私はTPPにおいてはISD条項が日本の国家主権を損なうものとして、一番危険であると主張してきた(注:これまでの主張点については添付)
TPPのブルネイ会議をフォローするため出かけていた山田正彦元農水大臣が9月3日TPP阻止国民会議で報告を行ったが、その中で同氏は「日本はISD条項の支持表明をした」と述べた。
山田正彦元農水大臣は鶴岡主席交渉官と対談したが、その際、鶴岡主席交渉官次のように述べた。
・(山田氏からISD条項への支持はけしからんと述べたのに対して)日本にとっては後進国投資に対する有力なツールになる。
・(ISD条項は米国によって国益を阻害されることになるといったのに対して)
日本は強いから絶対アメリカにやられることはない。
もうめちゃくちゃだ。
仰天する。
(参考 参議院公聴会(平成25年5月2日)発言趣旨 孫崎 享
1:TP
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最近の中韓露3国の接近は、かなり頻繁になっている。中国「元」の国際貿易決済通貨としての位置が、かなり高まっている。今年の、「元」決済金額が4兆元に及ぶことになるという(15円換算で60兆円)。中国、ロシアは別にして、韓国の米国だけでなく、多方面に気配りした外交はしたたかである。ドイツが敗戦国の立場から、EU経済圏をリードする立場に大きく国際的地位を向上させたのと比較すると足元に及ばないが、韓国が、自主性を確保しながら、米国との関係を維持しているのを見ると、あまりにも日本の外交がお粗末過ぎるといえます。
米国との太平洋戦争、アジア諸国との大東亜戦争を場所と時によって使い分け、米国に対しては敗戦国、アジア諸国に対しては侵略国から撤退しただけと、二面的考え方を正当化していては、ISD条項などが不当な条約条項にならない。戦争の総括をせず、ただひたすら、米国の属国としての立場を是認してはばからないマスコミが、世論喚起しないからである。
世論の喚起がなくては、政府を動かす力にならず、最終的には、国家を消滅させてしまうことになりなねない。必然的流れです。
ISD条項で提訴されても、公正な裁判所が判決を下すのなら、大きな問題ではない。
だが、TPPの場合は米国企業と密接な関係にある国際投資紛争解決センターが裁判を行う。当然、米国企業に有利な判決が出るに決まっている。
米国では自由に販売できる「銃」の販売を規制する日本が訴えられれば、莫大な損害賠償を請求され、米国のような「銃社会」に変えられる可能性は高いと思う。
安倍内閣は、そんな結果に責任をとれるのだろうか。
選択肢A.米国のエリートと結託し(実際は服属)一般の国民から富を搾取して栄華を求める【リスク小リターン大】
選択肢B.米国と日本のエリート全てと対立し(構造的にそうなる)一般市民を啓蒙しようとして人格破壊を受け社会的に抹殺される【リスク極大リターン無し】
これでBになれとエリート層に言うのは非合理すぎる。誰でも、少なくとも大半はAを選ぶだろう。貴族は農奴制を、富裕層は原始的資本主義を好むものだ。つまるところ責任は我々人民にある。権力者に政治を委託しても問題ないという近代史を無視した発想を日本人は平気で行う。人権感覚と並んで民主主義が定着していない証だ。
ISD条項で「絶対アメリカにやられることはない」というのは実はその通りではないでしょうか。
ISD条項で提訴される前に全て米国に献上してしまえば、ISD条項を発動されることすらありません。「日本は強いから」という詭弁を弄しつつ「絶対アメリカにやられることはない」と自信を持って言い切っているに違いありません。
「TPP売国交渉 今度は「軽自動車」を米国に献上」(日刊ゲンダイ8月26日)
http://gendai.net/articles/view/syakai/144204