どうも皆様こんにちわ。
前回の編集長から恐れ多いお言葉のバトンをいただいてしまい
落ち込み気味の「む」です。

今回は企画趣旨に沿って、わたしの大好きなマンガをご紹介しようと思います。


唐突ですが、小学生の頃、私は毎年夏休みを母方の祖母のいる山形に行ってました。
親戚中で唯一の子供だった私は、遊んでくれる相手もいなかったので
すでに社会人で家を出ていた従妹の所有するマンガを読んですごしていました。

その従妹の本棚で、生まれて初めて読んだ少女マンガたち。
幼馴染が男の子しかいなかったのもあり、
少年マンガばかり読んでいた私はすっかり
虜になっていました。

ということで長い前置き失礼いたしました。
今回「む」がご紹介する大好きな作品は
従妹の本棚で第1巻に出会った、こちら。

『ここはグリーン・ウッド』著:那須雪絵 です。

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雑誌「花とゆめ」に、1986年から1991年にかけて連載された作品で
笑いと涙の青春の日々を描いた、寮生学園モノの、金字塔作品です。


主人公「蓮川一也」は高校一年生。
両親は既に他界し、家族は男子高で保健医をしている兄のみ。
その兄が、自分の家庭教師だった初恋の相手と結婚。
その失恋のストレスから胃潰瘍になり入院し、入学が約1ヶ月遅れることに。
ベタ甘新婚家庭と化した実家に居所を無くした一也は、
優秀で真面目だった兄が「男子高の保険医」という転落人生(一也の思い込み)の
きっかけになったであろう高校・緑都学園で、
自分は転落せず絶対に違う道を進んでやると決心しつつ、
緑都学園付属寮…緑林寮という変人の巣、通称グリーンウッドに入寮する…。


まぁこれだけですと、どこかで見たような設定だったりするのですが
まったく予想を覆してくれるのが那須先生の作品です。

寮の同室は、
どう見ても女にしか見えない(女装ではなく本人曰く、ロングヘアーが似合うから)
けど誰よりも男らしい常識人「如月瞬」。

長身美形、顔の傷なら数秒で治り、勉強もできてスポーツ万能、
昔からのガキ大将タイプで皆に好かれるが、誰より女運の無い寮長「池田光流」。

その光流の同室で、学園を影で支配する政治家の親を持つ名家出身の、
眉目秀麗・冷酷無比な生徒会長「手塚忍」。


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お粗末な落書き失礼いたしました。
私の記憶ではこのような感じだったんですが~。

少年達のリアルさを上手く盛り込みつつ、登場人物の特異点を活かし、
メイン4人の視点を通して描かれる学園ライフ…
一言で言ってしまうと、男子校の寮生たちが全力でアホなことをやっている物語。
この作品のテンポのよさと読みやすさは、
少女マンガというより少年マンガに近いかもしれません。

学園祭や体育祭・修学旅行・バレンタインデーなど、
色々な学生生活のイベントが物語の中心となっていますが、
たまにファンタジーや時代劇、性別が入れ替わったパラレルワールド、
元ネタありのパロディーなど、二次創作のような世界も描かれます。
単行本巻末に描かれる、著者とキャラクターたちのやりとりもすごく面白いです。

……なんだか抽象的なことばかり書きました。
ちょっとだけ、ここで私が好きな部分を語らせてください。
この作品のおかげで、今の私が出来上がってしまったようなものなので…。

多少ネタバレを含みますので、それが嫌な方は以下は読まずにお願いいたします。




まずは、一番好きな話について。
それは「雨やどり」という一也の先輩2人の過去のお話です。
生まれてすぐ親に捨てられた光流先輩と、家の柵から逃れることができない忍先輩の、
お互いの過去や今お互いが背負っているものを
認め合ったうえでの心の結びつきが、あまりにも切なく
今でも胸に残っています。

そして目覚めました。

何にかって?…察してください。

だいたい普通の高3男子が「卒業して寮出た後どうする?」と聞かれたあとに
ものすごく自然に「家賃折半として9万以下のとこな。おれそれ以上出せねぇから」って
このやりとりもう…もう…!
不安そうに聞いた忍先輩が、コレを聞いたあとに「そうだな。がんばって幸せになろう(モノローグ)」とか…
…初めて出るような笑顔で…あ…あぁ……

すいません黙ります。


「男の子ばかりの物語ってBLモノなの?」という疑問を抱きそうですが、違います。
特にメイン4人に関しては、そういったシーンはありません。
上記はただ私が暴走しているだけです。
寮内唯一の公認カップルは出てきますが、それを理由に敬遠するのは勿体ないくらい
本当に面白い作品なので安心してください。

あ、
もちろん(?)少女誌に載っていた作品なので…
少しだけ男女の恋愛要素もあります。が。

「ぼく、あのふたりと一緒にいると女運の悪さうつりそうでやだ」(瞬)
「次々に妙なのに好かれるのと、
 好きになった相手に必ず男がいるのどっちが悪いと思う?」(忍)


と、まぁ一也と光流先輩の女運の悪さを評した、
瞬と忍先輩の上手い言葉から色々とわかるように…
…キラキラの恋愛ドラマはほとんどありません。

あと、最近よくある「男装した女の子が、男子寮でのドキドキのコメディライフ♪」
…みたいなこともまったく無いです。

描かれる寮生活部分も「彼女がいない」、「水虫」、「ハゲ」…などなど、そういったことばかり。
本当の男子寮に比べたらキレイに描かれているとは思いますが、
妙にリアルに感じました。
まぁそういうところも、私はこの作品の好きな所だったりします。




それから、好きな登場人物について。
一也のお兄さん「蓮川一弘」さんです。
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だめだー!自分の絵にガッカリだー!
本当にステキなんです。初恋でした!
※どうでもいい。
親が亡くなったあと、幼い弟の面倒を見ながら夜のバイトもしつつ大学に通い、
生活の安定のために男子校の保健医になったのに、なぜか弟から反発され。
それにもめげず、弟をひたすら溺愛(ちょっと歪んでますが)。
適当なフリをしてるけど中身はしっかり者。
お兄ちゃんタイプ、あまり得意ではないんですけど…弘兄だけは別です。

この蓮川兄弟ほんと最高です。
主人公の一也もほんと良い子で…弘兄よくぞ育てた!

好きな話を別にあげるとするならば、この兄弟の話全部ですね。
エピソードが多すぎて語りきれないため、ここには書きませんが…ぜひ読んでいただけたら。


そんな素敵な弘兄を、アニメ版で演じたのが、声優の井上和彦さんです。
声にトキめいたのはこの時が初めてでした。
あとは、忍先輩を演じた関俊彦さんの声にもすっかり心奪われまして。
連載終了後もCDやOVA、ラジオ放送だったりと、様々な展開をしていた作品ですが
お陰で私はそういった世界にまんまとハマり…。

すっかり目覚めました。
だから何かは察してください。


ということで、以上、今の私の基礎(もはやトラウマ)について
長々と語らせていただきました。
失礼いたしました。




色々と書きましたが、とにかく
メインの4人や脇役たちも、薄っぺらな人物設定ではなく、それぞれに魅力的で、
けっこう、いやかなりアクが強い…そんな彼らと、
一見どこにでもありそうな、でもどこにもない、
あの時代にしか体験できない輝いた日常を
見事に描いてくれている「ここはグリーン・ウッド」という作品は、
社会人になった今でもまったく読み飽きません。
ちょっとだけ、自分が経験してきた学生時代と彼らの生活をだぶらせ、
読み返すたび懐かしい気持ちになります。

ほんと、学園モノが好きな方は、一度は読んで損はないと思いますよ~。


結局、声優さんの話に一度は触れないと気が済まない「む」でした。
あ、ちなみにこの作品ドラマ化したようですが、そちらは見ておりません。すみません。

ではでは。


P.S.前回応募宣言してました禁断生フェスティバル2、昼夜参戦します。宜しくお願いします。


【む】
PHP研究所 PHP-COMIXの業務担当およびTwitterの中の人その1。公式アカウントである@PHPcomixでは、記念日やイベントにイラストを投下し、自己満足する日々。洞爺湖の木刀持ってる白髪の人と、某大人気プリンスさまっ♪たち関連を与えられると喜ぶ。中の人も大好きらしい。
 

◎バックナンバー

【第0回】 ごあいさつ
【第1回】『鳥海浩輔・安元洋貴の禁断生ラジオ本』
【第2回】 九井諒子さんの作品集×3作品
【第3回】『ヨルムンガンド』『乙嫁語り』『小南正太郎、家から出るをはじめました。』
【第4回】 へんしゅうちょの机
【第5回】『風の谷のナウシカ』