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mothy_悪ノP『ーエメラルドの少女ー』インタビュー【後編】
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mothy_悪ノP『ーエメラルドの少女ー』インタビュー【後編】

2013-12-04 17:30
    大変お待たせいたしました。
    「拷問卿の三姉妹」から、「エメラルドの少女」へ。

    繋がっていく物語と、物語のこの先までを
    mothy_悪ノP自らに語っていただくロングインタビュー【後編】です。

    今回は、「妖魔」という存在、世界の謎について語っていただきました。
    「拷問塔」の世界をご堪能ください。

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    ◆ハーガインとロマリウスとハンク卿の関係について教えてください。
    それぞれにお互いをどう思っていたでしょうか。

    ハンク卿のベリトード討伐譚である「ランスロード・ハーク」の中では、
    ハンク卿は「英雄」です。
    ロマリウスは人間の世界での地位を築きつつ、
    「ハンク卿の友人」としての地位を築いてもいます。
    歴史の表舞台に立っているのは、この二人です。

    ハーガインは、一般的にはハンク卿とロマリウスに付き従う
    従者的な存在として認識されています。

    ハーガインはハンク卿に対しては、お互いある程度友好的な感情を持っていました。
    しかし、ハーガイン自体が素直ではなく、油断ならない人間なので、
    ハンク卿は人間であるハーガインよりも、ロマリウスに親愛の情を持っていました。
    ハーガインのロマリウスに対しての印象は「友達の友達」ぐらいのレベルです。


    ◆英雄譚は「ハンク卿・ロマリウス・ハーガインの物語」として
     描かれているんですよね?

    いえ、ハーガインはあくまでハンク卿の部下という立場で参加しています。
    『聖闘士星矢』でいう、一輝ぐらいの感じです。
    ……たとえがいいかどうかわかんないですけど(笑)

    物語になっているのはハンク卿とロマリウスです。
    ハーガインはあくまで脇役です
    ……が、魔術に関心を持っている人は忘れてはいけない存在ですね。
    知る人ぞ知る存在といった感じです。
    一般的にはそんなに有名ではないです。マニアには人気ですが。
    ……マニア受けキャラですね(笑)

    英雄として分かりやすいのは、「剣で敵を倒す」存在です。
    魔法というのは拒否反応がある感じです。うさんくさい存在ですね。


    ◆ベリトード討伐当時のハンク卿とハーガインはどのぐらいの年齢だったんですか?

    ハンク卿は20代中盤です。
    ハーガインは40代ぐらいですね。


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    ◆「-エメラルドの少女-」では、「-拷問卿の三姉妹-」のメインキャラクターに加え
    メインキャラクターたちの親世代が登場していますが、
    親で築いた関係性が、子の代で捻れている印象があります。

    「悪ノ」シリーズには三英雄というキャラクターがいて、
    「親」の世代に対応する「子」の世代があります。

    拷問塔に関して言えば、「親」の世代と「子」の世代の違いは、
    ハンク卿という「間に立つ人間がいるかいないか」ということです。
    ハンク卿がいない今の世代では、ハンク卿の娘たちである三姉妹が、
    その役割を担っていません。
    それがきっかけでほころびができている状況です。


    ◆そのほころびについて、ベリトードは何か考えているでしょうか。

    シンプルに「しめしめ」とは思っています。
    英雄だった三人の関係性が、子供の世代になって完全に絶たれ、
    つながりが薄くなっています。
    ベリトードにとっては、そこに付けいる隙があります。
    利用してやろうという野心を持っている感じですね。


    ◆もし、「繋ぎ役」としてのハンク卿が生きていたら、どうなっているでしょうか。

    ベリトードにとっては、「ハンク卿」という存在が一番恐ろしい存在です。
    だからこそ、もっとも先にハンク卿を籠絡しています。
    もしハンク卿が生きていたら、レイモンドはいなかったかもしれません。
    「ハンク卿を継ぐもの」がベリトードを倒す役割を担っていたかもしれませんね。


    ◆ベリトードはどうやってハンク卿を籠絡したのでしょうか。

    ハンク卿が完全な善人だったら、ベリトードはハンク卿を籠絡することはできなかったでしょう。
    史実でも、英雄が必ずしも好人物ではないように、ハンク卿は残忍性を内包していました。
    残忍性を表には出してなかったからこそ、ハンク卿は「英雄」でいられたんです。
    ハンク卿は「潜在意識の中での自分」と、「英雄としての自分」のギャップに
    もやもやしていました。
    ベリトードは、表に出されていないハンク卿の残忍性を見抜き、
    ハンク卿の心の表と裏をひっくり返したんです。

    ただ、それは、そこまで難しいことではないんですよね。


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    ◆「妖魔」という存在は一般的にはどう認識されているでしょうか。

    ステラに言わせれば、「そもそも妖魔なんているの?」といった感じです。
    妖魔という存在を認知しているのは、政治的な中枢にいる人間だけで、
    妖魔という存在自体が認知されていません。


    ◆……ロマリウスは?

    ロマリウスも、一般的には「人間」として認知されています。
    領民にも人間だと思われていますね。
    妖魔だと知っているのは、円卓会議に出席している家臣ぐらいです。


    ◆ロマリウスは国から領地を与えられているようですが、
    領民にはどう思われているでしょうか。

    代替わりをしている体で、ずっとロマリウス本人が領地を治めています。
    ぼろが出ないように、領民の前に姿を現さないようにしています。
    領地は田舎のほうにあります。領民も、細かいことはあまり気にしていません。


    ◆「妖魔」という存在についてお伺いします。

    もともとは72体いましたが、どんどん滅ぼされていって、
    作中現在で残っているのはベリトードとロマリウスとラビアだけです。
    もっとも、ラビアは最近は人間世界の妖魔迫害の雰囲気を察しておとなしくしていますが。
    ロマリウスは人間社会に溶け込んでいます。
    表立って人間に危害を加えているのはベリトードぐらいです。

    他の妖魔はほぼ基本的には滅んでいる状態です。
    あとは半妖魔のレイモンドぐらいしか残っていません。


    ◆「―エメラルドの少女―」に登場した、ヨハンソンとロビンソンも妖魔でしょうか?

    彼らは妖魔そのものではなく、妖魔の眷属です。
    彼らのように、眷属として生きている妖魔もいますが、
    珍しい動物として認識されている程度です。
    明らかに妖魔らしい妖魔はいません。

    言ってしまうと、レイモンドは妖魔を滅ぼそうとしていますが、
    実際には、妖魔はほぼいない状況なんです。


    ◆半妖魔のような存在はレイモンドのほかにいますか?

    妖魔の血は劣性遺伝なので、たとえ妖魔とほかの種族が子供を作ったとしても、
    色濃くでるのは妖魔以外の性質になります。
    なので、レイモンドは非常に珍しい存在です。


    ◆妖魔は一般には認識されていないとのことですが、
    レイモンドが幼少期に母親とともに迫害されていた理由は何だったのでしょうか。

    昔、妖魔の被害に遭ったことのある僻地の町では、
    伝承レベルで「妖魔は恐ろしいもの」として伝承が残っています。
    それがレイモンド幼少時の迫害に繋がっている感じです。


    ◆妖魔の認識が都市部と僻地で異なるとすると、
    魔術結社「クロスロージア」は都市部と地方では扱いが違うでしょうか。

    都市部では、一般市民の「ハーガイン」・「魔術」の認識は薄いんですが、
    「クロスロージア」は政治に絡んでいます。
    妖魔退治は政界へのアピールであり、富裕層へのアピールでもあります。
    地方都市では多少力を持っていますが、メインは「宗教組織」としての活動です。悪魔払いとしての認識ですね。

    ◆では、「-エメラルドの少女-」でメインの舞台となった
    魔術結社クロスロージアについてお伺いします。
    クロスロージアは「-拷問卿の三姉妹-」のヴィヴィアンの顛末を把握しているでしょうか。

    ハーガインはクロスロージアの下々のことまでは把握していません。
    ヴィヴィアンについては執行部は把握していますが、
    「-拷問卿の三姉妹-」第3章でのことは完全に彼女の独断なうえ、
    下手に下院議員が絡んでいるので手が出せない状態です。
    とはいえ、クロスロージアとして、どうこうしようとは思っていません。
    動いてしまうと藪蛇になってしまうので。
    クロスロージア自体が大きな組織なので、事なかれ主義なところがありますね。


    ◆妖魔同士の婚姻はありますか?

    妖魔にも雄雌がありますので、婚姻によって妖魔同士の子供を作ることは可能です。
    しかし、現在は女妖魔が全滅しているので純血の妖魔が生まれることはありません。
    最後の女性妖魔は、ラビアの姉であるストラスフィアでした。


    ◆妖魔と同じく、謎の存在である「終末文書」についてお伺いします。

    妖魔と同時、あるいは妖魔よりももっと前から存在していたものです。
    「終末文書」の所有者は、72体の妖魔たちです。
    妖魔1体につき1冊を所持している感じですね。ラビアも持っているはずです。


    ◆終末文書には何が書かれているんですか?

    妖魔がなぜ生まれたのかを解く鍵になっています。
    この、詳細な内容は言ってしまうとネタバレになってしまうので言えません。

    古文書レベルで古い文書で、現存する言語ではないもので書かれています。
    ハーガインは独自に解読しています。


    ◆ハーガイン以外は内容を把握しているでしょうか?

    ベリトードは読めません。
    ロマリウスはちょっと読めていますね。
    ラビアは読めないです。


    ◆貴重な内容が記されいるらしい「終末文書」ですが、
    ほかの「終末文書」はもう消滅してしまったんでしょうか?

    「終末文書」という名前自体も、実際には正式な名前ではないんですが……
    所有していた妖魔が消滅したときに一緒に失われてしまったり、
    あるいはどこかの遺跡に埋まっているかもしれないですね。
    現存しているものはほぼありません。

    *-*-*-*-*-*

    ◆それでは、これから「―エメラルドの少女―」を読む読者に、
    一言お願いいたします。

    「大罪シリーズ」や「悪ノシリーズ」と同様、もちろん裏設定を色々考えています。
    今までのシリーズの娯楽性とともに、アクション的な要素を取り入れているので、
    その部分を楽しんでいただければ。
    それプラス、「悪ノシリーズ」とあわせて楽しんでいただければ、とも思っております。
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    「72体の妖魔」・「終末文書」―――
    『拷問塔は眠らない』世界の深淵を覗き見るインタビュー、いかがでしたでしょうか。

    次回、重要なキーワードが登場する、
    mothy_悪ノP書き下ろし短編を
    当ブロマガに掲載予定です。
    ご期待ください。

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