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  • 「民主制より大きな問題を語るべきか?」小林よしのりライジング Vol.266

    2018-04-17 17:1596
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    第266号 2018.4.17発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…「森友疑惑なんて小さなことばかり、いつまで国会で問題にしているんだ。もっと論じるべき、大きな問題があるだろう。」…主に右派の(しかも安倍信者の)知識人たちが、こんなお決まりの物言いを偉そうにやっている。果たしてこの言い草は正しいのか?天下国家の「大文字」の問題さえ議論しておけば、その足元で民主制が崩壊していてもかまわないのか?さらに言えば、そもそも日本には「大文字」の政治課題を語れる資格などあるのか?
    ※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…毎朝テレビをつける度に新たな問題が勃発している。週刊新潮が報じた財務事務次官のセクハラ問題、担当記者になったほとんどの女性が同じような目に遭っていたようで、数々のセクハラ発言を、森友問題や消費税の話のあいだにほぼ接続語代わりに用いる人らしい。さらに呆れるのは問題発覚後の財務省の対応である。“勝ち組ビジネス”はいつまで続くのだろうか?
    ※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」。へぶるわ―――っしゅ!絶体絶命!誰か助けてクリ―――!サメしゃん、どうか貧ぼっちゃまだけで満腹になってクリ!絶対こっちには来んでクリ―――!!

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    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第273回「民主制より大きな問題を語るべきか?」
    2. しゃべらせてクリ!・第224回「ジョーズ出現!貧ぼっちゃま絶体絶命!の巻〈後編〉」
    3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第77回「“勝ち組ビジネス”とパワハラ財務省」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




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    第273回「民主制より大きな問題を語るべきか?」

     森友疑惑なんて小さなことばかり、いつまで国会で問題にしているんだ。もっと論じるべき、大きな問題があるだろう。
     …主に右派の(しかも安倍信者の)知識人たちが、こんなお決まりの物言いを偉そうにやっている。
     
     櫻井よしこは「週刊ダイヤモンド」3月31日号で「森友文書だけが日本の問題ではない 国の安全への責務を政治家は自覚すべきだ」と題するコラムを書いている。
     ここで櫻井は、「急展開する国際情勢を見れば、国会が同問題だけにかまけていてよいはずはない。国会は日本の命運を左右する大きな国際情勢問題に急ぎ取り組むべきだとした上で、北朝鮮問題に関して「日本国の安全を確固たるものにする責務を政治家は自覚すべきだろう」と主張する。
     櫻井よしこがそういうのはわかる。安倍政権を守るためだったら詭弁はおろかフェイクだって言うのだから。
     しかしこれとそっくりなことを、西部邁の弟子筋である佐伯啓思(京大名誉教授)が、よりによって朝日新聞(4月6日付)に書いたのには驚き、呆れ果てた。

     佐伯は、国会やメディアにおける森友問題への追及を「事実も想像力も、また様々な政治的思惑も推測もごちゃまぜになったマス・センティメント(大衆的情緒)」でしかないと決めつけたうえで、「その時その時の不安定なイメージや情緒によって政治が右に左に揺れ動くのが大衆民主政治というものだ」と冷笑して切り捨て、こう嘆くのだ。
    私がもっとも残念に思うのは、今日、国会で論じるべき重要テーマはいくらでもあるのに、そのことからわれわれの目がそらされてしまうことなのである。トランプ氏の保護主義への対応、アベノミクスの成果(黒田東彦日銀総裁による超金融緩和の継続、財政拡張路線など)、朝鮮半島をめぐる問題、米朝首脳会談と日本の立場、TPP等々。

     もっと論じるべき大きな問題があるのに、森友疑惑のような小さな問題をいつまでもやっている場合ではないなどという言い草は、正しいのか?
     櫻井や佐伯は、天下国家の「大文字」の問題さえ議論しておけば、その足元で民主制が崩壊していてもかまわないと言っているようなものだ。
     なぜなら、森友問題は権力者が「妻」や「お友達」のために国有財産をタダ同然で渡そうとして、それをごまかすために公文書の改ざんまで起こしてしまったという、民主制の根幹に関わる問題だからだ。

     さらに言えば、天下国家の「大文字」の問題があるから国内の「小文字」の問題にこだわるなというのは、「日本は、中国になれ」と言うのに等しい。
     中国では、国内問題は「小文字」の問題として放置されている。民主制もなく、権力さえ握れば利益誘導も縁故主義もやり放題。憲法には美しい理念が書かれているが、何一つ守られていない。
     しかし国外に対する「大文字」の問題では、中国はアメリカやロシアとも対等に渡り合える「世界の超大国」として振る舞っており、そのための戦略は徹底的に考え、実行している。
     足元の国内問題がガタガタになっているのにもかまわず、「天下国家」のことだけ考え、強国の体裁だけを保っているのが中国だ。国家は国民のことを顧みず、国民も国家を一切信用していない。櫻井や佐伯は、そんな国がいいのか? 日本をそんな国にしたいのか!?

     そしてさらに、問わなければならないことがある。
     そもそも日本には「大文字」の政治課題を語れる資格などあるのか?
     例えば北朝鮮の問題について、日本の国会で何をどう論じられるというのか。
     もし米朝会談が実現したとしても、アメリカは自国のことしか考えていないのだから、テーマに乗せるのは北朝鮮に、アメリカ本土まで到達できる核搭載ICBM(大陸間弾道ミサイル)を放棄させることだけだ。
     もちろん、日本の拉致問題だの、日本を標的にした短距離核ミサイルだのの問題なんか、アメリカの眼中には一切あるわけがない。

     そんな状況で「森友問題なんかより北朝鮮」と主張する櫻井よしこは、具体的には何をするべきだと言っているのか? 
  • 「一般常識を敵にする安倍信者」小林よしのりライジング Vol.265

    2018-04-11 11:30130
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    第265号 2018.4.11発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…世の中には、一般の常識・良識とは真っ逆さまの理屈を「常識」「良識」だと、大真面目に主張する人たちがいる。自分に都合の悪いことは一切見ようとせず、一般社会の方がおかしいと思っている。世の大多数から批判されると、迫害されたと被害妄想を抱き、同じ理屈を共有する者だけで結束を固めて閉ざしていく。時には存在しない「敵」を想定し、それを攻撃することで自己を正当化する。そうして主張はどんどん先鋭化し、より一層、一般常識から乖離していく。今、その最たる存在が安倍晋三信者たちだ。
    ※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…3月26日発売の産経新聞社『別冊正論31号 「日本型リベラル」の化けの皮』がスゴい。櫻井よしこ、酒井信彦、高橋史朗、八木秀次、足立康史、有村治子、山口真由…等々が厚顔無恥なネトウヨ妄言を垂れ流しているが、ひと際異彩を放つ存在が、動物学研究家・随筆家の竹内久美子氏!論考のタイトルは「動物学で日本型リベラルを看ると―睾丸が小さい男はなりやすい!!」。睾丸に拘り過ぎる、想像のはるか斜め上をぶっちぎりで駆け抜けていく“トンデモ”リベラル・ヘイトを見よ!
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!若さの秘訣は何?合理的に説明出来ないものは、伝統ではなく因習?昔のCMで印象に残るCMは何?首相の母・洋子氏がすべてを昭恵氏のせいにして、息子を庇うのはおかしいのでは?桜の花に見とれるような事はある?やる気を削がれた時はどうしてる?日本女子相撲連盟がオリンピック競技入りを目指して活動しているのはアリ?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第272回「一般常識を敵にする安倍信者」
    2. しゃべらせてクリ!・第223回「ジョーズ出現!貧ぼっちゃま絶体絶命!の巻〈前編〉」
    3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第76回「“睾丸小さいとリベラル”世にも奇妙な『別冊正論』の世界」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




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    第272回「一般常識を敵にする安倍信者」

     世の中には、一般の常識・良識とは真っ逆さまの理屈を「常識」「良識」だと、大真面目に主張する人たちがいる。
     一般人から見ると「頭がおかしい」としか思えないが、その人たちは自分に都合の悪いことは一切見ようとせず、一般社会の方がおかしいと思っている。
     世の大多数から批判されると、迫害されたと被害妄想を抱き、同じ理屈を共有する者だけで結束を固めて閉ざしていく。時には存在しない「敵」を想定し、それを攻撃することで自己を正当化する。
     そうして主張はどんどん先鋭化し、より一層、一般常識から乖離していく。

     読売新聞社の全国世論調査では、佐川前国税庁長官の国会における証言に75%が「納得できない」と回答している。
     安倍昭恵を国会に呼んで説明を求めるべきだとの意見は60%で、「そうは思わない」の36%を大きく上回っている。
     国有地の8億円値引き、そして公文書の改ざんという前代未聞の不祥事を官僚が勝手にやるわけがなく、もし官僚が忖度して勝手にやったとしても、安倍昭恵の存在なしにこんなことが起きたはずがないというのは、ごく真っ当な一般庶民の常識的感覚だ。

     ところが、無条件に安倍昭恵が「潔白」だと信じ、その証人喚問を求めることは「人権侵害」だと主張する、「頭がおかしい」としか思えない人がいる。
     産経新聞の「エース記者」、阿比留瑠比だ。
     しかも産経にはこれに賛成する読者がいるようで、阿比留は4月5日の産経新聞コラム「極言御免」で、そんな読者の声を紹介している。
    「昭恵さんの証人喚問が実現すれば日本の社会に大混乱をもたらすだろう。知らぬ間に隣人や知人に犯罪容疑者にされる恐怖が社会全体に疑心暗鬼を生むからです」
     昭恵は「知らぬ間に」疑われたわけじゃないでしょう! 怪しすぎる状況証拠が山積みでしょうよ!!
     安倍昭恵を証人喚問したら、社会全体が恐怖に覆われ、日本社会が大混乱に陥る!? どこのノストラダムスだ!?
    「知らぬ間に犯罪容疑者になる恐怖」だったら「共謀罪」の方が百万倍大きいと思うが、この人は共謀罪に反対したのだろうか?

     阿比留はさらにこんな読者の意見も紹介する。
    「臆測で『裁判』にかけられるようになったら自由に意見も言えなくなる。何とかまっとうな世の中になってほしい」
     あまりの無知に、唖然とする。
     国会の証人喚問は「裁判」ではない!
     時には「公開裁判」のように見られることもあるが、これはあくまでも議院証言法に定められた、国政調査のための証言を求める制度である。証人は「被告」として扱われているわけじゃないし、そこで裁きを受けることもない。
     安倍は「真相究明に全力を挙げる」と言っているのだから、それならば真相究明のために安倍昭恵の証言は必要不可欠だと思うのは、全くの常識である。
     ところがこの読者は、昭恵の証人喚問を求めたら「自由に意見も言えなくなる」、「まっとう」ではない世の中になるという。
     そして阿比留はこれに全面的に賛同し、こう書くのだ。

     日本社会の現状に深い閉塞感を覚え、今後の日本のあり方についても憂慮しているのが伝わってくる。現代の魔女狩りに、おぞけをふるう人は少なくない。

     証人喚問は裁きの場でもリンチの場でもなく、国政調査のための証言の場でしかない。本当に潔白なら、堂々と出てきて潔白だと言えばいいだけのことだ。それに「深い閉塞感を覚え」、「現代の魔女狩り」呼ばわりして「おぞけをふるう」とまで非難する意味が全くわからない。
     ひょっとしたら、阿比留も産経読者も実は内心、昭恵が「真っ黒」だと思っていて、証人喚問に出したらオシマイだと予感しているから、こうもヒステリックになっているのではないか?

     続けて阿比留は、野党やメディアが昭恵の証人喚問を求めることをこう非難する。 
  • 「籠池は冤罪であり、不当な勾留であり、人権侵害であり、憲法違反である」小林よしのりライジング Vol.264

    2018-04-03 20:30109
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    第264号 2018.4.3発行

    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

    【今週のお知らせ】
    ※「ゴーマニズム宣言」…日本の社会はもはや、中国や北朝鮮まであと一歩というところまで来ている。それを象徴する出来事が、森友学園問題における籠池前理事長夫妻の逮捕と長期勾留である。そもそも、籠池夫妻を「詐欺」容疑で逮捕すること自体が不当であり、これは「冤罪」以外の何物でもないのだ。そしてもうすぐ9か月となる厳重かつ長期の勾留、家族との接見禁止等の異常な処遇は、憲法にも国際規則にも完全に違反している。なぜこんなことが許されているのか?籠池氏の現状を見ていくと、佐川前国税庁長官がなりふり構わず安倍を守った理由も明らかになるのだ。
    ※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…フェイクは、乱発すればするほど、なにが真実かを見つけようとする側の意欲を削ぐことにつながっていく。その結果、最初は「真実VSフェイク」だった対立が、「真実を見破る者VSどうでもよくなった大勢」という構図に移り変わっていく恐れがある。政権擁護のためのフェイクを乱発する安倍信者たち。「劣化のトレンド」に目を光らせよう!
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!大家の漫画家には秘書がいるもの?次の首相は誰が良い?よしりん初心者入門向けの作品はどれ?画力で他の漫画家を羨ましいと思うことはある?アメリカからの輸入品に高い関税をかける事は出来ないの?漫画作品などの海賊版の氾濫をどうしたら止められる?バーで隣の席の女性が泣いている…私はどう行動すべき?…等々、よしりんの回答や如何に!?


    【今週の目次】
    1. ゴーマニズム宣言・第271回「籠池は冤罪であり、不当な勾留であり、人権侵害であり、憲法違反である」
    2. しゃべらせてクリ!・第222回「マチャイ族の酋ちゃまと対面ぶぁ~い!の巻〈後編〉」
    3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第75回「昭恵擁護のフェイクは日系ブラジル人『勝ち組』と完全に一致」
    4. Q&Aコーナー
    5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    6. 編集後記




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    第271回「籠池は冤罪であり、不当な勾留であり、人権侵害であり、憲法違反である」

     日本の社会はもはや、中国や北朝鮮まであと一歩というところまで来ている。
     それを象徴する出来事が、森友学園問題における籠池前理事長夫妻の逮捕と長期勾留である。
     そもそも、籠池夫妻を「詐欺」容疑で逮捕すること自体が不当であり、これは「冤罪」以外の何物でもないのだ。
     森友学園が校舎の建築に際して、国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」というのを不正に受給したというのが逮捕容疑なのだが、これに「詐欺罪」を適用すること自体がありえない。
     素人考えでは、お金を騙し取ったのなら詐欺罪じゃないかと思ってしまいそうだが、国の補助金を騙し取った場合には「補助金適正化法違反」が適用されるのだ。

     お金を騙し取れば、一般に詐欺罪が適用される。
     ただし、騙し取ったお金が国の補助金であれば、特別に補助金適正化法違反が適用される。
     一般的に適用される法律があるのに、それとは別に、適用範囲が狭い特別の法律が存在するのである。
     このような場合、適用範囲の広い方(詐欺罪)を「一般法」、狭い方(補助金適正化法違反)を「特別法」という。
     お金を騙し取るという行為は同じでも、そもそも国の補助金というものは当局の十分な審査を経て支給されるべきものであり、不正な受給があれば、交付した国の側にも責任があると言わねばならない。
     そこで国の補助金を騙し取った場合には、特別に「詐欺罪」よりは罪の軽い「補助金適正化法違反」という犯罪とすることにしたわけだ。
     詐欺罪は「10年以下の懲役」で「未遂罪」も設けられているが、補助金適正化法違反は「5年以下の懲役・罰金」で、「未遂罪」はない。

     このような法の趣旨から、「一般法」と「特別法」の両方が存在する場合は、必ず「特別法」が適用される。
     籠池夫妻の場合、あくまでも国の補助金なのだから「補助金適正化法違反」が適用されなければならず、大阪地検は法律上の「基本のキ」も外したデタラメな逮捕をしたのである。
     しかも、籠池は虚偽の請負契約書などを提出して不正に補助金を引き出そうとしたものの、当局はそれに騙されずに審査し、適正な額の補助金を交付したということなので、これは「未遂」だったことになり、未遂罪のない補助金適正化法違反は適用されない。
     そのうえ籠池は既に補助金を全額返済している。過去には、よほど多額の補助金不正受給でない限り、全額返済しながら起訴された例はないという。
     つまり、籠池夫妻は本来適用されるべき補助金適正化法違反で起訴される可能性はほぼなく、事件化などされるはずがなかったのだ。
     それをあろうことか、大阪地検は詐欺罪で逮捕・起訴してしまったのだから、これは過去に数々あった検察不祥事にも匹敵する、もしくはそれ以上の暴挙としか言いようがない。

     そもそも、籠池夫妻を逮捕・勾留する必要がどこにあるのか?
     逮捕が認められるのは「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」がある場合だが、籠池は「逃げも隠れもしない」と公言し、「百万円返す」と安倍を追いかけたりして人ごみの中にも平気で現れ、「危険だから少し隠れてくれ」と言いたいほどだったから、逃亡のおそれなど全くない。
     証拠隠滅にしても、すでに検察は補助金受給をめぐる事実関係に関する主要な物証をほとんど押収し、関係者の取調べも実質的に終えており、実際に逮捕の翌月には夫妻を起訴している。収集した証拠で十分と判断したからこそ起訴したはずで、もはや証拠隠滅のおそれなど全く関係ない。
     それなのに籠池夫妻の勾留はもうすぐ9カ月となる。家族との接見も禁止、手紙のやり取りも弁護人を通じてしかできないという異常な状態が未だに続いている。
     しかも司法当局は、なぜ籠池夫妻がこのような厳重かつ長期にわたる勾留をされているのかについて、法的根拠の説明を一切していない。