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現役時代は「ムエタイキラー」として名を馳せ、「キックぼんやり層」にその面白さを解説してくる鈴木秀明氏が、今回語るテーマはもちろん那須川天心vs堀口恭司です! 「フェイクの天才」対決、「透明人間vsハンター」ってどういうこと????
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――鈴木さん、いきなり那須川天心vs堀口恭司の対戦が決まりました!
鈴木 これはスゴいことになりましたね。キックボクシングとMMAのナンバーワン同士が戦うわけじゃないですか。いや、本当に面白いと思います!
――トーナメントではなくスーパーファイトとして決まったことについてはどう思いました?
鈴木 ボク個人としてはうれしいです。ワンマッチだとベストな状態で戦えるので。
――いきなりお互いフルパワーで戦うわけですもんね。
鈴木 それに、堀口選手がいきなりキックルールで戦うというのは、スゴく幻想があります。那須川選手は先日MMAファイターの中村優作選手とキックルールで試合をしたじゃないですか。MMAファイターとどう戦うのかはなんとなく見えていますけど、堀口選手は底がまったく見えていない。MMAファイターとして評価が高いし、空手も強い選手なので「キックルールでどんな試合を見せてくれるのか? 」という興味がありますね。
――まだ一度もキックルールで試合をしていないからこそ、よけいに堀口選手には幻想があるということですね。
鈴木 昔K-1デビュー当時のアンディ・フグ選手がパトリック・スミス選手と対戦したことがあったじゃないですか。あれだけ極真空手で幻想があったアンディ選手だったのに、開始すぐにやられて「おい、ここで負けんの?」というのもありましたけど(笑)。
――アンディのGP1回戦負けは“芸”みたいなところがありましたね(笑)。
鈴木 逆にフランシスコ・フィリオvsアンディ・フグの例もありますよ。K-1デビュー戦でまだ顔面打撃に慣れていなかったフィリオ選手にアンディ選手が一撃でKOされてしまったという。
――顔面打撃やグローブに不慣れだったフィリオ選手が一撃で勝っちゃいましたねぇ。
鈴木 あのときはK-1の先輩であるアンディ選手に「K-1は甘くねえぞ」という強い思いがありすぎたことで、あの予想外の結果を生んだんじゃないかって思うんです。気持ちが先走りすぎてしまった。那須川選手も「キックルールだから負けられない」という思いはあると思うんですね。
――キックは那須川選手の土俵ですもんね。
鈴木 堀口選手がいきなりキックでやることで「見えないこと」が多すぎるんですよ。一度ほかの選手とキックルールで戦って、不慣れなところが見えたならまた違ってくるんですけど。
――一発勝負だから不確定要素が強いってことですね。
鈴木 堀口選手は現時点でも完成されたMMAファイターじゃないですか。ボクは堀口選手のことは昔からスゴい選手だと思ってて。ウチのジムに修斗環太平洋チャンピオンになった根津優太という選手がいるんですけど。根津が堀口選手と対戦したときに「コイツはヤバいな」と思いましたもん。
――それはまだ堀口選手が修斗のチャンピオンになる前の話ですよね。
鈴木 はい。「ちょっとこれはモノが違う選手が出てきたな」と。スピードが他の選手とは違うし、まったく物怖じしない。「生物的に違うな」って思いましたね。それでも当時はまだ弱点があったと思うんですけど、いまはもうMMAだけじゃなくレスリングをやっても日本トップレベルにイケちゃうぐらいになっていますよね。
――堀口選手は初めてキックルールなのに余裕ある雰囲気なんですよね。しかも特別にキックの練習はせず、やることはMMAのルーティンと変わらないと。素人の立場からすると、なぜこんなに自信満々なのかがわからないんですよ。
鈴木 あー、たぶん彼はキックボクシングをやろうとはしていないんでしょうね。おそらく空手をやろうとしているんじゃないですか?
――空手を軸としたMMAの打撃ということですか?
鈴木 「空手+MMA」だと思います。だから「那須川選手が何をしてくるか」というのは堀口選手には関係ないんです。まあ、関係はあるんですけど……。この2人って、じつはものスゴくタイプが似ている天才なんですよ。
――そういえば、お互い「自分と似ているものを持っている」と言っていましたね。
鈴木 簡単に言うと、2人は「フェイクの天才」なんです。
――「フェイクの天才」対決!
鈴木 そこから分類すると那須川選手は「透明人間」なんです。堀口選手は「罠に追い込むハンター」というか……。
――「透明人間」や「ハンター」とかワクワクするワードが並びますね!(笑)。
鈴木 2人の共通点は、頭のよさ、瞬間のスピード、フェイントだと分析しているんですね。スピードも普通の選手よりズバ抜けていますし、2人はフェイント力がスゴく高いんですよ。で、もう一つあるのが、その瞬間に迷いなくプランを実行できることなんです。
――おもいきりのよさが共通していると。
鈴木 これがもう本当にスゴい才能なんです。頭のいい選手でも、わかっていながら身体が動かないってことはあるんです。あとから映像を見返すと「やっぱり、ここで攻めればよかった……」とか。彼らはそこをあたりまえのように突破してしまう。だから本当に稀な2人なんですよね。ただ、じつは2人にも若干違うところはあるんですよ。
――「透明人間」と「ハンター」の違いですね。詳しくお願いします!
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コメント
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深い。試合まで何度でも楽しめるインタビューですね。もう3回も読んじゃいました。
プライドを見てた時もそうでした。試合までいろんなことを妄想して当日を迎える。ある意味試合を観なくても良いと思えるくらいでした。