ぼくの名前は岩崎夏海といいます。一般的には「もしドラ」の作者、あるいは作詞家である秋元康さんの弟子として知られていますが、ぼくの人生には、実はさまざまな紆余曲折――数多くの失敗や挫折がありました。

まず、子供の頃は野球に没頭し、甲子園に出るのが夢でした。「もしドラ」の舞台を高校野球に設定したのもそのためです。しかし、家庭の事情で野球部のない高校へ進むことになり、その道は断たれました。

大学は東京芸術大学美術学部建築科に進みました。
ぼくは、両親共に芸大出身の美術一家に育ったため、幼い頃から絵を描くのが得意でした。そして、あまり深く考えもせずこの学校を選んだのですが、そこに大きな挫折が待っていました。
というのも、美術が好きでその学校に来た同級生たちと比べ、情熱に劣るため、なかなか上達できなかったのです。そうして、最後まで好きになることもできず、せっかく入った大学でしたが、ただ卒業するだけに終わって