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Docさん のコメント

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Doc
前回の放送は所用で見逃してしまいましたが、今回はリアルタイムで見ることができました。
いつも楽しい放送をありがとうございます。

放送で触れられていた"累計"重症者数は、新規発生の重症者から死亡者・治療が終わった者を引いた数(つまり現役の重症者数の変化)の累計値ということで、治療中の重症者数を表しているようです。なので、累計値なのに減少するということが起こります(誤解を招くので"累計"という表現はどうかと思いますが)。

本当の重症者数の累計値は、件のグラフからは分からないのですが、現場の手入力データが以下のサイトにあり、現在、665人(内、実施中94人)となっています。
https://crisis.ecmonet.jp/
このサイトはICUベッドの80%程度を捕捉しているようで、厚労省発表の"累計"重症者数(つまり実施中人数)119人と整合しています。

これらの重症者の内、治療済が429人、死亡者が143人ということで、75%は助かっているようで、放送で言われていたように日本の医療の粘り強さがうかがえます。しかし一方で、80%の捕捉率を加味しても700人程度(死亡者の8割)はICUの治療を受けることなく亡くなっているということになっており、これをどう解釈すればよいのか、現場の状態が分からないと判断できない状況です(データの記録漏れなのか、ICUが不足しているのか)。

ノーベル化学賞のレヴィッド教授については、2か月程前に詳しい記事が出ていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a1895dd0875b13d969e642fd92b0dc4111beb9f4
記事を見る限り、彼の計算の肝は、模型を都市等でどんぶり勘定するのではなく、個人の行動・交友範囲のコミュニティに細分化して取り扱うという点にあるようです。そうすると、結果的に、コミュニティの範囲外には感染しにくくなるため、従来の模型よりもピークの高さが低くなり、また、感染拡大の速度が遅くなるということで、通常の集団免疫理論では数十%が感染するところが数%から十%程度に抑えられるようです。この結果はインフルエンザ等と整合的なので個人的には説得力があると思うのですが、詳細は計算を自分で確かめてみないと何とも言えません(模型の変数が増えるはずなので、オーバーフィッティングが起こっている等の不安がある)。

仮に、その理論が正しくて感染が5%に抑えられたとすると、感染者600万人で、致死率0.5%(現在の感染者数が陽性確認者数の10倍だと仮定した時の値)とすると死亡者数は3万人ですむことになり、リスク評価がかなり変わってきます。

2週間の数理パターン云々については上記の記事にはなく、ニュースウィークの記事にあるだけですが、この話は前回のコメントで書いたようにただの数学トリビアですので、おそらく記者が何か勘違いをして書いただけなのではないかと思います。

専門家会議の記者会見を見ていたら、4月1日頃がピークだと断言していて、非常に驚きました。
https://www.youtube.com/watch?v=IPpGFy0UCLo
これまでは1週間程度の幅をもたせてピーク位置の詳細は分からないとしていたはずですが、理由も説明せずに見解を変えるのはありえません。

そもそも感染の確認者数は全体の1割程度ではないかと言われており、検査数等による偏りがあることから、ピーク位置を日にち単位で推定できるような精確なデータではありません。さらに、そのデータを、誤差の少なくないであろう模型によって、発症日から感染日に変換して、ついでにグラフが滑らかになるような技巧処理(結果の正しさは保証されていない)を施したのが、西浦氏の流行曲線です。そこからピーク位置を特定するとか、ゴッドハンドの世界です。もしかすると、私が知らない新たなデータがあるのかもしれないので、詳細を聞くまでは何とも言えないのですが、少なくとも説明は必要でしょう。

しかも、3/25までは東京の実効再生産数1.73、4/7まで0.82、それ以降は0.59という数字まで出している(上記動画の32分あたりの図のように期間を区切ってフィットしている)のは、何なのでしょう。計算するのは自由ですが、これは専門家として社会に公表できるような数字なのでしょうか?

最後にライジングの感想ですが、公が狂ってしまうのは、集になびいて熟議がなされていない、つまり公論が機能していないからではないかと思いました。今回の件も、リスクをどれだけ受容して経済や生活や自由とどこでバランスをとるべきなのか、国民的に議論していれば、おかしな言動が公を支配することはなかったでしょうし、行政や専門家会議が道を踏み外すこともなかったのではないでしょうか。
No.191
48ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第358号 2020.5.26発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…わしは「個と公」をテーマに『戦争論』を描き、「公」の重要さ、「公共心」の大切さを訴えた。その主張は今も変わっていないが、ただし現在は、ここに大きな注意を加えておく必要がある。それは、「『公』は狂うことがある」ということだ。自粛して家にこもることが公共性であり、常識だとしている今の日本の「公」は、完全に狂っている。そして日本の「公」の発狂の度合いは、さらに激化しかねない状況になっているのだ! ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…「医療崩壊の危機」「病床ひっ迫」と喧伝されてきた日々の中、コロナ対策に回していた病床は国内全病床のたった1.8%だったという。そしてあまりに偏ったやり方で、日本中の病院が大損失を被ることになったのだ。無意味なものに多額の税金をつぎ込んだ、この日本の新型コロナ対策で、医療機関にどんなことが起きたのかをまとめておこう。 ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!なぜ日本政府は緊縮財政にこだわるの?ベーシックインカムの導入についてどう考える?プロレスラーの木村花選手が亡くなった件をどう思う?緊急事態宣言が出た後に沖縄旅行に行っていた芸能人は批判されるべき?黒川弘務検事長の賭けマージャン問題の裏には、特定野党とマスコミの癒着がある?「専門家には責任を取らせるべきではない、意見を採用した政治家に責任を取らせるべき」という主張をどう思う?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第374回「公が狂うとき」 2. しゃべらせてクリ!・第315回「御坊家のソーシャル・ディスタンス晩餐ぶぁい!の巻〈後編〉」 3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第168回「いびつすぎるアフター・コロナの世界」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第374回「公が狂うとき」  わしは「個と公」をテーマに『戦争論』を描き、「公」の重要さ、「公共心」の大切さを訴えた。  その主張は今も変わっていないが、ただし現在は、ここに大きな注意を加えておく必要がある。  それは、 「『公』は狂うことがある」 ということだ。   今は日本中、「自粛」「STAY HOME」が「公」であり、たとえ緊急事態宣言が解除されても、新型コロナを恐れて決して気を緩めず、なるべく外出を控え、「ソーシャルディスタンス」を保つことこそが「公共心」のある行動であるということとされている。  政治家から、学者から、芸能人から、一般人まで、誰もがこぞって「家にいよう、大切な人のために」などと唱え、それこそが常識であるとまで信じ込んでいる。   だが、わしはそんなものは全く「公」だとは思っていない。 日本においてはインフルエンザよりもはるかに弱い新コロなんかを恐れて自粛して経済を止めてしまうのは愚の骨頂であり 、外出して消費して経済を回すことこそが「公」だとずっと主張している。  ところが今は、そういう行動はあたかも公共心に反することであるかのように、 「自粛警察」の取り締まり対象にされるような「公」が形成されてしまっているのである。  金沢市の市会議員が、新コロに感染・入院し、退院した後の自宅待機中にパチンコ屋に行ったとして、市民から糾弾された。  その市議は今月7日に退院し、医師から2週間の自宅待機を命じられていたが、その期間をあと2日残した19日に、休業要請の出ているパチンコ店に行ったという。  自粛警察の総本部であるテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」は21日の放送で、女性リポーターが市議本人に電話取材して「吊し上げショー」を行った。  市議は若い頃からパチンコをたしなんでいるといい、その日は客としてではなく「視察」に行ったものの、店内がガラガラで大変厳しい状態になっているのを見て、たまたまポケットに5000円札が一枚あったので、せっかくだからと打ってしまったと、実に苦しい釈明をした。  女性リポーターは嵩にかかって「今後議員辞職する考えはないんでしょうか?」と質問し、市議はひたすら反省の弁を述べ続けた。  番組では何の疑いもなく、 新コロに感染していた者が自宅待機中にパチンコに行くなど言語道断であり、それを糾弾することが「公」に適うと信じている様子だったが、もしもその「公」が間違っていたらどうなるのか?   これがインフルエンザを発症した人だったら、治った後にパチンコ屋に行ったところで、誰も一切非難などしなかったはずだ。  それが新コロならこんな大騒ぎになるということは、 新コロ感染者はたとえ治っても、危険人物視されるという差別が存在しているのではないか?  医師からの自宅待機指示を破ったというが、PCR検査で2回連続陰性だったから退院しているはずで、その時点でもう治っているのに、 さらになお2週間も自宅待機せよという医師の指示は明らかにおかしい。  医師も医師としての判断ではなく、世間の差別感情におもねった指示を出したのではないだろうか?  もっとも今回の場合、それが「市議会議員」でなければ、単に新コロの元感染者がパチンコをしただけでは、こんな騒ぎにはならなかったはずだ。  ということは、 この騒ぎの本質は、「公務員」である市議が、県の自粛要請を無視して営業していたパチンコ店に行って、パチンコをしたことがいけないということだったのだろうか?   だが、そもそも「パチンコ屋は営業自粛せよ」という公の要請そのものがおかしかったらどうなるのか。公務員というものは、間違った公にも従う義務があるのだろうか?  今は自粛が「公」であって、自粛することこそが「公共心」のある行為であるという認識が、世間の大多数の感覚になってしまっている。   だがそれは後世になったら「間違った公」だったと評価されるかもしれないし、必ずそうなるとわしは確信している。  公務員ならば自粛に従わなければならないと無条件に思っていること自体、本当はおかしい。 公務員は「これは本当の公ではない、今の公は間違っている」と告発したっていいはずだ。   公務員が「集」に埋没せず、「個」が強ければ、国や自治体が決めたこの度の「公」は狂っていると主張することも可能だろう。  もっとも件の金沢市議のおっさんにそんなことはできないし、それを望むべくもない。そこまでの自覚もなく、ただパチンコがしたいという「私心」を抑えられなかっただけなのだろうから。 「公務員は、間違った公にも従うのか?」  これは本当に難しい問題である。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!