて能力を発揮する。「ファスナーという小さな部品を扱う会社だからこそ、自分の利益だけではダメで、客の利益を考えなければならないと思ったのでしょう」と語る。
社員株主が多いということは「給与が簡単に上げられなくても、配当で報いれば、人並み以上の収入は得られる」(吉田会長)。社員の士気も高まるわけだ。
■厚い金融機関との信頼関係 資金調達のニーズ低く
上場する大きな目的として資金調達を挙げる企業は多い。グローバルな競争環境に身を置く企業はM&A(合併・買収)などを経営戦略に掲げるところが多く、資金ニーズが大きい。だが、「安定した市場で一定のシェアを確保し、確実に収益を上げている伝統的な企業にとっては、上場して投資資金を確保するメリットが少ない」(日本総合研究所の手塚貞治プリンシパル)。
貴金属大手、田中貴金属工業の持ち株会社、TANAKAホールディングス(HD)。JR東京駅前にある本社にはなぜか、安田銀行(後の富士銀行、現・みずほ銀行)の創業者、安田善次郎氏の銅像が飾られている。しかも、座した像の下には恭しく座布団が2枚。創業者の田中梅吉像ですら1枚で、その処遇は異例だ。実はここに、創業130年を迎えた老舗企業が非上場を貫いてきたひとつのヒントが隠されている。
TANAKAHDのルーツは1885年にまで遡る。神田の質屋に奉公していた田中梅吉が32歳の時、日本橋北島町(現在の茅場町)に両替商を開いたのが始まりだ。梅吉は安田氏と古金銀(過去に流通していた金貨・銀貨)を扱う業者として「創業以前から懇意、以来富士銀行とは深い信頼関係にある」と銅像には記される。100年以上の長い付き合いにより「金融機関との信頼関係は厚い」(TANAKAHDの池田収常務執行役員)。直近の自己資本比率が約4割と高い上に、金の買い取りなどで万が一の資金ニーズが発生しても銀行と結んでいる融資枠契約が威力を発揮する。主力の産業用事業は「多品種・少量生産」が基本。そのため、設備投資ニーズはあまり高くない。結果、複数の証券会社から幾度となく誘われても「上場する必要なしとの結論に達した」(池田氏)という。
■会議で即断即決 年間1000アイテムの新商品を投入
多様な株主の目を気にせずに思い切った改革ができるなど、経営の自由度が高いことも利点のひとつだ。YKKの場合、取引先の縫製企業を追って人件費の安い海外に生産拠点を新設した。迅速な対応を可能にしたのは社員株主の判断だ。TANAKAHDの場合、11年の東日本大震災時に海外との物流網が寸断されるリスクを回避するため、貴金属の大量確保に動いた。相場下落リスクを取ってまで買いに動けたのは、外部株主がいないことが大きかった。11年7月にMBO(経営陣が参加する買収)で非上場企業に出戻ったカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も、経営の自由度を高めることが目的だったとされる。オンラインゲーム事業に本格参入したり、最近では都内に書籍と家電、カフェなどを融合させた蔦屋家電をオープンするなど様々な戦略を打ち出している。
アイリスオーヤマ(仙台市)の大山健太郎社長
「経営者の判断で即断即決できる」と語るのが生活用品大手、アイリスオーヤマの大山健太郎社長だ。仙台市に拠点を置く同社は、発光ダイオード(LED)照明からペット用品、家電から精米まで、あらゆる生活用品の生産から卸しまでを手掛ける。19歳で亡き父の後を継ぎ、50年以上トップを務める。プラスチック容器を生産する小さな町工場から、年商3000億円超の企業グループに育て上げた。経営危機に陥ったシャープの技術者らを大量採用するため、大阪に研究開発拠点を設けたことが話題を集めた。
大山社長は約30年間にわたり、毎週月曜日に「新商品会議」を開く。社員が提案するアイデアに対し、社長自らが製品化の是非を見極め即決する。毎年1000アイテムを超える新商品を投入できるのは、会議の結果を即実現できる体制が整っているからだ。
「会社と社員は一体」との考えを持ち、株主は社長や社員持ち株会で固める。経営理念には「会社が良くなると社員が良くなり、社員が良くなると会社が良くなる仕組みづくり」とある。主任以上の社員に利益の一部を賞与の形で支給。この賞与を原資に、会社から自社株を買い取る制度を導入し、社員の経営参画への意識を高めている。
■長期にわたる再開発事業 株主の理解難しく
四半期決算の導入などで、投資家が投資収益の最大化を狙う期間が短期化している。目先の利益成長がキャピタルゲイン(売却益)や配当という「果実」になるが、その果実を極力早く摘み取りたいという株主が多い。だが、手掛ける事業の性格上、長期の視点から評価することを求められる業界もある。六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズを手掛けた森ビルが非上場にこだわるのは、再開発が数多くの地権者をまとめる必要があり、巨大プロジェクトの場合、完成まで20年以上の時間がかかるからだ。
複合施設であるアークヒルズ(東京・港)は構想から完成までに約20年を要した
実質的な創業者である前社長の森稔氏(故人)は自らの著書「ヒルズ 挑戦する都市」に次のように記している。オフィス、住居、ホテル、コンサートホールなどで構成する複合施設で、最初の「ヒルズ」となったアークヒルズを造る際には、企業の金もうけのための開発だと多くの住民の猛反対にあった。再開発の目的は老朽化した町を再生することで、住民の追い出しは狙っていないことを理解してもらおうと、様々な手を尽くして住民との対話の機会をつくった。買い取った敷地の一部を広場にして映画の上映会やお祭りを開いたり、地区の子どもたちを対象に書道教室やそろばん教室を開いたりするなど、地道な地域貢献に力を注ぎ理解者を増やしたという。森氏は「再開発は長期にわたる。もし、上場していたら、こんなリスクの高い事業は株主が許さなかっただろう」とする。
もちろん、巨大プロジェクトを手掛けるための資金は必要だ。森ビルは銀行からの借り入れに加えて、社債による調達を積極化している。償還まで10年以上の年限の社債を発行する数少ない非上場大手企業として、社債マーケットでの存在感は大きい。
■変わる経営者の意識 米国では非上場ブーム到来
海外では、イタリアの高級ブランドのアルマーニやスウェーデンの家具・インテリアチェーン、イケアなどが非上場組だ。「海外の方が有名大企業が上場している例は少ない」(宍戸善一・一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)という。米国では、02年に企業に厳しい内部統制ルールを課した企業改革法(サーベンス・オクスレー法)が制定され、経営者の間で上場機運が急速に薄れた。米国シリコンバレーのベンチャー企業の中には、新規株式公開(IPO)を目指さないケースが増えている。IPOを目指さない珍しさから、想像上の珍獣の名前を取り「ユニコーン企業」と呼ばれる。「ベンチャーキャピタル(VC)から巨額の資金調達が可能になっている上に、ネット上で多数から資金を集めるクラウドファンディングという手法が普及したことがIPO以外の道を作り出した」(宍戸氏)という。
日本でも「東証マザーズなど上場基準が緩い新興市場の整備が進んだことで、上場の位置づけが『目標』ではなく『選択肢の一つ』へと変わり始めた」(日本総研の手塚氏)。近い将来、非上場という選択肢を取る経営者が一段と増える可能性もありそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 依田翼、竹田幸平、村田菜々子、真鍋和也〕
「台湾とも協議を」日本に要請
http://mainichi.jp/articles/20151230/k00/00m/030/050000c
【台北・鈴木玲子】日韓の慰安婦問題の合意を受け、台湾の馬英九総統は29日、報道陣の取材に対し「(台湾)政府の立場は一貫して日本政府に慰安婦への謝罪と賠償を求め、女性たちの尊厳を取り戻すことにある」と述べた。日韓の合意後、馬総統がこの問題について公の場で言及するのは初めて。
また、林永楽・外交部長(外相)は同日、記者会見し「台湾とも協議に入るよう日本側に強く申し入れた」と発表した。日台の窓口機関を通して日本側に要請したとしている。
林部長は「日韓が合意によって行う細かい部分は我々の要求と完全には一致しないが、被害を受けた台湾の女性にも同様に、同等の権利保障が行われるべきだ」と強調した。
会見には、台湾の元慰安婦を支援する女性人権団体「婦女救援社会福利事業基金会」の康淑華執行長が同席。康氏は毎日新聞などの取材に対し「(台湾で生存している)元慰安婦の女性4人に日韓の合意を伝えたら喜んでいた。賠償や謝罪だけでなく、女性たちの名誉回復が重要だ」と指摘した。
<動物だって酔っぱらいたい/人間のように「深酒」も>
http://jp.wsj.com/articles/SB12245266549339404205904581423093436254886
貧困度の高い日本は格差是正策を打つべきだ
OECD加盟34カ国で6番目に高い貧困度
アンソニー・アトキンソン :英オックスフォード大学フェロー
http://toyokeizai.net/articles/-/97409?utm_source=morning-mail&utm_medium=email&utm_campaign=2015-12-21
「日本一厳しい」屋外広告物条例 兵庫・芦屋市で成立
http://www.asahi.com/articles/ASHDL61S4HDLPIHB02F.html
民進党、国民党の支持基盤切り崩し 台湾総統選
http://www.asahi.com/articles/ASHDK4T7CHDKUHBI01D.html
診察料など0.49%引き上げ、薬価は減額へ 診療報酬
http://www.asahi.com/articles/ASHDL00NJHDKUTFL00X.html
化学工場で膀胱がん 約40人のうち5人が発症
http://www.asahi.com/articles/ASHDM33SMHDMUBQU002.html?iref=com_apitop
中国、IMF出資3位に=米議会が5年越し改革承認
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015121900113
軽減税率導入で菅義偉官房長官が「影の税調会長」と言われるほど圧勝したワケは…
http://www.sankei.com/premium/news/151219/prm1512190018-n1.html
なぜ朝日新聞は自民党員・党友の意識調査をこれほど歪めて読み解こうとするのか? 峯匡孝
http://www.sankei.com/premium/news/151205/prm1512050021-n1.html
ゴーストタウンがあちこちに? 空き家が蝕む日本の未来
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151214-OYT8T50109.html?from=y10
「昆虫食」は地球を救う!? ~食卓にコオロギ料理が並ぶ日は来るか?
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151214-OYT8T50108.html?from=yartcl_outbrain2
東京五輪費用、1兆8千億円 当初の6倍、大幅な公的資金投入避けられず 大会組織委試算
http://news.livedoor.com/article/detail/10972651/
内閣府がひた隠す2020年度収支のカラクリ
赤字額9.4兆円から6.2兆円に「急減」のナゼ
http://toyokeizai.net/articles/-/79085
頓死!黒田日銀は進退窮まり詰んでしまった
いきなりの「補完措置」は自殺行為ではないか
http://toyokeizai.net/articles/-/97495
日銀の補完措置:「苦しい台所」や「手詰まり感」を象徴-市場関係者
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZJTJ16K50Y001.html
橋下市長退任「これ以上やれと言っても無理」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151218-OYT1T50103.html?from=ytop_top
橋下氏ポスター撤去、維新指示…TV出演布石か
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151218-OYT1T50089.html?from=yrank_ycont
政治家に未練「ない」=橋下大阪市長が退任
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015121800908&j4
学童保育1万7千人が待機 働く女性増え施設足りず
共働きやひとり親家庭の小学生を放課後に校内や児童館などで預かる放課後児童クラブ(学童保育)を、定員超過などで利用できなかった「待機児童」は5月1日時点で1万6941人に上り、前年より6996人増えたことが18日、厚生労働省の調査で分かった。
働く女性が増え、希望者が増加。利用対象者はこれまで原則10歳未満の小学生だったが、4月から小学生全体に広がったことも待機児童増につながった。政府は、施設整備などを進めて2019年度までに学童保育の待機児童を解消するとしているが、実現は容易ではなさそうだ。
利用登録した児童数は8万8183人増の102万4635人で、初めて100万人を超えた。一方、施設数も524カ所増の2万2608カ所と過去最多だったが、需要には追い付かなかった。
待機児童が最も多かった都道府県は東京で3140人。埼玉が1827人、千葉が1302人と続いた。このほか北海道や神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、鹿児島で500人を超えた。
学年別では、4年生の待機児童が前年より3千人以上増えて4752人となり、最も多かった。一方、利用登録者数は小学1~3年生で全体の85%を占めた。
2015/12/18 18:40
正念場の政府機関移転=誘致自治体「期待外れ」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201512/2015121800862&g=pol
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省庁移転の検討本格化 閣僚反発、難航必至
政府は18日、地方移転の候補とした観光庁など中央省庁7機関について、移転の可否に関する検討を本格化させた。来年1~2月には道府県と省庁の担当者が対面する意見交換会を開くなどして提案内容を検証し、3月の正式決定を目指す。ただ、省庁側は関係閣僚らが国会対応などを理由に難色を示しており、実現するかどうか見通せない。
7機関は観光庁、文化庁、消費者庁、特許庁、中小企業庁、総務省統計局、気象庁で、自治体から提案があった全機関が候補に残った。ただ、国や独立行政法人の研究機関・研修施設の絞り込みを優先し、作業は後回しになっている。
政府はこれらの省庁と関係が深い国民生活センターなどの独法を一体で議論を進める方針だ。
一方、関係閣僚からは反発の声が出始めている。観光庁を所管する石井啓一国土交通相は18日の記者会見で「国会や官邸などとの対面業務が必須で、移転した場合は機能維持が極めて困難になる」と否定的な見解を示した。
石破茂地方創生担当相は17日の有識者会議で「国会対応とか省庁間調整と言っていたら議論は進まない」と述べ、関係閣僚との折衝で決着させる考えを示した。
2015/12/18 19:03
e-WISE |
研究・研修施設22候補に 観光庁含め全34対象公表 地方移転、大半は一部
政府は18日、地方移転の候補となる34の中央省庁や独立行政法人の研究機関を決定、公表した。地方から要望が強かった国や独法の研究機関や研修施設では、産業技術総合研究所や水産総合研究センターなど22機関を検討対象とした。ただ、組織全体を移さない「一部移転」が大半で、当初の目的とされた東京一極集中の是正につながるのか疑問の声も出そうだ。
安倍晋三首相や石破茂地方創生担当相が出席した「まち・ひと・しごと創生会議」で対応方針が決まった。中央省庁では北海道と兵庫が要望していた観光庁など全7機関、徳島が希望する国民生活センターなど各省庁と関連性が強い独法5機関が対象に残った。今後、自治体や省庁関係者の意見聴取を進めて対象を選別、来年3月に移転先も含め正式決定を目指す。
石破氏は18日の記者会見で「政府機関の地方移転は長い期間、実現しなかった。議論が進み始めたのは大きな意味がある」と話した。
22の研究機関のうち、全体の移転を検討するのは、大阪提案の医薬基盤・健康・栄養研究所傘下の研究所だけで、残りは組織の一部が対象。研究拠点の新設を検討するケースもあるが、多くは職員が地方の大学や企業の研究員を兼務して共同研究を進めるといった代替案を示している。
施設移転に対し研究機関や所管する省庁の反発が強く、地元企業などと共同研究に取り組む場合も「移転」と容認する判断に傾いたとみられる。
当初、42道府県が69機関の移転を提案したが、政府が移転に掛かるコストや経済波及効果などを精査して約半数に絞り込んだ結果、岩手など8県は提案が全て退けられた。地方側が優れた再提案をすれば、検討対象に戻す可能性もあるとしている。
2015/12/18 13:06
解説 対象の水増しは疑問 地方移転の対応方針
【解説】政府は地方への機関移転に関する対応方針で、22の研究機関・研修施設の大半について一部移転の検討を進めるとした。詳しい内容をみると、実際には施設を移さず、地元企業と共同研究を進める事例も含まれている。これを「一部移転」と位置付けるのは対象の水増しにほかならず、本気度に疑問を感じざるを得ない。
政府はことし3月、自治体に提案を募集した際、施設を地方に移すことを前提に、土地や建物を確保する見通しなどを示すよう求めていた。
だが、省庁や独立行政法人は「移転費用が膨大になる」などと反発し協議は難航。苦肉の策として11月ごろ、東京などの研究機関の職員が在籍したまま、地方の企業や大学の研究員を兼務して共同研究に取り組むことも一部移転と扱う代替案が急浮上した。
内閣官房幹部は「地場産業への波及効果が見込め、地方は『実』を取ることができる」と意義を強調する。共同研究の推進は地方の期待も大きく、実現を図るべきだが、本来目指していた機関移転とは別物だ。
政府には、見せかけの「移転」を増やすのではなく、少しでも実際に組織や人を地方に動かす努力が求められる。
2015/12/18 10:00
軽減税率の何が問題か 小幡績
http://www.newsweekjapan.jp/obata/2015/12/post-4.php
インボイスを正しく理解するための「4つの論点」
インボイスは消費税計算の手間を省き、転嫁を容易にする
http://diamond.jp/articles/-/80902
なぜ新聞まで!?国民不在の消費税軽減税率
http://diamond.jp/articles/-/83392?page=2
相鉄、ネイビーブルーで挑むメジャーへの道
初の都心乗り入れで「選ばれる沿線」目指す
http://toyokeizai.net/articles/-/97009
リニア新幹線の難所、南アルプストンネルに本格着工
計画の成否を左右
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ18I78_Y5A211C1TI1000/
中国の少数民族、発展から置き去り 脱貧困へ苦闘
2015/12/21 6:30
日本経済新聞 電子版
日々ダイナミックに成長し、変貌するアジア。つっこんだ取材をしているからこそ、ニュースの裏に隠された事情が見えてくる。現地ルポを織り交ぜて、人々の熱い息づかいを、歴史的な背景をわかりやすく伝える。
中国・北西部の甘粛省には、チベット族や回族など少数民族が住む自治州がある。甘南チベット族自治州は農業のできない土地も多く、ほとんどが遊牧民として生活する。臨夏回族自治州は農業などで生計を立てるが、やはり貧困問題が付きまとう。11月末に開いた貧困問題に関する会議で、習近平国家主席は「2020年までに貧困県をすべてなくす」と宣言した。はたして現実はどうなのか。経済発展から取り残され、貧困に苦しむ自治州を歩いた。
■遊牧民の定住・教育に難題つきまとう
学校から下校するチベット族のこども(甘南チベット族自治州夏河県)
濃い赤色の服をまとった老いた女性が、道端に全身を投げ出している。チベット仏教独特の祈り「五体投地」だ。ここは中国・甘粛省の甘南チベット族自治州。彼女らが向かう先は、チベット仏教ゲルク派六大寺院のひとつで、チベット仏教学の最高峰と呼ばれる「拉卜●(きへんに稜のつくり、ラプラン)寺」がある。かつて4000人を超す修行僧が学んでいたという同寺院が位置する夏河県は、チベット族が全人口8万人の79%を占める。
平均標高は3000メートル。作物が育ちにくく農業に適さないため、主要な産業は同寺を中核にした観光と羊やヤクの遊牧だ。年間500万人以上の観光客が訪れ、漢民族を中心に観光業が盛んだが、チベット族がほぼ100%を占める遊牧民の生活は一向に改善しない。
同自治州政府の路副秘書長は「遊牧民の平均収入は年4500元(約8万7000円)にすぎない」と話す。遊牧民の主な収入源は、放牧する羊やヤクの毛皮や乳、肉の販売収入、そしてごくまれに見つかる漢方薬の一種である冬虫夏草だ。
遊牧民は世代が替わっても、貧困から脱するのは難しい。草地を求めて常に移動する遊牧民の生活では、子供を学校に通わせて教育を受けさせることができない。結局、子供の世代も遊牧の生活を続けることになる。
現在、夏河県政府は遊牧民の定住プロジェクトを推進している。遊牧民だったチベット族の当子吉さん(24)は05年、両親と夫、2人の子供とともに地元政府が準備した住宅に移り住んだ。住宅は平屋の80平方メートルで、水道、電気が通っており、価格は7万2000元。このうち2万5000元を政府が補助した。政府は近隣に病院や幼稚園、学校も整備した。
中国語が話せない当子吉さんは上海や北京はもちろん甘粛省の省都である蘭州にも行ったことがないという(甘南チベット族自治州夏河県)
当さんは住宅の一部を改造して、チベット族向けに小売店を開いた。これと観光客向けの乗馬から得る収入が一家の主な収入だ。当さんは学校教育を受けられなかったため中国語を話せないが、「2人の子供はしっかり中国語を勉強して、政府の幹部になってほしい」と期待を込める。
隣家に住む80歳の加大さんは定住して、2人の孫の面倒を見ている。息子夫婦は遊牧に出るが、孫は加大さんの家に住んで学校に通っている。この環境なら遊牧と教育を両立できる。このプロジェクトを推進する地元政府の桑吉加さんは「次の5カ年計画中にさらに遊牧民300家族を定住させたい」と説明する。
夏河県では10年、中国語教育の強制に反対するデモが起きた。母語であるチベット語の存在感が薄れ、チベット族独特の文化が失われるという危機感からだ。しかし、経済の発展につれて、こうした考えは下火となり、逆に中国語の教育熱が高まっている。
もちろん、政府の定住政策には反発もなお根強い。青海省出身のチベット族女性は「夏河のような観光業がなければ、チベット族が遊牧以外の仕事を見つけるのは難しい」と批判的だ。家畜の飼料を購入できるまで収入が増えれば遊牧する必要はなくなるものの、現実は厳しい。地元のヤク肉加工会社、安多集団によると、ヤク肉の買い取り価格は500グラム当たり16~20元。市場の買い取り価格より高いとはいえ、100キログラムでも3200~4000元にしかならない。
■授業無料の全寮制高校で、大学進学めざす
生徒の大半がイスラム教徒だが、男女共学としている(臨夏回民中学)
甘南チベット族自治州に隣接する臨夏回族自治州は、イスラム教を信仰する回族が全人口の57%を占める。標高2000メートル前後で主要な産業は農業と水力発電だ。同自治州の臨夏回民中学は1953年設立の公立高校で、生徒数は回族中心に5200人に上る。同自治州は2012年、それまで年700~800元だった授業料を無料化した。教科書代も無料として、年200元の寮費と1食4~5元の食費を除けば費用はかからない。授業料の無料化によって、それまで2000人前後だった生徒数は倍以上に膨らんだ。さらに、甘粛省の民営企業が奨学金を付与するなどして学生を支援する。
生徒の一人、東郷族の馬艾柯くんは「家は農家でとても貧しく、父親は農閑期に出稼ぎをして姉と自分の進学費用を出してくれている。学校から支援を受けられるのはとてもありがたい」と語る。東郷族は「東郷語」を話すが、固有の文字を持たないため識字率が低いことで知られる。
別の生徒である趙蕾さんは、父親が地元学校の臨時工で、母親は足が悪く家にいるという。趙さんは「上海の復旦大学に進学し、家族を連れてサウジアラビアのメッカに参拝に行きたい」と夢を話す。馬培雲副校長は「学生の8割が農村の貧困層。少数民族の場合は2~3人子供がいるのが普通で、学費負担が重いために高校まで進学させない家庭が多かった」という。
教育指導は厳しい。寮生は朝6時10分に起床し、勉強は午前7時50分から夜10時半まで続く。宿舎は一部屋20平方メートルほどの広さで8~9人の相部屋。個人のスペースは小さなスチールロッカーとベッドのみだ。
正当な理由なく3日以上欠席したり、けんかしたりすれば即退学となる。携帯電話を所持することも禁じており、もし発見されたら学校が預かって卒業まで返却しない。
最近、同校は海外大学への進学を前提とする少人数の国際コースを新設した。所属する張嘉琦さんは「英語を勉強して同じイスラム圏のマレーシアかトルコの大学に進学したい」と力を込める。
同じイスラム教徒のウイグル族やチベット仏教徒のチベット族と違い、回族の母語は中国語だ。さらに臨夏は遊牧民が少なく農民が多いため、相対的な生活水準は甘南チベット族自治州と比べて高い。「授業でも少数民族特有の問題はほとんどない」(馬副校長)というが、同校を卒業して「大学または大学専科(日本の専門学校に相当)に進学できるのは8割程度」(馬副校長)にとどまる。残る2割は経済的な問題などで進学をあきらめてしまう。
《視点》習主席「20年までに貧困県なくす」、民族の違い絡み難しく
習近平指導部は11月27~28日、北京で貧困問題を議論する中央扶貧開発工作会議を開いた。同会議で習主席は「2020年までに貧困県をすべてなくす」と宣言した。国務院扶貧弁公室が14年に発表したリストに挙げられた貧困地区の数は全592地区。そのうち232地区は少数民族が居住する地域に分布する。臨夏や夏河もそのひとつだ。同弁公室によると、中国には年間収入2800元以下の貧困層が、まだ7000万人存在するという。
かつて鄧小平は、一部の人を先に豊かにさせる「先富論」を唱えて、中国を世界第2位の経済大国に導いた。一方、中国の発展から取り残された貧困層の多くが少数民族という現実もある。中国政府は治安の安定につなげようと貧困対策に注力しているものの、その背景には民族独自の宗教や言語、生活習慣の違いなど複雑な問題が根深く絡み合っており、解決は容易ではない。
(上海=土居倫之)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK10H0E_S5A211C1000000/?n_cid=MELMG002
1人当たりGDP OECD加盟国で20位に後退
12月26日 16時41分
日本の1人当たりのGDP=国内総生産は、去年は円安の影響でドルに換算すると減るため、OECD=経済協力開発機構の加盟国の中で20位に後退し、1970年以降、最も低い順位となりました。
内閣府によりますと、去年1年間の日本のGDP=国内総生産はドルに換算すると4兆6055億ドルで前の年より3045億ドル減り、アメリカ、中国に次いで6年連続で世界3位でした。
一方、国民1人当たりで見ますと、ドルに換算すると3万6230ドルで、前の年に比べて2330ドル、率にして6%減りました。円のままでは1.8%増えていましたが、円安が影響したかたちです。
OECD=経済協力開発機構に加盟する34か国の中では、おととしの19位から順位が1つ下がり、イスラエルに次ぐ20位でした。日本は1996年の3位以来、経済の伸び悩みを背景に順位を落とす傾向が続いており、比較可能な1970年以降、最も低い順位となりました。
一方、1人当たりのGDPがOECD加盟国の中で最も高かったのはルクセンブルクで11万6199ドル、7位のアメリカは5万4353ドル、アジアでは韓国が23位で2万7970ドルでした。OECDに加盟していない中国は7590ドルでした。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151226/k10010354091000.html
今年1年のイメージは「黄色の信号」 (宮内義彦氏の経営者ブログ)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO94942820Z01C15A2000000/?df=2
2015/12/25 6:30
日本経済新聞 電子版
今年も早いもので、残すところ1週間ほどとなりました。今回は1人のビジネスマンとして、この1年の世界の動きを政治と経済の両面から振り返ってみたいと思います。
今年は「難しい年だった」との一言に尽きるような気がします。なおかつ、来年に向けても世界がより良くなるという確信が持てない年になったとの思いも抱いております。
宮内義彦(みやうち・よしひこ)1935年神戸市生まれ。米国に渡って学んだリースを手始めに、不動産、生命保険、銀行などと事業領域を広げてきた金融サービス界の重鎮。最高経営責任者の在任期間は30年を超え、企業経営に関する著書も複数ある。語り口はソフトながら、世の中の動きを分析する視点は鋭く、時に厳しい。マクロ経済についての関心も高く、規制改革にも長く取り組む。野球好きで知られ、球団オーナーの顔も持つ。現在は「シニア・チェアマン」として経営への助言を続けている
まず政治面ですが、地政学的にみた場合、シリアを中心とした混乱が世界の不安定要因となりました。内戦の続くシリアをまともな国にするにはどれくらい時間がかかるかというと、「30年は必要」と答える識者もいます。中東の過激派組織「イスラム国」(IS)の壊滅を目指し、米国やロシア、フランスなどが空爆を始めましたが、空爆は無差別攻撃になりやすく、とても恐ろしいことです。市民を含めどれだけの人が死んでいるのかと思うと平穏な気持ちでは過ごせません。
世界各地にはISのほか、国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの反政府武装勢力タリバン、ナイジェリア北東部を拠点とするイスラム過激派ボコ・ハラムなど過激派も続々と誕生しています。その本当の正体は全くわかりません。ボコ・ハラムは略奪のかぎりを尽くしていると報道されています。こうした状態のまま年を越すとなると、来年は本当に解決に向かうのか、世界の混迷はさらに深まるのではないかと心配してしまいます。
シリアの難民受け入れ問題をめぐっては欧州連合(EU)内で亀裂が生じました。今後は英国の出方に注目が集まりますが、世界の中で欧州の地盤沈下が相対的に進んだことも顕著になった年だったと感じます。
日本周辺に目を転じると、日本は中国の軍事的な台頭などに警告を発していましたが、米国の対応が少し厳しくなりました。しかし、中国はひるむことなく我が道を行くという感じです。賛否両論渦巻くなか、安倍政権が9月に安全保障関連法を成立させたことはやむを得なかったとの考えも理解できます。唯一のグッドニュースはというと、これまで日本との関係が冷え切っていた中国や韓国との首脳会談が開かれたことであり、これで最悪の事態に当面陥ることはないと思います。
今年の政治をめぐる情勢を全体的にみると、国際協調より国同士の対立色が強く出ているなど、あまり良かった年と思えないというのが素直な感想です。
より深い政治の話は専門家に任せておくとして、経済の方をみますとはっきりしてきているのは中国が世界経済の主役に躍り出ているということです。中国の経済停滞はインドを除くBRICSなど新興国の力もそいだというのが今年の大きな出来事で、世界の前面に出ていたBRICSは後ろに下がってしまいました。結局のところ、先進国に頼らざるを得なくなった感があります。先進国は何をしているのかというと日本を含むすべての国が金融緩和を徹頭徹尾進めてきました。もちろん、それによって経済が壊滅的な状況になる場面は避けられたと思いますが、金融緩和の結果がどう帰結するかは分かりません。
米国の利上げにより一抜けした後に、米国の経済だけが来年良くなるかというと、そう簡単ではありません。来年は大統領選挙がありますから、今後継続して利上げをするには十分な景気回復を示さねばなりません。そうすると、来年も金融緩和に頼った経済運営という流れは変わらないのではないでしょうか。よちよち歩きの米国の景気回復の先行きに対し、今のところなかなか確信を持てない状態だと思います。
欧州中央銀行(ECB)はこのほどさらなる金融緩和に踏み切りましたが、徐々になりふり構わなくなってきた印象を持ちます。日銀はどう判断するのでしょうか。問題はどの国も本格的な成長戦略を打ち出すだけの力がなかったということです。欧州の多くの国の経済は腰砕けのような状態になっています。
日本は名目国内総生産(GDP)600兆円、出生率1.8、介護離職ゼロの実現を目指す「新3本の矢」を掲げましたが、GDPを600兆円にするなど本当にできるのでしょうか。経済を何とかインフレ基調にする以外に手はないように思います。出生率1.8の目標実現もとても難しい。たとえ1.8になったとしても全体の人口が増えるわけではなく、減少に歯止めがかかるわけでもありません。折に触れて書いていますが、やはり日本は人口問題に対する危機意識がなさ過ぎる。来年には欧米を参考にした移民政策の是非を議論すべきだと思います。このことを避けて、日本経済の回復はありません。そもそも人口が減っていくのに、GDPを増やすということ自体あまりにハードルが高く、達成する見込みが小さすぎると思えます。
介護離職ゼロの達成にしても、実現までの手立てがみえない。今後は明確な工程表をつくっていく過程でその実現可能性が見えてくるはずです。ただ、これまでの実績からみると、種々小粒の前向きな政策は生まれますが、日本の根本的な課題については避けて通っている感が拭えません。結局、経済を支えるのは金融緩和の1本だけになりかねないのでしょうか。
企業レベルでみますと、大手企業を中心に業績は上向いてきました。株価も日経平均が2万円の近辺にまで上昇するなど、少しエンジンがかかってきたように思います。多くの企業が収益の向上に注力し始めており、日本経済の浮揚に向けた若干の追い風になっていると認めていいと思います。株価のほか、不動産の取引の動きをみても金融緩和がプラス面に働いています。こうした動きがバブルを生み出してはいけませんが、じわりじわりとプラスに動いている間に本格的な成長戦略をつくる必要があります。そうしなければこれから先の経済状況はとても明るいとは言えません。
いろいろ書いてきましたが、私の今年1年のイメージを言葉にすると「黄色の信号」といったところでしょうか。前に進む青色の信号でもなく、進まない赤色の信号でもありません。世界は混沌としており、注意のランプがともっています。来年にはもっと書きたいと思えるような明るい出来事が増えることを願ってやみません。読者の皆様、良いお年をお迎えください。
宮内義彦 オリックス シニア・チェアマンのブログは毎月後半の金曜日に掲載します。次回は1月29日に掲載予定です。
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三井不動産、語られぬ真実 傾斜マンションの闇
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO95288310Y5A211C1000000/
2015/12/21 6:30
日本経済新聞 電子版
横浜市の傾斜マンション問題は誰が引き起こしたのか──。大手企業が関わった大型マンションで、杭(くい)8本が不具合を起こして2センチ沈下。産業界はおろか、国民生活も揺るがす事件の真因を探る。12年前、業界最大手の三井不動産が決議した取引に、傾斜マンション問題の本質と、総合デベロッパーという業態の限界が凝縮されていた。
■不信の構図
12月6日、新横浜プリンスホテルの大宴会場「シンフォニア」は、500人に上る人々で埋め尽くされていた。横浜市で発覚した傾斜マンション問題が報じられて1カ月半、そこに住む住民が一堂に会する初めての集会だった。
それまでの住民説明会はすべて事業主の三井不動産レジデンシャルが仕切っていた。同じホテルで開かれた1カ月前の説明会には黒いスーツ姿の社員数十人が人垣を作って報道陣を制止し、館内は大混乱に陥った。だが、この日の説明会は、住民の代表であるマンション管理組合が主催して会社側を締め出した。3時間にわたった説明会では、傾いたウェスト棟の住民から、亀裂などが悪化している実態が明らかにされた。
「壁にひびが入り、サッシに隙間ができて外から風が吹き込みます。4000万円近いカネをかけて(買って)、8年足らずでこういう状況です。全国にある三井不動産の物件は、8年から10年でこれほど劣化しているんでしょうか?」「台所のステンレスは歪曲し、浴室のドアも隙間があります。壁からピシッという金属が破裂するような音がする。以前は半年に1回ぐらいだったが、今では10分おきに聞こえる」
説明会の目的は、「全棟を建て替えるのか、売却して転出するのか、4つある選択肢のメリットとデメリットを一緒に勉強して、理解を深めること」と管理組合の理事は話す。
すでに会社側は補償として、数百億円かかる「全棟建て替え」を提示している。だが、それが実現するには全705戸の5分の4の賛成が必要。そこで、杭が支持層に未達になっているウェスト棟だけを建て替える案や、補修で乗り切る案、また三井に売却して転出するといった4つの「解決策」が示されている。
住民の間には三井への不信が広がっている。
住民の一人は、「三井側は『住民の8割が全棟建て替えに賛成するはずがない』と思っているから、慰謝料300万円や引っ越し代40万円といった好条件を出しているのではないか」といぶかる。不可能なのを見越して好条件を提示しているのではないかという疑心だ。
「このまま音沙汰なく逃げられないか心配だ」「全体的に感じるのは、三井側の姿勢が上から目線(高飛車)であること。『である』『いただく』などすべて命令調。なぜ、このような言い方ができるのか理解に苦しむ」――。11月に実施した住民アンケートでも不信の声は渦巻いていた。
浴室のドアと枠の間に隙間ができるほどのゆがみが。ウェスト棟の通路はひび割れも生じた(右)
会社側は、「震度6強~7の地震でも倒壊しない」とする第三者機関の調査報告を横浜市に提出し、市長が確認したことを強調する。しかし、横浜市建築安全課は、「安全を宣言したわけではない」と否定する。震度5強でウェスト棟の柱や建材が損傷しないか、会社側に検証を求めており、「その結果によっては、建築基準法に違反していると判断することもある」。つまり、安全の検証は続いている。
傾斜が深刻なことを示すデータがある。日本経済新聞が入手した「建物レベル調査」によると、問題のウェスト棟は南北に56メートルあるが、北端を規準にすると、南端までに24ミリ(2階部分)のレベル差がある。「2センチ沈下した」というのはこの調査が根拠だ。だが、建物全体のレベル差を見ると、より深刻な事態が読み取れる。
各階で約6メートルごとに調査しているが、水平を保っている場所は1割しかない。建物全体がガタガタに軋んでいるのだ。杭が未達の南側に向かっては、さらに急激に建物が歪(ゆが)んでいる。6階と9階の南側では、わずか6メートルの距離で8ミリのレベル差が発生している地点もある。この近くの住民は、「浴室のサッシに5ミリほどの隙間ができた」と証言している。
■傾斜のメカニズム
これほどのゆがみが生じた理由について、建築物の基礎構造に詳しい横浜国立大学教授(工学博士)の小長井一男が注目しているのが、鶴見川沿いの地盤の特徴だ。
小長井は、「地層がサンドイッチ状になっていて、上下のパンは固いが、中身はきわめて軟弱な状態。だから、下のパン(支持層)に杭を到達させても、杭に対する負荷は非常に大きい」と指摘する。軟弱な地盤でも、杭がすべて支持層に到達していれば問題はない。だがウェスト棟は、南側だけが6本もの杭が未達。「未達の杭は、支持力がないどころか、地層がからみついて、地盤沈下とともに下に引っ張る力を生み出してしまう」(小長井)。
明治33年の古地図を見ながら、鶴見川沿いの地盤の特徴を解説する小長井一男・横浜国立大学教授
正常な杭の支持力が上へ向かうのと反対に未達の杭が建物を沈めようとするため、建物が短期間で大きく歪曲する。
そもそも、なぜ、この極めて軟弱な地盤に巨大な700戸ものマンションを建てたのか。三井不動産は12月18日現在、マンション問題に関する取材を拒否している。18年間にわたって三井不動産の代表取締役を務めている会長の岩沙弘道にも、文書で取材を依頼したが、広報を通して、「顧客に対して対応している最中です。また、会見への要望も出ている中で、個別に対応するわけにはいきません」と回答があった。
傾斜マンション問題では、杭打ちを担当した旭化成建材が幾度となく記者会見を開き謝罪したが、三井不動産の会見はこれまでなく、今後も開かれる予定はない。会社が口を閉ざす中、「なぜ傾斜マンションが生まれたのか」を探るため、もう一度現場に立ち戻る。
■洪水と沈下
横浜市都筑区池辺町。問題のマンションは、三井不動産系の商業施設「ららぽーと」に隣接してこの町に建っている。
「以前は田んぼが広がっていて、その昔は池があったと言われている」。池辺町にある宗忠寺の元住職、夏見邦夫(82)はこう話す。それが「池辺」の地名の由来にもなったとされる。鶴見川が蛇行するこの地域は、毎年のように大雨で河川が氾濫していた。そのため地盤は緩く、「田植えをするにも体が沈んでしまう。そこで、板を敷いて作業をしていた」(夏見)
川沿いの土手を歩くと、いたる所に地蔵が建っている。この土地で40年近く飲食店を営む店主は、「洪水のたびに子供が亡くなっていた」と振り返る。
池辺町で農業を営んでいた志田清次郎(89)は、水害対策の工事に参加したこともある。「昔は、ららぽーとの近くにある橋のあたりで決壊していた。最後まで水が引かないから、そこにトンネルを掘って、水を逃がすようにした」
土地改良事業に関わった志田清次郎一家の倉庫の中には、今でも「池辺土地改良区公図」が残っている
洪水による軟弱な地面に、もう1つの問題が襲う。1963年、一帯が準工業地域に指定されると、2年後に日本コカ・コーラが進出して横浜原液工場が稼働し、大量の地下水をくみ上げた。「ほどなくして住民が『井戸水が出なくなった』と騒ぎ始めた。地盤沈下との関連も指摘され、大騒動になった」(志田)
さらに1969年にはNECが進出し、コカ・コーラ工場の隣に通信機器工場を竣工する。そのNECも1日2000トン以上の地下水をくみ上げて、冷却設備に使用していた。
横浜市は1970年にNEC工場の北東で地盤調査を開始している。当時の記録をたどると、2年連続で7センチ強の激しい地盤沈下が計測されていた。「地下水のくみ上げを抑制するように、強く要請していた」(横浜市環境保全部水・土壌環境課長の武田正善)
■「難開発」の決議
三井不動産は、この土地の歴史を知らずにいたのだろうか。「工場による地下水のくみ上げが終わっても、地盤沈下がいったん始まると、止まることなくダラダラと下がり続ける」(武田)。杭を支持層に到達させることで構造計算上の安全は担保できるが、そうすると地盤沈下によって建物が浮き上がってしまう。
不動産コンサルタントの長嶋修は、「もし、私が担当者だったら、ここにマンションを建てるのは怖いですよ」と指摘する。「鶴見川と丘に挟まれた、地形の変わり目ですから。設計や建築の会社には、『かなり気をつけてやってください』と注意するでしょう」(長嶋)。「三井不動産は、必要なチェックはしているはずだ。従前の土地(の調査)はデベロッパーの仕事だし、建物の配置は彼らが決めるのだから」(国土交通省建設業課室長の三浦逸広)。だが、三井不動産がこの開発案件のリスク管理に、特段の注意を払った形跡は残っていない。
1991年、日本コカ・コーラが撤退した年、横浜市はその隣接地で地盤沈下の計測を開始した。高度成長期が終わってから新たな調査地点を定めるのは異例だ。「最後の追加調査」と言われるコカ・コーラ工場の北端に立つと、はす向かいにウェスト棟がそびえている。その地盤沈下のデータを見ると、2005年に三井不動産が土地を取得してからの10年で5.6センチ、マンションが竣工してからの8年でも4.8センチの地盤沈下が起きている。
2003年11月27日、三井不動産は取締役会を開き、NEC跡地を184億円で買い取ることを決議した。
この取引について不動産関係者は、「地盤を整えるコストもかかるのに、買い取り価格が高すぎる」といぶかる。当時はライバル会社や投資ファンドとの間で用地獲得競争が激しさを増していた。三井不動産はその競争に勝つために、オフィスビルの顧客企業から遊休地の情報を集め、高値で買い取ろうとしていた。
同社の社史にもそのことが記述されている。「市場の活発化によって用地取得が困難となる状況下で用地取得能力を強化するためには、土地所有者に対してより高い買取価格を提示できる必要がある」(『三井不動産七十年史』)。高値で買い取れば、それを吸収するためコスト削減が必須になる。
■「監理」不全
2005年5月、NECの撤退が完了し、三井不動産の開発がスタート、設計施工は三井住友建設が請け負った。NECの建物が18メートルの杭を使っている場所で、14メートルの杭を打つように三井住友建設が設計し、旭化成建材にもそう指示したことが糾弾されている。だが、土地を調査・取得した開発主である三井不動産が、地盤の問題や従来の建築物の状態を知らなかったはずはない。
ある大手デベロッパーの役員は、「開発用地を取得する時には、建設コストや収益を細かく見積もらなければ、価格が出せない。当然、杭が何メートルになるのかでコストが大きく変わってくるから、材質や長さを想定する」と証言する。軟弱な地盤に注意を払っていたならば、調査や設計に慎重を期したはずだ。しかし、三井不動産はグループ企業の三井住友建設に、設計施工を一貫して任せる体制をとった。
建築しやすい設計にできるため、コスト削減につながる半面、チェック機能が損なわれるリスクがある。設計者は図面通りに現場が作っているか「監理」する役割を担う。横浜のマンションは、三井住友建設の建築士によって設計され、そのまま監理も務めていた。中堅ゼネコンの社長は「グルになってしまい、ミスを見逃す危険がある」と指摘する。それどころか、自社の設計者に、無理な図面を引かせるリスクもはらむ。開発と設計、そして施工が一体となれば素早く効率的な「総合開発」が可能になるが、その分、相互監視の機能は弱まる。
ある三井不動産の元幹部は「今回の事件は、三井不動産の強みだった総合デベロッパーという業態が、時代に合わなくなった象徴ではないか」と分析する。
グループで開発から建設、運営まで手掛け、ビルや住宅、商業施設を次々と生み出す。その組み合わせによって、あらゆる土地を「都市」に変貌させる。それが、三井不動産の「勝利の方程式」だった。
■土地は創り出せる
売上高は業界トップの1兆5290億円(2014年度)で、2位の三菱地所(1兆1102億円)を引き離している。そもそも三井家が保有する不動産の管理機関として創設されたが、独立したのは1941年と三菱地所に4年遅れた。その影響もあり、戦後になっても、丸の内地区でビル賃貸を展開する三菱地所の後塵を拝していた。
不動産業は土地というストックが収益を生み出すため、安定しているが急成長は難しいというのが常識だった。ところが、三井不動産は1960年代前半に王者の座を奪う。原動力となったのは、浚渫(しゅんせつ)埋立事業だった。工業化による高度成長を見越して、千葉県の京葉工業地帯の開発に乗り出す。自ら竣工船を建造・保有して、市原から五井・姉ヶ崎、そして千葉港中央地区を埋め立てていった。
1961年、自ら埋め立てた市原地区で、その後背地に大規模な宅地を開発する。これが、住宅事業の本格的なスタートとなった。大阪・堺や大分、名古屋など国内の臨海地区で次々と工業用埋め立て地を作り、一方で郊外に住宅を開発していく。
都市は創造できる――。「丸の内の大家」と言われた三菱地所とは対照的に、未開の成長分野に乗り出し、巨額の収益を上げる物件に仕立てていった。
1970年代、公害問題で浚渫埋立が急減すると、マンションや宅地の開発に軸足を移す。さらに、1980年代には、娯楽施設「船橋ヘルスセンター」の再建で、ダイエーと組んで「ららぽーと」を開発、商業施設へと本格参入していく。その過程で、世界に類を見ない「総合デベロッパー」への変貌を遂げた。
オフィスと住宅、商業施設、ホテルを組み合わせて土地の付加価値を跳ね上げる「総合化」戦略が始まった。その象徴が、1986年に着工した「大川端リバーシティ21」(東京・中央)だ。石川島播磨重工業(現IHI)の跡地に高層マンションや文化商業施設を併設、「30万円家賃」として話題となった。
1990年代、バブル崩壊によって、不動産業界は大打撃を被る。ビル賃貸料の下落は経営の根幹を揺るがし、資産売却で決算をしのぐ事態を迎える。だが、この苦境の中で、三井不動産はさらなる「総合化」に突き進んだ。
1990年代後半から加速した三井不動産の総合化を後押ししたのは、小泉純一郎内閣による民間の資金とノウハウを使った都市再開発だ。2002年に都市計画法が改正された直後、横浜市は三井不動産からある計画を持ち込まれる。
■成長の限界
「民間企業から最初に持ち込まれた1つが、池辺町のプロジェクトだった」。横浜市都市計画課長の嶋田稔は、そう振り返る。工業地域だった場所に、商業施設と高層マンションを建設するという。映画館の設置や建築物の高さが問題になったものの、結果的には開発許可が下りた。
しかし、郊外マンションは「総合開発」をしてもコストを極限まで削らなければならないという限界が訪れていた。あるアナリストは「日本は不動産開発の規制が緩いので、どうしてもオーバーサプライになる」と話す。不動産会社ばかりか、鉄道会社や百貨店など、様々な企業が巨大なビルや施設を作り続けるからだ。
「オフィスの空室率が低いのは、建て替え中のビルが多く、一時的に引っ越している企業が多いから。数年後に完成すると、一気に供給過剰に陥る」。三井不動産でビル開発を手がけたオフィス・牧野代表の牧野知弘は、そう言ってはばからない。住宅や商業地も飽和状態だという。「郊外のマンションを求める一次取得者は、もうほとんどいない。商業施設とセットにしても埋まらないだろう」
マンションに併設されている商業施設「ららぽーと横浜」
予兆はすでに出ている。三井不動産が手掛ける商業施設とマンションの一体開発は、2006年に横浜のマンションを含めて3件あったが、その後は2009年、2014年に1件あっただけ。来年、神奈川県平塚市の物件が完成すると、その後は計画が途絶える。
成長率が停滞する中、ビル賃貸の成長も見込みにくく、収益を支える事業が見つからない。だが業界の盟主、「三井」のブランドだけは健在だ。昨年、3300億円の増資を実施したが、それを見た海外の金融関係者はこうあきれた。「これほど巨額のカネを、資金使途を示さずに調達した会社を見たことがない」
国内で行き場を失ったマネーが、「三井」ブランドに流れている構図だ。しかし、その使い道を「総合化」によって生み出し続けるにも限界がある。横浜のマンションのようなケースは、すでに経営陣の視界から遠ざかっている。
今、経営陣の目が向いているのは、ホテルや海外物件だ。しかし、「ホテル1万室を目指すというが、急拡大してもマネジメントを担う人材が追いつかない」(不動産担当アナリスト)という指摘も聞かれる。
■「想定外」の展開
資金が押し寄せる巨大企業にとって、郊外のマンションで起きた杭工事の不具合は、取るに足りないことなのかもしれない。しかし、問題は、その構図を住民が見抜いていることだ。「三井」ブランドへの不信は、そのまま「ブランドビジネス化」した三井不動産の根幹を揺るがしかねない。それを恐れるからこそ、三井不動産は記者会見を開かず、住民の前で謝罪することもなく息をひそめている。
三井不動産の企業体質を身近で感じてきた住民は、1つのうねりを起こし始めている。11月に実施された住民アンケートで、「全棟建て替え」を希望する人が67.5%に上ることが分かった。一部建て替えを入れると、75.9%に達する。まだ1割の人が回答していないことを考えると、5分の4という建て替え決議のハードルを超える可能性が見えてきた。
三井不動産幹部も、「予想とちょっと違う結果だった」と動揺を隠せない。
アンケートの回答を見ると、「全棟建て替えは不可能だ」とあきらめて、ほかの選択肢を選んだ住民が少なからずいることが分かる。希望者が少しずつ増えていることが周知されれば、こうした票が流れ込む可能性がある。マンション管理組合は、来年1月に2回目のアンケートを取ることを決めた。記名式にして、期限までに提出しなかった人にも、個別に訪問して意志を確認したいという。
この問題を担当している管理組合の理事は、行政との交渉や、弁護士との打ち合わせに明け暮れている。その原動力となっているのは、三井側の不誠実な対応だと打ち明ける。
昨年秋から杭の問題を指摘し続けたが、「3.11の影響だ」と突っぱねられた。担当者は顔をしかめて、「長くこの仕事をやってきたが、こんな事は初めてだ」と吐き捨てた。その後、住民の費用で杭を調査して問題が見えてきても、態度が変わることはなかった。
「最後の1人まで確認をとりたい。そして、100%の合意を目指します」
=敬称略
(編集委員 金田信一郎、飯島圭太郎)
アパホテル、急拡大のきしみ
(1/4ページ)
2016/1/4 3:30
日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO95645110Y5A221C1000000/
ビジネスホテル「アパホテル」の拡大が止まらない。ビジネスやインバウンド(訪日客)需要を追い風に、2000年以降の新規開業は100以上。大都市の一等地に「APA」の看板を掲げたのっぽビルが雨後のタケノコのように出現する。同社はこの勢いを借りて、総合ホテル事業への拡大を目指すが、急激な規模拡大の矛盾も露呈してきた。
■館内温泉、実はコスト安
昨年12月11日午前、東京・品川の第1京浜(国道15号)沿いにオープンした「アパホテル品川 泉岳寺駅前」に100人超の招待客が詰めかけた。大手旅行代理店や通信会社、中小の清掃会社や零細業者まで、様々な招待客で、それほど広くないロビーは立すいの余地もないほどだ。招待客の視線の先、ひな壇に座るのは、アパグループの創業者夫婦。特注の黒いマオカラーのスーツを身にまとった元谷外志雄(もとや・としお)代表(年齢非公表)と、テレビCMに派手な帽子と衣装で出演し、広告塔の役割を担う社長の芙美子(同)だ。
「アパが展開する高品質、高機能、環境対応型の新都市型ホテルは、世界最強のホテルモデルだ」。全国で137カ所目となるアパホテル開業を機に、元谷代表がこう演説すると、拍手がわき起こった。アパは、“出張族の味方”としてビジネスマンに格安なホテルを提供してきたが、最近の客室不足でシングルルームが2~3万円近くまで高騰する例もある。インバウンド増加の波にも乗り、2015年11月期の連結売上高は約900億円、経常利益は272億円と利益率は約3割に達した。同レベルのビジネスホテル「ワシントンホテル」を展開する藤田観光の14年12月期の利益率、約4%(ホテル部門)に比べても突出した水準だ。
高利益率を維持できるのは、「無駄をできるだけ削る」という理念を徹底的に追求しているからだ。通常14平方メートル程度が標準のシングルルームは約11平方メートルに統一。これにより、空調や照明のコストを削減。15年から試験導入した空調の「アイドリングストップ」は、室内に客がいても、数時間たつとエアコンが止まる。アパがビジネスマンの人気を得た理由の一つに、一定以上の客室を持つホテルには必ずついている館内の大浴場があるが、実はこれも費用削減のために導入された。「大浴場を設置すればお客さんは客室の浴槽を使わず、ホテル全体で見ると水道代が少なくなる」(同社)からだ。
アパは、JTBやエイチ・アイ・エスなどの手数料がかかる旅行代理店経由の客室販売をほとんどしない。使うのは「じゃらんnet」や「楽天トラベル」といった予約サイト。「都市部のホテルでは約9割を予約サイトで販売する」(同社)。ある都内のホテル支配人は、「多くのホテルは、予約サイトがない時代に客室の販売を旅行会社に頼っていた過去がある。ネットが発達した今でも、旅行会社との関係を切れずに余分な費用がかかっている」と、アパの強みを分析する。
「品川 泉岳寺駅前」店の開業式には100人を超える招待客が集まった
「あそこもアパに建て替わった」――。東京都内や地方の中核都市でタクシーに乗ると、運転手のこんなため息を聞くことが多くなった。実際にアパは、高収益を後ろ盾にして、驚異的に新規開業ペースを速めている。2000年3月時点で19カ所だったホテル数は、15年末までに約7倍の138カ所となった。東京都内には主力の「新宿歌舞伎町タワー」や「東日本橋駅前」など計34もある。07年に起きた耐震強度偽装事件で出店速度は一時年1桁にとどまったが、すぐに回復。12年から15年は2桁の開業数を維持している。
元谷は、08年のリーマン・ショックで暴落した大都市圏の土地を購入し、そこにホテルを建てた。金融危機で破綻しかけた中堅以下のデベロッパーから安い価格で購入した土地が大半のため、多くは変形地。小型のホテルにしか用途がないため、安値で買いたたける。こうして購入した土地に建てたホテルが、高収益を出し、次の積極的な投資の原資になる――。これがアパ・マジックだ。
14年後半からはさらにアクセルがかかっている。これまでは200室以下の中・小型ホテルが中心だったが、400室超の大型ホテルの開業に積極的だ。昨年12月には「ザ・キャピトルホテル 東急」(東京・千代田)に隣接するTBRビル跡地の土地を取得。土地代も含め約200億円かけ400室規模の客室を持つホテルを建設し、17年末にも開業する予定だ。このほか、15年2月には約170億円で横浜市中区海岸通に土地を取得した。約300億円かけホテルを建設し、2400室規模のホテルを19年にも開業する。
陣頭指揮を執る元谷は、「大型の土地に入札するのは大手デベロッパーぐらい。小型の土地に入札するよりも競争が激しくなく、狙い目だ」とハッパをかける。
■支配人が足りない
ただ、こうした急拡大のひずみがあちこちで露出しはじめた。
その一つが「支配人問題」だ。ホテルの支配人は、宿泊価格の設定やアルバイトの採用、宿泊プランの策定、火災や災害時に宿泊者の安全確保などの重要任務を任される。特に、アパの場合、各ホテルの宿泊価格を需給に応じて上下させる裁量権は、他のホテルよりも、支配人に任される比重が高い。
「だれを次の支配人にすればいいのか」。アパの人事部門では、延び切った前線に「支配人をどう確保するかが最大の課題になっている」(首都圏の支配人)という。同社では現在、最速で新卒入社4年目の社員がホテルの支配人になる。藤田観光の「ワシントンホテル」の場合、最も若い支配人でも40歳前後だ。
「新規の開業ペースが以前よりも速いために、若手にチャンスが増えている」(アパ広報)。ただ、同社幹部は本音を漏らす。「支配人クラスの人材が圧倒的に足りない。未熟とわかっていても使わないと回らない」。
フランチャイズ・チェーン(FC)の拙速な拡大も、現場レベルでひずみを生んでいる。
アパがFC展開を始めたのは11年。全138ホテルの内、FCで加盟したホテルは昨年9月までの4年間で19カ所に膨らんだ。同社のFCは加盟への基準の緩さで有名だ。埼玉県内のあるフランチャイジーは「加盟基準はベッドやテレビの大きさなどごくわずか。内装や外装に厳密な規定はない」と打ち明ける。
知名度のない地場ホテルなどは少額の投資で、アパの予約システムや知名度を活用できる。アパもブランドの拡散やロイヤルティー収入が見込めるため、うまみは大きい。ただ、加盟基準が緩いだけに、その後の運営には労力がかかる。アパ幹部は、「FCが開業するとアパ本社の支配人クラスがノウハウ提供にかかりきりになる」。そのため、さらに人材が逼迫する悪循環だ。
人材だけではない。資金力と知名度で増殖するアパが、総合ホテルに脱皮するための最大の資質が欠けていることがあらわになった。
■池袋の屈辱
「落ちた理由をわざわざ聞きに行くなんて」
昨年3月10日夕刻、建て替え前の旧豊島区役所(東京・豊島)を1人の男が訪れた。
同族経営で知られるアパグループの中で「代表の右腕」と言われる常務の大林敬史だ。豊島区が民間への貸し出しを決めた旧庁舎と公会堂の敷地、約6600平方メートルの用地入札競争の「敗戦理由」を聞くためだった。
「金額ではトップだが、提案のアイデアでは入札した6グループ中最下位でした。総合では3位です」。区都市計画関係の部長、課長がこう大林に告げた。
豊島区は2006年、旧庁舎の老朽化に伴い新庁舎建設をきめた。一方、財政への負担を減らすため、約6600平方メートルある旧庁舎と公会堂の跡地を、民間に約70年間の長期で貸し出し、新庁舎は別の公有地に建設する計画を立てた。密集した都心部ではめったに出ない大規模案件だ。
15年1月に希望社から提案書を募集。2月には、応札した企業グループのうち、三菱地所や東京建物などの総合デベロッパーに加えて、アパなど6グループがプレゼンテーションで争った。
注目された賃借額でアパは6グループ中ダントツの最高額、411億円を提示した。だが、3月の発表で軍配があがったのは、同191億円の東京建物・サンケイビル連合だった。財政難に苦しむ豊島区の14年度の歳入は約1300億円。アパの提案は「極めて魅力的だった」(選考関係者)。ではなぜ敗れたのか。
「金にものを言わせた出店戦略の限界でしょうね」。ある選考関係者のアパの提案に対する感想だ。入札で東京建物・サンケイビルの連合が提示したのは映画館に演芸ホールなどの「7つの劇場」とオフィスを組み合わせた複合ビルだった。
「豊島区の活性化のためには『にぎわい』が必要だ。東京建物の提案はまさにその条件にかなっていた」と豊島区長の高野之夫はこう評価する。東京建物には劇場とオフィスビルを組み合わせた複合ビルの設計・運営の実績が乏しい。そこで、関西で劇場の運営実績のあるサンケイビルと組み「足りないものを補った」(東京建物)という念の入れようだった。
対するアパの提案は一言でいえば「芸が無い」(区幹部)ものだった。提示されたのは約2000室の超巨大ホテルと、コンビニエンスストアを中心とする商用施設のみ。もちろん、デザイン会社やゼネコン以外の業種と組んだ形跡もないという。学識経験者や周辺住民で構成する選考委員の中の一人は、「提示金額」などからなる複数の評価項目のうち、「企画力」でアパに最低点をつけた。
「旧庁舎の跡地にできる施設は娯楽とオフィスの複合施設であるサンシャインシティとともに、池袋の顔になってもらう必要がある。そのことは、募集段階から入札希望会社には伝えてきた」(豊島区関係者)。アパの幹部は悔しげな様子さえ見せない。「うちができる案件ではないと思った。そういう『にぎわい』とか企画は苦手だ」
■「一族には逆らえない」
アパの全国支配人会議には緊張感が漂う(東京都港区)
「代表がいらっしゃいます!」「起立!気をつけ!礼!」
昨年12月16日、東京・赤坂見附の一等地にあるアパ本社5階。会議室にいた50人ほどの支配人は一斉に立ち上がり、入室した元谷に頭を下げた。月に1度の「支配人会」と呼ばれる定例会議だ。地方からもテレビ会議を通じて出席し、各ホテルの成績や人事異動が発表される。元谷の入室はさながら「将軍」のようだ。
「一族には逆らえない」。あるアパグループ幹部はこう漏らす。一族とは元谷と社長の芙美子、専務の次男、拓らの経営陣のことだ。
「代表に気に入られるのが一番大事。そのために、とにかくがむしゃらに働いていました」。数年前にアパを退社したある社員は、その熱心な働きぶりで同僚から「アパ教」と呼ばれていたと振り返る。長時間労働もいとわず、元谷が同社の月刊誌「Apple Town」に「藤誠志」のペンネームで寄稿するエッセーに「感想文」をせっせと書き送ったという。入社数年で中枢の業務を任された。だが、その後「なんでこんなことしているのだろう」と思い退職を決めた。
感想文は毎月1回、A4用紙数枚分を書くことが全従業員に義務づけられている。「恐ろしくて批判なんてできない。『代表の理念に感銘しました』などと書く。あれを何年も書いていたら、いやでも『アパ色』に染まる」(中堅社員)。
元谷は1943年、会社経営者の長男として石川県小松市で生まれた。高校を卒業とともに地元の金融機関「小松信用金庫」に入社したが、「私は実業家の息子なのだから」と決心し数年で退社する。
「第2次ベビーブーム」を見越し、1971年にはアパグループの前身となる注文住宅の会社「信金開発」を設立。石川県を中心に事業を賃貸住宅や分譲マンションに広げながら、1984年にホテル事業に進出した。その動機は明快だ。昨年12月に出版した自伝によると「分譲マンションの利益をホテルの償却赤字と相殺することができる資産運用としてのホテルのメリット」を重視した。ホテル事業で発生する償却費で利益を相殺すれば、節税対策になるからだ。
こうした創業期の理念は現在にも通じている。それが「所有」に固執した、元谷独特の異形のホテル経営だ。
日本の近代的なホテル産業は1964年の東京オリンピックを契機に花開いた。「ホテルオークラ」や「東京ヒルトン」「パレスホテル」といった大型の旗艦ホテルが主役だったが、70年代以降の石油ショックや旅行の大衆化で、チェーンで加盟ホテルを広げる「ビジネスホテル」という形態が生まれる。「ワシントンホテル」や「ホテルサンルート」がそれだ。
こうしたビジネスホテルは、リスクを回避しながら全国展開を迅速に進めるため、次第に「所有」と「運営」を分離していった。土地や建物は、その地場のオーナーが所有し、運営のみに集中する経営スタイルだ。高級ホテルでもホテルオークラや星野リゾート、ヒルトングループなどこのスタイルが主流だ。
■重い資産変動リスク
一方、アパはこれと全く逆の手法をとる。一部を除けば土地・建物はすべて自社で保有し、運営もする。アパ幹部は、「今は土地・建物を所有するスタイルの方が迅速な展開が可能だ」と指摘する。資金はいくらでも借りられるし、オーナーを探す手間が省けるからだ。
同社の資産規模に関して、元谷は昨年11月の日本経済新聞の取材に「(総資産は)2000億円から2500億円程度ある。借り入れは1000億円程度だ」と話している。代表に近いある幹部は「代表の個人資産をあわせれば総資産は5000億円程度ある」と語る。
ある信用調査機関のアナリストは、「いまのところ財務面に目立った瑕疵(かし)はない。ただ、土地・建物を保有するアパが、資産価値の変動リスクを背負っているのは確かだ。急激に拡大する資産の償却費を払いながら、人件費が高騰する中でホテルの運営にかかる費用を払い続けられるのかは疑問だ」と指摘する。
昨年、2000万人近くに到達したインバウンドは、2020年の東京オリンピックまで堅調に推移するとみられている。だがその宴が2020年以降も続くとは限らない。国内の大手ホテルや外資系はすでにその後を見通し、企業の国際会議や展示会など、観光需要に左右されない法人向けビジネスを強化し始めている。
それを考慮すれば、アパの資産は重たい。業界では、「五輪の反動減が訪れるまえに、アパがどんなエグジット(出口戦略)を描いているのか」に注目が集まるほどだ。アナリストはこうも話す。「中小企業の経営者の所有欲には、合理的に説明できない部分がある。それが力にもなり、弱点にもなる」
元谷代表は著作も多い
元谷は、自身が主催する「勝兵塾」に元航空幕僚長の田母神俊雄を呼ぶなど保守的な活動に傾倒する半面、フランスやイタリアの映画を好み、「欧州の美しい家並みや町並みに強く惹かれる」ロマンチストでもある。中でも1976年開催のモントリオール以来、欠かさず訪れているのが、オリンピックの開閉会式だ。「すでにリオデジャネイロ五輪のチケットも手に入れた」と周囲に吹聴する。
4年後に控える東京オリンピックの閉会式後、アパはどんな着地を描いているのか。
=敬称略
(飯島圭太郎)
「朝ナマ」ヤラセ問題について 小林よしのり氏
http://blogos.com/article/152738/
京都の花街を無電柱化、新手法で道幅の狭さ克服
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntnews/15/122400190/
京都・東大路通は歩道拡幅見送り、渋滞発生避ける
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntnews/15/122500192/
「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172701
大物代議士が介入? あの大手パチンコ業者に違法ロム設置→営業停止処分揉み消しの「怪文書」登場
http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=7528
官邸が特定秘密違反第1号と圧力かーー消えた「読売」元旦スクープ記事
http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=7542
“水爆” 毛沢東まねる金正恩氏、狙いは対米正常化 編集委員 中沢克二
2016/1/13 6:30
日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96010180S6A110C1000000/?dg=1
ちょうど1年前、中国国家主席、習近平は北京の人民大会堂で、中国の「水爆の父」として有名な老科学者に国家最高科学技術賞を授与していた。水爆実験を実施した毛沢東時代には機密保持のため名前が伏せられていた于敏(89)である。そして、この1月11日、朝鮮中央通信は、北朝鮮の第1書記、金正恩が「水爆実験に寄与した」とする核科学者らを朝鮮労働党中央委員会庁舎に招き、記念撮影をしたと伝えた。
毛沢東は文革中でも核開発などは着々と進めさせた
「金正恩は中国の過去の道を同じようにたどるつもりだろう」
「金正恩は毛沢東を意識している。毛は文化大革命(1966~76年)の動乱期でさえ核開発にこだわり続けた」
中国と北朝鮮の動きを大陸でウオッチする関係者らの指摘だ。金正恩が毛沢東を戦略・戦術をまねている、と耳にすると、あの斬新な髪形まで毛を倣っているような気がしてくるから不思議だ。
■東京五輪中に中国が初の核実験
約半世紀の隔たりがある中朝の核開発を振り返ってみよう。
中国 |
|
1964年 |
初の核実験 「核実験は世界平和の維持への巨大な貢献だ」 |
67年 |
初の水爆実験 「中国核兵器の新たな飛躍。毛沢東思想の偉大な勝利だ」 |
70年 |
初の衛星打ち上げ成功 「衛星は東方紅(毛沢東をたたえる歌)を放送している」 |
北朝鮮 |
|
2006年 |
初の核実験 「核実験は朝鮮半島と周辺地域の平和と安定の維持に貢献する」 |
09年 |
“衛星”と称するミサイル発射 「衛星から金日成将軍の歌、金正日将軍の歌が電送されている」 |
16年 |
“水爆実験成功”と発表 「5千年の民族の歴史に特筆すべき大きな出来事が起き、天地を揺るがしている。水爆まで保有した核保有国の前列に堂々と立った」 |
北朝鮮が水爆実験に本当に成功したかは別として、半世紀を経た両国の発表内容は驚くほど似る。中国は1964年10月、東京オリンピックの最中にあえて初の核実験に踏み切った。日本国内でも放射性物質が確認された。東京には各国要人、選手が集まっていたが、中華人民共和国は蚊帳の外だった。
67年には水爆実験。1990年代まで中国が40回以上も実験を繰り返した場所は、スウェーデン生まれの地理学者、スヴェン・ヘディンが「さまよえる湖」の謎解明に取り組んだ新疆ウイグル自治区のロプノール周辺である。「楼蘭の美女」のミイラ発見でも知られるシルクロードの一角だ。
1967年、中国初の水爆実験が文化大革命の大混乱の中で実施された(中国の博物館展示から)
大阪で万国博覧会が開催中だった70年、中国は人工衛星を打ち上げた。中国内では衛星が発する「東方紅」の曲がラジオから流れ、北京はお祭り騒ぎに。中国の示威行為だった。中国は国際的に孤立していた。今、北朝鮮が置かれている環境に極めて似ていた。
■水爆実験5年後にニクソン訪中
中国に核開発の力がなかった時代、毛沢東は、米国などの核兵器を「張り子の虎」と呼び、虚勢を張った。だが、朝鮮戦争(50~53年)などで現実的に米国による核攻撃の瀬戸際に立たされると、自らの核開発にまい進する。
60年代には、文化大革命の混乱に関係なく、核開発計画だけは着々と動いていた。当時、中国では、将来を見据えた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪1号」の開発も本格化した。
毛沢東が喉から手が出るほど欲した「両弾一星」は、原爆、水爆と人工衛星(核運搬手段としてのミサイル技術)を指す。中国は70年までにいわば「三種の神器」を獲得し、対米交渉力を格段に強めた。密使となったキッシンジャーとの秘密交渉を経て、歴史的な米大統領、ニクソンの訪中が72年に実現する。中国の水爆実験の僅か5年後だった。
中国は、対立していたソ連に対抗する手段として、当時は禁じ手と思えた米国と組む道を選んだ。続いて日本も中国と国交を正常化し、国際情勢は激変した。
金正恩の狙いも対米交渉にある。その先には日本との国交正常化も見据えているだろう。とにかく危機をあおって米国の注意を引きつけ、最後は米朝交渉→国交正常化で現体制の保障を勝ち取りたい。金正恩にとって米軍のB52戦略爆撃機が核兵器を積んで韓国上空を飛んだり、日米韓の外交・安全保障上の結束が強まったりするのは、狙い通りかもしれない。
そしてもう一つ。叔父まで粛清し、死刑としてしまった金正恩の恐るべき手法も毛沢東を想起させる。「大躍進」の失敗などで地位が揺らいだ毛沢東は、奪権のため国家主席だった劉少奇まで死に追いやった。
毛沢東の文革的な方法で反腐敗運動を推し進める習近平でも、前最高指導部メンバーの周永康を無期懲役としたものの、死刑にはしていない。あくまで「ミニ文革」にとどまっている。現在の北朝鮮では、文革に似た事象が進行しているとの推測も成り立つ。
習近平にとっては、極めてやっかいだ。6日の核実験の衝撃で北朝鮮国境に近い中国東北部はかなり揺れ、地割れまで生じた。「(北)朝鮮で戦争が始まったのか……」。住民はおびえた。北朝鮮の核実験だと判明すると、今度は放射能被害への恐怖も広がる。
中国には物資供給を止め、北朝鮮と手を切る選択肢もある。だが、それでは地域での影響力が低下するだけだ。それに北朝鮮は今でも形の上では“同盟国”だ。中朝友好協力相互援助条約(1961年)は破棄されていない。米中関係が南シナ海問題などで悪い今、北朝鮮カードを簡単には手放せない。その中国の弱みを金正恩は突いている。
■臆測広がる美女楽団公演ドタキャンとの関係
北朝鮮発表によると、金正恩が“水爆実験”の実施を命じたのは、先に北朝鮮の美女らによる牡丹峰(モランボン)楽団が、北京公演をドタキャンして帰国した直後の12月15日だった。
金正恩氏の昨年の記録映画からカットされた中国序列5位の劉雲山氏(右、15年10月の平壌での軍事パレード、中国中央テレビの映像から)
さらに1月10日、北朝鮮で放送された去年1年間の金正恩の活動をまとめた記録映画からは「中国との蜜月の証し」が消されていた。昨年10月、金正恩と手をつないで軍事パレードを参観した中国序列5位の劉雲山の姿がカットされたのだ。
核実験だけはしないよう圧力をかけ続けた中国は当然、金正恩の挑発と受け止める。中国外務省スポークスマンも金正恩の誕生日である8日に中国が祝電を送ったかについて「知らない」と素っ気ない態度を示し、事実上、否定した。
いざとなれば金正恩は「中国の1960年代の行動を見習っているだけ。自衛のためだ」と開き直ることもできる。自身の誕生日には、水中からのSLBMの発射映像も公開した。これも60年代からの中国のSLBM開発を意識しているかのようだ。中国は何もせず見ているのか。次の一手が見ものである。(敬称略)