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岩崎夏海さん のコメント

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岩崎夏海
>>1
悟空はピンチに対して泰然としているところがいいですよね。
No.3
69ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
「楽しいとは何か?」ということについて、最近よく考えている。 それは、これからの時代は「楽しく生きる」ということが、とても重要な価値になると思っているからだ。 21世紀に入って、人々は物質的には満たされるようになった。そのため、今度は心を満たしたいと思う人が増えるようになった。 そして心を満たすためには、「楽しさ」というのは欠くことのできない要素だ。だから、「楽しさ」を作ることの価値が高まったのだ。 そんな中、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ社の前澤友作社長が、noteにこんな記事を書いていた。 「この国をどうしたいの?」と聞かれたので考えてみました。 読んでみると。中にこんな一節があった。 「楽しく働きたいので、好きなことを事業の中心においてます。創業時は好きな音楽を売ってました。今は好きな洋服を売ってます。音楽や洋服好きの社員がたくさん集まってきて、社員同士仲良しです。楽しいです」 これは一見、理解しやすい「楽しさ」に見える。きっと、多くの人が賛同したことだろう。 しかしながら、ぼくはこれには賛同できなかった。なぜなら、ここで語られている「楽しさ」というのが、必ずしも楽しいとは限らないからだ。 まず、「好きなことを事業の中心におく」というのが、楽しいかどうかという問題がある。というのも、むしろそれが楽しくないというケースはとても多いからだ。 例えばプロスポーツ選手には、それを仕事としたことで、以前のように楽しめなくなったという人は多い。引退したプロ野球選手には、二度と野球には携わりたくないという人もいるくらいだ。あるいは宮崎駿さんは、映画監督になってから、全然映画を見なくなったそうだ。 また、これは卑近な例だが、ぼく自身は、学生時代にパチンコをしていた。そのとき、やり始めの負けているときは楽しかったが、勝つようになってアルバイト替わりになると、とたんに楽しくなくなった。 好きなことを仕事にするだけで、必ずしも楽しくなるとは限らない。むしろ楽しくなくなってしまう危険性もある。 もちろん、好きなことを仕事にして、なおかつ楽しいという人もいる。だから、だいじなのはその仕事の「仕方」なのではないだろうか。好きなことを仕事にするかどうかより、どう仕事をするかの方が、よっぽど重要なのである。 では、どう仕事をすればいいのか? どういう仕事の仕方が楽しさを生むのか? 例えば、プロ野球選手で楽しそうにしている人というと、ぼくが真っ先に思い浮かぶのはイチロー選手である。 イチロー選手は、なぜ仕事を楽しめているのか? もちろん、「ヒットがたくさん打てるから」ということもあるだろうが、それはおそらく本質的な喜びではない。なぜかというと、もしヒットのたびに喜んでいたら、今度はアウトのたびに落ち込まなければならなくなる。そして野球というスポーツは、アウトの数がヒットの二倍以上あるので、むしろ楽しくないことの方が上回ってしまう。 そう考えると、イチロー選手はヒットを楽しみの軸に置いていないのではないだろうか。 では、何を楽しみの軸に置いているのか? それは、おそらく「研究」だろう。イチロー選手は、今年は試合に出ないということを発表した記者会見で、自分は野球の研究者になりたいと語っていた。彼は、ヒットを打つこと以上に研究が楽しいから野球を続けているのだ。 ではイチロー選手のいう「研究」とは何か? それは、問題を見つけてから解決するまでの、一連のプロセスのことではないだろうか。 まず、イチロー選手の前に問題が立ちはだかる。例えば、どうしても打てない苦手なピッチャーが現れる。 そこで、その解決方法を模索する。そして修練を積む。例えば、打ち方を工夫したり、練習を強化したりするのである。 すると、それが功を奏し、問題を解決できる。苦手だったピッチャーからヒットを打てるようになるのだ。 そういうふうに、問題を見つけてそれに対処し、解決するまでの一連の流れを、イチロー選手は「研究」と呼んで楽しんでいるのではないだろうか。そして、だからこそ仕事が楽しいのではないだろうか。 仕事を本質的に楽しくするには、誰もがこのプロセスを導入する必要がある。逆にいえば、このプロセスさえ導入できれば、どんな仕事でも楽しくなる。それは、自分の好きなことはもちろん、必ずしも好きなものでなくとも楽しめるようになる。 ところで、上記のプロセスはまるで『ドラゴンボール』のストーリーのようだ。 まず、自分より強い敵が現れる。 悩んでいると、一つだけ倒す方法が見つかる。 そこで、その方法を訓練して身につける。 その結果、相手を打ち倒す。 すると、また新たな敵が目の前に立ちはだかる…… 『ドラゴンボール』は、基本的にこのパターンをくり返している。 『ドラゴンボール』のストーリーは、実は人が楽しく仕事をする方法をシミュレートしているのだ。だからこそ、多くの読者を魅了したのだろう。人々はそこに、楽しく仕事をするということをヴァーチャルに体験できた。だからこそ、読んでいて楽しかったのだ。 そう考えると、仕事を楽しくしようとしたとき、逆に『ドラゴンボール』を参考にするという方法もあるのではないだろうか。『ドラゴンボール』のように、常に少し解決が困難な問題を見つけ、それを解くための努力をし、最後には見事解決する――そういうプロセスを継続して生み出すことこそ、仕事を楽しくするための究極のコツではないだろうか。 DRAGON BALL モノクロ版 (42 冊) Kindle版
ハックルベリーに会いに行く
『もしドラ』作者の岩崎夏海です。このブロマガでは、主に社会の考察や、出版をはじめとするエンターテインメントビジネスについて書いています。写真は2018年に生まれた長女です。