弱いなら弱いままで。
3Dプリンタ拳銃制造事件に思う個人と社会のゲーム。
3Dプリンタによる拳銃制造・所持事件がなかなか興味を惹くので、ちょっと思ったところをメモしておきます。
この事件の容疑者はTwitterに次のようなことを書き込んでいるそうです(http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye2196307.html)。
「銃を規制する社会に対する挑戦と武装の自由化のためです。人は熊を倒すのに猟銃を使います。銃は体力で劣る女性が男性を射殺するために必要です。銃刀法を廃止できなくても誰もがすぐ製造できるように、3D印刷けん銃の図面を普及させる」。
この意見そのものはわりと無理があるとは思うんだけれど、動機そのものは「なるほどなあ」と思わせられます。つまり、この人は革命を起こしたかったんですね。「銃が規制されて入手できない社会」を、根底からひっくり返したかったんでしょう。
で、その意図はある程度のところまでは成功したんじゃないでしょうか。というのも、かれが逮捕されたこのニュースが全国的に報道されたことで、「3Dプリンタと設計図さえあれば銃は制造できる」という情報がひろがったからです。
銃を作りたくて作りたくてたまらないけれど手段がないとか、もしくはどうしても銃が必要だとかいうひとは、このニュースを耳にして、「何だ、3Dプリンタがあれば作れるんじゃん!」と思ったかもしれない。
で、じっさい作るかもしれない。所持するかもしれない。さらには使用するかもしれない。そういう意味で、この容疑者はある程度社会を変えることに成功したと云えなくはない気がします。
まあ、本人は捕まったんだけれどね。この事件をある種の「情報拡大戦略」と見るとすれば、我が身を犠牲にして目的を達成したということになるのかなあ。
かれの、女性が実を守るため云々という動機をどこまで真に受けるかはともかく、個人としてやれる範囲でかなり大きいインパクトを社会に与えたと云えるでしょう。社会不安指数というものがあるとしたら、今回、それは0・5パーくらいは上がったかもしれません。
まあ、ぼくは当然、銃の所持を蔓延させようとする思想を支持しないので、警察がかれを逮捕したのは当然だと思います。
この容疑者がある種の革命/テロリズム思想を持つことは勝手だけれど、社会がそれを容認することは、少なくとも現時点ではありえない。やっぱり銃なんて危ないものを広められて社会不安を拡大されては迷惑なわけです。
その意味で、容疑者にしろ警察にしろ、自分のやりたいこと、やるべきことをやっただけの見なれた事件と云えるでしょう。
今回、この容疑者が「3Dプリンタを使えばだれでも銃を作れるよ」というメッセージを発信したのだとすれば、社会はそれに対抗して「でも、作ると捕まえるよ」というメッセージを放ったとも云えるわけですね。
くり返しますが、それは
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