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【無料記事】何もしないひとにとっては何もかも簡単。(1709文字)
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【無料記事】何もしないひとにとっては何もかも簡単。(1709文字)

2012-10-29 13:32
  • 13
PROVERB ステンシルステッカー 失敗しない者は何も出来ない

 ほぼタイトル通りの内容です。つまり、ものごとのむずかしさを理解できるのはじっさいに何かに挑戦したことがある人間だけだよな、という話。

 何であれ真剣に挑んだことがないひとは、概してものごとを簡単だと捉えるものです。だから世の中にいる「凄い人」たちがどのくらい凄いのかがわからず、過小評価してしまいがち。そういう人はほんとうの意味で「凄い人」のことも、ただちょっと運に恵まれただけくらいに思っています。

 ネットを眺めていると、たとえば大ヒット中の漫画を捕まえて「○○のパクリ」「宣伝のおかげで売れているだけ」「絵は綺麗だけれど、それだけ」といった評価を下しているひとを見かけることがあります。

 もちろん、ベストセラーが即ち名作というわけではないし、そういった評価すべてを否定するつもりはありません。しかし、こういう評を見るたびに思うのです。ああ、このひとたちのなかでは大ヒットを出すことはとても簡単なことなんだな、と。じっさいにはきわめてむずかしいことであるはずなのに、その「むずかしさ」がまったく伝わっていないのではないか。

 「○○のパクリ」というけれど、それではその「パクリ」を行えばだれでもヒット作を出せるかといえばそうではない。「宣伝のおかげ」とはいっても、宣伝すれば必ずヒット作が出せるなら出版社は苦労しない。「絵が綺麗なだけ」ということは簡単だけれど、その「綺麗なだけ」ということがどれほど凄いのか、そこが無視されている。

 もちろん、テレビでプロ野球を見て「なんであの程度の球が打てないんだか」と放言する類の無責任は、素人の特権ではあります。しかし、それも「自分はあくまでアマチュア」「ほんとうはプロは凄い」ということを前提とした上での無責任発言であるはずで、本気で「あの程度の球が打てないとは」と冷笑していたら、分をわきまえていないとしかいいようがない。

 たしかに「凄い人」の「凄さ」を冷静に確認することはむずかしく、「あの程度、大したことがない」と思えることも少なくないかもしれない。だけど、その「大したことがない」ことが、その実、どれほど「大したこと」なのか、それを知らなければひとはどんどん身の程知らずに増長していくことでしょう。

 何もやらないひとにとっては何もかも簡単です。そもそも何もやらないひとは失敗することがありません。ある意味では何もやらないことは最高のディフェンスといえるでしょう。何かやったら失敗することもあるに決まっているんだから、何もやらずにひとの失敗を笑っているほうがよほど楽かもしれない。そういう生き方にむなしさを感じないならば、ですが。

 ひとは行動しつづければ必ず失敗します。オリンピックの金メダリストですら負けるときは負ける。天才といわれる作家ですらこけるときはこける。そういった失敗例を取り上げて嘲っていれば、自分はそういった人々よりずっと賢く、偉いように思えてくる。何しろかれらは何度も失敗を繰り返しているのに、自分は一度も失敗しないのだから。

 しかし、これはいうまでもなく危険な錯覚にすぎません。失敗をくり返しながらも前進しようと努力している人々を笑い、「失敗したことがないだけ」「間違えたことがないだけ」の自分を過大評価していけば、どんどん自己評価が現実と乖離していく。他人がバカばかりに見えてくる。

 こうなるともう危ない。よりいっそう失敗することが怖くなり、行動を慎むようになる。最後には「失敗しなかっただけの人生」を終えることになりかねない。

 もちろん、これはぼく自身にも返ってくる発言であって、自分がどれほど他人の「凄さ」をわかっているのか、いないのか、常にチェックしていく必要がある。そう思うからこそこうしてブログに文章を書いてひと目に晒しているわけです。

 何であれ少しでも実績を上げることは大変で、実績を上げた人を批判することは簡単。だから批判してはいけないということにはなりませんが、せいぜい自分の分をわきまえておきたいとは思います。何もやらないひとにとっては何も簡単。そして、何かをやり遂げようとするひとにとって、困難でないことなど何ひとつないのです。
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他3件のコメントを表示

社会的な実績を盾に暴論を通そうとする輩もいるし、議論の後半が自分の来歴の披露で終わる人だっている。
プロであろうがアマであろうが批判している相手が同じ人間である程度の敬意を払うべきであり、実績があろうがなかろうが暴論が正論に変わることはない。ということが、イマイチ共有できないんだよな。
筆者の「分をわきまえる」はちょっと違う気がするけど、実力のある人間には相応の敬意を払うべきだというなら激しく同意する。

No.4 146ヶ月前

ジジくさいけどいい記事だ。80歳ぐらいの人にそういう話をしてみたら面白いよ。

No.5 146ヶ月前

さて、今は過小評価する人が何人いるかな?

No.6 146ヶ月前

おおかた同感。
ただ、頑張りすぎる人や業界に染まりすぎる人ほど、傍から見たら簡単なことすらに気づけないというジレンマもお忘れなく。

No.7 146ヶ月前

努力しないと結果が出ないよね。
なんもしないで昔はなんとかだったー、とか言ってる奴より、失敗ばっかしてても
挑戦し続けてる人のが、好感持てる。
同じ失敗し続けたりしてるとアレかもしれないけどw

ただ、物事だけの点でみたら、スゲーできる人ってやっぱいるけど、職場とかだとそれに人格が+されちゃわない?
何にしても短所みつけるより長所を先にみつける人間になりたい。

No.8 146ヶ月前

久しぶりにいい記事読みました。面白かったです

No.9 146ヶ月前

簡単にできないことある。せめて最初の糸口は、真っ直ぐ行けるように考えなければいけない。わかんない人には、わかんないことだけど・・・

No.10 146ヶ月前

これは記事。

No.11 146ヶ月前

すべてを若者の自己責任と叫び、就職に失敗するのはすべて若者が「何もしない」からだ、と断ずるマスゴミの差別的な姿勢を糾弾する必要があります。
若者を採用すると、自分の立場が危うくなる無能で腐りきった中高年正社員ほど、利害を考えて若者の自己責任を叫ぶ構造があるという点にも注目したいところです。

No.12 146ヶ月前

面白かったです

No.13 141ヶ月前
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