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【平直行「東方武術見聞録」】その1 次の道が僕を待っていた。(前半)
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【平直行「東方武術見聞録」】その1 次の道が僕を待っていた。(前半)

2014-06-10 18:20
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    その1 次の道が僕を待っていた。(前半)

    「お前さんのやってるのは武道かい?」

    「それとも武術かい?」

    「武術と武道はどう違うと思う?」

     これらのことを詳しく教えてもらったことはなかったし、具体的に違いを聞かせてもらったこともなかった。学びの中で折りに触れて聞かせてもらった話。僕の中でその欠片が段々と繫がってきた頃に突然やって来た質問だった。

    「僕のやっているのは武術です!」とドキドキしながら僕は答えた。格闘技のプロだった頃には絶対に意味が分からなかった質問。質問してきたのは僕の武術の師匠。この方はいつの間にか師匠になっていた。たまたま出会い、いつの間にかそうなっていた。

    師匠は笑顔でこう言った。

    「そうだ、それでいい」

    「いいか、武術には2種類ある。古流の武術があり、もう1つは現代の創作武術というものもある」

    「お前さんがやってるのは古流武術だよ。古流武術というのは歴史に支えられた伝統があるもの。伝統を支えているのは武術のご先祖様で、彼らの努力の積み重ねが古流の武術を支えている。だから、お前さんがしっかりと精進すれば見守ってくれるんだ」

    「現代の創作武術にはそんなものはない。お前さんはそんな軽いものをやってるんじゃない。これからは古流武術をやってると胸を張って言いなさい。それでとやかく言う奴にはこう言いなさい。お前さんの後ろ盾は私だと……」

    僕の柳生心眼流の師匠は日本どころか世界中で認められている大先生。武術の世界で知らない人はいない。海外では“ラストサムライ”と呼ばれている達人なのだ。

    さらに師匠から「お前さんの後ろ盾は、柳生心眼流なんだ。私が認めて後ろ盾としているんだ。これからは胸を張って古流武術をやっていると名乗るんだよ」。そう言われた僕は感激して泣きそうになった。

    僕の故郷は仙台、プロに憧れて上京するまでずっと暮らした街。柳生心眼流は仙台が伊達藩だった頃の伊達藩のお留め武術。上京してプロになって引退した僕が柳生心眼流を学び、そこに深く関わる。とても不思議な道はたまたまやって来たけど、きっと最初から決まっていたような気もする。やっと来たね、ようやく会えたね、待ってたぞ……そんな声がどこからか聞こえたような気がした。

    “たまたま”はプロを引退してから始まった。僕は“たまたま”に恵まれている。総合格闘技の始まり。旧UWF旗揚げの年に僕は上京した。その年から総合格闘技が誕生する流れが始まり、やがてK-1も生まれ、グレイシー柔術が台頭し、日本で格闘技が大ブレイクするまで僕はいつもその流れの空間にいた。それは“たまたま”だった。

    プロレスラーに憧れた僕はプロレスラーになるために上京した。たまたま同じ時期に誕生した旧UWFの旗揚げは、たまたまだったと聞いたことがある。新日本プロレスのお家騒動をきっかけに起こった旗揚げ。本当は旗揚げ戦を持って団体解散の目論見だった? そしてたまたまそこに前田日明がエースとして抜擢されて、なぜかそのまま団体を存続して活動を再開。登った梯子を下ろされたような状態になり窮地に陥った。

     
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    最終更新日:2015-06-24 12:10
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