ついに参加国すべてが温室効果ガスを削減し、気候変動の最悪の影響を阻止するための取り組みに合意しました。

 COP21がパリ協定採択し閉幕、化石燃料依存からの歴史的転換に
パリで開催されている第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)は12日、地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」を採択して閉幕した。歴史的な合意には、先進国も途上国も、すべての国が温室効果ガスの排出量削減に向けた行動をとることが明記された。

 これに合わせて自然エネルギー財団が大変力強いプレスリリースを発表しています。
世界は、自然エネルギー100%に向けた未来に、確実に一歩足を踏み出した。

 自然エネルギー100%ということは、石油が要らなくなるということ。世界で石油が本格的に使われ出したのは、19世紀後半ちょうど明治が始まる頃で、それから150年もの間、ずっと石油に依存して社会は発展しました。そんな中、石油が要らない世界なんて本当に可能なのか途方もない夢のような気はしますが、もう脱石油の時代は始まったと言っていいでしょう。

 その先陣を切ったのはウルグアイです。先日も紹介しました。

 ウルグアイとフィンランドの私達の暮らしを変えるかもしれない挑戦  
 ウルグアイの電力における再生可能エネルギーの割合はなんと94.5%なんだそうです。

 今回全世界が温室効果ガス削減に同意したのは、ずばり経済的環境が整ったからだと思います。

 ちょうどこんな記事を見かけました。

 ビニールハウスに太陽光発電+蓄電池 地中熱なども利用し「化石燃料ゼロ」へ
山口県は12月1日、施設園芸作物の生産コストを削減するため、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活かした独立電源システムと農林総合技術センターで開発されたイチゴ栽培の省エネルギー暖房技術を融合して、化石燃料を使用せずに暖房コストを大幅に削減する新たな施設園芸モデルの実証を発表した。(太字筆者)
 自然エネルギーに移行するのは、良心からではありません。「生産コストを削減」するためです。しかもこのような規模の小さいところでも、コスト削減の見込みがあるということなのです。

 足元石油は20ドル台を伺おうかという安値ですが、その価格は不安定です。一方の太陽光発電も今後5年でさらに2割割安になると見込まれますから、これからますます自然エネルギーへのシフトが起こります。

 世界を支配するルールが変わったのです。

 こうなったら、今度は、脱石油の競争になります。いずれ早くやればやるほど得だという方向性が確認され、各国が我先にと争うことでしょう。

 こういう競争は国もやりやすいです。最初の設備だけが必要で後は燃料が要らなくなるというのは、単年度予算でもっとも支援しやすい形です。上で紹介した山口県の取り組みが有望とわかれば、早速国が支援事業を組んでくることでしょう。それが世界中で起こるのです。ものすごい勢いで競争されるのではないでしょうか。

 これらのことは以前もこの記事で検討しました。

 石油を取り合う時代が終わる時  

 現在石油のために様々な争いが起きていますが、世界中が石油から脱しようとし始めた今、石油を取り巻く環境は急速に変わっていくでしょう。

 例えば石油価格が世界の経済にとって重要な指標ではなくなるのです。石油の価格はNHKの7時のニュースにだって出てくる超重要指標です。でもそうではなくなるのです。

 もちろん石油がまったく使われなくなるわけではありません。しかし、他のコモディティ、たとえば銀や銅といったものの相場価格は、よほど高騰しないかぎり、一般の人にはあまり関係がないものです。
 つまり、石油も使われ続けるけど、そういったたくさんある資源の一つになるのです。

 その代わりに二酸化炭素排出権の相場が7時のニュースで定期的に話題になるのかもしれません。

 そうなった世界はどんな世界でしょうか。

 ひとつはっきりしていることは、今よりずっと平和になるということです。