第340号 2019.12.24発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…ジャーナリストの伊藤詩織氏が、元TBS記者の山口敬之氏に性的暴行を受けたと訴えた民事裁判で勝訴した。伊藤氏の訴えは全面的に認められ、完全勝利といっていい。『ゴー宣』では判決の詳細と、裁判後に開かれた伊藤さん側の報告集会の内容を解説。さらに伊藤氏の事件をきっかけに、日本のレイプ事件について調べていく中で分かりつつある衝撃の事実…実は日本は性犯罪大国だったのだ!!
※泉美木蘭のトンデモ見聞録…伊藤詩織さんの勝訴に関して、重要なことは、これは刑事事件において、出されていた逮捕状が一度握りつぶされており、きちんとした裁きが行われていない事件だということだ。刑事裁判として裁かれることのなかった事件に、民事裁判で真っ当な判決が下されたのである。「トンデモ見聞録」では判決後に開かれた山口氏側の記者会見における、山口氏自身と、支援者の小川榮太郎氏らのトンデモ発言を徹底記録!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!警察絡みの刑事裁判より民事裁判の方が信用できるの?「ジャパニーズ土人くん」の復活はある?移動中の車内や飛行機の中では何をしてる?伊藤詩織氏にセカンドレイプした連中にはどんな罰が相応しい?普通乗用車や軽自動車への自動ブレーキが義務化されることに…自動ブレーキの危険性をどう見る?首里城復元に国の財源をあてることをどう思う?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第354回「伊藤詩織氏、勝訴!」
2. しゃべらせてクリ!・第297回「輝く?しゃべクリアワード2019!」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第150回「山口敬之・小川榮太郎記者会見発言録」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第354回「伊藤詩織氏、勝訴!」 伊藤詩織さんの勝訴、久しぶりにいいニュースを聞いた気がする。
わしはなぜか伊藤さん以外で唯一山口敬之から名誉毀損で訴えられたが、これでメディアは委縮したのか、週刊新潮など一部を除いてこの件をほとんど扱わなくなっていた。
そんな苦しい状況の中でわしはひとり戦い続けていたのだが、今回の判決が出るや、メディアは堰を切ったように、当たり前のように伊藤さんを被害者、山口を加害者と見る扱い方で報道している。
またこのパターンかとは思うが、これも健全な常識の回復だと前向きに評価しておくことにしよう。
判決は、伊藤さんの完全勝利と言っていい内容である。
判決後、支援者に向けた報告集会が行われ、弁護団の村田智子弁護士が判決の解説をした。
1100万円の賠償請求に対して330万円という判決は安いんじゃないかと思ってしまうが、この金額は今の日本の裁判の相場では決して低くはないという。
そもそも日本の民事裁判の慰謝料の相場そのものが安いという問題はあるのだが、裁判結果の評価としては、330万円というのは「高くはないけれども、決して恥ずかしい金額ではない。立派な金額」なのだそうだ。
さらに村田弁護士は、伊藤さんの勝因は非常にシンプルで、裁判官が伊藤さんと山口の供述を比べて、伊藤さんの方が信用できると判断し、その供述に沿った事実認定をしたからだという。
第一には、伊藤さんが寿司屋を出てホテルに連れていかれる前の時点で、すでに強度の酩酊状態にあったことが、ホテルの防犯カメラの映像などから認定されたこと。
第二には、伊藤さんの供述が一貫していること。
第三には、事件直後の伊藤さんの行動が、「シャワーを浴びることなく立ち去った」「その日のうちに産婦人科でアフターピルを処方してもらった」「数日後に友人らに相談し、その後あまり間をおかずに警察に相談した」など、いずれも「意に反して性行為が行われたこと」の裏付けとなっていること。
そして第四に、伊藤さんには嘘をつく動機が見当たらないこと。
逆に山口の供述が信用できないと判断された理由は、第一にその供述が合理的ではないこと。例えば、寿司屋から恵比寿駅まではわずか徒歩5分ほどの距離なのに、寿司屋を出てすぐ伊藤さんをタクシーに乗せ、ホテルに連れて行ったことに合理的な理由が認められない。
第二には、山口の供述が変遷していること。特に事件直後のメールでは、伊藤さんが山口の寝ていたベッドに入ってきたと書いていたのに、裁判所での本人尋問では、伊藤さんに呼ばれて、山口の方が伊藤さんのベッドに移動したと、正反対になったところは大きかったようだ。
そして、判決で特に画期的だったのは、「性犯罪被害者の心理について、きちんと理解している」というところだった。
山口は、ホテルのバスルームには電話機が設置してあったのに、なぜ伊藤さんはバスルームに逃げ込んだ時、電話で外に連絡しなかったのかなどと言っていたが、これについて判決文では「原告の供述によれば、原告がバスルームに入ったのが、目が覚めて被告から性交渉されていることに気付いた直後である。動揺して自らの置かれている状況が把握できず、冷静な判断ができない状態であったことは、容易に推察されるから、電話機を使用して外部への連絡をしなかったことが不自然であるとは言えない」と明確に認定している。
また山口は、事件の数日後に伊藤さんが山口に、「無事にワシントンに戻りましたか?」とか「ビザはどうなりましたか?」といった、何事もなかったかのようなメールを出したことを挙げて、これは性行為に伊藤さんの同意があったからだと主張したが、これに対しても判決は「同意のない性交渉をされた者が、その事実をにわかに受け入れられず、それ以前の日常生活と変わらない振る舞いをすることは充分にありうる」と認定し、山口の主張を一蹴している。
そしてさらに大きな意味があるのは、伊藤さんがいろいろと公表したことは「真実」だと認め、それを公表したのは「公益目的」であるとして山口の「売名行為だ」との主張を退けたことである。
コメント
コメントを書くあけましておめでとうございます。
「教場」見てます。
大島優子、ここで消えるの?(川口春奈とかより)存在感あるのにもったいない、と思っていましたが、残ってくれて良かったです。
1月7日 21時~放送の 映画「疾風ロンド」にも出演します。
「さんタク」などバラエテイ番組にも出ていて今後も期待ですね。
もくれん師範も見られていた箱根駅伝もずっと見てました。
信じられないような高速レースで、その中でも大きなブレーキや棄権など無く全員が走りきってすごいと思いました。
また、「格付けチェック」では吉岡里帆が、個人では全問正解。
この人分かっているなという印象でした。
ネットではその服装が話題になっているようですが・・・・・・。
本年もよろしくお願いいたします。
MVPありがとうございました。
ラッコフェスティバル様、MVPおめでとうございます。
ゴーン被告の海外逃亡には仰天したけれど、プライベートジェットによる出国に係る審査基準が大甘だということにも仰天しましたね。
X線検査や手荷物検査は義務化されておらず、機長が「問題ない」と言えばそれで通れてしまうって、性善説にも程がある。
五輪開催のためには「テロ等準備罪」が必要、とさんざん喧伝していましたけど、テロリストや凶悪犯が海外逃亡する抜け道が放置されたままだったんですね。
そもそも保釈中の被告人の取り扱いについて、護送する時に取り逃がした事件などが立て続けに発生したこともあって、再考の余地があると言われています。
一方で、あまりにも長すぎる勾留は人権侵害だとする主張も理解出来ます。
その他、『ライジング』でも指摘されていた一部裁判官の質だとか、裁判員裁判の意義(死刑判決が高裁で覆されるケースが続出)など、日本の司直は大丈夫だろうか? と不安になります。
(余談)
大晦日の『笑ってはいけない』、今回はすごい内容でした。
近年のマンネリ感を払拭し、タブーやグレーゾーンに切り込んでいくネタが多く、本来の『ガキ使』が帰ってきた、と感じました。
松本人志はこの番組に出ている時が、本来の面白さを発揮しているなと個人的には思います。
これまたバラエティ番組の話題で恐縮ですが、昨年の『アメトーーク』でサンドウィッチマンの伊達みきおが度々安倍晋三のモノマネを披露していたのをご存知でしょうか。
何の話題を振られても、
「先程、〇〇についてトランプ大統領と電話で会談しました。我々の意見は完全に一致しました」
と回答するもの。
日本の対米従属ぶり、安倍晋三の思考停止ぶりがシニカルに風刺されていて、とても面白いです。
サンドウィッチマンはこうした風刺ネタはほとんど扱っていませんでしたが、東北を応援する芸人として、安倍政権に対して腹に据えかねるものがあったのだろうか、と想像します。
好感度NO.1芸人が披露するこうした風刺は、なかなかインパクトが大きいなと思います。
>>248
M.Oさん
ラサール石井氏みたいになると、左側に振れ過ぎだし、
フィフィ氏やつるの剛士氏みたいになると、権力擁護に傾き過ぎになりますね。
時事ネタを風刺にして笑いに取り入れている芸人と言えば、
爆笑問題、ナイツ、ザ・ニュースペーパー、ウーマンラッシュアワー(主に村本氏の方?)が思い浮かびますが、
笑点でも時事ネタが取り上げられますし、
NHKでも「時事ネタ王」という芸人の番組がありますし、
ダウンタウンの松本、ほんこん、千原せいじ、ほっしゃん。、くりぃむしちゅーの上田も時事ネタを話題にしているようですね。
芸人というかコメンテーターみたいな立ち位置になると本末転倒ですし、
運動家みたいになっても芸から逸脱しますし、
あくまでも自分の芸に引き付けて時事ネタをエンターテインメントにするというのは、
なかなか難しいことなのだろうな、と改めて思います。
ガキ使は面白かったです。
ワイドナショーの松本人志はあまり好きではありませんが、
2019年末のガキ使は正直面白かったので。
完全版を見ると、不要なコーナーも多々あったなとは思いましたが。
こんにちは
本日小林先生ブログ
次回ゴー宣道場は、いよいよカウンターデモクラシー発進の狼煙が上がりそうです。
倉持先生ありがとうこざいます。
さんざんな年末・年始でしたが、今日から出勤です(本当は3日からでした)。だらけず、きびきび行きたいです。
夕方のライジングも期待しています。今年最初のライジング、果たして?
こんにちは
今週SPAゴー、すごい、ロマンロマン、なんというロマンか、
だから、愛子さまが皇太子になり、卑弥呼の復活!は、あたりマエダ!明白すぎる道理でしょう。テンションあがりすぎてしょうがない。
先生にはいつか邪馬台国論争について書いて頂きたいと思ってましたので、今回は大変興味深く読ませて頂きました。しかも、普段よく通る糸島に卑弥呼の古墳があるかもしれないなんて、本当に驚きです。さっそく本文中に紹介されてある本もAmazonで予約しました。次週も楽しみです。