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【のりこえねっと通信0031号】本日21時より、神田憲行×安田浩一 『嫌中・嫌韓ブー ムと週刊誌』
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【のりこえねっと通信0031号】本日21時より、神田憲行×安田浩一 『嫌中・嫌韓ブー ムと週刊誌』

2014-05-28 19:26
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ■■■■■-ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク-
    ■■■■
    ■■■    のりこえねっと通信 0031号 2014年5月28日発行
    ■■
    ■                        ◆転送歓迎◆
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――

    賛同者の皆さま のりこえねっと通信をお読みの皆さま

    先週末もレイシスト(人種差別主義者)たちが、各地で差別街宣やヘイトデ
    モを行いました。千葉駅前では、「朝鮮学校の学芸会の補助金を中止させ
    た」勝利の街宣活動を行おうとしましたが、激しい抗議の声の前に、1時間
    半の予定を30分で終了してしまいました。しかし許すことができないの
    は、そこで掲げられた「また朝鮮人の暴動だ!」という差別プラカード。
     pic.twitter.com/zqgMZk9Bra
     http://urx.nu/8A0S
    翌26日日曜日の埼玉・西川口での「移民受け入れ断固反対デモ行進in西川
    口」でも掲げられました。
    抗議する市民の声を捻じ曲げ、差別扇動することは許すことができません。
    関東大震災の朝鮮人虐殺の流言飛語と同じ質を持つこのようなデマを根絶す
    るために、のりこえねっとは結成されました。

    〈今号の目次〉
    1.5月28日 のりこえねっとTVのお知らせ
    2.5月21日放映ののりこえねっとTV報告
    3.のりこえブックス発刊
      「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこと? 」
    4.「のりこえシンポ 2014.6.11」開催のお知らせ
    5.今後の反レイシズム情報
    6.新聞・雑誌記事・Webより
    7.編集後記


    ●1.5月21日のりこえねっとTVのお知らせ

    ★のりこえねっとTVは4月から午後9時スタートに時間が変更になりました
    毎週水曜日21時から生放送です!!ぜひご覧下さい。

    タイトル:嫌中・嫌韓ブームと週刊誌 神田憲行×安田浩一

    本日28日午後9時から放送です(4月より1時間繰り上がりました)

    ◎放送日時 5/28(水) 21:00-22:00
    ◎ニコニコ生放送入口URL http://live.nicovideo.jp/watch/lv180912348

    空前の「嫌中・嫌韓」ブームと言われる昨今。
     その立役者でもある『週刊誌』に
     何が起きているのか?
     週刊誌業界を知り尽くす
     2人が解き明かします。

     <出演>
    神田憲行(かんだ のりゆき)
     ノンフィクションライター。
     故黒田清氏の黒田ジャーナルを経て、独立。
     現在、夏の高校野球を10年以上にわたって取材しているほか、
     人物ルポを中心に幅広い執筆活動を続ける。
     主な著書に「ハノイの純情、サイゴンの夢」
     「横浜vs.PL学園」(共著)「八重山商工野球部物語」等。
     野球/ベトナム/畜産/人物ルポ等々。

     ブログ:ライター神田憲行の日記「ゆっくりと坂道を降りて行く」
     http://blog.livedoor.jp/norikanda/

    安田浩一(やすだ・こういち)
      ジャーナリスト
     1964年静岡県生まれ。週刊誌記者を経て、フリーライターに。
     外国人労働者問題などを取材。
     代表作、『ネットと愛国』(講談社)では、
     2012年度の講談社ノンフィクション賞と
     日本ジャーナリスト会議賞をW受賞。
     近著に『ヘイトスピーチとネット右翼』(共著・オークラ出版)、
     『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』(共著・三一書房 )がある。


    ◆視聴方法についてあらためて記載します。
    【視聴方法】
     ▼初回にニコニコ動画に会員登録が必要です。(一般会員は無料です)
      http://www.nicovideo.jp/

     ▼メールアドレスとニックネーム、性別、年齢等のプロフィール、
      パスワードを登録してください。
     ▼そして、以下にアクセスするとのりこえねっとTVをご覧いただけます。
      http://ch.nicovideo.jp/norikoenet-tv

    ※ブロードバンドのインターネット環境、もしくはLTE通信環境のスマート
    フォンなどからもご覧頂けます。あらかじめタイムシフト予約をしていると
    放映後1週間以内はいつでも見ることができます。


    ◆皆さまへのお願い

    現在、のりこえねっとTVはニコニコ生放送( http://live.nicovideo.jp/)
    のトップページ番組表に掲載されておりません。
    Twitter、公式サイトにて告知しておりますが、ニコ生のトップページ番組
    表に掲載されると目に留まりやすく、さらに視聴者が増えると思われます。

    番組表に掲載されるためには、【タイムシフト予約】の人数が100名を
    超えなければなりません。ぜひ、みなさまのご協力が必要です。
    拡散・周知も続けて頂けますよう何卒お願い致します。


    ●2.のりこえねっとTV報告

    ◆5月21日放送

    ◎『「曽野綾子大批判」を通して保守論壇を考える 佐高信×辛淑玉』

    のりこえねっと共同代表で評論家の佐高信氏と同じく共同代表の辛淑玉さん
    が、佐高さんの新刊『曽野綾子大批判』(山崎行太郎氏と共著)を通じて保守
    論壇の劣化を考えます。

    保守の劣化とリベラル革新の凋落

    佐高さんによれば、右寄りの雑誌を出している出版社だが、安倍やTPPはお
    かしいという立場だそうです。辛さんは、安倍は保守とはいえない枠にあ
    り、だから保守はもっとしっかりして欲しいと思っていたが、読んでみたら
    保守よりもリベラル革新側がもっと朽ちていった結果としての現在なのだと
    感じさせられたと語ります。佐高さんによると、共著者の山崎さんは曽野綾
    子による大江健三郎の「沖縄ノート」批判は曲解や誤読によるものと丹念か
    つフェアに検証し、自分は左翼ではないがおかしいと批判している方だそう
    です。

    辛さんは読後感として、簡単にレッテルを貼って人間を分けるが、軍隊には
    さまざまな人が存在し、考えや行動が画一的に同じなのではない、というと
    ころに人間のリアリティを感じると語ります。また自分たちが目指す社会に
    あって、歴史的な嘘はやったらやったで、そこから出発しなければ次がない
    と書いているが、辛さんがこれまで感じていた保守とは違い、これが保守の
    ベーシックなのだろうという気がしたと述べます。

    弱者に出会ったことがないぼんぼん政治家と曽野綾子

    佐高さんは、二度と戦争はしないというのがこれまでの政治家の出発点であ
    り、弱者の味方になるのが当たり前だった。そうした原点を忘れ去って戦争
    を前提とした政治を追求し、弱者には自己責任でさらにいじめているのが安
    倍政権だと指摘します。弱者に出会ったことがないぼんぼんなのだろうと
    も。そのお友達が麻生やNHKの籾井だが、2人とも有数の悪徳炭鉱主のぼんぼ
    ん。そして半ば冗談交じりに、貧乏人も通う公立小学校を出ないと政治家に
    なれない、政治家の親子は同じ地盤からは立候補できない、そんな法律が必
    要だと付け加えます。それは彼らの特権なのだから差別ではないと。

    佐高さんは、そのぼんぼんの集大成が曽野綾子だと指摘します。ひどいのは
    東京生まれで部落差別なんて聞いたことがないが、それを教え込もうとする
    奴がいると主張する曽野は、知らないから差別が温存されていることに気づ
    かず、さらには自分の無知や鈍感さに居直ると。そんな曽野の本がなぜ売れ
    るのだろうとの辛さんの問いに佐高さんは答えます。差別を知ったとき、ま
    ともに考えればしんどくなるものだが、苦しまなくてもいい、彼らがヒステ
    リックに騒いでいるだけだと、ベストセラー作家が言ってくれる。これがあ
    る種の安心剤になってしまうのだろうと。辛さんは、守り札みたいなもの
    で、それにすがってしまうのだろうか…、と。

    曽野綾子を利用する自民党のたくましさ

    そして辛さんは、日本人に対してもそれだけひどいことをやるいかがわしい
    曽野を、なぜ保守がきちんと向きあって叩かないのだろうと問います。その
    問いに、自民党はやはり利用するたくましさを持っているのだろうと応じま
    す。三島由紀夫が防衛庁占拠事件後に自民党から手のひらを返されたが、三
    島と同じようなことをやれば曽野も同じ運命だろうと。また辛さんの、櫻井
    よしこには政治的主張もあるが、眼前に被害者がいても自分の文脈だけで言
    葉をつなぐだけの鈍感な曽野は驚くほどレベルが違うとの指摘に対して、レ
    ベルが違うから大衆受けするのではないか、むしろ櫻井についていくのは少
    ないだろうと佐高さんは語ります。曽野とコンビを組んでいたのは上坂冬子
    だったが、怒って説教するのが共通していた。怒られ慣れていない若い人が
    それに参ってしまうようで、怒ってくれるおばさんという需要があるのだろ
    うとの佐高さんに、私も怒るのだけれど…、と辛さんはいささか不満気味?

    寄せられた質問に答える形で佐高さんは、いま問題なのは京セラの稲盛和夫
    で、盛和塾に中小企業経営者を集めて松下幸之助のようにもてはやされてい
    ると指摘します。研修を現場でやってきた辛さんは、3・11以降の企業の考
    え方は変えねばならず、地域・労働者・株主への貢献を考慮しないマネー
    ゲームではだめと痛感すると語ります。これまでとは違う社会をつくらねば
    生きていくことさえ不可能だろうし、そのときにJALを再生したとかだけで
    あの手の経営者が求められてはいけない。朝から晩まで働いても中小企業は
    国際競争の中で大資本に飲み込まれていくし、それを支援するのが安倍政権
    の経済活性化であり、ではどう生きればいいのか悩み研修内容もこの20年間
    に大きく変わったとも述べます。

    「紛争地域に行くために自衛隊に入隊したのだろうか」辛さん

    集団自衛権問題について辛さんは、2004年にイラクで香田証生さんを見捨て
    て殺した反省や、なぜ助けられなかったかを振り返ることもなしに邦人保護
    などとよくペラペラしゃべれると憤ります。佐高さんは、基本的に軍隊が国
    民を助けた例はなく、旧満洲では関東軍が真っ先に逃げ出して残留孤児が生
    まれ、沖縄では日本軍が弾よけに島民を使ったと語り、そういうことを棚上
    げして説明するなと批判します。そして辛さんは、自衛隊員は公務員として
    就職し、人助けの思いはあるにしても紛争地域に行くという話で入っている
    のではない彼らの命と生活はどうするのかと指摘し、佐高さんは、憲法9条
    を信じて入隊しているかも知れないのだから災害救助隊と名を変えて武器を
    返上するのが一番よいのだと語ります。


    「村山談話」の持つ価値

    また辛さんは、植民地支配と侵略によりアジアの人々に多大な損害と苦痛を
    与えたことに反省とお詫びを表明した村山談話について、この本に示された
    山崎さんの視点は興味深く、談話の価値に気づかされたと語ります。談話が
    あるから米国が安心して日本側に立つことができ、中国も安心して日本とや
    り取りできる、それがなくなるとどれだけ複雑な国際社会になってしまう
    か。日本と米国・アジアとの関係のハブとして機能していることがわかりや
    すかったと。それを受けて佐高さんは、集団的自衛権で中朝がどうのと言っ
    ているが、アジア諸国はここで日本が一歩踏み込むのだろうか見ていること
    を忘れていると指摘します。辛さんは、保守の問題もあるがリベラルも弱す
    ぎて冷戦構造の崩壊後、自らの立つべき思想や考え方を打ち出せなかったと
    語り、佐高さんは、今ここで喧嘩すべきときなのにマスコミはビビっている
    とも苦言を呈します。

    最後は、最新刊『未完の敗者田中角栄』について、マスコミに表れる金権ま
    みれの姿とは異なり安倍よりずっとマシという内容だと佐高さん自ら紹介し
    て終わりました。


    ●3.のりこえブックス発刊
      「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこと? 」
      (のりこえねっと編 七つ森書館)刊行

    ★http://www.norikoenet.org/norikoe_books.html
    ★http://p.tl/13T2
          ⇒(Amazon.co.jp)

     のりこえねっとの紹介や共同代表からのメッセージ、ヘイトスピーチを引
    き起こす心理分析、海外の事例など、「ヘイトスピーチってなに?」という
    方に、まず読んでいただきたい本です。

    定価:1,600円+税 全国書店でお求めいただけます。

    (目次)
    はじめに ──辛淑玉(のりこえねっと共同代表)
     1 ヘイトスピーチ NO !
       東アジア大事にしないと、日本は歴史から遅れる(石井ポンペ)
       もっと寛容な社会を!(宇都宮健児)
       理不尽な要求(河野義行)
       在特会──ヘイトスピーチを繰り返す自信なき「排外主義」集団 
       (佐高信)
       愛国者への疑惑(鈴木邦男)   根はもっと深いところにある
       (田中宏)
       差別を消費する日本人(田中優子)
       自分が発した言葉は自分に返る(知花一昌)
       人間らしく「ともに生きる」社会(西田一美)
       協力しあって発展していくこと(村山富市)
       いまだかつてない日本の危機(和田春樹)
       違いを乗り越えていく社会へ(松岡徹)
       問題を真正面から捉える(若森資朗)

     2 のりこえネットTV開設記念トーク
       大爆笑女語り!! ヘイトを斬る!
         上野 千鶴子・辛淑玉・北原 みのり

     3 ヘイトスピーチとレイシズム
      【海外の事例を中心に】表現の自由を守るためにどうすればよいか
      (前田朗)
      【日本の事例を中心に】ネトウヨ・ヘイトスピーチ・レイシズム
      (中沢けい)
      【心理学の立場から】ヘイトスピーチに必要な「ケアの視点」
      (香山リカ)

     
    ●4.「のりこえシンポ 2014.6.11」開催のお知らせ

    「のりこえねっと」では、2013年度を振り返り、みなさまから寄せられ
    たご支援とご理解への感謝、そして今後の活動の発展、引き続きのご支援と
    ご理解のお願いをこめて「のりこえシンポジウム」を開催します。
    多くのみなさんの参加を心からお待ちしております。
    http://www.norikoenet.org/symposium.html

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――
    それは、アメーバーのように広がった反レイシズムの嵐だ。
    思想を超え、組織を超え、民族を超え、性差を超え、年齢を超え、国境を超
    えて一緒に生きたいという行動が、ここにある。
    私たちは、いま、ここに生きている。ここで、生きていく。
    のりこえねっと、いま、ここで。
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ■日時:2014年6月11日(水曜日)18:20~21:00
    ■場所:明治大学リバティタワー1096号室 9階
    http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
    (JR中央線・総武線、地下鉄丸ノ内線 御茶ノ水駅徒歩3分)
    (地下鉄千代田線 新御茶ノ水駅 徒歩5分)
    ■内容:
    第1部 私たちの取り組み及びレイシズムと闘う団体の活動報告     
        C.R.A.C・男組・女組・差別反対東京アクション 他

    第2部 シンポジウム
    「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこと?」 
    パネラー:石坂 啓(まんが家)
         寺脇 研
    (元文部省官僚 京都造形芸術大学教授 コリア国際学園理事)
         八木啓代(ラテン歌手、作家、エッセイスト、ジャーナリスト)
    司会  :辛 淑玉(のりこえねっと共同代表)

    ■参加費:500円
    ※のりこえブックス「ヘイトスピーチってなに?レイシズムってどんなこ
    と?」の付いた協力券もございます。)


    ●5.今後の反レイシズム情報
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    ★公式サイト 学習会カレンダーにも順次掲載致します!
    ★http://www.norikoenet.org/workshop.html#callendar
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    1)映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」(金聖雄監督)
    狭山事件で無罪を訴える石川夫妻の日常を描いたドキュメント(100分)
    ポレポレ東中野 ロードショー
    日時:5月31日~ 開始12:10?
    会場:ポレポレ東中野(総武線東中野駅徒歩2分)03-3371-0088
    http://www.mmjp.or.jp/pole2/


    2)日本軍“慰安婦”問題アジア連帯会議院内集会
    日時:6月2日(月)14:00~17:00   
    会場;衆議院第一議員会館大会議室(地下鉄丸の内線国会議事堂駅徒歩5分)
    内容;被害者からの訴え、アジア連帯会議の報告、日本政府への提言発表と提出
    問合せ先;ianfu-kaiketsu@freeml.com


    3)在日韓人歴史資料館土曜セミナー第73回
    「解放」直後における在日朝鮮人の濁酒闘争 -取締り決定過程を中心に-
    日  時 :  6月 7日(土) 14:00~16:00
    講 師 : 李杏理(リ・ヘンリ、一橋大学大学院博士課程)
    参加費:1,000円/  事前に申込みが必要です。
    お問い合わせ・申込先:在日韓人歴史資料館 03-3457-1088


    4)移住労働者と連帯する全国ワークショップ仙台2014
    日時;6月7日(土)13:00開会~6月8日(日)
    会場:・仙台市茂庭荘
    内容:7日オリエンテーション、特別報告『被災地の移住者たち』分科会
     8日移民政策への提言、今後の課題
    参加費:会員12000円、非会員18000円(要事前申し込み)
    問合せ先;smj-office@migrants.jp


    ●6.新聞・雑誌記事・Webより

    1)朝日新聞 5月13日書評
    九月、東京の路上で [著]加藤直樹
    ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件 [著]中村一成
    [評者]荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家)
    ?   
    ■差別への「慣れ」、暴力生む下地に

     関東大震災の際、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といった流言が拡散し、
    多くの朝鮮人、および朝鮮人と間違われるなどした日本人や中国人らが虐殺
    された。1923年の出来事だ。この出来事は、災害時の流言の危険性を呼
    びかけるうえでもしばしば参照される。
     だがこれは、「善良な市民が誤った流言をうのみにしてパニックを起こし
    た」という単純な話ではない。災害という特異な環境のみが流言を拡散させ
    たのでもなければ、流言だけが虐殺を引き起こしたのでもない。日頃から、
    多くの市民に差別心が根深く共有され、メディアもその空気を助長する報道
    を繰り返したという環境があってこそ、流言は広く受容され、暴力を生む要
    因の一つとなった。
     『九月、東京の路上で』は、先行研究や証言集などを整理し、この事例か
    ら何を学ぶべきかを解説した一冊だ。軍や警察の関係者も虐殺を黙認し、時
    には積極的に加担したこと。事件後は司法や政府も虐殺への対応が甘く、加
    害者への裁きも軽微に済ませがちであったこと。虐殺の参加者が裁かれるこ
    とに対し、同情的な世論もあったこと。こうした当時の空気感が、立体的に
    つづられていく。類書は数あれど、入門書としての読みやすさは群を抜いて
    いる。
    (略)
     今、ヘイトスピーチや排外デモを分析する書籍が相次いで出版されてい
    る。中でも『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件』は、「誰がどう襲われているの
    か」を知るうえで重要な一冊だ。2009年、「在日特権を許さない市民の
    会」らが朝鮮学校を訪れ、「スパイの子ども」「キムチ臭い」「たたきだ
    せ」といった罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせ、器物損壊を行った。この
    事件が、児童や保護者、教師や地域に対してどのような衝撃を与えたかを、
    勢いのある筆致で描写している。
    (略) 
    http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014051800003.html

    ※5月19日付公明新聞の書評欄にも田中宏共同代表が『ルポ京都朝鮮学校襲撃
    事件』について書いています。


    2)日本で歴史小説と嫌韓本が人気を集めるワケ
    朝鮮日報日本版 5月18日 
    「強い日本が懐かしい」
    人気小説『村上水軍の娘』…戦国時代の海賊の活躍を描いた歴史小説
    雑誌社は嫌韓世論を主導
    出版市場、2000年の2兆4000億円規模から昨年は1兆7000億円規模に縮小

    ■嫌韓本も流行
     三省堂をはじめ東京都内の一部書店は、今年2月に「嫌韓本」の特別コー
    ナーを用意した。「こんな国と親しく付き合うべきか」というキャッチコ
    ピーも掲げられた。韓国たたきのシリーズ本『呆韓論』『悪韓論』は、合わ
    せて31万部が売れた。嫌韓本の元祖といえる『マンガ嫌韓流』は、05年の出
    版後、100万部を超えた。
     嫌韓世論は雑誌が主導している。東京都内の書店の雑誌コーナーを回る
    と、嫌韓記事を載せた週刊誌を容易に見つけることができた。5月1日付の
    『週刊文春』と『週刊新潮』は、旅客船「セウォル号」の沈没事故を取り上
    げ、それぞれ「日本の支援拒絶 韓国沈没船300人を見殺しにした朴槿恵の
    大罪」「日本人には少し違和感 『韓国フェリー沈没』の悲劇」といった刺
    激的なタイトルを付けた。月刊誌『SAPIO』の5月号の表紙には「韓国の嘘
    (うそ)がバレる日」「日本人が知っておくべき嘘つき韓国の正体」などの
    タイトルが書かれていた。嫌韓が「売れるテーマ」になっているわけだ。
    http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/05/18/2014051800148_2.h

    tml



    3)<埼玉の専門学校>外国人入学を拒否「開設以来の方針」

    毎日新聞 5月23日

    調理師や栄養士を養成する埼玉県熊谷市の私立専門学校が、生徒の募集要項
    に「外国人の入学は出来ない」と明記していることが分かった。県が公正な
    選抜をするよう依頼したが、運営法人は「開設以来の学校の方針」として応
    じなかった。行政側に指導権限がないことから、差別的な取り扱いが是正さ
    れない状態が続いている。【奥山はるな】
    (略)

     ◇ペルー人男性、シェフ目指し志望を断念

     「この街で生まれ育った。シェフになるのに国籍は何か問題になるので
    しょうか」。埼玉県深谷市のペルー国籍の男性(19)は、法人が運営する
    調理師専門学校を志望しながら断念した。進路の見直しを余儀なくされ「こ
    んなに悲しい思いをするのは自分で最後にしてほしい」と訴える。

     両親は20年以上前に来日した。男性は深谷市で生まれ、高校まで地元の
    公立校で学んだ。高校在学中から「イタリアンのシェフになりたい」という
    夢を抱き、自宅に近い同専門学校で調理師資格を取ろうと考えた。

     「ここ、読んだ?」。2012年秋、募集要項を入手して家族に見せる
    と、姉がけげんな顔をした。「外国人の入学は出来ません」と書いてあった。

     男性は「普通に進学できると思っていた。国籍でハブかれた(排除され
    た)のは初めて。涙が出た」と振り返る。報告を受けた高校の教諭が専門学
    校に問い合わせたが「開学以来の方針」と突っぱねられ、県に報告した。

     男性は結局、東京・池袋の調理師専門学校に進学した。進路変更で交通費
    がかさんだことなどから学生ローンを組んだ。今春、調理師資格を得て卒業
    したが、現在はローン返済のため比較的収入の多い家電製品の工場で派遣社
    員として働く。

     シェフの夢は遠のいた。「自分の母語は日本語だし、税金も納めてこの街
    の住民として暮らしている。本当は卒業してすぐ飲食店で修業したかったの
    に」。やりきれない思いがぬぐえない。
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140523-00000007-mai-soci

    4)<外国人入学拒否>厚労省、公平徹底を通知

    毎日新聞  5月24日

     調理師や栄養士を養成する埼玉県熊谷市の私立専門学校3校が外国人の入
    学を拒否していた問題で、厚生労働省は23日、全国の同種養成施設に公平
    な入学選抜の実施を徹底させるよう各地方厚生局長に通知した。また、一転
    して拒否の撤回を決めた3校を運営する学校法人今昌学園(同市)の今井明
    巨理事長は同日、県に「来年度分から(要項にある拒否の記載を)削除す
    る」と伝えた。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140524-00000000-mai-life


    5)櫻井よしこ氏 ヘイトスピーチは日本人の誇りの欠如が原因

    NEWS ポストセブン 5月23日

     政府が年間20万人の外国人労働者の受け入れを検討し始めた。外国人が日
    本社会にうまく溶け込むには、この国の文化や習慣を理解し、「日本らし
    さ」の価値観を共有してもらうことが不可欠だ。櫻井よしこ氏は「そのため
    には、まず日本人こそが変わらなくてはならない」と指摘する。

     * * *
     外国人を受け入れる日本人の側には「外国から来た人に幸せになってほし
    い」「充実した良い生活を送ってほしい」という気持ちを持つことが求めら
    れます。言い換えれば、本来日本人が持つ親切心や思いやり、寛容さ、そし
    て美徳を私たちもしっかり身に付けておくことが必要です。私たちが「日本
    らしさ」を持っていないと、彼らにそれを伝えることはできません。

     最近、在日韓国人や在日朝鮮人に対するヘイトスピーチが問題になってい
    ます。残念ながら日本人としての誇りや道徳が欠如していることの表われだ
    と思います。根拠なく日本に罵詈雑言を浴びせ続ける中国人や韓国人と同じ
    ことをするとしたら、彼らと同じレベルに落ちてしまうことを自覚すべきです。

    http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140523-00000000-pseven-soci


    6)排外デモ参加者 ナチスのシンボル掲げ笑顔で行進することも

    NEWS ポストセブン 5月24日

    「人口が減少する」との未来予測に伴い、自民党は移民受け入れの具体策の
    検討に入った。しかし移民受け入れを論じる上で避けて通れないのが、在日
    コリアン(約53万人)、在日中国人(約65万人)関連のイシューだ。

     2007年以降、在日コリアンを抜き在留外国人人口トップとなった中国人は
    地域社会でさまざまな問題を抱えている。住民5000人中、3割以上が中国人
    という埼玉・川口芝園団地の住人は「言葉の壁によるトラブルもある」と話す。
    (略)
    「タバコのポイ捨てや騒音など数えれば切りがないが、ゴミ捨てのマナーは
    何度言っても守られない。可燃、不燃の分別もないし、粗大ごみの不法投棄
    も日常的です。そうした粗大ごみの処理代は共益費から出すようになるの
    で、いい迷惑ですよ」(60代男性)

     そんななか、住民は試行錯誤しながら在日外国人との共生を図っている。
    しかし、ここでも排外主義との“内なる対立”が問題を複雑にしている。在特
    会は中国人に対しても排斥行為を行なっており、東京・池袋西口などで尖閣
    諸島や中国本土の反日に抗議するデモが行なわれ、ヘイトスピーチを繰り返
    してきた。ジャーナリストの安田浩一氏が語る。

    「結局、在特会のような人たちは不満のはけ口としてマイノリティや弱者を
    標的にしている。街宣デモに文句を言ったお年寄りを押し倒して足蹴にした
    り、ヘイトスピーチ反対派のビラを見ていた男性が模造刀で切りつけられる
    といった事件も発生しています。彼らはナチスのハーケンクロイツを掲げ、
    笑いながらデモ行進することもある。騒ぎ立てることでカタルシスを感じて
    いるようにしか見えません」
    (略)

    http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140524-00000005-pseven-soci

    7)金慶珠vs周来友 激論「嫌韓ブームの正体」

    日刊SPA 5月24日

     ニュースでは連日、日中韓の関係悪化が報じられ、書店には関連書籍の
    コーナーが設けれる――空前の“嫌韓ブーム”が世を席巻している。冷静さに欠
    ける報道や言説も飛び交う中、日本に住み、かつ韓国・中国にもルーツを持
    つ有識者はこの現象をどのように捉えているのか。論客として知られる金慶
    珠氏と周来友氏を招き、1時間半に渡り激論を交わしてもらった。

    ――日中日韓の関係が冷え込む一方、日本人の中国や韓国に対する感情も悪化
    しています。
    金慶珠:諸々の要因はありますが、やはり根底にあるのは、アジアのパワー
    バランスの変化の中で日本社会が感じている閉塞感ではないでしょうか。経
    済では中国には抜かれ、韓国にもある産業分野では脅威を感じている。

    これまではとるに足らない存在で、興味すらなかった相手に対し余裕がなく
    なってきている。 そんななか、歴史問題や領土問題とも絡んで『韓国人は
    嘘つきだ』とか『国に帰れ』などという攻撃的言動が横行している。その意
    味で、私は昨今の「嫌韓ブーム」は、日韓の問題ではなく、日本国内の社会
    問題であると見ています。

    周来友:本来なら、日本はもっと堂々としていればいいと思うんですけど
    ね。『日本はすごいんだ』とか『世界から尊敬されているんだ』とか言って
    いる出版物やテレビ番組が目につきますがそれ自体、自信喪失の現れ。私が
    言うのもなんだけど、技術や社会秩序、文化など、中国や韓国がどう逆立ち
    しても50年は絶対に叶わない、日本はいいものを沢山持っているじゃないで
    すか。長年日本に住んでいて日々感じているんです。

    http://nikkan-spa.jp/646916


    8)排外主義者が韓国店舗イジメる新大久保 地元民の複雑な胸中

    NEWS ポストセブン 5月27日

     安倍晋三首相は未来の労働人口減少を見据え、移民受け入れ策の検討に
    入った。しかし移民の受け入れで避けて通れないのが、在日コリアンや在日
    中国人の問題だ。李明博・前韓国大統領が竹島に上陸した2012年以降は、大
    阪のコリアンタウン・鶴橋や新大久保でのデモがピークを迎えた。関西ロー
    カル紙の記者が語る。
    「昨年、鶴橋の在特会デモに参加した女子中学生が『鶴橋に住む在日クソ
    チョンコの皆さん、いつまでも調子に乗っとったら、南京じゃなくて鶴橋大
    虐殺を実行しますよ!』と叫んだのには開いた口がふさがりませんでした」
     警察がデモの許可を出さなくなった新大久保では、今年に入りヘイトス
    ピーチは鳴りを潜めている。だが、韓国ショップ店員たちの警戒心は解け
    ず、記者が街の様子を撮影していると30代の韓国人女性に「アナタ、ナニ
    撮ッテル。ワタシ悪イコトシテル?」と詰め寄られる一幕もあった。
    「在特会メンバーは“お散歩”と称し、店頭の商品を蹴飛ばしながら街を練り
    歩いていた。そしてショップ店員らに『竹島はどこの国のものだ、答え
    ろ!』と食ってかかり、相手がうろたえる姿を動画配信する。抗議ではなく
    ただのイジメです」(ジャーナリストの安田浩一氏)
     そんな光景を見てきた地元民は複雑な胸の内を明かす。
    「戦後から住み着いた在日韓国人とは仲良く暮らしていました。彼らは日本
    に溶け込もうとしていたし、国籍に関係なく仲間意識を持てた。でも、10年
    ほど前に入ってきたニューカマーに『郷に入っては郷に従え』は通用しな
    い。商店街にある街灯の電気代の負担をお願いしたら、『うちの店の前には
    街灯がないじゃないか』と逆切れする。付き合いもないし、正直やりづら
    い」(商店街組合関係者)

    http://www.news-postseven.com/archives/20140527_255487.html


    9)暴行容疑:留学生に卵投げつけ、少年3人逮捕 佐賀・鳥栖

    毎日新聞 5月27日

     佐賀県鳥栖市の路上で留学生に生卵を投げつけたとして、県警鳥栖署は
    26日、鳥栖市と福岡県久留米市の18?19歳の少年3人を暴行容疑で逮
    捕した。被害者の留学生が通う鳥栖市の日本語学校によると、昨年12月以
    降、留学生19人が卵を投げられたり、エアガンを発砲されたりするなどし
    たといい、鳥栖署は悪質な嫌がらせとみて関連を捜査している。
     逮捕容疑は20日午後9時35分ごろ、鳥栖市本鳥栖町の路上で、自転車
    で通行中の20代のネパール人留学生の顔などに、乗用車の中から数回にわ
    たり生卵を投げつけたとしている。留学生が逃げようとすると、車を先回り
    させて車を降り、生卵をぶつけたという。
     久留米市の職業不詳の少年(19)は「知りません」と容疑を否認、鳥栖
    市の18歳の2人は容疑を認めているという。
    (略)
     2、3回被害を受けた留学生もおり、同校が鳥栖署に被害届を出していた。
     同校の校長は「留学生は被害を受けても我慢して黙っていることも多く、
    実際はもっと被害があると思う。鳥栖は安全な地域として留学生を集めてい
    ただけに残念」と話している。【上田泰嗣、生野貴紀】

    http://mainichi.jp/select/news/20140527k0000e040231000c.html


    ●7.編集後記

    6.の中で紹介した櫻井よしこの記事について、はっきり言ってこれ自体あ
    る種のヘイトスピーチです。「根拠なく日本に罵詈雑言を浴びせ続ける中国
    人や韓国人と同じことをするとしたら、彼らと同じレベルに落ちてしま
    う」、自国の問題点を指摘するのに、他国を貶めるということ自体がヘイト
    スピーチであることを指摘せざるを得ません。これは、わりと多くの人が陥
    りがちな過ちで、自分自身も自戒を込めて紹介させていただきました。そし
    て最後の鳥栖での留学生襲撃事件を知ると、ヘイトクライム(憎悪犯罪)が
    低年齢化して広まってきていることに慄然とします。日本政府も「現在人種
    差別思想の流布や人種差別の扇動が行われていない」として国連からの人種
    差別撤廃法制定の勧告を拒否していますが、このひどい現状を思えば、一刻
    も早い法規制が必要ではないでしょうか。

    (か)

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